この記事では「一次関数のグラフ」の書き方について、できるだけわかりやすく解説していきます。
傾きが分数の場合や変域がある場合などのグラフも簡単に書けるようになるので、ぜひマスターしてくださいね。
目次
一次関数のグラフの書き方
ここでは、一次関数の式からグラフを書く方法を「① 方眼紙の場合」「② フリーハンドの場合」に分けて説明していきます。
同じ例題で実際のステップを確認しましょう。
傾きが \(1\)、切片が \(2\) の一次関数ですね。
傾きや切片がわからない場合は、先にこちらの記事を読んでおきましょう!
一次関数とは?式の求め方や一次関数の利用問題の解き方
① 方眼紙の場合
まずは中学でおなじみの、方眼紙上に一次関数のグラフを書く手順を説明します。
一次関数は必ず直線になるので、\(2\) 点の座標さえわかればグラフを書くことができます。
切片が整数であれば、ここを起点にするのがいちばん楽ですね。
\(y = x + 2\) なので、切片の座標は \((0, 2)\) とわかります。
切片が整数でない場合は、\(x\), \(y\) がともに整数である点を代入で求めます。
詳しくは「練習問題②」を確認してください。
傾きを頼りに、\(x\), \(y\) 座標がともに整数のもう \(1\) 点を打ちます。
この問題では傾きが \(1\) なので、 切片 \((0, 2)\) から \(x\) 軸方向に \(1\), \(y\) 軸方向に \(1\) 進んだ点 \((1, 3)\) を通ることがわかります。
傾きを読み取るときは、\(x\) 軸方向に「分母の数(なければ \(1\))」、\(y\) 軸方向に「分子の数」進むと考えます。
最後に \(2\) 点を通る直線を引けば、一次関数のグラフの完成です。
直線は、座標平面の端から端まで引いてください。
座標平面の途中で終わっていると、範囲の限定された(= 定義域のある)グラフだと勘違いされてしまいます。
② フリーハンドの場合
高校生になると、フリーハンドでグラフを書くことが増えていきます。
一次関数のグラフの書き方も押さえておきましょう。
まずは、グラフを書くための準備をしましょう。
\(x\) 軸、\(y\) 軸を書き、原点 \(\mathrm{O}\) を記入します。
一次関数は必ず直線になるので、\(2\) 点の座標さえわかればグラフを書くことができます。
このとき、切片ともう \(1\) 点の座標を調べるのが最もスムーズです!
\(y = x + 2\) なので、切片の座標は \((0, 2)\) とわかります。
切片の点が打てたので、グラフが通るもう \(1\) つの点を探しましょう。
このとき選ぶ点はどこでもいいのですが、\((x, y)\) ともに整数となる座標がオススメです。
座標を求めるときは、適当な数字を \(y\) か \(x\) に当てはめて求めます。
ここでは、\(y\) に \(0\) を入れてみます。
\(0 = x + 2\)
\(x = − 2\)
このグラフは \((−2, 0)\) を通ることがわかったので、点を打ちましょう。
このとき、\(x\) 軸、\(y\) 軸上に数値を書くのを忘れないようにしましょう。
数値を書いていないと、不正解とみなされることがあります!
最後に \(2\) 点を通る直線を引けば、一次関数のグラフの完成です。
直線は、座標平面の端から端まで引いてください。
座標平面の途中で終わっていると、範囲の限定された(= 定義域のある)グラフだと勘違いされてしまいます。
一次関数のグラフの練習問題
傾きや切片が複雑な値になっても、グラフの書き方は同じです。
実際に練習してみましょう!
練習問題①「傾きが分数のグラフを書く」
一次関数 \(y = \displaystyle \frac{3}{2} x − 1\) のグラフを書け。
傾きが分数のときは、切片以外のもう \(1\) 点の座標をなるべく整数にするために、式を通分して考えるのがポイントです。
ここではかなりじっくりと解答を示しますが、実際の答案ではここまで詳しく書く必要はありません。
\(y = \displaystyle \frac{3}{2} x − 1\) において、
切片の座標は \((0, −1)\)
(★ 式を通分し、分母で割り切れる数が分子になるような \(x\) を考える)
\(y = \displaystyle \frac{3}{2} x − 1 = \displaystyle \frac{3x − 2}{2}\) より、
\(x = 2\) のとき
\(\begin{align}y &= \displaystyle \frac{3 \cdot 2 − 2}{2} \\&= \displaystyle \frac{6 − 2}{2} \\&= \displaystyle \frac{4}{2} \\&= 2\end{align}\)
よって \(y = \displaystyle \frac{3}{2} x − 1\) は点 \((2, 2)\) を通る。
答え:
練習問題②「傾きと切片が分数のグラフを書く(方眼紙)」
次の方眼紙上に、一次関数 \(y = −\displaystyle \frac{5}{3}x + \displaystyle \frac{4}{3}\) のグラフを書け。
傾きや切片が分数だと、方眼紙上で目盛りの取り方に悩みますよね。
そんなときは式を通分して、\(x\), \(y\) ともに整数の点を \(1\) つ探します。
そこから、傾きを頼りにもう \(1\) 点をとりましょう。この問題では傾きが \(−\displaystyle \frac{5}{3}\) なので、\(x\) 軸方向に \(3\) 進むと \(y\) 軸方向に \(−5\) 進むグラフですね。
\(y = −\displaystyle \frac{5}{3}x + \displaystyle \frac{4}{3}\) において、
切片の座標は \(\left(0, \displaystyle \frac{4}{3}\right)\)
\(y = −\displaystyle \frac{5}{3}x + \displaystyle \frac{4}{3} = \displaystyle \frac{−5x + 4}{3}\) より、
\(x = 2\) のとき
\(\begin{align}y &= \displaystyle \frac{−5 \cdot 2 + 4}{3} \\&= \displaystyle \frac{−10 + 4}{3} \\&= −\displaystyle \frac{6}{3} \\&= −2\end{align}\)
よって \(y = −\displaystyle \frac{5}{3}x + \displaystyle \frac{4}{3}\) は点 \((2, −2)\) を通る。
傾きが \(−\displaystyle \frac{5}{3}\) であるから、点 \((−1, 3)\) も通る。
答え:
練習問題③「変域のあるグラフを書く」
一次関数 \(y = \displaystyle \frac{5}{3} x − \displaystyle \frac{2}{3} (− 2 \leq x \leq 4)\) のグラフを書け。
変域のあるグラフを書くときは、切片とグラフの端となる座標を必ず明記します(一方の端がない場合もあり)。
この問題ではグラフの定義域(\(x\) のとりうる値の範囲)が与えられているので、\(x\) の両端の値における \(y\) の値を調べればよいですね。
\(y = \displaystyle \frac{5}{3}x − \displaystyle \frac{2}{3} (− 2 \leq x \leq 4)\) において、
切片の座標は \(\left(0, − \displaystyle \frac{2}{3}\right)\)
\(x = − 2\) のとき
\(\begin{align}y &= \displaystyle \frac{5}{3} \cdot (− 2) − \displaystyle \frac{2}{3} \\&= − \displaystyle \frac{10}{3} − \displaystyle \frac{2}{3} \\&= − \displaystyle \frac{12}{3} \\&= − 4\end{align}\)
\(x = 4\) のとき
\(\begin{align}y &= \displaystyle \frac{5}{3} \cdot 4 − \displaystyle \frac{2}{3} \\&= \displaystyle \frac{20}{3} − \displaystyle \frac{2}{3} \\&= − \displaystyle \frac{18}{3} \\&= 6\end{align}\)
よって、グラフの両端の座標は \((−2, −4)\), \((4, 6)\)
答え:
以上で、すべての問題は終わりです!
一次関数は、中学でつまづいてしまったという人も多いのではないでしょうか。
高校の「関数の知識」の土台となる部分なので、グラフの書き方も含め、しっかり理解しておきましょう!