この記事では「順列」と「組み合わせ」の違いや見分け方をできるだけわかりやすく解説していきます。
この \(2\) つはよく混同されるので、この記事を通してしっかりマスターしてくださいね!
目次
順列と組み合わせの違い
順列と組み合わせの違いは、選び出した/取り出したものの並び順を考慮するかどうかです。
「順列」は取り出したものの並び順を考慮しますが、「組み合わせ」では並び順を考慮しません。
例えば \(5\) 人 (A , B , C , D , E) の中から \(2\) 人を選ぶ順列と組み合わせを考えると、人の選び方には A と B、B と C、C と D …などがありますね。
「順列」では AB と BA を区別しますが、「組み合わせ」では区別しません。
これが、順列と組み合わせの大きな違いです!
順列と組み合わせの基本公式
それぞれの意味と公式を軽くおさらいしておきましょう。
順列の公式
順列とは、人や物に順番をつけて \(1\) 列に並べることです。
異なる \(n\) 個のものの中から異なる \(r\) 個を取り出して \(1\) 列に並べる場合の数は
\begin{align}\color{red}{{}_n \mathrm{P}_r} \ &\color{red}{= \displaystyle \frac{n!}{(n − r)!}}\\\\&\color{red}{= n(n − 1)(n − 2) \cdots (n − r + 1)}\end{align}
上記の基本的な順列のほか、「円順列」「じゅず順列」「重複順列」についても説明しています。
順列 P とは?公式や計算問題の解き方(重複ありなど)
組み合わせの公式
組み合わせとは、人や物を選び出す/取り出すことです。
異なる \(n\) 個のものの中から異なる \(r\) 個を取り出す場合の数は
\begin{align}\color{red}{{}_n \mathrm{C}_r } \ &\color{red}{= \displaystyle \frac{{}_n \mathrm{P}_r}{r!}}\\\\&\color{red}{= \displaystyle \frac{n!}{r!(n − r)!}}\\\\&\color{red}{= \displaystyle \frac{n(n − 1)(n − 2) … (n − r + 1)}{r(r − 1)(r − 2) … 1}}\end{align}
上記の基本的な組み合わせのほか、「同じものを含む順列」「重複組み合わせ」についても説明しています。
組み合わせ C とは?公式や計算方法(◯◯は何通り?)
順列と組み合わせの見分け方
順列と組み合わせを見分けるポイントは以下の \(2\) 点です。
- 順番に並べるか
- 順番を変えると意味が変わるか
を考える!
「順番に並べる」「順番を変えると意味が変わる」ときは順列になります。
反対に、「順番に並べない」「順番を変えても意味が変わらない」ときは組み合わせになります。
例題を通して見分け方を身につけましょう。
例題①「3 桁の整数を作る」
次の問題は順列・組み合わせのどちらでしょうか。
\(9\) 個の数字 \(1 , 2 , 3 , 4 , 5 , 6 , 7 , 8 , 9\) から異なる \(3\) つの数字を選んでできる \(3\) 桁の整数はいくつあるか。
この問題では、選んだ \(3\) つの数字を順番に並べることで \(3\) 桁の整数を作ります。
同じ \(3\) つの数字を選んでも、順番を変えると別の整数になりますね。
(例)
\(1, 5, 9\) の数字を選ぶと、できる整数は
\(159, 195, 519, 591, 915, 951\) の \(6\) 通り
これらのことから、これは「順列」の問題です。
\(9\) 個の数字から異なる \(3\) 個の数字を取り出して並べる順列は
\({}_9 \mathrm{P}_3 = 9 \cdot 8 \cdot 7 = 504\)
答え: \(504\) 通り
例題②「男女から 3 人選ぶ」
それでは、次の問題は順列・組み合わせのどちらでしょうか。
男子 \(5\) 人(A、B、C、D、E)、女子 \(2\) 人(X、Y)がいます。
この中から \(3\) 人を選ぶ方法は何通りあるか。
この問題では、\(7\) 人の中から \(3\) 人を選ぶだけであり、選ぶ順番や並べる順番は関係ありません。
また「A さん、B さん、X さんを選ぶ」のと「X さん、A さん、B さんを選ぶ」のは意味が同じです。
これらのことから、この問題は「組み合わせ」の問題です。
\(7\) 人の中から \(3\) 人を選ぶ組み合わせは
\({}_7 \mathrm{C}_3 = \displaystyle \frac{7 \cdot 6 \cdot 5}{3 \cdot 2 \cdot 1} = 35\)
答え: \(35\) 通り
順列と組み合わせの練習問題
見分け方のポイント、「順番に並べるか」「順番を変えると意味が変わるか」に注意しながら、練習問題に挑戦しましょう。
練習問題①「3 役を選ぶ」
\(30\) 人のクラスから、学級委員長 \(1\) 人、副学級委員長 \(1\) 人、書記 \(1\) 人の \(3\) 人を選ぶ方法は何通りあるか。ただし、兼任は認めないものとする。
\(30\) 人のクラスから \(3\) 人を選び、左から学級委員長、副学級委員長、書記という順番で並べると、求めたい場合の数が求められます。
この \(3\) 人の順番が変われば役割が変わる、つまり「順列」です。
兼任は認めないことにも注意しましょう。
求めたい場合の数は、\(30\) 人のクラスから \(3\) 人を選び、この \(3\) 人を並べることで得られるから、
\({}_{30} \mathrm{P}_3 = 30 \cdot 29 \cdot 28 = 24360\)(通り)
答え: \(24360\) 通り
練習問題②「特定の人を選ぶ/選ばない」
\(8\) 人の男子(A 〜 H さん)、\(7\) 人の女子(I 〜 O さん)の計 \(15\) 人から、\(5\) 人の代表を選ぶ。
(1) 男子 \(2\) 人、女子 \(3\) 人の \(5\) 人を選ぶ方法は何通りあるか。
(2) 男子から A さんを含む \(3\) 人、女子から I さんを含む \(2\) 人を選ぶ方法は何通りあるか。
(3) A さんは選ばれ、C さんは選ばれない方法は何通りあるか。
この問題では、\(15\) 人から \(5\) 人を選ぶだけなので、選ぶ順番や並び順は考慮しません。
したがって、「組み合わせ」の問題です。
(1) \(8\) 人の男子から \(2\) 人を選ぶ場合の数は
\({}_8 \mathrm{C}_2 = \displaystyle \frac{8 \cdot 7}{2 \cdot 1} = 28\)
\(7\) 人の女子から \(3\) 人を選ぶ場合の数は
\({}_7 \mathrm{C}_3 = \displaystyle \frac{7 \cdot 6 \cdot 5}{3 \cdot 2 \cdot 1} = 35\)
よって、男子 \(2\) 人、女子 \(3\) 人の \(5\) 人を選ぶ場合の数は
\(28 \times 35 = 980\)
答え: \(980\) 通り
(2) 男子は A さんが選ばれることが決まっているので、残りの \(7\) 人から \(2\) 人を選ぶ場合の数は
\({}_7 \mathrm{C}_2 = \displaystyle \frac{7 \cdot 6}{2 \cdot 1} = 21\)(通り)
女子は I さんが選ばれることが決まっているので、残りの \(6\) 人から \(1\) 人を選ぶ場合の数は
\({}_6 \mathrm{C}_1 = \displaystyle \frac{6}{1} = 6\)(通り)
よって、男子から A さんを含む \(3\) 人、女子から I さんを含む \(2\) 人を選ぶ場合の数は
\(21 \times 6 = 126\)
答え: \(126\) 通り
(3) Aさんが選ばれること、C さんが選ばれないことが決まっているので、残りの \(13\) 人から \(4\) 人を選べばよい。
よって A さんは選ばれ、C さんは選ばれない場合の数は
\(\begin{align}{}_{13} \mathrm{C}_4 &= \displaystyle \frac{13 \cdot 12 \cdot 11 \cdot 10}{4 \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1}\\\\&= 13 \cdot 11 \cdot 5\\\\&= 715\end{align}\)
答え: \(715\) 通り
以上で練習問題は終わりです。
順列と組み合わせは混同されやすいですが、慣れれば簡単に見分けられるので、いろいろな問題を解いて経験を積みましょう!