この記事では、「定積分」の意味や計算方法をわかりやすく解説していきます。
定積分と面積の公式や絶対値を含む問題の解き方も紹介していきますので、この記事を通してぜひマスターしてくださいね。
目次
定積分とは?
定積分とは、ある関数の範囲を限って積分し、その値を求めることです。
関数 \(f(x)\) の原始関数(不定積分の \(1\) つ)を \(F(x)\) とするとき、\(F(b) − F(a)\) を関数 \(f(x)\) の \(a\) から \(b\) までの「定積分」といい、次のように表すことができる。
\begin{align}\color{red}{\displaystyle \int_a^b f(x) \ dx = [F(x)]_a^b = F(b) − F(a)}\end{align}
このとき、定積分を求める区間 \(a \leq x \leq b\) を「積分区間」と呼ぶ。
定積分は、「不定積分に積分区間の終点を代入した値から、始点を代入した値を引く」という計算です。
ここで疑問なのが、\(f(x)\) の不定積分は無限に存在するはずなのに、どうして定積分では関数を特定できるのでしょうか。
これは、不定積分の積分定数 \(C\) をつけた状態で定積分をしてみるとよくわかります。
\(\begin{align} \int_a^b f(x) \ dx &= [F(x) + C]_a^b \\ &= \{F(b) \color{salmon}{+ C}\} \color{salmon}{−} \{F(a) \color{salmon}{+ C}\} \\ &= F(b) − F(a) \end{align}\)
このように、積分定数 \(C\) の部分は引き算で相殺されるため、定積分の結果は \(C\) の値に関係なく決まります。
よって、被積分関数 \(f(x)\) と積分区間 \(a \leq x \leq b\) さえ決まれば、定積分の値は決まるのです。
定積分の計算と求め方
定積分の計算で用いる性質や、実際の求め方を例題で解説します。
定積分の公式(定義)
定積分の定義は、定積分の計算の基本になります。
関数 \(f(x)\) の不定積分の \(1\) つを \(F(x)\) とするとき、
\begin{align}\color{red}{\displaystyle \int_a^b f(x) \ dx} &\color{red}{\ = [F(x)]_a^b} \cdots ① \\&\color{red}{\ = F(b) − F(a)} \cdots ②\end{align}
「① 問題の関数を積分(不定積分)」し、「② 積分区間の値を代入計算する」のが定積分の主な流れです。
①の不定積分では、関数の種類(べき乗、指数関数、三角関数など)に応じた積分公式を使用します。
積分公式について説明しています。
不定積分とは?公式ややり方をわかりやすく解説(分数の問題も)②では、積分区間の終点と始点の値を代入し、その差を求めます。
この代入計算が楽になるように、状況に応じて以下の積分記号や積分区間の性質をうまく活用するのがポイントです。
積分記号・積分区間の性質
\(k\), \(l\) を定数とすると、関数 \(f(x)\)、\(g(x)\) について、以下が成り立つ。
(見切れる場合は横へスクロール)
- 定数倍は積分の外に出せる
\(\begin{align}\color{red}{\displaystyle \int_a^b k f(x) \ dx = k \int_a^b f(x) \ dx}\end{align}\) - 関数の和や差の積分では、関数を分割して積分できる
\(\begin{align}\color{red}{\displaystyle \int_a^b \{f(x) \pm g(x)\} \ dx \displaystyle = \int_a^b f(x) \ dx \pm \int_a^b g(x) \ dx}\end{align}\) - 積分の線形性(1 と 2 の組み合わせ)
\(\begin{align}\color{red}{\displaystyle \int_a^b \{k f(x) \pm l g(x)\} \ dx = k \int_a^b f(x) \ dx \pm l \int_a^b g(x) \ dx}\end{align}\)
(見切れる場合は横へスクロール)
- 区間差がなければ値は \(0\) になる
\(\color{red}{\displaystyle \int_a^a f(x) \ dx = 0}\) - 積分区間を逆転すると値の符号が逆転する
\(\color{red}{\displaystyle \int_a^b f(x) \ dx = −\int_b^a f(x) \ dx}\) - 積分区間は分割または合体できる
\(\begin{align}\color{red}{\displaystyle \int_a^b f(x) \ dx = \int_a^c f(x) \ dx + \int_c^b f(x) \ dx}\end{align}\)
それでは、例題を通して定積分の求め方を確認しましょう。
例題①「基本的な定積分」
次の定積分を求めよ。
\(\displaystyle \int_0^3 (x^2 − 2x − 1) \ dx\)
基本的な定積分の問題です。
① べき乗 \(x^2\), \(−2x\)、定数 \(−1\) をそれぞれ積分し、② 積分区間の代入計算を行います。
\(\displaystyle \int_0^3 (x^2 − 2x − 1) \ dx\)
\(\displaystyle = \left[ \frac{1}{3} x^3 − x^2 − x \right]_0^3\) …①
\(\displaystyle = \left( \frac{1}{3} \cdot 3^3 − 3^2 − 3 \right) − (0 − 0 − 0)\) …②
\(= 9 − 9 − 3\)
\(= −3\)
答え: \(\color{red}{−3}\)
例題②「積分区間の逆転と結合」
次の定積分を求めよ。
\(\displaystyle \int_{−3}^1 (2x − 1)(x − 1) \ dx + \int_0^1 (2x − 1)(1 − x) \ dx\)
(見切れる場合は横へスクロール)
前半と後半の関数がとても似ています。
後半部分について積分区間を逆転すると、符号が入れ替わり前半部分と同じ関数になります。
すると、前半部分の終点 \(1\) と後半部分の始点 \(1\) が同じになり、積分区間を合体できます。
式が整理できたら、①積分、②代入を行いましょう。
(見切れる場合は横へスクロール)
\(\displaystyle \int_{−3}^1 (2x − 1)(x − 1) \ dx + \color{salmon}{\int_0^1} (2x − 1)\color{salmon}{(1 − x)} \ dx\)
\(\displaystyle = \int_{−3}^\underline{1} (2x − 1)(x − 1) \ dx + \color{salmon}{\int_\underline{1}^0} (2x − 1)\color{salmon}{(x − 1)} \ dx\)(逆転)
\(\displaystyle = \color{orange}{\int_{−3}^0} (2x − 1)(x − 1) \ dx\)(合体)
\(\displaystyle = \int_{−3}^0 (2x^2 − 3x + 1) \ dx\)
\(\displaystyle = \left[ \frac{2}{3} x^3 − \frac{3}{2} x^2 + x \right]_{−3}^0\) …①
\(\displaystyle = 0 − \left\{ \frac{2}{3} (−3)^3 − \frac{3}{2} (−3)^2 + (−3) \right\}\) …②
\(\displaystyle = −\left( −18 − \frac{27}{2} − 3 \right)\)
\(\displaystyle = 21 + \frac{27}{2}\)
\(\displaystyle = \frac{69}{2}\)
答え: \(\color{red}{\displaystyle \frac{69}{2}}\)
このように、積分の前に式をできるだけ整理しておくと楽に計算できます。
定積分と面積
ある関数の定積分をグラフに図示すると、なんと面積を求めていることになります。
公式① 曲線と x 軸の間の面積
ある関数を定積分することは、その関数が表す曲線と \(x\) 軸の間の面積を求めることを意味します。
- 曲線が \(x\) 軸より上の場合
区間 \(a \leq x \leq b\) において \(f(x) \geq 0\) のとき、曲線 \(y = f(x)\) と \(x\) 軸、および \(2\) 直線 \(x = a\), \(x = b\) で囲まれた図形の面積 \(S\) は
\begin{align}\color{red}{\displaystyle S =\int_a^b f(x) \ dx}\end{align} - 曲線が \(x\) 軸より下の場合
区間 \(a \leq x \leq b\) において \(g(x) \leq 0\) のとき、曲線 \(y = g(x)\) と \(x\) 軸、および \(2\) 直線 \(x = a\), \(x = b\) で囲まれた図形の面積 \(S\) は
\begin{align}\color{red}{\displaystyle S = −\int_a^b g(x) \ dx}\end{align}
それぞれ別の公式のように見えますが、どちらも「上の線 − 下の線」を定積分する計算です。
1 では下の線が \(x\) 軸 \((y = 0)\)、2 では上の線が \(x\) 軸 \((y = 0)\) だから、\(0\) が省略されているのですね。
- 曲線が \(x\) 軸より上の場合
\(\begin{align}\displaystyle S &= \int_a^b \{f(x) \color{salmon}{− 0}\} \ dx \\&= \int_a^b f(x) \ dx\end{align}\) - 曲線が \(x\) 軸より下の場合
\(\begin{align}\displaystyle S &= \int_a^b \{\color{salmon}{0} − g(x)\} \ dx \\&= −\int_a^b g(x) \ dx\end{align}\)
公式② 2 曲線の間の面積
\(2\) 曲線の間の面積も、「上の線 − 下の線」の定積分で求めることができます。
区間 \(a \leq x \leq b\) において \(f(x) \geq g(x)\) のとき、曲線 \(y = f(x)\), \(y = g(x)\) と \(2\) 直線 \(x = a\), \(x = b\) で囲まれた図形の面積 \(S\) は
\begin{align}\color{red}{\displaystyle S = \int_a^b \{f(x) − g(x)\} \ dx}\end{align}
公式③ 1/6 公式
積分区間の両端が上下の線の交点となる場合は、以下の公式で代入計算を簡略化できます。
\begin{align}\color{red}{\displaystyle \int_\alpha^\beta (x − \alpha)(x − \beta) \ dx = −\frac{1}{6} (\beta − \alpha)^3}\end{align}
この公式をより一般化すると、次のようになります。
- 放物線と直線
放物線 \(y = f(x) = ax^2 + bx + c\) と直線 \(y = g(x)\) との交点の \(x\) 座標を \(\alpha\), \(\beta\) \((\alpha < \beta)\) とすると、これらに囲まれた部分の面積 \(S\) は
\begin{align}\color{red}{\displaystyle S = \frac{|a|}{6} (\beta − \alpha)^3}\end{align}
(\(x = \alpha, \beta\) は \(f(x) − g(x) = 0\) の解であるから、\(f(x) − g(x) = a(x − \alpha)(x − \beta)\) と表せるため) - 放物線と放物線
放物線 \(y = f(x) = a_1 x^2 + b_1 x + c_1\) と放物線 \(y = g(x) = a_2 x^2 + b_2 x + c_2\) との交点の \(x\) 座標を \(\alpha\), \(\beta\) \((\alpha < \beta)\) とすると、\(2\) つの放物線に囲まれた部分の面積 \(S\) は
\begin{align}\color{red}{\displaystyle S = \frac{|a_1 − a_2|}{6} (\beta − \alpha)^3}\end{align}
(\(x = \alpha, \beta\) は \(f(x) − g(x) = 0\) の解であるから、\(f(x) − g(x) = (a_1 − a_2)(x − \alpha)(x − \beta)\) と表せるため)
\(\displaystyle \frac{1}{6}\) 公式に使い慣れると、地道に代入計算するよりもかなり早く答えにたどり着けるので覚えておいて損はないですよ!
例題①「曲線と x 軸の間の面積を求める」
それでは、定積分による面積の求め方を例題で説明します。
次の曲線、直線、および \(x\) 軸とで囲まれた部分の面積 \(S\) を求めよ。
\(y = x^2 − 4x − 5\), \(x = −2\), \(x = 4\)
曲線と \(x\) 軸の間の面積は、次の \(3\) つの手順で求められます。
まずは、曲線と \(x\) 軸との交点の \(x\) 座標を調べます。
通常放物線のグラフを書くときには軸や頂点の座標も求めますが、ここでは必要ありません。
曲線と \(x\) 軸の交点の \(x\) 座標は、
\(x^2 − 4x − 5 = 0\)
\((x + 1)(x − 5) = 0\) より
\(x = −1, 5\)
関係する曲線、直線をすべてグラフに書き込み、囲まれる部分を特定します。
このとき、各交点の \(x\) 座標はしっかりと書き込んでおきます。
求める面積 \(S\) は次のように図示できる。
求める面積は、①と②を足した面積であることがわかりましたね。
あとは、それぞれの積分区間、上の線と下の線の関係に注意して、定積分の計算をしましょう。
(見切れる場合は横へスクロール)
図から、求める面積は
\(\begin{align}S &= ① + ② \\\\&= \int_{−2}^{−1} (x^2 − 4x − 5) \ dx − \int_{−1}^4 (x^2 − 4x − 5) \ dx \\\\&= \left[ \frac{x^3}{3} − 2x^2 − 5x \right]_{−2}^{−1} − \left[ \frac{x^3}{3} − 2x^2 − 5x \right]_{−1}^4\\\\&= \left\{\left(−\frac{1}{3} − 2 + 5 \right) − \left( −\frac{8}{3} − 8 + 10 \right) \right\} − \left\{ \left( \frac{64}{3} − 32 − 20 \right) − \left( −\frac{1}{3} − 2 + 5 \right) \right\}\\\\&= \left(−\frac{1}{3} + 3 + \frac{8}{3} − 2\right) − \left( \frac{64}{3} − 52 + \frac{1}{3} − 3 \right)\\\\&= \frac{7}{3} + 1 − \frac{65}{3} + 55\\\\&= 56 − \frac{58}{3}\\\\&= \frac{168 − 58}{3}\\\\&= \frac{110}{3}\end{align}\)
答え: \(\color{red}{S = \displaystyle \frac{110}{3}}\)
例題②「2 曲線に囲まれた面積を求める」
もう \(1\) 問チャレンジです。
次の \(2\) 曲線で囲まれた図形の面積 \(S\) を求めよ。
\(y = x^2 − 3x + 2\), \(y = −x^2 + 2x + 5\)
\(2\) 曲線の間の面積は、次の \(3\) つの手順で求められます。
まずは、\(2\) 曲線の交点の \(x\) 座標を特定します。
\(2\) 曲線の交点の \(x\) 座標は
\(x^2 − 3x + 2 = −x^2 + 2x + 5\)
\(2x^2 − 5x − 3 = 0\)
\((2x + 1)(x − 3) = 0\)
よって \(\displaystyle x = −\frac{1}{2}, 3\)
簡単なグラフを書いて、面積を求める部分を見極めます。
\(2\) 曲線に囲まれた面積を求めるときは、「グラフの上下関係」と「交点の \(x\) 座標」だけがわかれば十分です。
求める面積 \(S\) は次のように図示できる。
あとは定積分を行うだけです。
この問題では、上の線と下の線の交点が積分区間の両端になっているので、\(\bf{\displaystyle \frac{1}{6}}\) 公式を使えます。
放物線と放物線の 1/6 公式
放物線 \(f(x) = a_1 x^2 + b_1 x + c_1\) および \(g(x) = a_2 x^2 + b_2 x + c_2\) の交点の \(x\) 座標が \(\alpha, \beta \ (\alpha < \beta)\) のとき、\(f(x)\) と \(g(x)\) に囲まれた部分の面積 \(S\) は
\begin{align}\displaystyle S = \frac{|a_1 − a_2|}{6} (\beta − \alpha)^3\end{align}
(見切れる場合は横へスクロール)
求める面積は
\(\begin{align}S &= \int_{−\frac{1}{2}}^3 \{(−x^2 + 2x + 5) − (x^2 − 3x + 2) \} \ dx\\\\&= \color{salmon}{\frac{|−1 − 1|}{6} \left\{ 3 − \left( −\frac{1}{2} \right) \right\}^3}\\\\&= \frac{2}{6} \left( \frac{7}{2} \right)^3\\\\&= \frac{1}{3} \cdot \frac{343}{8}\\\\&= \frac{343}{24}\end{align}\)
答え: \(\color{red}{S = \displaystyle \frac{343}{24}}\)
ちなみに、\(\displaystyle \frac{1}{6}\) 公式を使わないで地道に代入計算すると、次のようになります。
(見切れる場合は横へスクロール)
\(\begin{align}S &= \int_{−\frac{1}{2}}^3 \{(−x^2 + 2x + 5) − (x^2 − 3x + 2)\} \ dx\\\\&= \int_{−\frac{1}{2}}^3 (−2x^2 + 5x + 3) \ dx\\\\&= \left[ −\frac{2}{3} x^3 + \frac{5}{2} x^2 + 3x \right]_{−\frac{1}{2}}^3\\\\&= \left( −18 + \frac{45}{2} + 9 \right) − \left( \frac{1}{12} + \frac{5}{8} − \frac{3}{2} \right)\\\\&= −9 + \frac{45}{2} − \frac{1}{12} − \frac{5}{8} + \frac{3}{2}\\\\&= −9 + 24 − \frac{2 + 15}{24}\\\\&= 15 − \frac{17}{24}\\\\&= \frac{360 − 17}{24}\\\\&= \color{red}{\frac{343}{24}}\end{align}\)
\(\displaystyle \frac{1}{6}\) 公式を知っているとかなりお得だと実感できますね。
絶対値を含む定積分
次に、絶対値を含む関数の定積分の解き方について解説します。
\(\displaystyle S = \int_a^b |f(x)| \ dx\) について、
\(|f(x)| = \left\{\begin{array}{l}−f(x) (f(x) \leq \alpha)\\f(x) (f(x) \geq \alpha)\end{array}\right.\)
\(a \leq \alpha \leq b\) のとき、
\begin{align}S &= \int_a^b |f(x)| \ dx \\&= \int_a^\alpha (−f(x)) \ dx + \int_\alpha^b f(x) \ dx \end{align}
関数に絶対値記号がついたままでは積分できないので、場合分けして絶対値記号を外してから積分するのがルールです。
絶対値を含む定積分は、グラフを書いて面積として考えるとよりわかりやすいです。
例題「\(|x^2 – 3x + 2|\) の定積分を求める」
例題を通して、絶対値を含む定積分の解き方を説明します。
次の定積分を求めよ。
\(\displaystyle \int_0^4 |x^2 − 3x + 2| \ dx\)
絶対値の中身の符号に応じて場合分けし、絶対値記号を外します。
中身の関数をグラフに表すと、正負が簡単にわかります。
\(x^2 − 3x + 2 = (x − 1)(x − 2)\) より、
よって、
\(|x^2 − 3x + 2|\)
\(= \left\{\begin{array}{l}x^2 − 3x + 2 (x \leq 1, 2 \leq x)\\−(x^2 − 3x + 2) (1 \leq x \leq 2)\end{array}\right.\)
場合分けできたら、積分区間と照らし合わせてグラフを書き、面積を求める部分を特定します。
求める値は以下の塗りつぶした部分の面積に等しい。
各面積を定積分で求めます。
両端の \(2\) つは関数 \(x^2 − 3x + 2\) の積分、真ん中は関数 \(−(x^2 − 3x + 2)\) の積分であることに注意しましょう。
(見切れる場合は横へスクロール)
よって、
\(\displaystyle \int_0^4 |x^2 − 3x + 2| \ dx\)
\(\displaystyle = \int_0^1 (x^2 − 3x + 2) \ dx + \int_1^2 \{−(x^2 − 3x + 2)\} \ dx +\int_2^4 (x^2 − 3x + 2) \ dx\)
\(\displaystyle = \int_0^1 (x^2 − 3x + 2) \ dx − \int_1^2 (x − 1)(x − 2) \ dx + \int_2^4 (x^2 − 3x + 2) \ dx\)
\(\displaystyle = \left[ \frac{1}{3} x^3 − \frac{3}{2} x^2 + 2x \right]_0^1 − \left( −\frac{1}{6} \right) (2 − 1)^3 + \left[ \frac{1}{3} x^3 − \frac{3}{2} x^2 + 2x \right]_2^4\)
\(\displaystyle = \left\{ \left( \frac{1}{3} − \frac{3}{2} + 2 \right) − (0 − 0 + 0) \right\} + \frac{1}{6} + \left\{ \left( \frac{64}{3} − 24 + 8 \right) − \left( \frac{8}{3} − 6 + 4 \right) \right\}\)
\(\displaystyle = \frac{2 − 9 + 12}{6} + \frac{1}{6} + \left( \frac{56}{3} − 14 \right)\)
\(\displaystyle = \frac{5}{6} + \frac{1}{6} + \frac{56}{3} − 14\)
\(\displaystyle = \frac{56}{3} − 13\)
\(\displaystyle = \frac{56 − 39}{3}\)
\(\displaystyle = \frac{17}{3}\)
答え: \(\color{red}{\displaystyle \frac{17}{3}}\)
【参考】なぜ定積分が面積なのか
最後に、なぜ定積分の計算でグラフの面積を求められるのかを証明していきます。
以下に示す微分・積分の定義を用いて手品のように求められるので、よ〜く注意して証明過程を眺めてみてくださいね。
微分(導関数)の定義
\begin{align}\displaystyle f'(x) = \lim_{h \to 0} \frac{f(x + h) − f(x)}{h}\end{align}
積分の定義
\(\displaystyle \int f(x) \ dx = F(x) + C\)
\(\displaystyle \int_a^b f(x) \ dx = [F(x)]_a^b = F(b) − F(a)\)
(見切れる場合は横へスクロール)
区間 \(a \leq x \leq b\) で常に \(f(x) \geq 0\) である関数 \(y = f(x)\) を考える。
\(y = f(x)\) と \(x\) 軸の間で、\(x\) 座標が \(a\) から \(b\) までの部分の面積を \(S\)、\(a\) から \(x\) までの部分の面積を \(S(x)\) とおく。
\(x\) を \(h\) だけ移動させると、\(S(x)\) は
\(S(x + h) − S(x)\)
だけ増加する。
ここで、\(S(x + h) − S(x)\) は長方形①より大きく、長方形②よりも小さい。
よって、
\(h f(x) < S(x + h) − S(x) < h f(x + h)\)
両辺を \(h\) で割ると
\(\displaystyle f(x) < \frac{S(x + h) − S(x)}{h} < f(x + h)\)
ここで、\(x\) の移動量 \(h\) を限りなく \(0\) に近づける(\(h \to 0\) で極限をとる)と、
\(\displaystyle f(x) \leq \lim_{h \to 0} \frac{S(x + h) − S(x)}{h} \leq \lim_{h \to 0} f(x + h)\)
\(\displaystyle f(x) \leq \lim_{h \to 0} \frac{S(x + h) − S(x)}{h} \leq f(x)\)
はさみうちの原理より、
\(\displaystyle \lim_{h \to 0} \frac{S(x + h) − S(x)}{h} = f(x)\)
導関数の定義より
\(\displaystyle \lim_{h \to 0} \frac{S(x + h) − S(x)}{h} = S'(x)\)
であるから、
\(S'(x) = f(x)\)
が成り立ち、\(S(x)\) は関数 \(f(x)\) の原始関数といえる。
よって、\(f(x)\) の任意の不定積分を \(F(x)\) とすると、
\(S(x) = F(x) + C\) …(*)
と表せる(\(C\) は積分定数)。
(*) に \(x = a\) を代入すると、\(S(a) = 0\) から
\(0 = F(a) + C\)
\(C = −F(a)\)
これを (*) に代入すると
\(S(x) = F(x) − F(a)\)
ここに \(x = b\) を代入すると \(S\) に等しく、
\(\begin{align} S &= S(b) \\ &= F(b) − F(a) \end{align}\)
定積分の定義から、
\(\begin{align} S &= F(b) − F(a) \\ &= [F(x)]_a^b \\ &= \int_a^b f(x) \ dx \end{align}\)
以上より、面積 \(S\) は定積分 \(\displaystyle \int_a^b f(x) \ dx\) の値と一致する。
(証明終わり)
証明の途中で使った「はさみうちの原理」について説明しています。
はさみうちの原理とは?使い方やコツをわかりやすく解説!以上で終わりです!
定積分では、積分のあとに代入計算があるため、ぼーっとしていると計算が複雑になってしまうことがあります。
いつも「どうしたら計算が楽になるかな?」と考えながら、問題を解いていきましょう!