この記事では、「循環小数」の意味や記号を使った表し方をできるだけわかりやすく解説していきます。
循環小数を分数に直す方法や、反対に、分数を循環小数に直す方法も紹介していきますので、この記事を通してぜひマスターしてくださいね。
目次
循環小数とは?
循環小数とは、ある桁から同じ数字の列が無限に繰り返される小数のことです。
循環小数の例
例えば、次のような小数が循環小数です。
(例)
- \(0.3333\cdots\)
- \(0.123123123\cdots\)
「循環」とは、「同じものが繰り返される」という意味です。
繰り返される数字の列(\(1\) 周期)を「循環節」と呼びます。
\(0.3333\cdots\) なら循環節は「\(3\)」、\(0.123123123\cdots\) なら循環節は「\(123\)」ですね。
小数の分類
循環小数をもっと良く知るために、小数にはどんな種類があるかを見ていきましょう。
小数には、有限小数と無限小数の \(2\) 種類があります。
有限小数は長さが決まっているのに対し、無限小数は小数点以下がいつまでも続きます。
無限小数は、さらに循環小数と非循環小数の \(2\) 種類に分類できます。
循環小数は小数点以下の数が一定の規則で循環する一方、非循環小数は小数点以下の数がランダムに続いていき、繰り返しはありません。
また、有限小数と循環小数は有理数であり、非循環小数は無理数です。
有理数には、整数の分数で表せるという特徴があります。
意外ですが、実は無限に続く循環小数も分数で表すことができるのです!
すべての実数は、「有理数」と「無理数」に分けることができます。
有理数・無理数とは?違いと見分け方、証明問題も!
循環小数の記号による表し方
循環小数は無限に続く数なので、数を書き出すとキリがありません。
そこで、循環小数は繰り返している同じ数字の列の先頭の数字と最後の数字の上に「・」を付けることで表します。
実際に例題を見ながら、循環小数の記号を理解していきましょう。
次の循環小数を記号を用いて表しなさい。
(1) \(0.33333\cdots\)
(2) \(0.123123123\cdots\)
(3) \(0.4313131\cdots\)
(1) \(0.33333\cdots\)
数字の \(3\) が繰り返しています。このように \(1\) 桁の数字だけが続く場合は「・」を \(1\) つだけ使って次のように表します。
\(0.\dot{3}\)
(2) \(0.123 123 123\cdots\)
\(3\) 桁の \(123\) が繰り返しています。そこで先頭の \(1\) と、最後の \(3\) の上に「・」を書いて次のように表します。
\(0.\dot{1}2\dot{3}\)
(3) \(0.4 31 31 31\cdots\)
途中から同じ数が繰り返されている循環小数です。
その場合でも、繰り返される数の先頭と最後に「・」を書くようにします。
\(0.4\dot{3}\dot{1}\)
このように、「・」を使うことで循環小数を簡単に表せますね!
循環小数を分数に直す方法
循環小数は、分子と分母が共に整数である分数に直すことができます。
次の問題を例に、循環小数を分数に直す \(4\) つのステップを説明します。
まずは、循環小数を文字で表し、式①とします。
式①を循環節の桁数 \(k\) に応じて \(10^k\) 倍し、式②とします。
循環節が \(1\) 桁ならば \(10^1 = 10\) 倍、\(2\) 桁ならば \(10^2 = 100\) 倍、\(3\) 桁ならば \(10^3 = 1000\) 倍です。
例題では循環節 \(123\) が \(3\) 桁なので、①の両辺を \(1000\) 倍します。
①の両辺を \(1000\) 倍して、
\(1000x = 123.123123123\cdots\) …②
式② − 式①をします。
そうすることで、小数点以下の循環節が相殺され、両辺が整数で表されます。
② − ①より、
\(\begin{array}{rr} 1000x =& 123.123123123\cdots \\ − ) x =& 0.123123123\cdots \\ \hline 999x =& 123\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\, \end{array}\)
最後に、左辺が \(x\) になるように両辺を同じ数で割れば完成です!
\(x = \displaystyle \frac{123}{999} = \color{red}{\displaystyle \frac{41}{333}}\)
これで、循環小数を分数に直せました。
実際に \(\displaystyle \frac{41}{333}\) を計算(\(41 \div 333\))してみると、 \(0.123123\cdots\) になりますね。
分数を循環小数に直す方法
分数を循環小数に直すには、筆算で「\(\text{(分子)} \div \text{(分母)}\)」の割り算をするだけです。
このとき、「\(\text{(分子)} \div \text{(分母)}\)」は割り切れないので無限に続きますが、循環節がわかれば筆算を終了してOKです。
例題を見てみましょう。
\(\displaystyle \frac{137}{110}\) を循環小数で表しなさい。
筆算で \(137 \div 110\) の割り算をします。
\(4\) と \(5\) が繰り返されているので、循環節は「\(45\)」であることがわかります。
したがって答えは、\(1.2\dot{4}\dot{5}\) です。
循環節がわかるまで何桁でも筆算を続けてよいのですが、慣れてくれば循環節 \(2\) 周目の途中あたりで止めてよいでしょう。
循環小数の練習問題
それでは、今まで学習してきた方法を使って、実際に問題を解いてみましょう。
練習問題①「循環小数→分数への変換」
循環小数を分数に直す問題です。
循環節が \(1\) 桁なので、循環小数を \(x\) とした後に全体を \(10\) 倍してから引き算します。
\(x = 0.1555\cdots\) …① とおく。
①の両辺を \(10\) 倍して、
\(10x = 1.5555\cdots\) …②
② − ① より、
\(\begin{array}{rr}10x =& 1.5555\cdots \\−) x =& 0.1555\cdots \\ \hline 9x =& 1.4\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\end{array}\)
\(90x = 14\)
\(x = \displaystyle \frac{14}{90}= \displaystyle \frac{7}{45}\)
答え: \(\displaystyle \frac{7}{45}\)
練習問題②「循環小数→分数への変換」
循環小数 \(0.597597\cdots\) を分数に直しなさい。
これも循環小数を分数に直す問題です。
この場合は、循環節「\(597\)」は \(3\) 桁なので、循環小数を \(x\) とした後に全体を \(1000\) 倍してから引き算します。
\(x = 0.597597\cdots\) …① とおく。
①の両辺を \(1000\) 倍して、
\(1000x = 597.597597\cdots\) …②
② − ①より、
\(\begin{array}{rr} 1000x =& 597.597597\cdots \\ −) x =& 0.597597\cdots \\ \hline 999x =& 597\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\end{array}\)
\(x = \displaystyle \frac{597}{999} = \displaystyle \frac{199}{333}\)
答え: \(\displaystyle \frac{199}{333}\)
練習問題③「分数→循環小数への変換」
分数を循環小数に直す問題です。
\(\text{(分子)} \div \text{(分母)}\) をして、循環節を見極めます。
\(\displaystyle \frac{3}{7} = 0.428571 428571\)…
\(428571\) が繰り返すので、求める循環小数は \(0.\dot{4}2857\dot{1}\)
答え: \(0.\dot{4}2857\dot{1}\)
以上で練習問題も終わりです!
循環小数は数字がいつまでも続く少し不思議な数です。
ですが、コツさえ押さえれば分数に直したり、また分数に隠れている循環小数を見つけ出すことができます。
何回も練習問題などを反復して覚えるようにしてくださいね。