この記事では、塾講師経験のある著者が、数学が苦手な人の特徴を「行動」と「考え方」の観点に分けてできるだけ具体的にリストアップしていきます。
実は、数学の出来を決める大きな要因は『数学的センス』ではなく、『ちょっとしたダメ習慣の積み重ね』なんです。
「どうして数学が苦手のままなんだろう…」と悩んでいる方は、ぜひこの記事を参考にしてくださいね!
数学が苦手な人の【行動】
まずは、数学が苦手な人の行動を 8 つリストアップしました。
自分に当てはまるダメ習慣はないか、チェックしてみてくださいね!
1. 字が読みづらい
計算ミスを連発してしまうという人、自分の答案を見てどこで間違えたのかを見つけられるでしょうか?
驚くことに、自分の書いた数字やアルファベットを見分けられないという人が結構いるのです。
これでは、ミスが減らないわけですね。
頭の中の計算が合っていても、紙の上で読み間違えてしまうのは非常にもったいないことです。
かといって、のんびり書いている暇もありません。
「美しい」「きれいな」字でなくてもよいので、「読み取りやすい」字を短時間で書くようにしましょう。
わざわざ手を動かして計算するのは、思考の過程をたどるため!
明瞭で読み取りやすい字をささっと書けるように、ふだんから意識しよう
2. 図が汚い/小さい
図が汚い、あるいは小さいのも、大きなハンデになります。
何かの下書きのように薄い線を何度も重ねて、紙のすみっこに描いた小さな図。
これでは、値を書き込むのも一苦労です。
解答の過程で図を描くのも、やはり自分の理解を助けるためです。
理想は、大きくはっきりとしていて、点などの位置関係がわかりやすい図です。
特に図形の問題では、角度や長さの比がなるべく正確な図を描くと、ありえない答えを避けられます。
このサイトには作図のポイントを説明した記事がたくさんあるので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
解答の過程で図を書くのは、問題への理解を深めるため!
比率を意識して、大きく、はっきりした図を描こう
3. 計算式を改行しない
数学が苦手な人のなかには、計算式がやたら横に長かったり、途中計算をなぜか取り出して別に書いたりする人がいます。
これでは、あとから思考の跡をたどるのが難しくなってしまいます。
計算式を「=」ごとに改行しておくと、各行で何をしたのかが一目瞭然です。
「=」の位置を合わせるとさらに見やすくなります。
複雑な計算が多くなる高校数学では、解いたあとの検算がマストです。
あとから自分が理解できる計算式を作りましょう!
計算式は自分自身に読ませるもの!
「=」ごとに改行して、読みやすさをUPしよう
4. 解答の過程を残さない
入試本番が記述式じゃないからといって、まともに解答の過程を書き留めない人もたくさんいます。
筆算が必要なところだけ紙のあちこちで走り書きして、ノートの上はぐちゃぐちゃ。
これでは、テスト中に検算するのも、あとから見直しするのもほぼ不可能です。
数学の力を伸ばしてくれるのは、自分の失敗から学ぶ経験の繰り返しです。
なぜ間違えたのか?どういう知識が足りなかったのか?
それを知るには、自分の思考の過程を記録しておくしかありません。
数学が苦手という自覚が少しでもあるならば、まずは問題集の模範解答の書き方に従うのが定石です。
解法パターンを覚える上でも役に立つので、とことん手を動かしていきましょう!
数学は、頭で、手で、目で考える学問。
自分の思考の過程を視覚化しよう!
5. 問題を解きっぱなしにする
解答の過程を書き留めず、答えだけ出して、◯×をつけて、解説を読んでハイ、おしまい。
どうりで、同じ問題に出くわしても、解けない問題は解けないまま…。
「問題を解く→正しい解き方を見る」が勉強だと思っているうちは、ほとんど成長できません。
「問題を解く→正しい解き方に照らし合わせて、自分の誤りを分析する→自力でできるまでやり直す」
ここまでできて、ようやく自分の成長につながります。
問題の解きっぱなしは今日限りでやめて、「できるまでやる」を徹底しましょう!
試験本番以外は、すべて自分の成長の場!
◯×や偏差値に一喜一憂している暇があれば、間違えた問題を徹底的に見直そう
6. 何も見ないで解くステップをしない
問題を解くときに、模範解答が手放せない人もたくさんいます。
数学にそれなりの勉強時間をとっているけれど、単なる「模写」なので一向に力がつきません。
それってすごくもったいないことですよね。
数学には自分で考え、手を動かして、アウトプットする力が必要です。
解法を見て解くのは「インプット」、自力で解いてはじめて「アウトプット」です。
道しるべがなくて不安な気持ちはわかりますが、その不安がなくなるくらいアウトプットを特訓しましょう!
解法が身についたかは、何も見ずに自力で解いてはじめてわかること。
インプット以上にアウトプットを重視しよう!
7. 授業用ノートと演習用ノートを分けない
別の記事で説明したように、学校や塾の授業は『わかる』ための工程、自習で問題を解くのは『できる』ための工程です。
授業用ノートは、自分が『わかる』のに苦労した点をあとから見直すためのもの。
演習用ノートは、自分の『できなかった』を『できる』に変えていくためのものです。
両者が混ざっていると、見直す気なんか失せてしまいます。
また、そもそも授業用ノートを見直さないという人もいますが、だとしたら単なる握力の無駄遣いです。
見直す気がないなら授業中は話を聞くのに集中して、その場で理解することに努めましょう。
ただし、演習用ノートの見直し、解き直しはマストです。
「解きっぱなし」は禁物ですよ!
授業で『わかる』工程と、演習で『できる』工程では、異なる見直しアプローチが必要。
ノートを使い分けて、復習を効率化しよう
8. だらだら長時間勉強する
著者がいちばん「ヤバい…」と思うダメ習慣がこれです。
同じ教科を、とりわけ数学を、長時間ぶっ続けで勉強するのは絶対にオススメしません。
数学は、その性質上「タイムアタック」的要素の強い教科です。
ふだんから自分の出せる最高速度で問題を解いていないと、テスト本番では間違いなく時間が足りなくなります。
計算スピードを上げるには、時間制限をつけて鍛えていくしかありません。
そうするには、短時間集中型の勉強方法が必要です。
数学を続けて勉強するのは 2 時間程度までにして、ほかの科目とローテーションしていきましょう。
こまめな休憩も忘れないでくださいね!
試験本番はせいぜい 1〜2 時間。
ふだんからそれくらいの時間で、集中力・瞬発力を発揮する習慣を身につけよう
数学が苦手な人の【考え方】
次に、数学が苦手な人の考え方を 7 つリストアップしました。
自分に当てはまるものがあれば、早いうちに改善しましょう!
1. 『わかる』=『できる』と勘違いしている
「参考書を読んで理解できたのに、いざ解いてみたらできなかった」という経験は、ほとんどの人にあるのではないでしょうか。
物事を『わかる』のと『できる』のでは、天と地ほどの差があります。
数学で結果を出すには、『できる』ための努力に時間を使いましょう。
2. 「長時間勉強=正義」と勘違いしている
かけた時間の長さと、そこから生み出せる成果は必ずしも比例しません。
本番では 5 分で解かないといけない問題を、10 分も 15 分もかけて解くのは実践的ではないのです。
「今日は数学を 3 時間も勉強した」と、時間量で満足するのはやめてください。
これからは、「昨日は解くのに 30 分かかった問題が、今日は 15 分で解けた」など、質とスピードを重視するようにしましょう。
3. 授業中、板書をきれいに写すのが最優先
『できる』ことに時間を費やそうと思ったら、『わかる』までの時間をいかに少なくできるかがカギになります。
学校や塾の授業で「模写」に集中するあまり、肝心の理解がおろそかになっていませんか?
授業で説明されることの 7〜8 割は、教科書や参考書にもう書いてあります。
数学が苦手で、わかるまでに時間がかかるという自覚がある人は、授業を「つまづきポイントを探す場所」ととらえましょう。
よく理解できなかった部分を押さえておけば、先生や友達に聞いたり、自分で調べたりできるはずです。
授業中の自分の理解度に敏感になって、『わかる』までの時間を縮めましょう。
4. わからないと先に進めない or そこであきらめる
宿題を出されると、「この問題がどうしてもわからなくて」と、途中までしかやってこない子が必ずいます。
何か 1 つでも引っかかると、延々とそこに留まったり、あきらめたりしてしまうのです。
これが癖になると、テスト本番でもわからない問題に引っかかって時間を浪費します。
理解度が 30 でも、30 なりにとれる点数をもぎ取りましょう。
どうしてもできない問題はいさぎよく飛ばして、できるところに手をつけるべきです。
ここでもやはり、時間制限を設けるのが得策です。
ふだんの勉強でも、「使う時間は一問当たり 30 分まで」など、自分で制限時間を設定しましょう。
5. ケアレスミスを「惜しかった」「次は大丈夫」と思っている
「解答の流れは合っているけど、ここで計算ミスしてるね」
そう言うと、あんまり悔しそうにしない、なんなら流れは合ってたんだと、むしろ誇らしげな顔を見せる人がたまにいます。
流れがわかっているんだから、次はできるはずじゃないか、と。
この考え方はとても危険です。
ケアレスミスは、いちばんやってはいけないミスです。
解き方がわかっている必勝の問題を落とすのは、テストや受験では大きな痛手ですよね。
たいてい、ケアレスミスの犯し方にはパターンがあります。
自分がどんなミスをしやすいのか、データを集めて、分析しましょう。
そうすれば、同じようなつまらないミスを犯す可能性をグッと縮められます。
6. 「自分は被害者だ」と思っている
「学校の先生の教え方が悪すぎるからこうなった」「親も数学できないらしいんで」
こうして被害者ヅラしているうちは、いい結果は出せないでしょう。
現実問題として、教員の質が悪い場合もよくありますし、運悪く当たってしまった人には深く同情します。
けれど、自分の状況を変えるには、自分が行動するしかありません。
学校の先生があてにならないなら、自分に合った参考書を探す、ほかの信頼できる指導者を見つける、友達に聞くなど、いくらでもやりようがあります。
このサイトも、数学を『わかる』手助けになればとの気持ちで作成しています。
ぜひ、あなたに合った助けを借りて、現状を乗り越えてください。
7. 「自分は頭が悪い」「どうせ自分にはできない」と思っている
これまで偏差値 30 前後の生徒ばかりを指導してきましたが、彼ら・彼女らと接していて、「この子は頭が悪いな」と思ったことは一度もありません。
覚えるまでの時間に多少の差はあっても、どんな説明をしてもまったく理解できないなんてことはなかったからです。
わからないことがあっても、助けを借りれば絶対にわかるようになります。
一回でわかる必要も、自分一人でわかる必要も、まったくありません。
周りの人と比べて落ち込むのもキリがないのでやめましょう。
仮に何かのテストで最下位だった、偏差値が低かったからって、うん十億人が生きている地球でその事実にどれほどの重要性があるんでしょうか?
むしろ、そうした思い出がいつか武勇伝になるかもしれませんよ。
人間は言霊でできていると、私はつくづく思います。
私自身、自分のことを「頭がいい」とは思いませんが、子どものころから「本気でやればたいていのことはできるだろう」という謎の自信だけはもっていました。
「自分は頭が悪い」「自分はできない」と言っていると、本当にそう信じて、そういう自分を作っていきます。
どうせなら、なりたい自分を言葉にしていきましょう!
「数学が苦手」なのは、ダメ習慣のせい
上記の「数学が苦手な人の特徴」はすべて、筆者の個別指導塾での指導経験に基づくものです。
いろいろなタイプの「数学が苦手」な生徒を指導しているなかで、
- 計算ミスが多い理由
- 解法がわかっているのに間違える理由
- テスト中に時間が足りなくなる理由
が、本人の資質ではなく、ダメ習慣の積み重ねによるものだと気づきました。
今、数学が苦手なあなたも、日々のちょっとした行動や考え方のせいで、自分の可能性を狭めているのかもしれません。
自分にも当てはまるダメ習慣があれば、意識的に改善していってくださいね!