この記事では、「円柱」の公式(体積・表面積)や実際の求め方をできるだけわかりやすく解説していきます。
また、リットルなどの単位を含む計算問題なども紹介していきますので、この記事を通してぜひマスターしてくださいね。
目次
円柱とは?
円柱とは、底面が円で柱状の立体図形です。
トイレットペーパーの芯や、電柱は円柱と言えるでしょう。
まずは円柱のかたちとルールを確認してみましょう。
上下底面の円 \(2\) 枚、側面の四角形 \(1\) 枚を組み立ててできた立体ですね。
このとき、上下の円の大きさや位置、そして立体の高さは一定です。
そのため、底面と側面は必ず \(90^\circ\) で交わります。
底面が円でなかったり、底面の大きさが上下で違う場合は円柱ではないので注意しましょう。
円柱の体積の公式
円柱の体積を求める公式は次のとおりです。
底面の円の面積が \(S\)、高さが \(h\) の円柱の体積 \(V\) は、次の式で求められる。
\begin{align}\color{red}{V = Sh}\end{align}
(体積) \(=\) (底面積) \(\times\) (高さ)
円柱に限らず、柱体の体積は「(底面積) \(\times\) (高さ)」で求められます。
円柱の体積の求め方
次の問題で、円柱の体積を求める手順を説明します。
次の円柱の体積を求めよ。
まず最初に、底面の円の面積 \(S\) を求めます。
底面積を \(S\) とおくと、半径が \(5\) の円であるから
\(S = 5 \cdot 5 \cdot \pi = 25π\)
あとは、円柱の体積の公式に当てはめれば求められます。
高さは \(h = 10\) なので、円柱の体積 \(V\) は
\(V = Sh = 25\pi \cdot 10 = \color{red}{250\pi}\)
ちなみに、もし円周率が \(3.14\) と与えられていたら \(250 \times 3.14 = 785\) となります。
【参考】体積の単位変換
体積の単位には \(\mathrm{cm^3}\)(立方センチメートル)や、\(\mathrm{L}\)(リットル)などがあります。
\(1 \ \mathrm{L}\) は、\(10 \ \mathrm{cm} \times 10 \ \mathrm{cm} \times 10 \ \mathrm{cm}\) の容器に入る水の量なので、
\begin{align}\color{red}{1 \ \mathrm{L} = 1000 \ \mathrm{cm^3}}\end{align}
です。
これを基準として記憶しておきましょう。
\(\mathrm{L}\) → \(\mathrm{cm^3}\) の変換
\(\mathrm{L}\) を \(\mathrm{cm^3}\) に直すには \(1000 \ \mathrm{cm^3 L^{−1}}\) をかけます。
(例)
\(\begin{align}3.8 \ \mathrm{L} &= 3.8 \ \mathrm{L} \color{salmon}{\times 1000 \ \mathrm{cm^3 L^{−1}}} \\&= \color{red}{3800 \ \mathrm{cm^3}}\end{align}\)
\(\mathrm{cm^3}\) → \(\mathrm{L}\) の変換
反対に、\(\mathrm{cm^3}\) を \(\mathrm{L}\) に直すには \(1000 \ \mathrm{cm^3 L^{−1}}\) で割ってあげます。
(例)
\(\begin{align}850 \ \mathrm{cm^3} &= 850 \ \mathrm{cm^3} \color{salmon}{\div 1000 \ \mathrm{cm^3 L^{−1}}} \\&= \color{red}{0.85 \ \mathrm{L}}\end{align}\)
\(\begin{align}5 \ \mathrm{m^3} &= 5 \times (100 \ \mathrm{cm})^3 \\&= 5,000,000 \ \mathrm{cm^3} \\&= 5,000,000 \ \mathrm{cm^3} \color{salmon}{\div 1000 \ \mathrm{cm^3 L^{−1}}} \\&= \color{red}{5,000 \ \mathrm{L}}\end{align}\)
\(\mathrm{cm^3}\) と \(\mathrm{L}\) の換算はよく使われるので、覚えておきましょう。
円柱の表面積の公式
次に、円柱の表面積を求める公式を確認しましょう。
底面の円の面積が \(S_1\)、円柱の側面積が \(S_2\) のとき、円柱の表面積 \(S_S\) は、次の式で求められる。
\begin{align}\color{red}{S_S = 2S_1 + S_2}\end{align}
(表面積) \(=\) \(2\) (底面積) \(+\) (側面積)
側面積の底辺の長さは、底面の円の円周の長さと等しくなります。
円柱の表面積の求め方
次の例題を通して、円柱の表面積を求める手順を説明します。
次の円柱の表面積を求めよ。
まずは、底面の円の面積 \(S_1\) を求めます。
底面積を \(S_1\) とおく。
直径が \(8\) の円なので、半径は \(4\) となり
\(S_1 = 4 \cdot 4 \cdot \pi = 16\pi\)
次に、側面積 \(S_2\) を求めます。
このとき、側面をなす長方形の底辺の長さが底面の円の円周の長さに等しいことを利用します。
側面を展開してできる長方形の面積を \(S_2\) とおく。
このとき、底辺の長さは底面の円の円周と等しいため、
\(8 \times \pi = 8\pi\)
高さは \(10\) なので、
\(S_2 = 8\pi \times 10 = 80\pi\)
あとは、底面積 \(2\) 枚分と側面積を足すだけですね。
円柱の面積 \(S_S\) は
\(\begin{align}S_S &= 2S_1 + S_2\\&= 2 \cdot 16\pi + 80\pi\\&= 32\pi + 80\pi\\&= 112\pi\end{align}\)
よって、答えは \(112\pi\) です。
円柱の計算問題
それでは、円柱の計算問題に挑戦してみましょう。
計算問題①「水槽の体積(リットル)を求める」
底面の円周が \(12\pi \ \mathrm{cm}\)、高さが \(8 \ \mathrm{cm}\) の円柱について、次の問題に答えよ。
ただし、\(\pi = 3.14\) とする。
(1) 表面積を求めよ。
(2) 体積を求めよ。
(3) この円柱の高さ \(90 \ \%\) まで水を入れると、水の体積は何 \(\mathrm{L}\) になるか。
体積や表面積を求めさせる問題です。
(3) では、単位変換も必要になります。
(1)
円周が \(12\pi \ \mathrm{cm}\) なので、
\((\text{円周}) = (\text{半径}) \times 2 \times \pi\) より、
半径は \(6 \ (\mathrm{cm})\)
よって、底面積 \(S_1\) は
\(S_1 = 6^2 \pi = 36\pi \ (\mathrm{cm^2})\)
底辺 \(12\pi \ (\mathrm{cm})\)、高さ \(8 \ (\mathrm{cm})\) なので
側面積 \(S_2\) は
\(S_2 = 12\pi \times 8 = 96\pi \ (\mathrm{cm^2})\)
よって表面積 \(S_S\) は
\(\begin{align}S_S &= 2S_1 + S_2\\&= 2 \cdot 36\pi + 96\pi\\&= 72\pi + 96\pi\\&= 168\pi\\&= 168 \cdot 3.14\\&= 527.52 \ (\mathrm{cm^2})\end{align}\)
答え: \(527.52 \ \mathrm{cm^2}\)
(2)
底面積 \(36\pi \ (\mathrm{cm^2})\)、高さ \(8 \ (\mathrm{cm})\) なので、
円柱の体積 \(V\) は
\(\begin{align}V &= 36\pi \times 8 \\&= 288\pi \\&= 288 \times 3.14\\&= 904.32 \ (\mathrm{cm^3})\end{align}\)
答え: \(904.32 \, \mathrm{cm^3}\)
(3)
\(8 \ \mathrm{cm}\) の \(90 \ \%\) の高さを \(h\) とすると
\(h = 8 \times 0.9 = 7.2 \ (\mathrm{cm})\)
よって、体積 \(V\) は
\(\begin{align}V &= S_1 h \\&= 36\pi \ (\mathrm{cm^2}) \times 7.2 \ (\mathrm{cm}) \\&= 259.2\pi \\&= 259.2 \cdot 3.14\\&= 813.888 \ (\mathrm{cm^3})\end{align}\)
\(1000 \ \mathrm{cm^3} = 1 \ \mathrm{L}\) より、
\(\begin{align}813.888 \ \mathrm{cm^3} &= \displaystyle \frac{813.888}{1000} \ \mathrm{L} \\&= 0.813888 \ \mathrm{L} \\&≒ 0.814 \ \mathrm{L}\end{align}\)
答え: \(0.814 \, \mathrm{L}\)
計算問題②「水の深さを求める」
底面の半径が \(25 \ \mathrm{cm}\)、高さが \(30 \ \mathrm{cm}\) の水槽がある。この水槽に水を \(36 \ \mathrm{L}\) 入れたとき、水の深さは何 \(\mathrm{cm}\) か。ただし、\(\pi = 3.14\) とする。
水の深さはわからないけれど、体積はわかるという状況ですね。
この問題も、円柱の体積を求める公式を使えば解けます。
水の深さを \(x \ (\mathrm{cm})\) と置くと、
水の体積 \(V\) は次のように表すことができる。
\(\begin{align}V &= 25^2 \pi \times x\\&= 625\pi x \ (\mathrm{cm^3})\end{align}\)
また、\(1 \ \mathrm{L} = 1000 \ \mathrm{cm^3}\) より
\(\begin{align}V &= 36 \ (\mathrm{L}) \\&= 36 \ (\mathrm{L}) \times 1000 \ (\mathrm{cm^3 L^{−1}}) \\&= 36000 \ (\mathrm{cm^3})\end{align}\)
よって、
\(625\pi x = 36000\)
式を変形して、
\(\begin{align}x &= \displaystyle \frac{36000}{625\pi}\\\\&= \displaystyle \frac{36000}{625 \cdot 3.14}\\\\&= 18.3\end{align}\)
答え: \(18.3 \, \mathrm{cm}\)
または、水の体積が水槽の体積の何 \(\%\) かを求めることで高さを導くこともできます。
水槽の体積 \(V\) は
\(\begin{align}V &= 25^2 \pi \times 30 \\&= 18750\pi\\&= 18750 \cdot 3.14 \\&= 58875 \ (\mathrm{cm^3})\end{align}\)
単位を \(\mathrm{L}\) に直すと、
\(58875 \ (\mathrm{cm^3}) = \displaystyle \frac{58875}{1000} \ (\mathrm{L}) = 58.875 \ (\mathrm{L})\)
水の体積は \(36 \ \mathrm{L}\) なので、
水は水槽の \(\displaystyle \frac{36}{58.875}\) を占める。
水槽の高さは \(30 \ \mathrm{cm}\) であるから、水の深さは
\(30 \ (\mathrm{cm}) \times \displaystyle \frac{36}{58.875} = 18.3 \ (\mathrm{cm})\)
答え: \(18.3 \, \mathrm{cm}\)
答えの導き方は必ずしも \(1\) 通りとは限らないため、自分のやりやすいやり方で解いていきましょう。
単位を含む問題では、答えに単位をつけ忘れるのを防ぐために途中式にも単位をつけて計算するようにしましょう。
以上で問題は終わりです。
円柱への理解を深めて、さまざまな問題に対応できるようにしていきましょう!