偶関数・奇関数とは?意味や見分け方、積分での使い方

この記事では「偶関数」と「奇関数」について、それぞれの意味や性質、見分け方をわかりやすく解説していきます。

また、積分での使い方についても説明していくので、この記事を通してぜひマスターしてくださいね!

 

偶関数・奇関数とは?

偶関数と奇関数は、それぞれ特別な対称性をもつ関数のことです。

 

いくつかのグラフを見て、偶関数と奇関数の対称性を確認しましょう。

左側が偶関数、右側が奇関数のグラフの例です。

どうでしょうか。

偶関数のグラフは \(y\) 軸について対称線対称)、奇関数のグラフは原点について対称点対称)になっていることがわかりますね。

 

このような性質を言葉で定義すると、次のようになります。

偶関数と奇関数の定義
  • 関数 \(f(x)\) が偶関数であるとき
    任意の実数 \(x\) に対し、 \(\color{red}{f(−x) = f(x)}\) が成り立つ。
  • 関数 \(f(x)\) が奇関数であるとき
    任意の実数 \(x\) に対し、 \(\color{red}{f(−x) = −f(x)}\) が成り立つ。

 

つまり、\(x\) を \(−x\) に置き換えた時、\(f(x)\) と同じ値になるのが偶関数\(f(x)\) の \(−1\) 倍になるのが奇関数ということです。

補足

すべての関数が「偶関数」または「奇関数」のどちらかに分類される訳ではありません。

多くの関数は「どちらでもない関数」です。

 

偶関数と奇関数の性質

偶関数・奇関数には重要な性質があります。

べき乗関数・三角関数・定数関数の偶奇

べき乗関数(\(x^n\))、三角関数、定数関数は、以下のルールで偶関数か奇関数かを一瞬で見分けられます。

べき乗関数・三角関数・定数関数の偶奇
  • べき乗関数の場合
    • \(n\) が偶数 → \(x^n\) は偶関数
    • \(n\) が奇数 → \(x^n\) は奇関数
  • 三角関数の場合
    • \(\cos x\) → 偶関数
    • \(\sin x, \tan x\) → 奇関数
  • 定数関数の場合 → 偶関数
    (ただし、定数関数 \(y = 0\) は偶関数かつ奇関数)

定数関数

\(y\) の値が \(x\) によらず一定である関数。

(例)\(f(x) = 3\)

定数関数は \(x\) 軸に平行な直線となり、\(y\) 軸について対称であるから偶関数なのですね。

 

偶関数・奇関数の和・差

偶関数・奇関数の和と差について、次の性質が成り立ちます。

偶関数・奇関数の和・差

\begin{align}\color{red}{\text{(偶関数)} \pm \text{(偶関数)} = \text{(偶関数)}}\end{align}

\begin{align}\color{red}{\text{(奇関数)} \pm \text{(奇関数)} = \text{(奇関数)}}\end{align}

\begin{align}\color{red}{\text{(偶関数)} \pm \text{(奇関数)} = \text{(どちらでもない関数)}}\end{align}

同じ種類の関数ならば、足しても引いても偶奇は変わりません。

一方で、異なる種類同士を足し引きするとどちらでもない関数になります。

 

偶関数・奇関数の積・商

偶関数・奇関数の積について、次の性質が成り立ちます。

偶関数・奇関数の積

\begin{align}\color{red}{\text{(偶関数)} \times \text{(偶関数)} = \text{(偶関数)}}\end{align}

\begin{align}\color{red}{\text{(奇関数)} \times \text{(奇関数)} = \text{(偶関数)}}\end{align}

\begin{align}\color{red}{\text{(偶関数)} \times \text{(奇関数)} = \text{(奇関数)}}\end{align}

同じ種類同士をかけると偶関数に、異なる種類同士をかけると奇関数になります。

また、商についてもまったく同じことが成り立ちます。

偶関数・奇関数の商

\begin{align}\color{red}{\displaystyle \frac{\text{(偶関数)}}{\text{(偶関数)}} = (\text{偶関数})}\end{align}

 

\begin{align}\color{red}{\displaystyle \frac{\text{(奇関数)}}{\text{(奇関数)}} = \text{(偶関数)}}\end{align}

 

\begin{align}\color{red}{\displaystyle \frac{\text{(偶関数)}}{\text{(奇関数)}} = \text{(奇関数)}}\end{align}

 

偶関数と奇関数の見分け方

ここでは、ある関数が偶関数・奇関数・それ以外の関数かを見分ける方法について以下の例題で説明します。

例題

以下の \(x\) の関数は、偶関数・奇関数・どちらでもない関数のどれにあたるか。

(1) \(f(x) = 2x^2 + 1\)

(2) \(f(x) = x \cos x\)

(3) \(f(x) = 1 − x^3\)

偶関数・奇関数の見分け方には「\(f(−x)\) を計算する方法」、「偶関数・奇関数の性質を利用する方法」の \(2\) つがあります。

 

【見分け方①】f(−x) を計算する

定義に従って、\(x\) に \(−x\) を代入した \(f(−x)\) の値がどうなるかを確認する方法です。

\(f(−x) = f(x)\) ならば偶関数、\(f(−x) = −f(x)\) ならば奇関数ですね。

解答

 

(1)

\(\begin{align} f(−x) &= 2(−x)^2 + 1 \\ &= (−1)^2 \cdot 2x^2 + 1 \\ &= 2x^2 + 1 \\ &= f(x) \end{align}\)

より、偶関数

 

(2)

\(\begin{align} f(−x) &= (−x) \cos(−x) \\ &= −x \cos x \\ &= −f(x) \end{align}\)

より、奇関数

 

(3)

\(\begin{align} f(−x) &= 1 − (−x)^3 \\ &= 1 + x^3 \end{align}\)

より、どちらでもない関数

このように求めることができました。とはいえ、毎回代入計算をするのも大変です。

そこで、次の方法の出番です。

 

【見分け方②】偶関数・奇関数の性質を利用する

偶関数・奇関数の性質に着目すると、複雑な関数でも一瞬で偶奇が判別できます。

項ごとに偶奇を判断し、偶関数・奇関数の和・差・積・商の性質から関数全体の偶奇を決定します。

解答

 

(1) \(f(x) = 2x^2 + 1\)

\(2x^2\) は偶関数、\(1\) も偶関数。

\(\text{(偶関数)} + \text{(偶関数)} = \text{(偶関数)}\) であるから、

\(f(x)\) は偶関数

 

(2)  \(f(x) = x \cos x\)

\(x\) は奇関数、\(\cos x\) は偶関数。

\(\text{(奇関数)} \times \text{(偶関数)} = \text{(奇関数)}\) であるから、

\(f(x)\) は奇関数

 

(3) \(f(x) = 1 − x^3\)

\(1\) は偶関数、\(x^3\) は奇関数。

\(\text{(偶関数)} − \text{(奇関数)} = \text{(どちらでもない関数)}\) であるから、

\(f(x)\) はどちらでもない関数

このように、計算なしで簡単に偶奇を見分けることができましたね!

補足

これらの性質は最初から丸暗記するのではなく、まずは見分け方①(\(−x\) を代入する方法)を理解した上で、感覚的に身につけていきましょう。

 

ところで、そもそもある関数が偶関数か奇関数かを知ることの何が重要なのでしょうか?

次の章で、偶関数・奇関数の判別がとても役に立つ場面を紹介していきます!

 

偶関数・奇関数の積分公式

偶関数と奇関数の判別は、「定積分」でものすごく力を発揮します。

具体的には、以下の公式が成り立ちます。

偶関数と奇関数の定積分の公式

任意の実数 \(a\) に対し、

  • \(f(x)\) が偶関数のとき
    \begin{align}\color{red}{\displaystyle \int_{−a}^a f(x) \, dx = 2 \int_0^a f(x) \, dx}\end{align}
  • \(f(x)\) が奇関数のとき
    \begin{align}\color{red}{\displaystyle \int_{−a}^a f(x) \, dx = 0}\end{align}

複雑な関数の定積分もあっという間に計算できるため、とても強力な公式です。

積分区間が \(x = 0\) について対称な定積分では、必ず関数の偶奇を調べるようにしましょう。

 

公式が成り立つ理由

定積分は、グラフの面積を求める計算でしたね。

偶関数と奇関数の対称性から、積分区間が \(x = 0\) について対称であれば、求める面積は次のようになります。

\(y\) 軸 \((x = 0)\) を境に見ると、偶関数は \(x < 0\) の部分と \(0 < x\) の部分の面積が等しくなります。

一方で、奇関数では \(x < 0\) の部分と \(0 < x\) の部分の面積が完全に打ち消し合います

補足

定積分では、\(x\) 軸より下の部分の面積は負の面積ととらえます。

したがって、\(−a\) から \(a\) で積分すると、偶関数ならば \(x > 0\) の部分の面積の \(2\) 倍になり、奇関数ならばどんな関数であっても値は \(0\) になるのですね。

 

偶関数・奇関数の練習問題

最後に、偶関数・奇関数の練習問題に挑戦してみましょう。

②〜④が定積分の問題なので、公式を使って楽に解けることを実感してみてください!(なお、 ④は数 Ⅲ の内容を含みます)

練習問題①「どの関数か答える」

練習問題①

\(\displaystyle f(x) = −x(x^4 + 3) \sin \left( \frac{x}{x^2 + 1} \right)\)

は偶関数、奇関数、どちらでもない関数のどれにあたるか答えよ。

 

\(f(−x)\) を計算してももちろん求められますが、多分あまり気乗りしませんよね。

このように式が長くて複雑なときは、個々の項の偶奇を調べ、偶関数・奇関数の性質を使って求めましょう。

解答

 

\(\displaystyle f(x) = −x(x^4 + 3) \sin \left( \frac{x}{x^2 + 1} \right)\)

について、

  • \(−x\) → \(\text{(奇)}\)
  • \(x^4 + 3\)
    \(\text{(偶)}+ \text{(偶)}\) → \(\text{(偶)}\)
  • \(\displaystyle \sin \left( \frac{x}{x^2 + 1} \right)\)
    \(\displaystyle \frac{x}{x^2 + 1}\) は \(\displaystyle \frac{\text{(奇)}}{\text{(偶)} + \text{(偶)}} = \frac{\text{(奇)}}{\text{(偶)}}\) → \(\text{(奇)}\)
    よって、\(\sin \text{(奇)}\) → \(\text{(奇)}\)

 

以上より、

\(\begin{align} f(x) &= (\text{奇}) \times (\text{偶}) \times (\text{奇}) \\ &= \{(\text{奇}) \times (\text{偶})\} \times (\text{奇}) \\ &= (\text{奇}) \times (\text{奇}) \\ &= (\text{偶}) \end{align}\)

 

答え: 偶関数

 

練習問題②「多項式の定積分」

練習問題②

次の定積分を計算せよ。

\(\displaystyle \int_{−2}^2 (5x^5 + x^2 + 3x + 1) \, dx\)

 

多項式の定積分の問題です。

積分区間が \(x = 0\) について対称なので、関数の偶奇に注目してみましょう。

解答

 

\(5x^5\), \(3x\) は奇関数、\(x^2\), \(1\) は偶関数であるから

\(\displaystyle \int_{−2}^2 (5x^5 + x^2 + 3x + 1) \, dx\)

\(\displaystyle = \int_{−2}^2 (5x^5 + 3x) \, dx + \int_{−2}^2 (x^2 + 1) \, dx\)

\(\displaystyle = 0 + 2 \int_0^2 (x^2 + 1) \, dx\)

\(\displaystyle = 2 \left[ \frac{x^3}{3} + x \right]_0^2\)

\(\displaystyle = 2 \left( \frac{8}{3} + 2 \right)\)

\(\displaystyle = 2 \cdot \frac{14}{3}\)

\(\displaystyle = \frac{28}{3}\)

 

答え: \(\color{red}{\displaystyle \frac{28}{3}}\)

 

練習問題③「どちらでもない関数の定積分」

練習問題③

次の定積分を計算せよ。

\(\displaystyle \int_{−1}^1 (x + 1)(x^4 + 1) \, dx\)

 

今度は積を含む多項式の定積分です。

積分区間が \(x = 0\) について対称なので、偶関数・奇関数の性質を使いたいところです。

そのままだと「どちらでもない関数」となってしまうので、少し工夫してみましょう。

解答

 

\((x + 1)(x^4 + 1) = x(x^4 + 1) + (x^4 + 1)\)

ここで、\(x\) は奇関数、\(x^4\), \(1\) はともに偶関数であるから、

\(x(x^4 + 1)\) は奇関数、 \((x^4 + 1)\) は偶関数である。

 

したがって、

\(\displaystyle \int_{−1}^1 (x + 1)(x^4 + 1) \, dx\)

\(\displaystyle = \int_{−1}^1 \{x(x^4 + 1) + (x^4 + 1)\} \, dx\)

\(\displaystyle = \int_{−1}^1  x(x^4 + 1) dx + \int_{−1}^1 (x^4 + 1) \, dx\)

\(\displaystyle = 0 + 2 \int_0^1 (x^4 + 1) \, dx\)

\(\displaystyle = 2 \left[ \frac{x^5}{5} + x \right]_0^1\)

\(\displaystyle = 2 \left( \frac{1}{5} + 1 \right)\)

\(\displaystyle = 2 \cdot \frac{6}{5}\)

\(\displaystyle = \frac{12}{5}\)

 

答え: \(\color{red}{\displaystyle \frac{12}{5}}\)

 

練習問題④「三角関数を含む定積分」

練習問題④

次の定積分を計算せよ。

\(\displaystyle \int_{−\frac{\pi}{3}}^{\frac{\pi}{3}} (\cos x − \sin x) \, dx\)

 

三角関数を含む定積分です。

もちろんそのまま定積分もできますが、関数の偶奇に着目すれば簡単に答えがわかります。

解答

 

\(\cos x\) は偶関数、\(\sin x\) は奇関数なので、

\(\displaystyle \int_{−\frac{\pi}{3}}^{\frac{\pi}{3}} (\cos x − \sin x) \, dx\)

\(\displaystyle = \int_{−\frac{\pi}{3}}^{\frac{\pi}{3}} \cos x \, dx  − \int_{−\frac{\pi}{3}}^{\frac{\pi}{3}} \sin x \, dx\)

\(\displaystyle = 2 \int_0^{\frac{\pi}{3}} \cos x \, dx − 0\)

\(\displaystyle = 2\left[ \sin x \right]_0^{\frac{\pi}{3}}\)

\(\displaystyle = 2 \sin \frac{\pi}{3}\)

\(\displaystyle = 2 \cdot \frac{\sqrt{3}}{2}\)

\(= \sqrt{3}\)

 

答え: \(\color{red}{\sqrt{3}}\)

以上で練習問題も終わりです。

 

一見複雑な計算問題も、偶関数・奇関数の対称性をうまく使えば、簡単に答えにたどり着けることが実感できたかと思います。

偶関数・奇関数をマスターして、他の人と差をつけましょう!

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