この記事では、「群数列」についてわかりやすく解説していきます。
問題の解き方やコツをさまざまな例題(奇数、偶数、分数を含むものなど)で説明していきますので、ぜひこの記事を通してマスターしてくださいね。
目次
群数列とは?
群数列とは、ある数列を一定のルールで群に区切ってできる新たな数列のことです。
群が増えるにしたがって各群に属する項数も増えていくものがよく出題されます。
群数列の解き方とコツ
群数列の問題を解くコツは、ズバリ情報整理です。
元の数列や群の規則性を見つけるのはそこまで難しくないので、いかにそれらの情報を整理できるかが最大のポイントになります。
問題から、以下の情報を得て整理しましょう。
- 元の数列の一般項 \(\bf{a_n}\)
- 各群の項数
- 各群の最初の項
- 各群の項の和
実際に例題を見てみましょう。
奇数の数列を
\(1 \mid 3, 5 \mid 7, 9, 11 \mid 13, 15, 17, 19 \mid 21, \cdots\)
のように第 \(n\) 群が \(n\) 個の数を含むように分けるとき、次の問いに答えよ。
(1) 第 \(n\) 群の最初の奇数
(2) 第 \(n\) 群の総和
(3) \(301\) は第何群の何番目に並ぶ数か。
群数列の情報を整理するには、以下のような表を作るのがオススメです。
第 \(1\) ~ \(3\) 群までと、第 \(n\) 群(とその前後)あたりに着目すれば必要な情報はそろいます。
あとは、設問に関係する部分を埋めていきましょう。
例題(1)「第 n 群の最初の奇数」
第 \(n\) 群の初項が元の数列の何項目なのかを調べれば、元の数列の一般項から答えが求められますね。
元の数列と群数列で文字がかぶると混乱する人は、元の数列を別の文字(\(k\) など)で表してみましょう。
(1)
\(k\) を自然数とすると、
全体の \(k\) 番目の奇数は \(2k − 1\) …①
\(n \geq 2\) のとき、第 \(n − 1\) 群までにある奇数の個数は
\(\displaystyle 1 + 2 + 3 + \cdots + (n − 1) = \frac{1}{2} n(n − 1)\)
よって、第 \(n\) 群の最初の奇数は \(\displaystyle \frac{1}{2} n(n − 1) + 1\) 番目の奇数であるから、①より
\(\displaystyle 2 \left\{ \frac{1}{2} n(n − 1) + 1 \right\} − 1 = n^2 − n + 1\)
\(1^2 − 1 + 1 = 1\) より、\(n = 1\) のときも成り立つ。
答え: \(\color{red}{n^2 − n + 1}\)
例題(2)「第 n 群の総和」
(1) で得た情報を、表に追加しましょう。
今回は等差数列の和なので、第 \(n\) 群の総和は第 \(n\) 群の「初項」「公差」「項数」から求められますね。
(2)
第 \(n\) 群は、初項 \(n^2 − n + 1\)、公差 \(2\)、項数 \(n\) の等差数列をなすから、
その総和は
\(\displaystyle \frac{1}{2} n \{2(n^2 − n + 1) + (n − 1) \cdot 2\}\)
\(\displaystyle = \frac{1}{2} n(2n^2 − 2n + 2 + 2n − 2)\)
\(\displaystyle = \frac{1}{2} n \cdot 2 n^2\)
\(= n^3\)
答え: \(\color{red}{n^3}\)
等差数列の和
初項 \(a\)、末項 \(l\)、公差 \(d\)、項数 \(n\) の等差数列の和 \(S_n\) は
\begin{align}S_n = \displaystyle \frac{1}{2}n(a + l)\end{align}
または
\begin{align}S_n = \displaystyle \frac{1}{2}n\{2a + (n − 1)d\}\end{align}
等差数列をわかりやすく解説!一般項や和の公式の覚え方
例題(3)「◯ は第何群の何番目」
具体的な項の項番を求める問題では、その項が属する群を文字でおき、
\(\mathrm{(属する群の初項)} \) \(\leq \mathrm{(求めたい項)} < \mathrm{(その次の群の初項)}\)
という不等式を立てます。
属する群がわかったら、一般項から項数を求めましょう。
(3)
\(301\) は第 \(n\) 群の \(m\) 番目の奇数であるとすると
\(n^2 − n + 1 \leq 301 < (n + 1)^2 − (n + 1) + 1\)
(見切れる場合は横へスクロール)
各辺から \(1\) を引いて
\(n(n − 1) \leq 300 < (n + 1)\{(n + 1) − 1\}\)
\(n(n − 1) \leq 300 < (n + 1)n\) …②
\(n \geq 1\) より \(n(n − 1)\), \((n + 1)n\) は単調に増加し、
\(17 \cdot 16 = 272\), \(18 \cdot 17 = 306\) より、
\(n = 17\) のときのみ②を満たす。
第 \(17\) 群の初項は \(17^2 − 17 + 1 = 273\)、
公差は \(2\) であるから
\(301 = 273 + (m − 1) \cdot 2\)
よって \(m = 15\)
したがって、\(301\) は第 \(17\) 群の \(15\) 番目に並ぶ数である。
答え: 第 \(\color{red}{17}\) 群の \(\color{red}{15}\) 番目
いかがですか?
群数列で問われる問題のパターンはある程度決まっているので、何度か練習すれば必ず解けるようになるはずです!
群数列の練習問題
それでは、群数列の練習問題に挑戦しましょう。
練習問題①「第 n 群が n 個の項をもつ群数列」
第 \(n\) 群が \(n\) 個の数を含む群数列
\(\{1\}\), \(\{2, 3\}\), \(\{3, 4, 5\}\), \(\{4, 5, 6, 7\}\), \(\{5, 6, 7, 8, 9\}\), \(\cdots\)
に対し、
数列 \(1, 2, 3, 3, 4, 5, 4, 5, 6, 7, 5, 6, 7, 8, 9, \cdots\) を \(a_n\) とする。
(1) 数列 \(\{a_n\}\) に初めて \(99\) が現れるのは第何項か。
(2) 数列 \(\{a_n\}\) の第 \(1999\) 項は群数列における第何群の第何項か。また、その数を求めよ。
群数列の規則をよく見ると、奇数の項が初めて現れるタイミングには特徴があります。
その規則を利用して求めましょう。
(1)
群数列の第 \(k\) 群までに現れる数の個数は
\(\displaystyle 1 + 2 + 3 + \cdots + k = \frac{1}{2} k(k + 1)\)
よって第 \(k\) 群の末項は数列 \(\{a_n\}\) の第 \(\displaystyle \frac{1}{2} k(k + 1)\) 項である。
第 \(k\) 群は \(k, k + 1, k + 2, \cdots, 2k − 1\) で構成されるから、
\(99\) が第 \(k\) 群の末項であるとすると、
\(2k − 1 = 99\)
\(k = 50\)
よって、第 \(50\) 群の末項に初めて \(99\) が現れる。
\(\displaystyle \frac{1}{2} \cdot 50 \cdot 51 = 1275\) より
数列 \(\{a_n\}\) に初めて \(99\) が現れるのは第 \(1275\) 項
答え: 第 \(\color{red}{1275}\) 項
(2)
第 \(1999\) 項が第 \(l\) 群 \((l \geq 2)\) にあるとすると、
\(\displaystyle \frac{1}{2} (l − 1)l < 1999 \leq \frac{1}{2} l(l + 1)\)
\((l − 1)l < 3998 \leq l(l + 1)\)
\(l \geq 2\) より、これを満たすのは \(l = 63\)
このとき、
\(\displaystyle \frac{1}{2} (l − 1)l = \frac{1}{2} \cdot 62 \cdot 63 = 1953\) より
\(1999 − 1953 = 46\)
よって数列 \(\{a_n\}\) の第 \(1999\) 項は群数列において第 \(63\) 群の第 \(46\) 項である。
また、その数は
\(63 + (46 − 1) \cdot 1 = 108\)
答え:
第 \(\color{red}{63}\) 群の第 \(\color{red}{46}\) 項、\(\color{red}{a_{1999} = 108}\)
練習問題②「分数の群数列」
\(2\) の累乗を分母とする既約分数を次のように並べた数列について、以下の問いに答えよ。
\(\displaystyle \frac{1}{2}, \frac{1}{4}, \frac{3}{4}\), \(\displaystyle \frac{1}{8}, \frac{3}{8}, \frac{5}{8}, \frac{7}{8}\), \(\displaystyle \frac{1}{16}, \frac{3}{16}, \frac{5}{16}, \cdots, \frac{15}{16}\), \(\displaystyle \frac{1}{32}, \cdots\)
(1) \(\displaystyle \frac{13}{128}\) はこの数列の第何項か。
(2) 第 \(1\) 項から第 \(100\) 項までの和を求めよ。
分数の場合は、分母と分子の規則を別々に考えてみると群に分けることができます。
あとは、群数列の問題として解くとうまくいきますよ。
(1)
分母が等しいものを群と考えると、
\(\displaystyle \frac{1}{2} \) \( \mid\) \(\displaystyle \frac{1}{4}, \frac{3}{4}\) \( \mid\) \(\displaystyle \frac{1}{8}, \frac{3}{8}, \frac{5}{8}, \frac{7}{8}\) \( \mid\) \(\displaystyle \frac{1}{16}, \frac{3}{16}, \frac{5}{16}, \cdots, \frac{15}{16}\) \( \mid\) \(\displaystyle \frac{1}{32}, \cdots\)
第 \(k\) 群には \(2^{k−1}\) 個の項があるから、
第 \(1\) 群から第 \(n\) 群までの項の総数は
\(\begin{align} 1 + 2 + 2^2 + \cdots + 2^{n−1} &= \frac{2^n − 1}{2 − 1} \\ &= 2^n − 1 \end{align}\)
また、第 \(n\) 群の項の分母は \(2^n\)、
各群の \(k\) 番目の項の分子は \(2k − 1\) である。
ここで、
\(128 = 2^7\), \(2k − 1 = 13\) から \(k = 7\)
よって \(\displaystyle \frac{13}{128}\) は第 \(7\) 群の第 \(7\) 項である。
\((2^6 − 1) + 7 = 70\) より、元の数列では第 \(70\) 項
答え: 第 \(\color{red}{70}\) 項
(2)
第 \(n\) 群の項の和は
\(\displaystyle \frac{1}{2^n} \{1 + 3 + \cdots + (2 \cdot 2^{n − 1} − 1)\}\)
\(\displaystyle = \frac{1}{2^n} \cdot \frac{1}{2} \cdot 2^{n − 1} \{1 + (2^n − 1)\}\)
\(= 2^{n − 2}\)
第 \(100\) 項が第 \(n\) 群の項であるとすると、(1) より
\(2^{n − 1} − 1 < 100 \leq 2^n − 1\)
\(2^{n − 1} < 101 \leq 2^n\)
これを満たす自然数 \(n\) は \(n = 7\)
\(n = 7\) のとき
\(2^{7 − 1} − 1 = 63\)
\(100 − 63 = 37\)
したがって、第 \(100\) 項は第 \(7\) 群の第 \(37\) 項である。
よって、求める和は
\(\displaystyle \sum_{k = 1}^6 2^{k − 2} + \frac{1}{2^7} \{1 + 3 + \cdots + (2 \cdot 37 − 1)\}\)
\(\displaystyle = \frac{1}{2} \cdot \frac{2^6 − 1}{2 − 1} + \frac{1}{128} \cdot 37^2\)
\(\displaystyle = \frac{1}{2} \cdot 63 + \frac{37^2}{128}\)
\(\displaystyle = \frac{63 \cdot 64 + 37^2}{128}\)
\(\displaystyle = \frac{5401}{128}\)
答え: \(\color{red}{\displaystyle \frac{5401}{128}}\)
等比数列の和
初項 \(a\)、公比 \(r\)、項数 \(n\) の等比数列の和 \(S_n\) は、
\begin{align} S_n = \frac{a(1 − r^n)}{1 − r} = \frac{a(r^n − 1)}{r − 1} (r ≠ 1)\end{align}
\begin{align} S_n = na (r = 1)\end{align}
等比数列をわかりやすく解説!一般項や等比数列の和の公式以上で問題も終わりです。
群数列に苦手意識をもつ人は多いので、できるようになればかなり有利です。
コツをつかんで、ぜひマスターしてくださいね!
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