比例式とは?比例式の作り方、計算問題や利用問題の解き方

この記事では、「比例式」の意味や計算方法をわかりやすく解説していきます。

比例式の作り方と解き方、比例式の利用問題についても説明していくので、ぜひこの記事を通してマスターしてくださいね!

 

比例式とは?

比例式とは、左辺と右辺の比(または比の値)が等しいことを示す式です。

比例式の定義

\(A\) に対する \(B\) の割合が、\(X\) に対する \(Y\) の割合と等しいとき、

比または比の値を使って

\begin{align}\color{red}{A : B = X : Y}\end{align}

\begin{align}\color{red}{\displaystyle \frac{A}{B} = \frac{X}{Y}}\end{align}

と表せる。

上記の等式を「比例式」という。


  • 数量の割合を \(A : B\) のように表したもの。
    特に、\(3\) つ以上の数の比は「連比」という(\(A : B : C\) など)。
    また、\(A\), \(B\) は「比の項」という。
  • 比の値
    比の後項に対する前項の割合(前項 \(\div\) 後項の値)。
    比 \(A : B\) の比の値は \(\displaystyle \frac{A}{B}\)。

 

比例式の性質

比例式には、次の性質があります。

比例式の性質

\(\color{red}{a : b = c : d}\) ならば \(\color{red}{ad = bc}\)

(比例式の内項の積と外項の積は等しい)

補足

比例式の外側にある項 \(a, d\) を「外項」、内側にある項 \(b, c\) を「内項」といいます。

 

この性質がなぜ成り立つのかは、比例式を比の値で表してみるとわかります。

\(a : b = c : d\) を比の値で書くと、

\(\displaystyle \frac{a}{b} = \frac{c}{d}\)

 

両辺に \(bd\) をかけると、

\(\displaystyle \frac{a}{b} \times bd = \frac{c}{d} \times bd\)

\(\color{red}{ad = bc}\)

このように、比例式を変形しただけということですね。

 

比例式の計算方法

例題を通して、比例式の計算方法を説明します。

例題①「比例式の解き方」

まずは、比例式の解き方を説明します。

例題①

次の比例式を解きなさい。

\(x : 5 = 36 : 20\)

 

「比例式を解く」とは、比例式に含まれる文字の値を求めるということです。

比例式の性質 \(a : b = c : d \iff ad = bc\) より、内項の積と外項の積が等しいことから \(x\) の値を求めます。

解答

 

比例式の性質より、

\(20x = 5 \times 36\)

\(x = \displaystyle \frac{5 \times 36}{20} = 9\)

 

答え: \(\color{red}{x = 9}\)

 

例題②「比例式の作り方」

今度は、文章題を読んで自分で比例式を作り、それを解く方法を説明します。

例題②

A さん、B さんが折った鶴の折り紙の合計は \(320\) 羽で、数の比は \(7\) : \(9\) でした。

比例式を立て、それぞれが折った鶴の数を求めなさい。

 

「(A さんが折った鶴の数) : (B さんが折った鶴の数) \(= 7 : 9\)」だけでは問題を解けません。

\(2\) 人の合計の比も入れた「連比」を立てるのがポイントです。

連比をなす \(3\) 項からどの \(2\) 項を取り出してもその比はくずれないことを利用して、A さん、B さんの鶴の数を順番に求めます。

解答

 

それぞれが折った鶴の数を \(a\), \(b\) 羽とすると、

\(a : b : 320 = 7 : 9 : 16\)

 

\(a : 320 = 7 : 16\) より

\(16a = 320 \times 7\)

\(a = \displaystyle \frac{320 \times 7}{16} = 140\)

 

\(b : 320 = 9 : 16\) より

\(16b = 320 \times 9\)

\(b = \displaystyle \frac{320 \times 9}{16} = 180\)

 

答え: 

A さん \(\color{red}{140}\) 羽、B さん \(\color{red}{180}\)

このように、連比は一部を取り出すこともできるので便利ですね。

 

比例式の利用問題【中学編】

比例式は、小学校・中学校ですでに習いましたね。

まずは、中学レベルの比例式の利用問題でおさらいです。

利用問題①「比例式を解く」

利用問題①

次の比例式を解きなさい。

\(3 : 8 = 12 : (15 + x)\)

 

\(15 + x\) で \(1\) つの数字ですね。比例式の性質(内項の積 = 外項の積)を利用しましょう!

解答

 

比例式の性質より、

\(3 \times (15 + x) = 8 \times 12\)

\(\begin{align}15 + x &= \frac{8 \times 12}{3} \\ &= 32 \end{align}\)

 

\(x = 32 − 15 = 17\)

 

答え: \(\color{red}{17}\)

 

利用問題②「相似比と比例式」

利用問題②

\(\triangle \mathrm{ABC}\) と \(\triangle \mathrm{DEF}\) は相似である。

このとき、\(x\) の値を求めなさい。

相似比を使って、辺の長さに関する比例式を作りましょう。

比例式を解けば、辺の長さが求められます。

解答

 

\(\triangle \mathrm{ABC}\) ∽ \(\triangle \mathrm{DEF}\) より、

\(\mathrm{BC} : \mathrm{EF} = 2 : 3\) なので、相似比は \(2 : 3\)

 

よって、

\(\mathrm{AB} : \mathrm{DE} = 2 : 3\)

\(5 : x = 2 : 3\)

 

比例式の性質より、

\(2x = 15\)

\(\displaystyle x = \frac{15}{2}\)

 

答え: \(\color{red}{\displaystyle \frac{15}{2}}\)

 

利用問題③「男女比の文章題」

利用問題③

あるクラスの生徒全員の人数は \(40\) 人で、男子と女子の人数の比は \(5 : 3\) です。

このとき、男子と女子の人数をそれぞれ求めなさい。

 

問題文の情報から、比例式を作りましょう。

このとき、求めたいものを文字でおくのがポイントです。

男子の人数を \(x\) とおくと、女子の人数は \((40 − x)\) とおけますね。

解答

 

男子の人数を \(x\) 人、女子の人数は \((40 − x)\) 人とおく。

 

人数の男女比が \(5 : 3\) なので、

\(x : (40 − x) = 5 : 3\)

 

比例式の性質より、

\(3x = 5(40 − x)\)

\(3x = 200 − 5x\)

\(8x = 200\)

\(x = 25\)

 

また、

\(40 − x = 40 − 25 = 15\)

 

答え: 男子 \(\color{red}{25}\) 人、女子 \(\color{red}{15}\)

 

比例式の利用問題【高校編】

比例式の扱い方は思い出してきましたか?

それではいよいよ、高校レベルの問題を解いていきましょう!

利用問題①「分数の比例式(3 つ)の値」

利用問題①

\(\displaystyle \frac{y + z}{x} = \frac{z + x}{y} =\frac{x + y}{z}\) のとき、この式の値を求めなさい。

 

こういった問題では、比例式を任意の文字で表すのがポイントです。

「\(\text{(与式)} = k\)」とおいて、\(k\) の値を求めていきましょう。

途中、場合分けが必要になります。

解答

 

\(\displaystyle \frac{y + z}{x} = \frac{z + x}{y} = \frac{x + y}{z} = k\) とおく。

 

\(\displaystyle \frac{y + z}{x} = k\) から、 \(y + z = xk\) …①

\(\displaystyle \frac{z + x}{y} = k\) から、 \(z + x = yk\) …②

\(\displaystyle \frac{x + y}{z} = k\) から、 \(x + y = zk\) …③

 

①②③の辺々を加えると、

\(y + z + z + x + x + y = xk + yk + zk\)

\(2(x + y + z) = (x + y + z)k\) …④

 

 

(i) \(x + y + z \neq 0\) のとき

④の両辺を \((x + y + z)\) で割ると、

\(k = 2\)

 

①②③に \(k = 2\) を代入すると、

\(y + z = 2x\), \(z + x = 2y\), \(x + y = 2z\)

 

これらを連立して解くと、

\(x = y = z\)

 

 

(ii) \(x + y + z = 0\) のとき

\(y + z = −x\)

 

①に代入すると、

\(−x = xk\)

\(k = −1\)

 

答え:

\(\color{red}{x + y + z \neq 0}\) のとき \(\color{red}{2}\)

\(\color{red}{x + y + z = 0}\) のとき \(\color{red}{−1}\)

 

利用問題②「分数の比例式(3 つ)の利用」

利用問題②

\(xyz \neq 0\) とする。

\(\displaystyle \frac{x + y}{3} = \frac{y + z}{4} = \frac{z + x}{5}\) のとき、\(\displaystyle \frac{x^3 + 2y^3 + z^3}{xyz}\) の値を求めなさい。

 

比例式を利用して何かの値を求める問題です。

この問題でも \(\text{(比例式)} = k\) とおいて、\(x, y, z\) を \(k\) で表してみましょう。

解答

 

\(xyz \neq 0\) より、\(x, y, z\) は \(0\) 以外の値をとる。

\(\displaystyle \frac{x + y}{3} = \frac{y + z}{4} = \frac{z + x}{5} = k\) \((k \neq 0)\) とおくと、

\(\left\{\begin{array}{l} x + y = 3k \text{…①}\\ y + z = 4k \text{…②}\\ z + x = 5k \text{…③}\end{array}\right.\)

 

①②③の辺々を加えると、

\(x + y + y + z + z + x = 3k + 4k + 5k\)

\(2(x + y + z) = 12k\)

\(x + y + z = 6k\) …④

 

④ − ①より、

\(z = 3k\)

 

④ − ②より、

\(x = 2k\)

 

④ − ③より、

\(y = k\)

 

よって、

\(\displaystyle \frac{x^3 + 2y^3 + z^3}{xyz}\)

 

\(\displaystyle = \frac{(2k)^3 + 2k^3 + (3k)^3}{2k \cdot k \cdot 3k}\)

 

\(\displaystyle = \frac{8k^3 + 2k^3 + 27k^3}{6k^3}\)

 

\(\displaystyle = \frac{37k^3}{6k^3}\)

 

\(\displaystyle = \frac{37}{6}\)

 

答え: \(\color{red}{\displaystyle \frac{37}{6}}\)

 

利用問題③「等式の証明」

利用問題③

\(\displaystyle \frac{a}{b} = \frac{c}{d}\) のとき、\(\displaystyle \frac{a + b}{a − b} = \frac{c + d}{c − d}\) が成り立つことを証明しなさい。

 

証明問題でもやはり、\(\text{(比例式)} = k\) とおくのが定石です!

証明したい等式を \(k\) だけで表す方向にもっていきましょう。

証明

 

\(\displaystyle \frac{a + b}{a − b} = \frac{c + d}{c − d}\) …(*)

 

\(\displaystyle \frac{a}{b} = \frac{c}{d} = k\) とおくと、

\(\left\{\begin{array}{l} a = bk \text{…①}\\ c = dk \text{…②}\end{array}\right.\)

 

①②を (*) の左辺に代入すると、

\(\displaystyle \frac{a + b}{a − b} = \frac{bk + b}{bk − b} = \frac{b(k + 1)}{b(k − 1)} = \frac{k + 1}{k − 1}\)

 

①②を (*) の右辺に代入すると、

\(\displaystyle \frac{c + d}{c − d} = \frac{dk + d}{dk − d} = \frac{d(k + 1)}{d(k − 1)} = \frac{k + 1}{k − 1}\)

 

よって、\(\displaystyle \frac{a + b}{a − b} = \frac{c + d}{c − d}\) が成り立つ。

 

(証明終わり)

以上で問題も終わりです!

 

比例式の作り方や解き方を覚えておくと、何気ないところでとても役に立ちます。

しっかりとマスターしておきましょう!

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