この記事では、「組み合わせ」の公式や計算方法をできるだけわかりやすく解説していきます。
問題の解き方や、重複組み合わせなどについても解説するので、この記事を通してぜひマスターしてくださいね!
目次
組み合わせ C とは?
組み合わせとは、人や物を選び出す/取り出すことです。
選び出すだけなので、選び出す順番や、選び出したものの並び順は考慮しません。
組み合わせを意味する英単語「Combination」の頭文字をとって記号「\(\mathrm{C}\)」で表します。
\(n\) 個の中から異なる \(r\) 個を取り出す組み合わせの場合の数は、
\begin{align}\color{red}{{}_n \mathrm{C}_r}\end{align}
「組み合わせ」とよく混同される「順列」との違いは別の記事で詳しく解説していますので、そちらもぜひご覧ください!

組み合わせには、通常の「組み合わせ」に加えて、「同じものを含む順列」「重複組み合わせ」など特殊な組み合わせが存在します。
次の章から順番に解説していきます。
組み合わせの公式
まずは通常の組み合わせの公式です。
異なる \(n\) 個のものの中から異なる \(r\) 個を取り出す場合の数は
\begin{align}\color{red}{{}_n \mathrm{C}_r} &\color{red}{= \displaystyle \frac{{}_n \mathrm{P}_r}{r!}}\\\\&\color{red}{= \displaystyle \frac{n!}{r!(n − r)!}}\\\\&\color{red}{= \displaystyle \frac{n(n − 1)(n − 2) … (n − r + 1)}{r(r − 1)(r − 2) … 1}}\end{align}
ある数から \(1\) までの整数の積のことを「階乗」といい、記号「\(!\)」で表現します。
\(n\) の階乗 \(n!\) は次のように計算できます。
\(n! = n(n − 1)(n − 2) \cdots 1\)
\(n\) 個から \(r\) 個を取り出す組み合わせでは、順列 \({}_n \mathrm{P}_r\) を \(r\) の階乗で割れば求められます。
\(r\) の階乗で割ることで、並べる(順番)という要素を排除しているのですね。
\(n\) や \(r\) で書かれるとわかりづらいのですが、このとき、分子と分母が \((n − r)!\) で相殺され、\(n\) から \(r\) 個分の階乗部分だけが分母に、\(r\) の階乗だけが分子に残ります。
例題「5 人から 2 人選ぶ」
実際にこの公式を使って \(1\) 問例題を解いてみましょう。
A、B、C、D、E の \(5\) 人の中から \(2\) 人を選ぶ組み合わせは何通りか。
組み合わせの公式を使って求めてみましょう。
\(5\) 人の中から \(2\) 人を選ぶ組み合わせなので、
\(\begin{align}{}_5 \mathrm{C}_2 &= \displaystyle \frac{{}_5 \mathrm{P}_2}{2!}\\\\&= \displaystyle \frac{5!}{3!2!}\\\\&= \displaystyle \frac{5 \cdot 4 \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1}{3 \cdot 2 \cdot 1 \cdot 2 \cdot 1}\\\\&= \displaystyle \frac{5 \cdot 4}{2}\\\\&= 10\end{align}\)
答え: \(10\) 通り
組み合わせ \({}_n \mathrm{C}_r\) の計算に慣れてきたら、\(n\) の階乗を \(r\) 個までで止め、\(r\) の階乗で割ると早く求められますよ。
(例)
- \({}_5 \mathrm{C}_1 = \displaystyle \frac{5}{1} = 5\)
\(5\) の階乗を \(1\) 個までで止め、\(1\) の階乗で割る - \({}_5 \mathrm{C}_3 = \displaystyle \frac{5 \cdot 4 \cdot 3}{3 \cdot 2 \cdot 1} = 10\)
\(5\) の階乗を \(3\) 個までで止め、\(3\) の階乗で割る
組み合わせの性質
組み合わせには、次の性質があります。
\begin{align}\color{red}{{}_n \mathrm{C}_r = {}_n \mathrm{C}_{n−r}}\end{align}
これは、\(n\) 個の中から \(r\) 個を選ぶことが、選ばない \((n − r)\) 個を決めることと同じになるからです。
選び出す数 \(r\) が大きいときにこの性質を使うと計算を楽にできるので、ぜひ活用してみてくださいね。
(例)
\({}_5 \mathrm{C}_5 = \displaystyle \frac{5 \cdot 4 \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1}{5 \cdot 4 \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1} = 1\)
→ \({}_5 \mathrm{C}_\color{red}{5} = {}_5 \mathrm{C}_\color{red}{0} = 1\)
\({}_5 \mathrm{C}_4 = \displaystyle \frac{5 \cdot 4 \cdot 3 \cdot 2}{4 \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1} = 5\)
→ \({}_5 \mathrm{C}_\color{red}{4} ={}_5 \mathrm{C}_\color{red}{1} = \displaystyle \frac{5}{1} = 5\)
同じものを含む順列
同じものを含む順列とは、並べるものの中に同じ種類のものが混じった状態で、それらを並べた順列のことです。
同じものを含む順列は、組み合わせの考え方で計算できます。
同じものが \(p\) 個、\(q\) 個、\(r\) 個、…ずつ含まれ、全部で \(n\) 個あるとする。
この \(n\) 個のものすべてを並べる順列の総数は
\begin{align}\color{red}{\displaystyle \frac{n!}{p! q! r! \cdots}}\end{align}
\begin{align}\color{red}{(p + q + r + \cdots = n)}\end{align}
「順列なのにどうして組み合わせの計算なの?」と疑問に思いますよね。
並べるものの中に同じものを含む場合には、同じもの同士を並び替える意味がなくなります。
同じものなので、並び替えても区別がつかないからです。
例えば、「赤玉 \(2\) 個、白玉 \(2\) 個、青玉 \(1\) 個を並べる方法」の総数を考えましょう。
順列の考え方で計算しようとすると、赤玉同士、白玉同士が区別されてしまい、正しく計算できません。
そこで、「\(5\) か所から赤玉を入れる \(2\) か所、白玉を入れる \(2\) か所、青玉を入れる \(1\) か所を選び取る」と考え方を変えるのです。
そうすると、「選び取る」、つまり組み合わせの考え方になります。
これを地道に計算すると次のようになります。
\(5\) か所から赤玉の \(2\) か所を選ぶと
\({}_5 \mathrm{C}_2\)(通り)
そのあと余った \(3\) か所から白玉の \(2\) か所を選ぶので
\({}_3 \mathrm{C}_2\)(通り)
残った \(1\) か所に青玉 \(1\) 個を入れるので \({}_1 \mathrm{C}_1 = 1\)(通り)
それぞれの場合の数をかけて、
\({}_5 \mathrm{C}_2 \times {}_3 \mathrm{C}_2 \times {}_1 \mathrm{C}_1\)
\(= \displaystyle \frac{5 \cdot 4}{2 \cdot 1} \times \displaystyle \frac{3 \cdot 2}{2 \cdot 1} \times \displaystyle \frac{1}{1}\)
\(= \color{red}{30}\)(通り)
一方、公式を使って計算すると次のようになります。
\(\displaystyle \frac{5!}{2!2!1!}\)
\(= \displaystyle \frac{5 \cdot 4 \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1}{2 \cdot 1 \cdot 2 \cdot 1 \cdot 1}\)
\(= \color{red}{30}\)(通り)
確かに計算結果が合いますね。
同じものを含む順列とよく混同されるものに「重複順列」があります。
重複順列は「重複を許すという条件で、異なる \(n\) 個のものから \(r\) 個取って並べた順列のこと」でした。
重複順列では、並べるものの個数を自由に選ぶことができ、また選んだものがほかのものと重複しても許されます。
詳しくは、「順列」の記事で説明しています。

実際に同じものを含む順列の例題を解いてみましょう。
例題①「2 種類の 5 つの文字を並べる」
アルファベット A が \(2\) 個、B が \(3\) 個あるとき、その並べ方は何通りあるか。
並べるものの個数が決まっており、その中に同じものを含むので「同じものを含む順列」です。
\(\displaystyle \frac{5!}{2!3!}\)
\(= \displaystyle \frac{5 \cdot 4 \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1}{2 \cdot 1 \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1}\)
\(= 10\)
答え: \(\color{red}{10}\) 通り
公式を使って簡単に求められましたね。
論理的に考えれば、\(5\) か所から \(A\) を入れる \(2\) か所を選ぶことになるので、\({}_5 \mathrm{C}_2\) と計算できます。
これを展開すると、
\({}_5 \mathrm{C}_2 = \color{red}{\displaystyle \frac{5!}{2!3!}}\)
となります。
同じもの \(2\) 種類を含む順列は、組み合わせの定義どおりの計算になるということですね。
(\(n\) 個の異なるスポットの中から、\(1\) 種類のものが入る \(r\) 個のスポットを選ぶ)
例題②「3 種類の 7 つの数字を並べる」
もう \(1\) 問解いてみましょう。
\(2、2、3、3、5、5、5\) の \(7\) つの数字を並べてできる \(7\) 桁の整数はいくつあるか。
例題①と同様に考えます。
\(7\) つの桁から、\(2\) 個の \(2\)、\(2\) 個の \(3\)、\(3\) 個の \(5\) が入る桁を選ぶので、
\(\displaystyle \frac{7!}{2!2!3!}\)
\(= \displaystyle \frac{7 \cdot 6 \cdot 5 \cdot 4 \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1}{2 \cdot 1 \cdot 2 \cdot 1 \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1}\)
\(= 7 \cdot 6 \cdot 5\)
\(= 210\)
答え: \(\color{red}{210}\) 個
また、うっかり公式を忘れてしまっても、組み合わせの考え方で論理的に解くこともできます。
\(7\) か所の中からまず \(2\) を入れる \(2\) か所を選び、残りの \(5\) か所の中から \(3\) を入れる \(2\) か所を選び、余った \(3\) か所に \(5\) を入れると考えると、
\(\begin{align}{}_7 \mathrm{C}_2 \times {}_5 \mathrm{C}_2 \times {}_3 \mathrm{C}_3 &= \displaystyle \frac{7!}{2!5!} \times \displaystyle \frac{5!}{2!3!} \times 1\\\\&= \color{red}{\displaystyle \frac{7!}{2!2!3!}}\end{align}\)
このように、途中から公式どおりの式が出てきます。
重複組み合わせの公式
重複組み合わせとは、異なる \(n\) 個のものから、重複を許して \(r\) 個を取り出す組み合わせです。
異なる \(n\) 個のものから重複を許して \(r\) 個を選ぶ組み合わせの総数は
\begin{align}\color{red}{{}_n \mathrm{H}_r = {}_{n + r − 1} \mathrm{C}_r}\end{align}
通常の組み合わせでは異なる \(r\) 個を選びますが、重複組み合わせでは同じものを選んでも構いません。
重複組み合わせの公式がどのようにして得られるのかを紹介しておきます。
「\(n\) 種類のものから重複を許して \(r\) 個選ぶ方法」は、「\(r\) 個のモノと \((n − 1)\) 個の仕切りを一列に並べる方法」と同じ場合の数になります。
すると、\(r + (n − 1) = n + r − 1\) 個の異なるスポットからモノを入れる \(r\) 個のスポットを選ぶ組み合わせの計算となり、 \(\color{red}{{}_{n + r − 1} \mathrm{C}_r}\) となるのです。
例題「3 種類の玉から 4 つ選ぶ」
実際にこの公式を使って \(1\) 問例題を解いてみましょう。
青、赤、黒の \(3\) 種類の玉がたくさんある。この中から \(4\) つの玉を選ぶときに得られる色のパターンが何通りあるか求めよ。
公式に当てはめて計算してみましょう。
\(3\) 種類のものから重複を許して \(4\) つ取り出す場合の数であるから、
\(\begin{align}{}_3 \mathrm{H}_4 &= {}_{3 + 4 − 1} \mathrm{C}_4\\\\&= {}_6 \mathrm{C}_4\\\\&= {}_6 \mathrm{C}_2\\\\&= \displaystyle \frac{6 \cdot 5}{2 \cdot 1}\\\\&= 15\end{align}\)
答え: \(15\) 通り
このように公式に数字を当てはめるだけで問題が解けるわけですが、正直、この公式はかなり覚えづらいと思います。
公式を覚えられるか不安な人は、モノと仕切りの考え方を理解しておいて、毎回そのやり方で解くのもアリでしょう。
例題をモノと仕切りの考え方で考えてみましょう。
「\(3\) 種類の玉から \(4\) つの玉を選ぶ方法」は、「◯ \(4\) つと仕切り \(2\) つを一列に並べる方法」と同じ場合の数となるので、
求める場合の数は
\({}_6 \mathrm{C}_4 = \displaystyle \frac{6!}{4!2!} = 15\)
答え: \(\color{red}{15}\) 通り
選ぶ個数をモノの数、(モノの種類 − \(\bf{1}\)) を仕切りの数と覚えておきましょう!
組み合わせの練習問題
ここまでの知識を使って、実際に問題を解いてみましょう。
練習問題①「男女から何人か選ぶ」
男子 \(5\) 人、女子 \(2\) 人がいます。
(1) この中から \(3\) 人を選ぶ組み合わせは何通りか。
(2) 少なくとも \(1\) 人女子を含んで \(3\) 人を選ぶ組み合わせは何通りか。
(1) で求めたいのは組み合わせなので、順列と混同しないように注意しましょう。
(2) のように、「少なくとも〜」を求めるときは余事象の考え方を使いましょう。
「余事象」については以下の記事で詳しく解説しています。

(1) \(7\) 人の中から \(3\) 人を選ぶ組み合わせの数は
\({}_7 \mathrm{C}_3 = \displaystyle \frac{7 \cdot 6 \cdot 5}{3 \cdot 2 \cdot 1} = 35\)
答え: \(35\) 通り
(2) 女子を \(1\) 人も選ばない組み合わせの数は、男子 \(5\) 人から \(3\) 人を選べばよいので
\({}_5 \mathrm{C}_3 = {}_5 \mathrm{C}_2 = \displaystyle \frac{5 \cdot 4}{2 \cdot 1} = 10\)
(1) より、\(7\) 人の中から \(3\) 人を選ぶ組み合わせの総数は \(35\) 通りであるから、
少なくとも \(1\) 人女子を含んで \(3\) 人を選ぶ組み合わせの数は
\(35 − 10 = 25\)
答え: \(25\) 通り
練習問題②「最短経路の数」
図のような縦または横の道を通って \(\mathrm{P}\) から \(\mathrm{Q}\) に行くとき、最短距離の経路は何通りあるか。
\(\mathrm{P}\) から \(\mathrm{Q}\) に移動するとき、上方向と右方向だけに移動すれば、最短距離で \(\mathrm{Q}\) に到達できます。
その場合、どの経路を通っても上方向の移動は \(4\) 回、右方向の移動は \(4\) 回、よって計 \(8\) 回の移動となりますね。
このことから、上方向の矢印 \(4\) 個と右方向の矢印 \(4\) 個の並び替えと考えることができます。
これは、同じものを含む順列の考え方ですね。
最短距離になるのは上方向に \(4\) 回、右方向に \(4\) 回移動するときであるから、
\(\displaystyle \frac{8!}{4!4!}\)
\(= \displaystyle \frac{8 \cdot 7 \cdot 6 \cdot 5 \cdot 4 \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1}{4 \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1 \cdot 4 \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1}\)
\(= \displaystyle \frac{8 \cdot 7 \cdot 6 \cdot 5}{4 \cdot 3 \cdot 2}\)
\(= 70\)
答え: \(70\) 通り
練習問題③「6 種類のお菓子を 3 人に分ける」
\(6\) 個の同じ種類のお菓子を \(3\) 人に分ける方法の総数は何通りか。
ただし \(1\) つもお菓子をもらえない人がいてもよいものとする。
問題文からは一見わかりづらいですが、これは重複組み合わせの問題です。
「\(6\) 個のお菓子に、異なる \(3\) 人の名前を重複を許して書く」と考えるとわかりやすいかもしれません。
公式が苦手な人は、モノと仕切りで考えましょう。
異なる \(3\) 人に重複を許して \(6\) 個のお菓子を分配する重複組み合わせであるから、
\(\begin{align}{}_3 \mathrm{H}_6 &= {}_{3 + 6 − 1} \mathrm{C}_6\\\\&= {}_8 \mathrm{C}_6\\\\&= {}_8 \mathrm{C}_2\\\\&= \displaystyle \frac{8 \cdot 7}{2 \cdot 1}\\\\&= \color{red}{28}\end{align}\)
解答 2(別解)
求める組み合わせは、◯ \(6\) つと仕切り \(2\) つを一列に並べる方法と等しいので
\(\displaystyle \frac{8!}{6!2!}\)
\(= \displaystyle \frac{8 \cdot 7 \cdot 6 \cdot 5 \cdot 4 \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1}{6 \cdot 5 \cdot 4 \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1 \cdot 2 \cdot 1}\)
\(= \displaystyle \frac{8 \cdot 7}{2}\)
\(= \color{red}{28}\)
答え: \(28\) 通り
以上で練習問題は終わりです。
組み合わせは確率を求める際にも必要となるので、しっかり理解しておくようにしましょう。
公式を丸暗記するだけでなく、いろいろな問題を解いて慣れていきましょう!