この記事では、「微分方程式」についてわかりやすく解説していきます。
一般解・特殊解の意味や、微分方程式の解き方(変数分離など)を説明していくので、ぜひマスターしてくださいね!
微分方程式とは?
微分方程式とは、ある関数とその導関数を含む方程式のことです。
例えば、\(x\) の関数 \(y\) とその導関数 \(\displaystyle \frac{dy}{dx}\)(\(y’\))を含んだ式は微分方程式といえます。
この方程式を満たす「関数 \(y\)」がこの方程式の解であり、これを求めることを「微分方程式を解く」といいます。
微分方程式の一般解と特殊解
微分方程式の解には、「一般解」と「特殊解」の \(2\) 種類があります。
- 一般解
任意定数を含む解。微分方程式のすべての解を表す。 - 特殊解
一般解のうち、初期条件(※)を満たす特定の解。微分方程式の解の \(1\) つ。
※ ある \(x\) における \(y\) の値。任意定数を特定できる条件。
微分方程式には導関数が含まれますから、解を求めるには積分が必要であり、解は無数に存在します(不定積分)。
そのため、すべての解を総称して「一般解」と呼び、任意定数(\(C\) とおくことが多い)を使用して表現します。
一方、\(1\) つ \(1\) つの解である「特殊解」は、初期条件さえわかれば具体的に求められます。
一階微分方程式の初期条件は、「\(\color{red}{y(a) = b}\)」と表すことが多いです。
「\(x = a\) のとき \(y = b\)」であることを意味しています。
微分方程式の使い道
微分方程式は、多くの物理現象を解き明かすのに利用されます(自由落下・振動・流動など)。
また、エンジニアリング(工学)の分野でも非常に便利なツールです(材料の強度分析、機械の制御など)。
物理学や工学に興味のある人は、ぜひ理解しておきたいですね!
高校で習う「直接積分形」と「変数分離形」
高校では、一階常微分方程式(例:一変数関数 \(y = f(x)\) とその一次導関数 \(\displaystyle \frac{dy}{dx}\) を含む微分方程式)の問題がほとんどです(→ 【補足】微分方程式の分類)。
一階常微分方程式のうち、最も代表的なパターンは次の \(2\) つです。
それぞれの解き方を順番に解説していきます。
直接積分形の微分方程式の解き方
\(\displaystyle \frac{dy}{dx} = f(x)\) のように、導関数と \(x\) の式だけで表せる微分方程式を「直接積分形」といいます。
解き方は非常にシンプルで、両辺を \(x\) について積分するだけです。
[1] \(\displaystyle \frac{dy}{dx} = f(x)\) の形に変形する
[2] 両辺を \(x\) で積分する
両辺を \(x\) について積分すると、
\begin{align}\displaystyle \int \frac{dy}{dx} \ dx = \int f(x) \ dx\end{align}
\(\displaystyle \frac{dy}{dx} \ dx\) は分数のように約分でき、
\begin{align}\displaystyle \int dy = \int f(x) \ dx\end{align}
\(f(x)\) の原始関数を \(F(x)\) とすると
\(y = F(x) + C\)(\(C\) は任意定数)…一般解
[3] 初期条件から \(C\) を決定し、特殊解を求める
初期条件の \(x\), \(y\) を一般解に代入し、\(C\) を決定 …特殊解
例題「\(\displaystyle \frac{dy}{dx} = 3x + 1\)」
次の例題を通して、直接積分形の微分方程式を解く手順を説明します。
\(\displaystyle \frac{dy}{dx} = 3x + 1\) の一般解を求め、初期条件 \(y(0) = 2\) を満たす特殊解を求めよ。
まずは、左辺が \(y\) の導関数だけ、右辺が \(x\) の項と定数項だけになるように式を変形します。
例題はすでに \(\displaystyle \frac{dy}{dx} = f(x)\) の形になっていますね。
両辺を \(x\) で積分して、一般解を求めます。
\(\displaystyle \frac{dy}{dx} = 3x + 1\) の両辺を \(x\) で積分すると
\(\begin{align} y &= \int(3x + 1) \ dx \\ &= \frac{3}{2} x^2 + x + C \end{align}\)
(\(C\) は任意定数)
よって、一般解は \(\color{red}{\displaystyle y = \frac{3}{2} x^2 + x + C}\)
最後に、一般解に初期条件を代入して特殊解を求めます。
初期条件 \(y(0) = 2\) より
\(2 = \displaystyle \frac{3}{2} \cdot 0^2 + 0 + C\)
すなわち \(C = 2\)
よって、特殊解は \(\color{red}{\displaystyle y = \frac{3}{2} x^2 + x + 2}\)
\(\displaystyle \frac{dy}{dx} = 3x + 1\) の両辺を \(x\) で積分すると
\(\begin{align} y &= \int(3x + 1) \ dx \\ &= \frac{3}{2} x^2 + x + C \end{align}\)
(\(C\) は任意定数)
よって、一般解は \(\displaystyle y = \frac{3}{2} x^2 + x + C\)
初期条件 \(y(0) = 2\) より
\(2 = \displaystyle \frac{3}{2} \cdot 0^2 + 0 + C\)
すなわち \(C = 2\)
よって、特殊解は \(\displaystyle y = \frac{3}{2} x^2 + x + 2\)
答え:
一般解 \(\color{red}{\displaystyle y = \frac{3}{2} x^2 + x + C}\)(\(C\) は任意定数)
特殊解 \(\color{red}{\displaystyle y = \frac{3}{2} x^2 + x + 2}\)
変数分離形の微分方程式の解き方
\(\displaystyle f(y) \frac{dy}{dx} = g(x)\) のように、左辺を関数 \(y\) とその導関数 \(\displaystyle \frac{dy}{dx}\) の積(または商)に、右辺を \(x\) の式に分離できる微分方程式を「変数分離形」といいます。
変数分離形の微分方程式を解く手順は次のとおりです。
[1] \(\displaystyle f(y) \frac{dy}{dx} = g(x)\) の形に変形する
(→ 変数分離形に落とし込めるパターンを参照)
[2] 両辺を \(x\) で積分する
両辺を \(x\) について積分すると、
\begin{align}\displaystyle \int \left\{ f(y) \frac{dy}{dx} \right\} dx = \int g(x) \ dx\end{align}
\begin{align}\displaystyle \int f(y) \ dy = \int g(x) \ dx\end{align}
\(f(y)\), \(g(x)\) の原始関数をそれぞれ \(F(y)\), \(G(x)\) とおくと
\(F(y) = G(x) + C\)(\(C\) は任意定数)…一般解
[3] 初期条件から \(C\) を決定し、特殊解を求める
初期条件の \(x\), \(y\) の値を一般解に代入し、\(C\) を決定…特殊解
\(y, y’\) と \(x\) を分離しておくことで、左辺は \(y\) について、右辺は \(x\) についての積分にできるのですね。
例題「\(\displaystyle \frac{dy}{dx} = 3x^2 y\)」
次の例題を通して、変数分離形の微分方程式を解く手順を説明します。
\(\displaystyle \frac{dy}{dx} = 3x^2 y\) の一般解を求め、初期条件 \(y(0) = 2\) を満たす特殊解を求めよ。
まずは、左辺が \(y\) とその導関数 \(\displaystyle \frac{dy}{dx}\) だけ、右辺が \(x\) の項と定数項だけになるように式を変形します。
例題では、\(y\) を左辺にもってくれば変数分離形になりますね。
両辺を \(y\) で割ることになるので、\(y = 0\) の場合だけ別に考えます。
(i) \(y = 0\) のとき
\(\displaystyle \frac{dy}{dx} = 0\) より、定数関数 \(y = 0\) は明らかに解である。
(ii) \(y \neq 0\) のとき
両辺を \(y\) で割ると、
\(\displaystyle \frac{1}{y} \frac{dy}{dx} = 3x^2\)
変数が分離できたので、両辺を \(x\) で積分します。
(ii) において、両辺を \(x\) について積分すると
\(\displaystyle \int \left( \frac{1}{y} \frac{dy}{dx} \right) dx = \int 3x^2 \ dx\)
\(\displaystyle \int \frac{1}{y} \ dy = \int 3x^2 \ dx\)
\(\log |y| = x^3 + C’\) (\(C’\) は任意定数)
指数と対数の関係から、「\(y =\) 〜」に直せば一般解が求められます。
指数と対数の関係
\begin{align}a^p = M \iff p = \log_a M\end{align}
\(|y| = e^{x^3 + C’}\) より \(\begin{align} y = \pm e^{x^3 + C’} \\ = \pm e^{C’} e^{x^3} \end{align}\) \(\pm e^{C’} = C\) とおくと、 一般解は \(\color{red}{y = C e^{x^3}}\) (\(C\) は任意定数) なお、(i) はこれを満たす。
最後に、初期条件を代入して特殊解を求めます。
初期条件 \(y(0) = 2\) より
\(C e^{0^3} = C = 2\)
よって、特殊解は \(\begin{align} \color{red}{y = 2 e^{x^3}} \end{align}\)
(i) \(y = 0\) のとき
\(\displaystyle \frac{dy}{dx} = 0\) より、定数関数 \(y = 0\) は明らかに解である。
(ii) \(y \neq 0\) のとき
両辺を \(y\) で割ると、
\(\displaystyle \frac{1}{y} \frac{dy}{dx} = 3x^2\)
(ii) において、両辺を \(x\) について積分すると
\(\displaystyle \int \left( \frac{1}{y} \frac{dy}{dx} \right) dx = \int 3x^2 \ dx\)
\(\displaystyle \int \frac{1}{y} \ dy = \int 3x^2 \ dx\)
\(\log |y| = x^3 + C’\) (\(C’\) は任意定数)
\(|y| = e^{x^3 + C’}\) より
\(\begin{align} y = \pm e^{x^3 + C’} \\ = \pm e^{C’} e^{x^3} \end{align}\)
\(\pm e^{C’} = C\) とおくと、
一般解は \(y = C e^{x^3}\) (\(C\) は任意定数)
なお、(i) はこれを満たす。
初期条件 \(y(0) = 2\) より
\(C e^{0^3} = C = 2\)
よって、特殊解は \(\begin{align} y = 2 e^{x^3} \end{align}\)
答え:
一般解 \(\color{red}{y = C e^{x^3}}\)(\(C\) は任意定数)
特殊解 \(\color{red}{y = 2 e^{x^3}}\)
変数分離形に落とし込めるパターン
微分方程式の中には、変数分離形に変形できるものが多くあります。
代表的なパターンを確認しましょう。
① \(\displaystyle \frac{dy}{dx}, f(y), g(x)\) の積や商が含まれる
式変形によって左辺を \(y\) の式と \(y\) の導関数の積に、右辺を \(x\) だけの式に分離できる可能性があります。
- \(\displaystyle \frac{dy}{dx} = \frac{g(x)}{f(y)}\) → \(\color{red}{\displaystyle f(y) \frac{dy}{dx} = g(x)}\)
- \(\displaystyle \frac{dy}{dx} = \frac{f(y)}{g(x)}\) → \(\color{red}{\displaystyle \frac{1}{f(y)} \frac{dy}{dx} = \frac{1}{g(x)}}\)
- \(\displaystyle \frac{dy}{dx} = f(y)g(x)\) → \(\color{red}{\displaystyle \frac{1}{f(y)} \frac{dy}{dx} = g(x)}\)
- \(\displaystyle g(x) \frac{dy}{dx} = f(y)\) → \(\color{red}{\displaystyle \frac{1}{f(y)} \frac{dy}{dx} = \frac{1}{g(x)}}\)
このとき、定数があっても問題ありません。
とにかく左辺に導関数 \(\displaystyle \frac{dy}{dx}\)(\(y’\))が残るように式変形を進めるのがポイントです。
(例)
- \(y = xy’ + 1\)
\(xy’ = y − 1\)
\(\displaystyle y’ = \frac{y − 1}{x}\)
\(\color{red}{\displaystyle \frac{1}{y − 1} y’ = \frac{1}{x}}\) - \(xy’ + y = y’ + 1\)
\((x − 1)y’ = −y + 1\)
\((x − 1)y’ = −(y − 1)\)
\(\color{red}{\displaystyle \frac{1}{y − 1} y’ = −\frac{1}{x − 1}}\) - \(y’ = 2y^2\)
\(\color{red}{\displaystyle \frac{1}{y^2} y’ = 2}\)
\(3\) つ目の例のように \(x\) が含まれていない場合でも、「\(\text{(定数)} = g(x)\)」ととらえると分離できますね。
② 変数の置き換えで変数分離形になる
別の変数に置き換えることで変数分離形にできることがあります。
こちらは高校数学の中ではかなり発展的な内容なので、必要な人だけ詳しく学ぶようにしましょう。
- 同次形 \(\displaystyle \frac{dy}{dx} = f\left( \frac{y}{x} \right)\)
同次形とは、\(x\) と \(y\) の次数がそろっており、\(\displaystyle \frac{dy}{dx}\) が \(\displaystyle \frac{y}{x}\) の関数として表せる微分方程式です。
\(\displaystyle \frac{y}{x} = z\) に置き換えることで変数分離形にできます。 - \(\displaystyle \frac{dy}{dx} = f(ax + by + c)\)
\(\displaystyle \frac{dy}{dx}\) が \(x\) と \(y\) の一次式で表せる微分方程式も、\(ax + by + c = z\) と置き換えることで変数分離形にできます。 - \(\displaystyle \frac{dy}{dx} = \frac{ax + by + c}{px + qy + r}\)
\(\displaystyle \frac{dy}{dx}\) が、分母・分子ともに \(x\) と \(y\) の一次式で表せる微分方程式は、定数項 \(c\), \(r\) が消えるように変数を置き換えると、変数分離形にできます。
微分方程式の計算問題
それでは、微分方程式の計算問題に挑戦しましょう。
計算問題①「\(\displaystyle \frac{dy}{dx} = \frac{5}{x}\)」
\(\displaystyle \frac{dy}{dx} = \frac{5}{x}\) の一般解を求め、初期条件 \(y(1) = 2\) を満たす特殊解を求めよ。
これは \(\displaystyle \frac{dy}{dx} = f(x)\) の形なので、直接積分形ですね。
\(\displaystyle \frac{dy}{dx} = \frac{5}{x}\) の両辺を \(x\) で積分すると、
\(\begin{align} y &= \int \frac{5}{x} \ dx \\ &= 5\log|x| + C \end{align}\)
(\(C\) は任意定数)
初期条件 \(y(1) = 2\) より
\(2 = 5\log|1| + C\)
\(C = 2\)
よって、
\(y = 5\log|x| + 2\)
答え:
一般解 \(\color{red}{y = 5\log|x| + C}\)(\(\color{red}{C}\) は任意定数)
特殊解 \(\color{red}{y = 5\log|x| + 2}\)
計算問題②「\(\displaystyle \frac{dy}{dx} = y\)」
\(\displaystyle \frac{dy}{dx} = y\) の一般解を求め、初期条件 \(y(−1) = 3\) を満たす特殊解を求めよ。
\(x\) がないよ?と思うかもしれません。
\(g(x) = 1\) と見ると、変数分離形として解くことができます。
(i) \(y = 0\) のとき
\(\displaystyle \frac{dy}{dx} = 0\) より、定数関数 \(y = 0\) は明らかに解である。
(ii) \(y \neq 0\) のとき
\(\displaystyle \frac{dy}{dx} = y\) の両辺を \(y\) で割って、
\(\displaystyle \frac{1}{y} \frac{dy}{dx} = 1\)
両辺を \(x\) で積分すると、
\(\displaystyle \int \left( \frac{1}{y} \frac{dy}{dx} \right) dx = \int 1 \ dx\)
\(\displaystyle \int \frac{1}{y} \ dy = \int 1 \ dx\)
\(\log|y| = x + C’\) (\(C’\) は任意定数)
\(\begin{align} y &= \pm e^{x + C’} \\ &= \pm e^{C’} e^x \end{align}\)
\(\pm e^{C’} = C\) (\(C\) は任意定数)とおくと、
\(y = C e^x\)
初期条件 \(y(−1) = 3\) より
\(3 = C e^{−1}\)
\(C = 3e\)
よって、
\(\begin{align} y &= 3e \cdot e^x \\ &= 3 e^{x + 1} \end{align}\)
答え:
一般解 \(\color{red}{y = C e^x}\)(\(\color{red}{C}\) は任意定数)
特殊解 \(\color{red}{y = 3 e^{x + 1}}\)
計算問題③「\(\displaystyle \frac{dy}{dx} = \frac{1 − x − y}{x + y}\)」
括弧内の置き換えを利用して、次の微分方程式を解け。
\(\displaystyle \frac{dy}{dx} = \frac{1 − x − y}{x + y}\) (\(x + y = z\))
置き換えによって解く問題です。
置き換え後の変数で変数分離形を作ること、積分後に元の変数に戻すことがポイントです!
\(z = x + y\) とおくと、元の式は
\(\displaystyle \frac{dy}{dx} = \frac{1 − z}{z}\) …①
と変形できる。
ここで、\(z = x + y\) を \(x\) について微分すると、
\(\displaystyle \frac{dz}{dx} = 1 + \frac{dy}{dx}\)
①を代入して
\(\displaystyle \frac{dz}{dx} = 1 + \frac{1 − z}{z} = 1 + \frac{1}{z} − 1 = \frac{1}{z}\)
\(\displaystyle \frac{dz}{dx} = \frac{1}{z}\) から
\(\displaystyle z \frac{dz}{dx} = 1\)
両辺を \(x\) について積分して、
\(\displaystyle \int \left( z \frac{dz}{dx} \right) dx = \int 1 \ dx\)
\(\displaystyle \int z \ dz = \int 1 \ dx\)
\(\displaystyle \frac{1}{2} z^2 = x + C’\)(\(C’\) は任意定数)
\(z = x + y\) に戻すと、
\(\displaystyle \frac{1}{2} (x + y)^2 = x + C’\)
\((x + y)^2 = 2x + 2C’\)
\(2C’ = C\) とおくと、
\((x + y)^2 = 2x + C\)
答え:
\(\color{red}{(x + y)^2 = 2x + C}\) (\(\color{red}{C}\) は任意定数)
答えは、無理に「\(y =\) ~ 」にする必要はありません。
\(x\) と \(y\) の関係式が示せていればOKです!
【補足】微分方程式の分類
微分方程式はその特徴によって分類することができます。
ここでは主に「階数」「線形性」「常微分・偏微分」の \(3\) つの分類基準を紹介します。
分類① 階数
関数を微分する回数は「階数」と呼ばれ、「一階、二階…」などと数えられます(「一次、二次…」と数えることもあります)。
最大 \(n\) 階の導関数が含まれる微分方程式を「\(n\) 階微分方程式」といいます。
(例)
- \(\color{salmon}{y’} = 2xy^2\) (一階微分方程式)
- \(\color{salmon}{y’’} − y’ = \sin x\) (二階微分方程式)
階数が上がるほど計算の手間も増えるため、高校では「一階微分方程式」の問題がメインです。
一般に、\(n\) 階微分方程式の一般解には \(n\) 個の任意定数が含まれます。
分類② 線形性
微分方程式の次数に応じて、「線形微分方程式」と「非線形微分方程式」があります。
- 線形微分方程式
関数とその導関数についての一次式で表される方程式。 - 非線形微分方程式
関数とその導関数の二次以上の項も含む方程式。
微分方程式の中で関数 \(y\) とその導関数 \(y’, \) \(y’’, \cdots\) を同じ変数とみたとき、一次方程式になっていれば「線形微分方程式」といえます。
(例)
- \(x\color{salmon}{y} + \color{salmon}{y’} = 2x^3\) (線形微分方程式)
- \(\color{salmon}{y’’} + 3x^3\color{salmon}{y’} = \color{salmon}{y}\) (線形微分方程式)
- \(2y’ + \color{skyblue}{y’y} = 0\) (非線形微分方程式)
- \(y’ + \color{skyblue}{y^2} = 3x\) (非線形微分方程式)
線形性を確認するときは、\(y\), \(y’, \) \(y’’, \cdots\) を含まない項(\(x\) や定数だけの項)は定数項として見てくださいね!
線形微分方程式において、\(y\), \(y’, \) \(y’’, \cdots\) を含まない項 \(f(x)\)を「非同次項」といい、\(f(x) = 0\) のときを「同次」、\(f(x) \neq 0\) のときを「非同次」といいます(斉次・非斉次と呼ぶこともあり)。
(例)
- \(x\color{salmon}{y} + \color{salmon}{y’} = \color{limegreen}{2x^3}\) (線形非同次微分方程式)
- \(\color{salmon}{y’’} + 3x^3\color{salmon}{y’} = \color{salmon}{y}\) (線形同次微分方程式)
分類③ 常微分・偏微分
関数に含まれる変数の数に応じて、「常微分方程式」と「偏微分方程式」があります。
- 常微分方程式
一変数関数とその導関数を含む方程式。 - 偏微分方程式
多変数関数とその偏導関数を含む方程式。
偏微分とは、多変数関数(\(2\) つ以上の変数をもつ関数)で特定の変数以外を定数とみなして微分することです。
高校では偏微分を習わないので、「常微分方程式」の問題がメインです。
さまざまな微分方程式の例
上記の分類①〜③を組み合わせて、微分方程式を次のように呼び分けることができます。
(例)
- \(\displaystyle \frac{dy}{dx} = 2x − 3\) (一階線形非同次常微分方程式)
- \(y’ = 2xy^2\) (一階非線形常微分方程式)
- \(y’’ + 3x^3y’ = y\) (二階線形同次常微分方程式)
- \(\displaystyle \frac{\partial^2 u(x, t)}{\partial t^2}=c^2\frac{\partial^2 u(x, t)}{\partial x^2}\) (二階線形同次偏微分方程式)
以上で微分方程式の解説は終わりです。
微分方程式は奥が深く、高校で勉強するのはほんの入り口です。
慣れてきたら、ぜひ多くの問題にチャレンジしてみてください!
変数分離系の例題なのですが、計算ミスをしてませんか?
xに2を代入しているとおもいます
この度はコメントいただきありがとうございます。
ご指摘を受け、該当部分を修正いたしました。
今後ともどうぞ当サイトをよろしくお願いいたします。
仕事で微分方程式を解く機会がありましたが、大学卒業以来、6年ぶりなので完全に解き方を忘れていました。本を見ても公式だけしかなくてよくわからなかったのですが、ここでは例題もあって、わかりやすくて助かりました。
この度はうれしいコメントをいただきありがとうございます。励みになります。
今後ともどうぞ当サイトをよろしくお願いいたします。