この記事では、「二次関数」の定義や公式についてわかりやすく解説していきます。
二次関数における最大値・最小値の求め方、決定・場合分けなどの問題の解き方も詳しく説明していくので、ぜひマスターしてくださいね!
目次
二次関数とは?
二次関数とは、\(y\) が \(x\) の二次式で表せる関数のことです。
一般に、任意の定数 \(a, b, c\) \((a \neq 0)\) を使って「\(\color{red}{y = ax^2 + bx + c}\)」と表すことができます。
二次関数の向きとかたち
二次関数のグラフは、左右対称な放物線になるという特徴があります。
放物線の向きは、\(x^2\) の係数 \(a\) の正負によって決まります。
放物線のアーチが下にくる場合を「下に凸」、上にくる場合を「上に凸」と表現します。
また、放物線の開き具合も \(a\) の大きさによって決まります。
\(a\) が大きくなるほど、スリムなグラフになりますね。
このように、二次関数の向きやかたちは \(a\) によって決まります。
よって、\(y = 2x^2\) でも \(y = 2x^2 + x + 3\) でも放物線のかたちは同じで、平行移動されただけと考えることができます。
なお、「二次関数のグラフの書き方」は以下の記事で詳しく説明しています。

二次関数の平行移動
一般的に、二次関数の平行移動は次のように表せます。
\(y = ax^2\) の二次関数のグラフで、\(x\) 軸方向に \(p\)、\(y\) 軸方向に \(q\) だけ平行移動したグラフは、
\begin{align}\color{red}{y = a(x − p)^2 + q}\end{align}
「グラフの平行移動」については、以下の記事で詳しく説明しています。

二次関数の頂点と軸(平方完成)
放物線のアーチのてっぺんを「頂点」、てっぺんを通る中心軸のことを「軸」と呼びます。
頂点と軸は、関数を平方完成すると次のように求めることができます。
二次関数 \(y = ax^2 + bx + c\) を \(y = a(x − \color{red}{p})^2 + \color{red}{q}\) と平方完成できるとき、
\(y = ax^2 + bx + c\) の頂点の座標および軸の方程式は次のとおりとなる。
- 頂点の座標: \(\color{red}{(p , q)}\)
- 軸の方程式: \(\color{red}{x = p}\)
「平方完成」について忘れてしまった人は、以下の記事で復習しておきましょう。

二次関数の切片
また、放物線が \(y\) 軸と交わる点を「切片」といいます。
これは一次関数などと同じで、\(x = 0\) のときの座標ですね。
二次関数 \(y = ax^2 + bx + c\) の切片の座標は、
\begin{align}\color{red}{(0, c)}\end{align}
二次関数の傾きと変化の割合
一次関数 \(y = ax + b\) では \((\text{傾き}) = (\text{変化の割合}) = a\) と習いましたが、二次関数ではどうでしょうか?
二次関数の傾きと変化の割合は、グラフ上の点の位置によって変化します。
つまり、二次関数における傾きや変化の割合は係数 \(a\) とはまったく関係ないので注意しましょう。
二次関数の公式
二次関数は、以下の \(3\) とおりの方法で表すことができます。
- 一般形 \(y = ax^2 + bx + c\)
- 標準形 \(y = a(x − p)^2 + q\)
- 因数分解形 \(y = a(x − \alpha)(x − \beta)\)
(\(y = 0\) が実数解をもつ、すなわちグラフが \(x\) 軸と共有点をもつ場合のみ)
問題でわかっている情報に応じて、上記の公式を使い分けて二次関数を表現するのが大切です(→ 二次関数の決定の問題)。
以上が二次関数の特徴や公式でした。
次の章から、二次関数のさまざまな問題の解き方を説明していきます!
二次関数の基本問題
まずは、二次関数の基本問題の解き方を解説します。
基本問題①「座標の求め方」
\(f(x) = x^2 − 4x + 3\) において、\(f(−2)\) を求めよ。
ある関数のことを、関数 Function の頭文字をとって「\(f(□)\)」と表します。
\(x\) についての関数なら \(f(x)\)、\(z\) についての関数なら \(f(z)\) ですね。
横軸に \(x\)、縦軸に \(f(x)\) の値をとるグラフを「\(y = f(x)\)」と表現できます。
\(f(−2)\) とは、関数 \(f(x)\) に \(x = −2\) を代入したときの値ですね。
\(\begin{align} f(−2) &= (−2)^2 − 4 \cdot (−2) + 3 \\ &= 4 + 8 + 3 \\ &= 15 \end{align}\)
答え: \(\color{red}{f(−2) = 15}\)
基本問題②「定義域・値域の求め方」
次の関数の値域を求めよ。
\(y = 2x^2 − 4x + 5\) \((−1 < x \leq 4)\)
二次関数は放物線なので、定義域の両端が値域の両端になるとは限りません。
定義域や値域を求める問題では、頂点がどこにあるかを必ず把握しましょう。
グラフを書くとわかりやすいです。
その際、範囲の「\(<\)(より大きい)」を黒丸、「\(\leq\)(以上)」を白丸にするなど、明確に書き分けましょう。
\(\begin{align} y &= 2x^2 − 4x + 5 \\ &= 2(x − 1)^2 − 2 + 5 \\ &= 2(x − 1)^2 + 3 \end{align}\)
よって、頂点 \((1, 3)\)、下に凸の放物線である。
\(x = −1\) のとき、\(y = 2(−1 − 1)^2 + 3 = 11\)
\(x = 4\) のとき、\(y = 2(4 − 1)^2 + 3 = 21\)
\(−1 < x \leq 4\) の範囲でグラフを書くと、以下のようになる。
よって、
\(x = 4\) のとき 最大値 \(21\)、
\(x = 1\) のとき 最小値 \(3\) をとる。
したがって、
求める値域は \(3 \leq y \leq 21\)
答え: \(\color{red}{3 \leq y \leq 21}\)
二次関数の最大値・最小値の問題
二次関数の最大値・最小値を求める問題では、「頂点を調べること」「グラフを書くこと」が最大のポイントです。
複雑な条件を考えるときでも、グラフのかたちがイメージできていれば対処できます。
基本的な問題と、場合分けが必要な問題の解き方を解説します。
練習問題①「場合分けなし」
次の関数の最大値および最小値を求めよ。
\(y = −x^2 + 6x − 2\)
定義域がないので、関数全体を考えます。
この場合は、頂点と放物線の向きを求めるだけで最大値・最小値がわかりますね。
\(\begin{align} y &= −x^2 + 6x − 2 \\ &= −(x − 3)^2 + 9 − 2 \\ &= −(x − 3)^2 + 7 \end{align}\)
よって、頂点 \((3, 7)\)、上に凸の放物線である。
よって、\(x = 3\) のとき 最大値 \(7\) をとり、最小値はない。
答え: 最大値 \(\color{red}{7}\)、最小値なし
練習問題②「場合分けあり」
\(a\) が定数、\(f(x) = x^2 − 2ax + 4\) \((1 \leq x \leq 3)\) の最小値を \(m\) とするとき、\(m\) を \(a\) の式で表せ。
関数や定義域に文字が含まれるときは、場合分けが必要です。
この二次関数は軸が \(x = a\) なので、軸の位置によって最小値が異なります。
定義域との関係から、次の \(3\) 通りに場合分けできます。
解答を書き始める前に、このように簡単なグラフを書いて考えるとわかりやすいですよ。
範囲の境目で、\(\leq\) と \(<\) のどちらを使うかで悩むことがありますね。
基本的に、範囲の抜けもれがなければどちらでも構いません。
また、できれば範囲のダブりもない方がよいでしょう。
- \(a < 1\), \(1 \leq a \leq 3\), \(3 < a\) (OK!)
- \(a \leq 1\), \(1 < a < 3\), \(3 \leq a\) (OK!)
- \(a \leq 1\), \(1 < a \leq 3\), \(3 < a\) (OK!)
- \(a < 1\), \(1 \leq a < 3\), \(3 \leq a\) (OK!)
- \(a < 1\), \(1 < a \leq 3\), \(3 < a\) (×: \(a = 1\) が抜けている)
- \(a < 1\), \(1 \leq a \leq 3\), \(3 \leq a\) (△: \(a = 3\) がダブっている)
\(\begin{align} f(x) &= x^2 − 2ax + 4 \\ &= (x − a)^2 − a^2 + 4 \end{align}\)
より、
軸 \(x = a\), 頂点 \((a, −a^2 + 4)\)
\(a\) の範囲によって、次の \(3\) 通りに場合分けできる。
(i) \(a < 1\) のとき
\(x = 1\) で最小値をとる。
\(\begin{align} m &= f(1) \\ &= 1 ^2 − 2a \cdot 1 + 4 \\ &= −2a + 5 \end{align}\)
(ii) \(1 \leq a \leq 3\) のとき
頂点で最小値をとる。
\(\begin{align} m &= f(a) \\ &= −a^2 + 4 \end{align}\)
(iii) \(3 < a\) のとき
\(x = 3\) で最小値をとる。
\(\begin{align} m &= f(3) \\ &= 3^2 − 2a \cdot 3 + 4 \\ &= −6a + 13 \end{align}\)
(i) ~ (iii) より、
\(a < 1\) のとき \(m = −2a + 5\)
\(1 \leq a \leq 3\) のとき \(m = −a^2 + 4\)
\(3 < a\) のとき \(m = −6a + 13\)
となる。
答え:
\(\color{red}{m = \cases{−2a + 5 & ($a < 1$) \cr −a^2 + 4 & ($1 \leq a \leq 3$) \cr −6a + 13 & ($3 < a$)}}\)
二次関数の決定の問題
二次関数の決定(与えられた条件を満たす二次関数を求める問題)の解き方を説明します。
二次関数の決定の問題では、与えられた条件に応じて適切な公式を選ぶことがポイントです。
- 関数が通る \(3\) 点が与えられた場合
→ \(\color{red}{y = ax^2 + bx + c}\) とおく! - 頂点 \((p, q)\) または軸 \(x = p\) が与えられた場合
→ \(\color{red}{y = a(x − p)^2 + q}\) とおく! - \(x\) 軸との交点 \((\alpha, 0)\), \((\beta, 0)\) が与えられた場合
→ \(\color{red}{y = a(x − \alpha)(x − \beta)}\) とおく!
あとは、連立方程式のように未知の係数を求めていくだけです。
練習問題①「3 点を通る二次関数」
\(3\) 点 \((1, −6)\), \((−2, 9)\), \((3, 4)\) を通る二次関数を求めよ。
関数が通る \(3\) 点が与えられているので、求める二次関数を \(y = ax^2 + bx + c\) とおきましょう。
求める二次関数を
\(y = ax^2 + bx + c\)
とおく。
\((1, −6)\), \((−2, 9)\), \((3, 4)\) をそれぞれ代入すると、
\(\left\{\begin{array}{l} −6 = a + b + c \text{…①}\\ 9 = 4a − 2b + c \text{…②}\\ 4 = 9a + 3b + c \text{…③}\end{array}\right.\)
② − ①より、
\(15 = 3a − 3b\)
\(5 = a − b\) …④
③ − ①より、
\(10 = 8a + 2b\)
\(5 = 4a + b\) …⑤
④ + ⑤より、
\(10 = 5a\)
\(a = 2\)
\(a = 2\) を④に代入して、
\(5 = 2 − b\)
\(b = −3\)
\(a = 2\), \(b = −3\) を①に代入して、
\(−6 = 2 − 3 + c\)
\(c = −5\)
よって、求める二次関数は、
\(y = 2x^2 − 3x − 5\)
答え: \(\color{red}{y = 2x^2 − 3x − 5}\)
練習問題②「頂点と 1 点を通る二次関数」
点 \((1, 3)\) を頂点とし、点 \((4, −6)\) を通る二次関数を求めよ。
頂点の座標が与えられているので、求める二次関数を \(y = a(x − p)^2 + q\) とおきましょう。
頂点が \((1, 3)\) であるから、
求める二次関数は
\(y = a(x − 1)^2 + 3\)
とおける。
点 \((4, −6)\) を通るので、
\(−6 = a(4 − 1)^2 + 3\)
\(−6 = 9a + 3\)
\(9a = −9\)
\(a = −1\)
よって、求める二次関数は
\(\begin{align} y &= −(x − 1)^2 + 3 \\ &= −x^2 + 2x + 2 \end{align}\)
答え: \(\color{red}{y = −x^2 + 2x + 2}\)
練習問題③「x 軸と交わり 1 点を通る二次関数」
\(x\) 軸と点 \((−4, 0)\), \((1, 0)\) で交わり、点 \((−3, 4)\) を通る二次関数を求めよ。
\(x\) 軸との \(2\) 交点が与えられているので、求める二次関数を \(y = a(x − \alpha)(x − \beta)\) とおきましょう。
\(x\) 軸との交点が \((−4, 0)\), \((1, 0)\) であるから、
求める二次関数は
\(y = a(x + 4)(x − 1)\)
とおける。
点 \((−3, 4)\) を通るので、
\(4 = a(−3 + 4)(−3 − 1)\)
\(4 = a \cdot 1 \cdot (−4)\)
\(4 = −4a\)
\(a = −1\)
よって、求める二次関数は
\(\begin{align} y &= −(x + 4)(x − 1) \\ &= −x^2 − 3x + 4\end{align}\)
答え: \(\color{red}{y = −x^2 − 3x + 4}\)
二次関数のグラフと判別式
二次関数のグラフと、二次方程式の判別式 \(D\) には次のような関係があります。
二次関数 \(y = ax^2 + bx + c\) と \(x\) 軸 \((y = 0)\) との共有点の個数は、二次方程式 \(ax^2 + bx + c = 0\) の実数解の個数に等しい。
\(ax^2 + bx + c = 0\) の判別式を \(D\) とすると、
- \(D > 0\) のとき
異なる \(2\) つの共有点をもつ - \(D = 0\) のとき
\(1\) つの共有点をもつ(二次関数は \(x\) 軸と接する) - \(D < 0\) のとき
共有点をもたない(\(0\) 個)
「二次関数のグラフと判別式 \(D\) の問題」については、以下の記事で詳しく解説しています。

以上で二次関数の解説は終わりです。
二次関数は高校数学の中でも重要な内容なので、いろいろな問題に対応できるようにしておきましょう!
めっちゃわかりやすかったです。
コメントありがとうございます。
わかりやすかったとのこと、なによりです!
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勉強わからない俺でもかなりわかりやすかったです!ありがとうございます!!
この度はコメントいただきありがとうございます。
当サイト記事がお役に立てておりましたら何よりです。
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