この記事では、「最小公倍数」の意味や求め方をできるだけわかりやすく解説していきます。
最大公約数との関係や応用問題なども紹介していきますので、この記事を通してぜひマスターしてくださいね。
目次
最小公倍数とは?
最小公倍数とは、\(2\) つ以上の自然数の公倍数(= 共通の倍数)の中で最小のものです。
例えば、\(32\) と \(24\) の最小公倍数を考えてみましょう。
- \(32\) の倍数
\(32\), \(64\), \(\underline{96}\), \(128\), \(160\), \(\underline{192}\)… - \(24\) の倍数
\(24\), \(48\), \(72\), \(\underline{96}\), \(120\), \(144\), \(168\), \(\underline{192}\)…
\(32\) と \(24\) の公倍数(共通の倍数)は \(\underline{96}, \underline{192}…\) です。
これらのうち最小のもの(最小公倍数)は \(\color{red}{96}\) となります。
最小公倍数の求め方
それぞれの倍数を並べていけばいずれ最小公倍数が見つかりますが、毎回しらみつぶしに調べるのは大変です。
最小公倍数を求めるには、「すだれ算」と呼ばれるL字の筆算を用いましょう。
\(2\) つ以上の自然数を同じ数で同時に割り算し、それ以上割れなくなったら割り算を終了します。
そして、L字の部分をかけ算すると最小公倍数が求められます。
L字の筆算は、\(3\) つ \(4\) つと複数の自然数の最小公倍数を求める場合でも気軽に計算できて便利です。
最小公倍数と最大公約数の定理
最小公倍数と最大公約数には次のような関係があります。
\(2\) つの自然数 \(A, B\) の最大公約数が \(G\) であるとき、
\(A = Ga, B = Gb\) (\(a, b\) は互いに素な自然数) と表せ、
\(A, B\) の最小公倍数 \(L\) は
\begin{align}\color{red}{L = Gab}\end{align}
と表すことができる。
この定理は、最小公倍数は最大公約数で表現できることを示しています。
また、上記の定理を変形した次の式も把握しておきましょう。
\begin{align}L = Gab = \displaystyle \frac{Ga \times Gb}{G} = \displaystyle \frac{AB}{G}\end{align}
よって
\begin{align}\color{red}{LG = AB}\end{align}
「\(2\) 数の積」と「最大公約数」さえわかれば、わざわざL字の筆算をしなくても最小公倍数を求められるので、ぜひ覚えておいてくださいね。
最小公倍数の計算問題
それでは、実際に問題を解きながら最小公倍数の求め方を練習していきましょう。
計算問題①「2 つの数の最小公倍数」
L字の筆算で求めてみましょう。
よって \(96\) と \(72\) の最小公倍数は
\(2 \times 2 \times 2 \times 3 \times 4 \times 3\)
\(= 288\)
答え: \(288\)
計算問題②「3 つの数の最小公倍数」
L字の筆算なら、数が \(3\) つに増えても対応できますね。
よって \(64\), \(144\), \(176\) の最小公倍数は
\(2 \times 2 \times 2 \times 2 \times 4 \times 9 \times 11\)
\(= 6336\)
答え: \(6336\)
最小公倍数の応用問題
ここまでで、最小公倍数の求め方は理解できたかと思います。
最後に、少しだけ難易度の高い問題にチャレンジしてみましょう。
応用問題「2 数の積と最大公約数から求める」
積が \(3300\)、最大公約数が \(10\) であるような \(2\) つの自然数があるとき、
(1) 最小公倍数を求めよ。
(2) \(2\) つの自然数を求めよ。
\(\bf{2}\) 数の積と最大公約数がわかっている場合、先ほど確認した定理を利用できます。
(1)
\(2\) つの自然数を \(A, B\)(\(A > B\))、
最大公約数を \(G\)、最小公倍数を \(L\) とおく。
題意より、
\(AB = 3300\)
\(G = 10\)
\(LG = AB\) より、
\(L = \displaystyle \frac{AB}{G} = \displaystyle \frac{3300}{10} = 330\)
よって
\(L = 330\)
答え: 最小公倍数は \(330\)
(2)
\(A = Ga\)
\(B = Gb\)
(\(a\) と \(b\) は互いに素な自然数)
とおける。
なお、\(A > B\) より \(a > b\)
\(L = Gab\) より、
\(330 = 10ab\)
\(ab = 33\)
\(a\)、\(b\) は互いに素であるから、
\(a > b\) および \(ab = 33\) を満たす自然数 \((a, b)\) の組は
\((a, b) = (33, 1), (11, 3)\)
\((A, B) = (10a, 10b)\) より、
\((A, B) \\= (10 \times 33, 10 \times 1), (10 \times 11, 10 \times 3)\\= (330, 10), (110, 30)\)
答え: \(330\) と \(10\)、\(110\) と \(30\)
以上で応用問題も終わりです!
最小公倍数は、最大公約数とセットで入試問題に出てくることもあります。
練習問題や応用問題を繰り返し解いて、最小公倍数の求め方をマスターしてくださいね。
8と12と16の最小公倍数をL字の筆算で出すと96になると思うのですが、48が正解ですよね?なぜそうなりますか?どなたか教えてください。
L字の筆算では、「2つ以上の公約数がある限り」割り続けます。そうしないと、最小公倍数を作る際に素因数を重複して数えてしまうからです。
ご質問の3つの数の場合、\((2,3,4)\)まで3つ共通の公約数で割れたのち、\(2\)と\(4\)の公約数である\(2\)でもう一度割る必要があります(このとき、割れない\(3\)はそのまま下ろします)。
\(\begin{array}{rr}&2) \color{white}{.}8 \color{white}{.}12 \color{white}{.}16 \\&2) \color{white}{.}4 \color{white}{..}6 \color{white}{..}8 \\&2) \color{white}{.}2 \color{white}{..}3 \color{white}{..}4 \\ \hline \\&\color{white}{..} \color{white}{..}1 \color{white}{..}3 \color{white}{..}2 \end{array}\)
これで、L字部分を掛け合わせると \(2×2×2×1×3×2=48\) となります。
素因数別に並べるとよりわかりやすくなります。
\(48=2×2×2×2×3\)
以下の通り、\(48\) は、\(8\), \(12\), \(16\) の最小公倍数(共通の倍数であり、下線部以外の部分に素因数の無駄がない)ですね。
\(8\): \(\underline{2\times2\times2}\times2\times3=48\)
\(12\): \(\underline{2\times2}\times2\times2 \, \underline{\times3}=48\)
\(16\): \(\underline{2\times2\times2\times2}\times3=48\)
L字の筆算を一歩手前でやめて、\(96\)としてしまうと、3つ全てに「\(\color{salmon}{2}\)」の重複が出てしまい、「最小」公倍数とは呼べません。
\(8\): \(\underline{2\times2\times2}\color{salmon}{\times2}\times2\times3=96\)
\(12\): \(\underline{2\times2}\color{salmon}{\times2}\times2\times2 \underline{\times3}=96\)
\(16\): \(\underline{2\times2\times2\times2}\color{salmon}{\times2}\times3=96\)
よく分かりました‼︎
この度はコメントいただきありがとうございます。
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