この記事では、「一次関数」の定義や問題の解き方などをできるだけわかりやすく解説していきます。
また、変化の割合、傾き、切片などの用語の意味も紹介していきますので、この記事を通してぜひマスターしてくださいね。
目次
一次関数とは?
一次関数とは、\(y\) が \(x\) の一次式で表せる関数のことです。
一般的に、「\(\color{red}{y = ax + b}\)(\(a\), \(b\) は任意の定数)」の形で表されます。
一次関数のグラフは必ず直線になります。
なお、「一次関数のグラフの書き方」については以下の記事で詳しく説明しています。
一次関数のグラフの書き方を超わかりやすく解説!
一次関数の傾き
傾きとは、文字通り「直線が(\(x\) 軸を基準に)どれだけ傾いているか」を指します。
一次関数は直線なので傾きが一定で、必ず \(a\) の値になります。
\(a\) が正の場合は右肩上がりの直線、負の場合は右肩下がりの直線になります。
一次関数の変化の割合
変化の割合とは、「\(x\) の変化量に対する \(y\) の変化量の比」のことです。
ある関数において、\(x\) の値が \(\alpha\) だけ増加すると \(y\) の値が \(\beta\) だけ増加するとき、変化の割合は
\begin{align}\color{red}{(\text{変化の割合}) = \displaystyle \frac{(y\, \text{の変化量})\, \, \, \,}{(x\, \text{の変化量})\, \, \, \,} = \frac{\beta}{\alpha}}\end{align}
一次関数は傾きが一定な直線なので、変化の割合は傾き \(a\) に一致します。
一次関数 \(y = ax + b\) の変化の割合は、
\begin{align}\color{red}{(\text{変化の割合}) = (\text{傾き}) = a}\end{align}
一次関数の切片(せっぺん)
切片とは、「グラフと \(y\) 軸との交点の \(y\) 座標」です。
\(x\) 座標が \(0\) なので、切片(\(y\) 座標)は必ず \(b\) の値になります。
一次関数の式の求め方
ここでは、一次関数の式の求め方を問題のタイプ別に説明していきます。
求め方① 傾きと切片から求める
問題文やグラフに隠れている傾き \(a\) と切片 \(b\) を読み取る問題です。
例題① 問題文から読み取る場合
直線 \(y = 5 x\) に平行で、切片が \(3\) の直線の式を求めよ。
問題文から、傾きの情報を読み取ります。
傾きが \(5\) の直線に平行であるから、求める直線の傾き \(a\) は
\(a = 5\)
また、切片 \(b = 3\) より
求める直線の式は \(y = 5x + 3\)
答え: \(y = 5x + 3\)
例題② グラフから読み取る場合
次の直線の式を求めよ。
グラフから読み取る場合は、「切片」→「傾き」の順に考えるのが簡単です。
傾きを求める際は、切片と適当なもう \(1\) 点の間の変化の割合を調べましょう。
グラフから、切片 \(b = 3\)
点 \((0, 3)\), \((1, 5)\) を通るので、傾き \(a\) は
\(a = \displaystyle \frac{5 − 3}{1 − 0} = \displaystyle \frac{2}{1} = 2\)
よって、求める直線の式は \(y = 2x + 3\)
答え: \(y = 2x + 3\)
求め方② 傾き or 切片と、通る 1 点から求める
傾きまたは切片と、通る \(1\) 点の座標が与えられている問題です。
傾きが \(− \displaystyle \frac{3}{2}\) で、点 \((− 4, 1)\) を通る直線の式を求めよ。
傾き \(a\) の値が与えられているので、あとは切片 \(b\) を求めるだけですね。
傾きを決めた一次関数の式を作り、通る点の座標を代入しましょう。
傾きが \(− \displaystyle \frac{3}{2}\) であるから、求める直線の式を
\(y = − \displaystyle \frac{3}{2}x + b\) とおく。
これが点 \((− 4, 1)\) を通るから、
\(1 = − \displaystyle \frac{3}{2} \cdot (− 4) + b\)
\(1 = 6 + b\)
\(b = − 5\)
答え: \(y = − \displaystyle \frac{3}{2} x − 5\)
求め方③ 通る 2 点から求める
直線が通る \(2\) 点の座標がヒントの問題です。
傾きも切片もわからないので、求める式を 「\(y = ax + b\)」 とおき、通る \(2\) 点の座標を代入しましょう。
あとは、\(a\), \(b\) の連立方程式を解くだけです。
求める直線の式を \(y = ax + b\) とおく。
\(x = 3\), \(y = 5\) を代入して、
\(5 = 3a + b\) …①
\(x = 6\), \(y = 8\) を代入して、
\(8 = 6a + b\) …②
② − ①より、
\(\begin{array}{rr} 8 =& 6a + b \\ −) 5 =& 3a + b \\ \hline 3 =& 3a \end{array}\)
よって、\(a = 1\)
\(a = 1\) を①に代入して、
\(5 = 3 \cdot 1 + b\)
\(b = 2\)
答え: \(\color{red}{y = x + 2}\)
いかがだったでしょうか。
上記の \(3\) タイプを理解しておけば、一次関数を求める問題は必ず解けます!
しっかり理解しておきましょう。
一次関数の計算問題
では、さっそく一次関数の簡単な問題を解いてみましょう。
計算問題①「直線の式とグラフを求める」
(1) 点 \((2 , 5)\) を通り、傾きが \(3\) の直線の式を求めよ。
(2) (1) で求めた式を、グラフに書きなさい。
傾き \(a\) と、直線が通る \(1\) 点の座標がヒントの問題ですね。
(1)
傾きが \(3\) の直線なので、
求める式を \(y = 3x + b\) とおく。
点 \((2 , 5)\) を通るので、\(x = 2, y = 5\) を代入して、
\(5 = 3 \cdot 2 + b\)
\(5 = 6 + b\)
\(b = 5 − 6 = −1\)
よって \(y = 3x − 1\)
答え: \(y = 3x − 1\)
(2)
答え:
計算問題②「変域から一次関数を求める」
(1) \(x\) の変域が \(− 2 \leq x \leq 4\)、\(y\) の変域が \(− 4 \leq y \leq 6\) のとき、傾きが正であることがわかっている場合、直線を表す式を求めよ。
(2) (1) で求めた式を、グラフに書きなさい。
変域とは、\(x\) や \(y\) のような「変数がとれる値の範囲」のことです。
\(x\) と \(y\) の変域が与えられているので、直線の両端の \(2\) 点がこの問題のヒントとなります。
求める直線を \(y = ax + b\) とおく。
傾きが正であるから、求める直線の両端の座標は \((− 2 , − 4)\) と \((4 , 6)\) である。
\(y = ax + b\) にそれぞれの座標を代入すると、
\(\left\{\begin{array}{l} − 4 = − 2a + b …①\\ 6 = 4a + b …②\end{array}\right.\)
② − ①より、
\(\begin{array}{rr} 6 =& 4a + b \\ −) − 4 =& − 2a + b \\ \hline 10 =& 6a \end{array}\)
\(a = \displaystyle \frac{10}{6} = \displaystyle \frac{5}{3}\)
\(a = \displaystyle \frac{5}{3}\) を②に代入して、
\(\begin{align}6 &= 4 \cdot \displaystyle \frac{5}{3} + b \\&= \displaystyle \frac{20}{3} + b\end{align}\)
\(\begin{align}b &= 6 − \displaystyle \frac{20}{3} \\&= \displaystyle \frac{18 − 20}{3} \\&= − \displaystyle \frac{2}{3}\end{align}\)
よって \(y = \displaystyle \frac{5}{3} x − \displaystyle \frac{2}{3}\)
答え: \(y = \displaystyle \frac{5}{3}x − \displaystyle \frac{2}{3} (− 2 \leq x \leq 4)\)
(2)
答え:
計算問題③「一次関数の交点を求める」
交点を求めるには、\(2\) つの直線の式を連立方程式として考えればよいですね。
\(\left\{\begin{array}{l} y = x + 1 …①\\ y = 2x + 5 …②\end{array}\right.\) とする。
①、②より、
\(x + 1 = 2x + 5\)
\(1 − 5 = 2x − x\)
\(− 4 = x\)
\(x = − 4\) を①に代入して、
\(y = − 4 + 1 = − 3\)
よって、①、②の交点は \((− 4, − 3)\)
答え: \((− 4 , − 3)\)
一次関数の利用問題
最後に、一次関数の利用問題を解いてみましょう。
利用問題①「動く点と三角形の面積」
長方形 \(\mathrm{ABCD}\) の辺上を、ある点 \(\mathrm{P}\) が秒速 \(1 \, \mathrm{cm}\) の速さで \(\mathrm{A}\) から移動し、\(\mathrm{D}\) で止まるとしたとき、三角形 \(\mathrm{APD}\) の面積はどのように変化するか。
経過した時間と面積の関係をグラフにしなさい。なお、経過した時間を \(x\) 秒、面積を \(y \, \mathrm{cm^2}\) とする。
三角形の面積は「\(\displaystyle \frac{1}{2} \times (\text{底辺}) \times (\text{高さ})\)」で求められますね。
点 \(\mathrm{P}\) が動くと、どこを底辺と見るかが変わってきます。
点 \(\mathrm{P}\) の位置ごとに場合分けして三角形 \(\mathrm{APD}\) の面積を考えてみましょう。
その際、点 \(\mathrm{P}\) がその辺上にいる時間が \(x\) の変域となります。
点 \(\mathrm{P}\) の速さが \(1\) \(\mathrm{cm}\)/秒であるから、
点 \(\mathrm{P}\) の移動距離は
\(1 \ \mathrm{cm}/\text{秒} \times \,x \ \text{秒} \ = x \ \mathrm{cm}\)
とおける。
三角形 \(\mathrm{APD}\) の面積は、点 \(\mathrm{P}\) がどの辺上にいるかによって表し方が異なる。
(i) 点 \(\mathrm{P}\) が辺 \(\mathrm{AB}\) 上にいるとき \((0 \leq x < 2)\)
\(\triangle \mathrm{APD} = \displaystyle \frac{1}{2} \cdot \mathrm{AP} \cdot \mathrm{AD}\) より、
\(y = \displaystyle \frac{1}{2} \cdot x \cdot 4 = 2x\)
(ii) 点 \(\mathrm{P}\) が辺 \(\mathrm{BC}\) 上にいるとき \((2 \leq x < 6)\)
\(\triangle \mathrm{APD} = \displaystyle \frac{1}{2} \cdot \mathrm{AD} \cdot \mathrm{AB}\) より、
\(y = \displaystyle \frac{1}{2} \cdot 4 \cdot 2 = 4\)
(iii) 点 \(\mathrm{P}\) が辺 \(\mathrm{CD}\) 上にいるとき \((6 \leq x < 8)\)
\(\triangle \mathrm{APD} = \displaystyle \frac{1}{2} \cdot \mathrm{DP} \cdot \mathrm{AD}\)
ここで、
\(\begin{align}\mathrm{DP} &= \mathrm{DC} − \mathrm{PC} \\&= 2 − \{x − (2 + 4)\} \\&= 2 − (x − 6)\\&= 2 − x + 6\\&= 8 − x\end{align}\)
より、
\(\begin{align}y &= \displaystyle \frac{1}{2} \cdot (8 − x) \cdot 4 \\&= 2(8 − x) \\&= − 2x + 16\end{align}\)
(i) ~ (iii) より、
\(\left\{\begin{array}{l}y = 2x (0 \leq x < 2)\\y = 4 (2 \leq x < 6)\\y = − 2x + 16 (6 \leq x < 8)\end{array}\right.\)
答え:
利用問題②「料金に関する文章題」
あるCDレンタル会社には、下の表のような \(2\) つのプランがある。
プラン B がプラン A よりも \(1\) か月の料金が安くなるのはどのようなときか。
このような問題では、「何を \(x\), \(y\) とおくか」が重要になります。
ここでは、料金を \(y\) 、\(31\) 枚目以降レンタルするCDの枚数を \(x\) とおいて、それぞれのプランについての一次関数を考えてみましょう。
このとき、\(x = 1, 2, 3\)…であればレンタルするCDの総数は \(31, 32, 33\)…となることに注意してくださいね。
\(1\) か月の料金を \(y\) 円、\(31\) 枚目以降レンタルするCDの枚数を \(x\) 枚とおくと、
プラン A: \(y = 300x + 2000\)
プラン B: \(y = 100x + 3000\)
と表せる。
プラン A と B の料金が一致するときの \(x\) について考える。
\(300x + 2000 = 100x + 3000\)
\(300x − 100x = 3000 − 2000\)
\(200x = 1000\)
\(x = 5\)
したがって、\(35\) 枚の CD をレンタルすると、プラン A とプラン B の料金は一致し、以降はプラン A の方が料金が高くなる。
つまり、プラン B の方がプラン A より安くなるのは、\(36\) 枚目以降。
答え: \(1\) か月で \(36\) 枚以上 CD をレンタルする場合
以上で、すべての問題は終わりです!
一次関数の問題は種類が多くて大変ですが、とにかくいろいろな問題を解いて、経験値を上げていくのが大切です。
記事で取り上げた問題は、よく見直しておきましょう!