この記事では、「一次方程式」の意味や解き方をできるだけわかりやすく、簡単に解説していきます。
分数を含む一次方程式の解き方や、一次方程式を利用する文章題の解き方も詳しく説明していきますので、この記事を通してぜひマスターしてくださいね!
目次
一次方程式とは?
一次方程式とは、一次式を含む方程式のことです。
\(\color{red}{ax + b = 0}\)(\(a\) と \(b\) は定数、\(a ≠ 0\))のように、ある等式が \(x\) についての一次式となるとき、「\(x\) の一次方程式」といいます。
一次方程式 \(ax + b = 0\) を成り立たせる \(x\) の値のことを「一次方程式の解」といい、その解を求めることを「一次方程式を解く」といいます。
一次方程式と等式の性質
一次方程式を解くときには、次の等式の性質を利用します。
- \(\color{red}{A = B}\) のとき \(\color{red}{A + C = B + C}\)
(等式の両辺に同じ数を加えても、等式は成り立つ) - \(\color{red}{A = B}\) のとき \(\color{red}{A − C = B − C}\)
(等式の両辺から同じ数を引いても、等式は成り立つ) - \(\color{red}{A = B}\) のとき \(\color{red}{AC = BC}\)
(等式の両辺に同じ数をかけても、等式は成り立つ) - \(\color{red}{A = B}\) のとき \(\color{red}{\displaystyle \frac{A}{C} = \displaystyle \frac{B}{C}}\)
(等式の両辺を \(0\) でない同じ数で割っても、等式は成り立つ)
一次方程式 \(x − 3 = 5\) を解くときに、左辺の \(− 3\) の符号を変えて \(+ 3\) として右辺に移項し、\(x = 5 + 3\) としますよね。
実は、ここで等式の性質を利用しているのです。
等式 \(x − 3 = 5\) の両辺に \(3\) を加えると
\(x − 3 \color{salmon}{ + 3} = 5 \color{salmon}{ + 3}\)
よって
\(x = 5 + 3\)
結果的に、左辺にあった \(− 3\) の符号を入れ替えて右辺に移したことになります。
実際に解くときには単純に「移項」という操作をするだけなのですが、実は等式の性質を使っていることをしっかりと覚えておきましょう。
複雑な一次方程式でも、いくつかの等式の性質を使うと解くことができます。
一次方程式の解き方
ここでは、一般的な一次方程式の解き方をいくつかのステップに分けて解説していきます。
一次方程式にかっこがついているときには、展開してかっこを外します。
また、かっこを外した後で同類項があればまとめておきます。
\(\underline{\underline{2(5x − 4)}} − 2x = 3x + 7\)
\(\color{salmon}{10x − 8} − 2x = 3x + 7\)
\(8x − 8 = 3x + 7\)
移項を利用して、\(x\) の項は左辺に、定数項は右辺にまとめます。
移項するときに符号を変え忘れないようにしましょう。
\(8x − 8 = 3x + 7\)
\(8x \color{salmon}{− 3x} = 7 \color{salmon}{ + 8}\)
\(5x = 15\)
あとは「\(x = \) ~」という形を作れば、それが一次方程式の答えです。
\(x\) の係数を \(1\) にするために、両辺を \(x\) の係数で割ります。
\(5x = 15\)
\(\displaystyle \frac{5x}{\color{salmon}{5}} = \displaystyle \frac{15}{\color{salmon}{5}}\)
\(\color{red}{x = 3}\)
ということで、答えは \(x = 3\) です。
一次方程式に「分数」が含まれる時には、両辺に分母の最小公倍数をかけて分数を含まない形にします。
一次方程式に「小数」が含まれる時には、両辺に \(10\) や \(100\) などをかけて小数を含まない形にします。
ポイントは、両辺に全く同じ操作をすることです。
一方だけに何かをかけたり割ったりすると、全く別物の式を勝手に作ったことになるのでNGです。
以上が、一次方程式の解き方でした!
一次方程式の計算問題
一次方程式を解く計算問題に挑戦しましょう。
計算問題①「基本の一次方程式」
かっこがついていますが、基本的な一次方程式の問題です。
移項するときに符号を変え忘れないようにしましょう。
\(3(x − 5) = 9 − x\)
\(3x − 15 = 9 − x\)
\(3x + x = 9 + 15\)
\(4x = 24\)
\(x = 6\)
答え: \(x = 6\)
計算問題②「分数を含む一次方程式」
分数を含む一次方程式の練習問題です。
両辺に分母の最小公倍数をかけて、分数を含まない形にします。
最小公倍数
共通の倍数のうち、最小のもの。
\(\displaystyle \frac{x}{3} − 5 = \displaystyle \frac{2x − 6}{4}\)
両辺に \(12\) をかけて、
\(12 \left(\displaystyle \frac{x}{3} − 5\right) = 12 \cdot \displaystyle \frac{2x − 6}{4}\)
\(4x − 60 = 3(2x − 6)\)
\(4x − 60 = 6x − 18\)
\(4x − 6x = − 18 + 60\)
\(− 2x = 42\)
\(x = − 21\)
答え: \(x = − 21\)
一次方程式の利用問題
最後に、一次方程式の利用問題(文章題)にチャレンジしてみましょう。
文章をよく読み、求めるものは何か、また、何を \(x\) にして方程式をつくると良いかを考えましょう。
利用問題①「個数と代金の文章題」
りんごを \(x\) 個買ったことにすると、みかんは \((15 − x)\) 個買ったことになります。
これらの個数の情報をもとに代金に関する一次方程式を立てましょう。
りんごを \(x\) 個買ったとすると、
\(210x + 130(15 − x) = 2510\)
両辺を \(10\) で割って、
\(21x + 13(15 − x) = 251\)
\(21x + 195 − 13x = 251\)
\(21x − 13x = 251 − 195\)
\(8x = 56\)
\(x = 7\)
みかんの個数は、
\(15 − x = 8\)
(確認)
\(210 \cdot 7 + 130 \cdot 8 \\= 1470 + 1040 \\= 2510\)
より、\(x = 7\) はこの問題に適する。
答え: りんご \(7\) 個 みかん \(8\) 個
利用問題②「速さ・時間・距離(道のり)の文章題」
A さんは、自宅から \(3 \ \mathrm{km}\) 離れている公園まで行こうと考えて自宅を出発しました。最初は時速 \(6 \ \mathrm{km}\) で歩き始めたのですが、途中から時速 \(10 \ \mathrm{km}\) で走ったところ、公園に着くまでに \(26\) 分間かかりました。
A さんが歩いた距離を求めなさい。
A さんが歩いた距離を \(x \ \mathrm{km}\) としてみましょう。
速さは時速で表されていますから、 \(26\) 分は \(\displaystyle \frac{26}{60} \ \mathrm{h}\)(時間)と表す必要があります。
歩いた速さと走った速さがわかっているので、\(x\) を使って時間に関する一次方程式が立てられます。
A さんが歩いた距離を \(x \ \mathrm{km}\) とすると、
走った距離は \((3 − x) \ \mathrm{km}\)
時速 \(6 \ \mathrm{km}\) で歩いた時間は、
\(x \ \mathrm{(km)} \div 6 \ \mathrm{(km/h)} = \displaystyle \frac{x}{6} \ \mathrm{(h)}\)
時速 \(10\ \mathrm{km}\) で走った時間は、
\((3 − x) \ \mathrm{(km)} \div 10\ \mathrm{(km/h)} = \displaystyle \frac{3 − x}{10} \ \mathrm{(h)}\)
公園に着くまでにかかった時間は \(\displaystyle \frac{26}{60}\ \mathrm{h}\) なので、
\(\displaystyle \frac{x}{6} + \displaystyle \frac{3 − x}{10} = \displaystyle \frac{26}{60}\)
両辺に分母の最小公倍数 \(60\) をかけると
\(10x + 6(3 − x) = 26\)
かっこをはずして式を整理すると
\(10x + 18 − 6x = 26\)
\(10x − 6x = 26 − 18\)
\(4x = 8\)
\(x = 2 \ \mathrm{(km)}\)
よって、走った距離は \(3 − 2 = 1 \ \mathrm{(km)}\)
(確認)
歩いた時間は \(\displaystyle \frac{2}{6} \ \mathrm{h}\)、走った時間は \(\displaystyle \frac{1}{10} \ \mathrm{h}\) より、
\(\displaystyle \frac{2}{6} + \displaystyle \frac{1}{10} = \frac{20 + 6}{60} = \frac{26}{60}\)
となり、\(x = 2\) はこの問題に適する。
答え: 歩いた距離は \(2 \ \mathrm{km}\)
利用問題③「人数と部屋数(過不足)の文章題」
部屋の数を \(x\) 部屋として、人数に関する一次方程式を立てましょう。
部屋の数を \(x\) 部屋とすると、
\(1\) 部屋に入れる人数を \(3\) 人にすると \(7\) 人が入れなくなることから、
旅行客の人数は
\(3x + 7\)(人)
と表せる。
また、\(1\) 部屋に入れる人数を \(4\) 人にすると \(3\) 人の部屋が \(3\) 部屋できるということは、 \(4\) 人の部屋が \((x − 3)\) 部屋、 \(3\) 人の部屋が \(3\) 部屋になるので、旅行客の人数は
\(4(x − 3) + 3 \times 3\)(人)
とも表せる。
よって、
\(3x + 7 = 4(x − 3) + 3 \times 3\)
\(3x + 7 = 4x − 12 + 9\)
\(3x + 7 = 4x − 3\)
\(3x − 4x = − 3 − 7\)
\(− x = − 10\)
\(x = 10\)
よって、部屋の数は \(10\) 部屋。
このとき、旅行客の人数は
\(3x + 7 = 37\)
より、\(37\) 人。
(確認)
旅行客 \(37\) 人を \(10\) 部屋に \(3\) 人ずつ入れると \(7\) 人入れなくなる。
(\(10 \times 3 = 30\) 人)
また、 \(10\) 部屋に \(4\) 人ずつ入れると \(3\) 人足りないため、\(3\) 部屋は \(3\) 人ずつになる。
(\(40 − 37 = 3\) 人)
よって、\(x = 10\) はこの問題に適する。
答え:
部屋の数は \(10\) 部屋、旅行客の人数は \(37\) 人
以上で利用問題も終わりです。
一次方程式はほかの単元でもちょこちょこ顔を出すので、解き方を知らないと困ってしまいますね。
練習・復習を重ねて、ぜひ一次方程式の解き方をマスターしてくださいね!