この記事では、「有理数」「無理数」の違いとその見分け方をできるだけわかりやすく解説していきます。
\(0\) の位置付けや簡単な問題なども紹介していきますので、この記事を通してぜひマスターしてくださいね。
目次
有理数・無理数とは?
有理数とは、整数のわり算、つまり分数で表せる実数です。
整数 \(\div\) 整数(または \(\displaystyle \frac{整数}{整数}\))にできる数すべてをいいます。
一方、無理数とは有理数ではない実数のことを指します。
有理数・無理数の定義
整数 \(a, b\)(ただし、\(b \neq 0\))を用いて、
\(\color{red}{a \div b}\) すなわち \(\color{red}{\displaystyle \frac{a}{b}}\) で表せる実数を有理数、表せない実数を無理数という。
有理数・無理数の具体例
有理数と無理数には、次のような数が含まれます。
有理数・無理数の違いと見分け方
有理数と無理数を見分けるには、ズバリ「分数(整数 \(\div\) 整数)にできるか」を調べます。
次の数は分数で表せるので、すべて有理数です。
- 整数
\(0\) を含め、整数はすべて分数で表せます。
(例)\(3 = \displaystyle \frac{3}{1}\) - 有限小数
有限小数も分数で表せますね。
(例)\(0.5 = \displaystyle \frac{1}{2}\)、\(− 0.25 = − \displaystyle \frac{1}{4}\) - 循環小数
無限に続く数ではありますが、これも分数に直せるので立派な有理数です。
(例) \(0.333333\cdots = \displaystyle \frac{1}{3}\)、\(− 0.133333\cdots = − \displaystyle \frac{2}{15}\)
一方、無限小数のうちの「非循環小数」は、分数で表すことができないので無理数です。
(例)
- \(\sqrt{2} = 1.41421356\cdots\) などの平方根
- 円周率 \(\pi = 3.141592\cdots\)
同じ無限小数でも、「循環小数」は有理数、「非循環小数」は無理数であることに注意しましょう。
有理数と無理数の練習問題
それではさっそく、イメージをつかむために練習してみましょう。
練習問題「有理数と無理数に分類」
以下の数字について、問いに答えなさい。
\(− 6、\sqrt{7}、\displaystyle \frac{4}{3}、\pi、0.134、\displaystyle \frac{11}{2}、0\)
(1) 有理数、無理数に分類しなさい。
(2) 整数、有限小数、無限小数に分類しなさい。
有理数は分数(整数 \(\div\) 整数)に直せる実数、無理数はそれ以外の実数でしたね。
また、小数のうち、有限小数は小数点以下が有限なもの、無限小数は無限に続くものです。
(2) では、それぞれの数字を小数であらわして、\(1\) つずつ確認してみましょう。
(1)
それぞれの数を分数に直すと、
- \(− 6 = − \displaystyle \frac{6}{1}\)
- \(\sqrt{7}\) (×)
- \(\displaystyle \frac{4}{3}\)
- \(\pi\)(×)
- \(0.134 = \displaystyle \frac{134}{1000}\)
- \(\displaystyle \frac{11}{2}\)
- \(0 = \displaystyle \frac{0}{1}\)
\(\sqrt{7}\) と \(\pi\) は分数にできないため、無理数である。
答え:
- 有理数 \(− 6、\displaystyle \frac{4}{3}、0.134、\displaystyle \frac{11}{2}、0\)
- 無理数 \(\sqrt{7}、\pi\)
(2)
それぞれの数を小数に直すと、
- \(− 6\)
- \(\sqrt{7} = 2.6457513\cdots\)
- \(\displaystyle \frac{4}{3} = 1.333333\cdots\)
- \(\pi = 3.141592\cdots\)
- \(0.134\)
- \(\displaystyle \frac{11}{2} = 5.5\)
- \(0 = \displaystyle \frac{0}{1} = 0\)
\(− 6\) と \(0\) は、小数点以下が \(0\) になる整数である。
\(\sqrt{7}\)、\(\displaystyle \frac{4}{3}\)、\(\pi\) は小数点以下の数字が無限に続く無限小数である。
答え:
- 整数 \(− 6、0\)
- 有限小数 \(0.134、\displaystyle \frac{11}{2}\)
- 無限小数 \(\sqrt{7}、\displaystyle \frac{4}{3}、\pi\)
有理数と無理数の証明問題
有理数と無理数について、だいたいのイメージはつかめてきたでしょうか。
最後に \(1\) つ、無理数の証明をしてみましょう。
証明問題「√3 が無理数であることを証明」
\(\sqrt{3}\) は無理数であることを証明せよ。
無理数の証明は、\(\sqrt{3}\) が有理数であるという仮定のもと、背理法を利用します。
\(\sqrt{3}\) は有理数であると仮定する。
このとき、互いに素な自然数 \(p, q\) を使い、
\(\sqrt{3} = \displaystyle \frac{q}{p}\) とおく。
両辺を二乗して根号を外すと、
\(3 = \left(\displaystyle \frac{q}{p}\right)^2\)
さらに、分母を移項し、
\(3p^2 = q^2\)
左辺が \(3\) の倍数となっているため、右辺 \(q^2\) も \(3\) の倍数である。
したがって、\(q\) も \(3\) の倍数となる。
このとき、\(n\) を自然数として \(q = 3n\) とすると、
\(3p^2 = 9n^2\)
右辺が \(9\) の倍数となっているため、左辺 \(3p^2\) も \(9\) の倍数である。
したがって、 \(p^2\) は \(3\) の倍数となり、 \(p\) も \(3\) の倍数となる。
以上は、\(p\) と \(q\) が互いに素であるということに矛盾している。
したがって、\(\sqrt{3}\) は無理数である。
(証明終わり)
以上で、すべての解説は終わりです!
有理数・無理数は、分数や小数に直してあげると違いがわかりやすいです。
とても大事な概念なので、よく慣れて、理解しておきましょう!