この記事では「二次関数のグラフ」の書き方について、できるだけわかりやすく解説していきます。
頂点や軸を求める公式や実際の問題も解説しますので、ぜひマスターしてくださいね。
二次関数のグラフの書き方
以下の例題を用いて、二次関数のグラフの書き方を解説します。
① グラフに必要な情報を集める
まずは、二次関数のグラフを書くのに必要な次の情報を集めます。
- 放物線の頂点と軸
- グラフの向き
- 軸との交点
次のステップで求めていきます。
まずは、与えられた式を平方完成します。
\(\begin{align}y &= x^2 + 6x + 5\\&= x^2 + 2 \cdot 3x + 5\\&= {(x^2 + 2 \cdot 3x + 9) − 9} + 5\\&= (x + 3)^2 − 9 + 5\\&= \color{salmon}{(x + 3)^2 − 4}\end{align}\)
平方完成した式から、頂点の座標と軸の方程式を求めます。
\(\begin{align}y &= x^2 + 6x + 5\\&= (x + 3)^2 − 4\end{align}\)
より、頂点の座標は \(\color{red}{(− 3 , − 4)}\)、軸は \(\color{red}{x = −3}\)
二次関数の頂点と軸
二次関数 \(y = ax^2 + bx + c\) を \(y = a(x − p)^2 + q\) と平方完成できるとき、
- 頂点の座標: \((p , q)\)
- 軸の方程式: \(x = p\)
次に、グラフの向きを求めます。
二次関数では、\(a\)(\(x^2\) の係数)の正負で向きが決まります。
\(a\) が正のときのグラフは下に凸となり、\(a\) が負のときは上に凸になります。
\(y = x^2 + 6x + 5\) の \(x^2\) の係数は \(+1\) なので、下に凸のグラフ
次に、二次関数のグラフと \(x\) 軸、\(y\) 軸との交点(\(x\) 切片、\(y\) 切片)をそれぞれ求めます。
\(\bf{x}\) 切片
\(x\) 軸との交点なので、\(y = 0\) を代入して \(x\) 座標を求めます。
このとき、平方完成した式ではなく、元の式で考えた方が計算が楽になります!
\(y = x^2 + 6x + 5\) に \(y = 0\) を代入すると、
\(x^2 + 6x + 5 = 0\)
\((x + 5)(x + 1) = 0\)
\(\color{red}{x = − 5, − 1}\)
よって、\(x\) 切片は \(\color{red}{(− 5, 0)}\) と \(\color{red}{(− 1, 0)}\)
\(\bf{y}\) 切片
\(y\) 軸との交点なので、\(x = 0\) のときの座標です。
一次関数の切片と同じで、元の式の定数項の部分が\(y\) 切片の値になります(\(y = ax^2 + bx + c\) の \(c\))。
\(y = x^2 + 6x + 5\) の \(y\) 切片は \(\color{red}{(0, 5)}\)
これで、必要な情報が集まりましたね。
- 頂点 \((−3 , − 4)\)、軸 \((x = −3)\)
- グラフの向きは下に凸
- \(x\) 切片 \((− 5 , 0)\), \((− 1 , 0)\)、\(y\) 切片 \((0 , 5)\)
② グラフを書く
必要な情報が集まったら、いよいよグラフを書きます。
まずは、グラフの下準備です。
\(x\) 軸と \(y\) 軸、原点 \(\mathrm{O}\) を書きます。
これまでに求めた以下の点をグラフに打ちましょう。
- 頂点:\((−3 , − 4)\)
- \(x\) 切片:\((− 5 , 0)\), \((− 1 , 0)\)
- \(y\) 切片:\((0 , 5)\)
点の位置はだいたいで大丈夫ですよ。
最後に、グラフに打った点をなめらかな曲線でつなぎ、放物線を描きます。
先ほど調べたとおり、下に凸のグラフになっていることを確認しましょう。
以上が二次関数のグラフの書き方でした!
分数や平方根が出てくる座標だと、点の位置関係に悩むときがあります。
そんなときは、どの整数と整数の間にくる数なのかを考えます。
概数がわかればもっと正確な位置に点を打てますが、数字の大小関係さえ合っていればだいたいの位置で大丈夫です!
(例)
\(\displaystyle x = \frac{3}{4}, \sqrt{5} − 1, \frac{9}{4}, \sqrt{15}\) の点を打つ
二次関数のグラフの練習問題
確認の意味も込めて、最後に二次関数のグラフを書く問題を \(1\) 問解いてみましょう。
練習問題「グラフの作成」
グラフを作るのに必要な情報を確実に集めてから、ていねいに仕上げましょう!
\(y = −4x^2 + 4x\) を平方完成すると、
\(\begin{align}y &= −4x^2 + 4x\\&= −4(x^2 − x)\\&= −4\left( x^2 − 2 \cdot \frac{1}{2} x\right)\\&= −4\left\{ \left(x^2 − 2 \cdot \frac{1}{2} x + \frac{1}{4} \right) − \frac{1}{4} \right\}\\&= −4\left\{ \left(x − \frac{1}{2} \right)^2 − \frac{1}{4} \right\}\\&= −4\left( x − \frac{1}{2} \right)^2 + 1\end{align}\)
よって、頂点の座標は \(\displaystyle \left( \frac{1}{2}, 1 \right)\)
また、\(x^2\) の係数が負(\(−4\))であることから、上に凸のグラフになることがわかる。
\(y = − 4x^2 + 4x\) に \(y = 0\) を代入して、
\(−4x^2 + 4x = 0\)
\(−4x(x − 1) = 0\)
\(x = 0, 1\)
よって、\(x\) 切片は \((0, 0)\), \((1, 0)\)
\(y = −4x^2 + 4x\) より、\(y\) 切片は \((0, 0)\)
答え:
以上で、解説は終わりです!
二次関数のグラフを書かせる問題は多いので、何回も練習して書けるようにしておきましょう。