真数条件・底の条件とは?なぜ必要かをわかりやすく解説!

この記事では、対数・指数関数において「真数条件・底の条件」がなぜ必要かをわかりやすく解説していきます。

また、条件を示すときの注意点も説明していきますので、この記事を通してぜひマスターしてくださいね!

 

真数条件・底の条件とは?

対数 \(\log_a x\) の \(a\) を「」、\(x\) を「真数」と呼びます。

底の条件、真数条件とは、底 \(a\) と真数 \(x\) がとりうる値の範囲に関する条件です。

底の条件と真数条件

以下の条件のもと、対数 \(\log_a x\) が定義される。

  • 底の条件:\(\color{red}{a > 0, a \neq 1}\)
  • 真数条件:\(\color{red}{x > 0}\)

底は \(1\) 以外の正の数、真数は正の数であることが、対数を定義するための条件なのですね。

 

補足

ちなみに、底の条件は指数関数 \(y = a^x\) でも同じく必要です。

対数関数と指数関数は互いに逆関数の関係にあるので、当然ですね。

なお、「逆関数」については以下の記事で詳しく説明しています。

逆関数とは?逆関数の求め方や微分・積分の公式、計算問題

 

真数条件・底の条件がある理由

真数条件と底の条件が必要な理由は、条件外の値を考えてみるとわかります。

なお、指数と対数の関係から、\(a\) が決まれば \(x, y\) の対応は次のように考えられましたね。

指数と対数の関係

\(a > 0, a \neq 1, x > 0\) のとき

\begin{align} y = \log_a x \iff x = a^y \end{align}

したがって、対数関数では \(y\) の値から \(x\) の値を求めると考えやすいです。

 

【理由①】底が負だと実関数でなくなる

底が負の場合 \((a < 0)\) について考えてみましょう。

底が \(−2\) である \(y = \log_{(−2)} x\) において \(x, y\) の対応を考えると、

\(y = 0\) のとき \(x = 1\)

\(y = 1\) のとき \(x = −2\)

\(y = 2\) のとき \(x = 4\)

\(y = 3\) のとき \(x = −8\)

となり、\(x\) の値が正と負を行き来する不自然な関数になります。

また、試しに整数でない \(y\) の値を考えてみると、

\(\displaystyle y = \frac{3}{2}\) のとき

\(x = (−2)^{\frac{3}{2}} = \sqrt{(−2)^3} = \sqrt{−8} = 2\sqrt{2} i\)

となり、なんと \(x\) が実数ではなくなります。

したがって、底が負だと不連続かつ虚数を含む関数になってしまうのです。

これだと非常に扱いづらく、実用性もあまりない関数ですよね。

だから、そもそも対数関数の定義から底が負の場合を除いたのです。

補足

数の概念を複素数まで広げた複素関数ならば底の範囲を広げられますが、高校では習いません。

高校で習うほとんどの関数は実関数(変数が実数値だけをとる関数)ですね。

 

【理由②】底が \(0\) や \(1\) だと関数ではない

底が \(0\) の場合や \(1\) の場合はどうでしょうか。

\(y = \log_0 x\) において、\(0\) は何乗しても \(0\) ですから、\(x\) は \(0\) 以外の値をとれません。

また、\(y\) が負のときを考えると

\(y = −1\) のとき \(\displaystyle x = 0^{−1} = \frac{1}{0}\)

何かを \(0\) で割ることはできないので、\(y\) が負のときは \(x\) を定義できません。

よって、\(y = \log_0 x\) は \(x = 0\), \(y > 0\) の直線です。

これは、\(x\) の関数ではありません。

補足

\(0^0\) は分野によって \(1\) と定義される場合と、そもそも定義されない場合があります。

これも、底が \(0\) の場合を避けたい理由の \(1\) つです。

 

また、\(y = \log_1 x\) でも、\(1\) は何乗しても \(1\) ですから、\(y\) がどんな値をとっても \(x\) は常に \(1\) です。

これも、\(x\) の関数ではありませんね。

 

以上のことから、底の条件から \(0\) や \(1\) も除いた方がよいのです。

 

底の条件あってこその対数関数

底 \(a\) が \(1\) 以外の正の数であれば、対数関数 \(y = \log_a x\) は以下のようなきれいな曲線になります。

底の条件 \(a > 0, a \neq 1\) を設定するからこそ、対数関数はこういう性質をもつ関数だ!と断言できますね。

だから、底の条件が対数関数には欠かせないのです。

 

真数条件は底の条件から決まる!

そして、真数条件 \(x > 0\) は底の条件から自ずと導かれます。

底 \(a\) が正の数ならば、何乗しても(\(y\) がどんな値をとっても)真数 \(x\) は常に正の値をとります。

実際にグラフを見ると一目瞭然です。

 

以上が、真数条件・底の条件が存在する理由でした!

 

真数条件の要否

ここでは、真数条件をチェックする必要がある問題とない問題について説明します。

真数条件が必要な場合

真数条件は、真数に文字(未知数)が含まれる対数方程式・対数不等式では基本的に確認する必要があります。

特に、対数の項が複数あったり、係数がかかっていたりする問題では、真数条件の確認がマストです。

なぜかというと、問題を解く過程で利用する対数の性質は、真数条件が満たされていないとそもそも利用できないからです。

対数の性質

\(a > 0, a \neq 1\), \(M > 0, N > 0\) で、\(k\) が実数のとき

  • \(\log_a M + \log_a N = \log_a MN\)
  • \(\displaystyle \log_a M − \log_a N = \log_a \frac{M}{N}\)
  • \(k \log_a M = \log_a M^k\)

 

したがって、対数の性質を利用して式変形する場合は、その前に必ず真数条件を確認しましょう。

(例1)

\(\log_3 x + \log_3 (x − 2) = 1\)

 

真数は正であるから、

\(x > 0\) かつ \(x − 2 > 0\)、すなわち \(x > 2\)

対数の性質より \(\log_3 x(x − 2) = 1\)

対数の定義より \(x(x − 2) = 3^1\)

\(x^2 − 2x − 3 = 0\)

\((x − 3)(x + 1) = 0\)

真数条件 \(x > 2\) より、\(\color{red}{x = 3}\)

 

 

(例2)

\(2\log_2 x = 3\)

 

真数は正であるから、\(x > 0\)

対数の性質より \(\log_2 x^2 = 3\)

対数の定義より \(x^2 = 2^3 = 8\)

真数条件 \(x > 0\) より、\(\color{red}{x = 2\sqrt{2}}\)

Tips

次のような変形は、真数条件を理解しないとよく起こしてしまうミスです。

(例)

\(\log_3 (2x − 3)^2 → 2\log_3 (2x − 3)\)(誤り)

 

変形前(左辺)の真数条件は

\((2x − 3)^2 > 0\) すなわち \(|2x − 3| > 0\)

ですから、正しくは次のように変形できます。

\(\log_3 (2x − 3)^2 → \color{red}{2\log_3 |2x − 3|}\)

 

最初の変形では、真数条件を勝手にせばめてしまっているのが誤りです。

(\(|2x − 3| > 0\) ではなく \(2x − 3 > 0\) という前提で変形している)

 

真数条件が不要な場合

基本的に必要な真数条件ですが、真数条件が満たされることが自明な場合には省略できます。

具体的には、対数の定義に従うだけの単純な方程式であれば、真数条件を省略できます。

対数の定義

\(a > 0, a \neq 1\), \(x > 0\) のとき

\begin{align}y = \log_a x \iff x = a^y\end{align}

ちなみに、このような変形を「同値変形」と呼ぶ。

 

(例)

\(\log_2 (x^2 + 3x) = 2\)

 

対数の定義より、

\(2^2 = x^2 + 3x\)

\(x^2 + 3x − 4 = 0\)

\((x + 4)(x − 1) = 0\)

\(\color{red}{x = −4, 1}\)

この問題で真数条件を調べるとしたら、

\(x^2 + 3x > 0\)

\(x(x + 3) > 0\)

\(x < −3, 0 < x\)

となり、解 \(x = −4, 1\) は真数条件を満たしていますね。

それもそのはず、真数条件を満たすような \(x\) でなければ、そもそも問題が成り立たないからです。

Tips

繰り返しになりますが、上記のような場合は真数条件を「省略してもよい」だけであり、真数条件は常に必要なものです。

迷ったら、必ず真数条件を確認するようにしましょう。

 

底の条件の要否

底の条件は、底に文字(未知数)が含まれるときは必ず確認します。

(例)

\(\log_x 16 = 2\)

 

対数の定義より \(x^2 = 16\)

底の条件より、\(x > 0, x \neq 1\) であるから

\(\color{red}{x = 4}\)

底に文字が入った問題は少ないので、いざというときに条件の確認を忘れないようにしましょう。

 

真数条件、底の条件の練習問題

それでは、真数条件や底の条件に注意しながら、対数方程式・不等式の問題を解いていきましょう。

練習問題①「対数の底を求める」

練習問題①

次の方程式を解け。

\(\log_a 25 = −2\)

 

底が未知数の問題です。

求めた解が底の条件を満たすかを必ず確認しましょう。

解答

 

対数の定義より

\(a^{−2} = 25\)

 

両辺の逆数をとって

\(\displaystyle a^2 = \frac{1}{25}\)

底の条件 \(a \neq 1, a > 0\) より、

\(\displaystyle a = \frac{1}{5}\)

 

答え: \(\color{red}{\displaystyle a = \frac{1}{5}}\)

 

練習問題②「対数の足し算」

練習問題②

次の方程式を解け。

\(\log_2 (x − 4) + \log_2 (x − 3) = 1\)

 

この問題では、対数の性質を利用して左辺を \(1\) つの対数にまとめる必要がありますね。

真数条件は、必ず式を変形する前に確認してくださいね!

解答

 

真数は正であるから、

\(x − 4 > 0\) かつ \(x − 3 > 0\)

すなわち

\(x > 4\)

 

対数の性質より

\(\log_2 (x− 4)(x − 3) = 1\)

 

対数の定義より

\((x− 4)(x − 3) = 2^1\)

\(x^2 − 7x + 12 = 2\)

\(x^2 − 7x + 10 = 0\)

\((x − 2)(x − 5) = 0\)

\(x > 4\) より、\(x = 5\)

 

答え: \(\color{red}{x = 5}\)

 

練習問題③「対数の不等式」

練習問題③

次の不等式を解け。

\(\log_2 (x − 2) < 1 + \log_{\frac{1}{2}} (x − 4)\)

 

くれぐれも、式変形してから真数条件を考えることがないようにします。

また、対数不等式の問題では底の範囲と不等号の向きも合わせて注意しましょう。

解答

 

真数は正であるから、

\(x − 2 > 0\) かつ \(x − 4 > 0\)

すなわち

\(x > 4\)

 

ここで、

\(1 = \log_2 2\)

\(\begin{align}\log_{\frac{1}{2}} (x − 4) &= \frac{\log_2 (x − 4)}{\log_2 \frac{1}{2}} \\&= −\log_2 (x − 4)\end{align}\)

より、

\(\log_2 (x − 2) < 1 + \log_{\frac{1}{2}} (x − 4)\)

\(\log_2 (x − 2) < \log_2 2 − \log_2 (x − 4)\)

\(\log_2 (x − 2) + \log_2 (x − 4) < \log_2 2\)

\(\log_2 (x − 2)(x − 4) < \log_2 2\)

よって

底 \(2 > 1\) より、

\((x − 2)(x − 4) < 2\)

\(x^2 − 6x + 6 < 0\)

したがって

\(3 − \sqrt{3} < x < 3 + \sqrt{3}\)

 

真数条件 \(x > 4\) より、求める範囲は

\(4 < x < 3 + \sqrt{3}\)

 

答え: \(\color{red}{4 < x < 3 + \sqrt{3}}\)

以上で真数条件・底の条件の解説は終わりです。

 

真数条件・底の条件を理解することは、指数関数・対数関数の深い理解につながります。

ぜひマスターしてくださいね!

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