分配法則とは?証明や分数・割り算を含む計算問題(小学生の復習)

この記事では、分配法則の成り立ち(証明)や、分配法則を利用する計算問題の解き方などを解説していきます。

小学生で習ったことを思い出しながら読み進めてくださいね。

 

分配法則とは?

分配法則とは、四則計算(足す、引く、かける、割る)に関する法則です。

計算式にかっこ(括弧)が含まれるとき、かっこの外の「かける(×)」はかっこの中へ次のように分配されます。

これが、分配法則です。

分配法則

任意の数 \(a, b, c\) に対して、以下が成り立つ。

  • \(\color{red}{a} \color{salmon}{\times} (b + c) = \color{red}{a} \color{red}{\times} b + \color{red}{a} \color{red}{\times} c\)
  • \((a + b) \color{red}{\times c} = a \color{red}{\times c} + b \color{red}{\times c}\)

分配法則を使って式の中のかっこを外すことを「展開する」といいます。

 

分配法則の逆

また、分配法則の逆も成り立ちます。

分配法則の逆
  • \(\color{red}{a} \color{red}{\times} b + \color{red}{a} \color{red}{\times} c = \color{red}{a} \color{red}{\times} (b + c)\)
  • \(a \color{red}{\times c} + b \color{red}{\times c} = (a + b) \color{red}{\times c}\)

このような計算を「くくり出し」と呼ぶこともありますね。

 

引き算(マイナス)の分配法則

分配法則ではかっこの中が足し算(\(+\))ですが、実は引き算(\(−\))でも成り立ちます。

分配法則(引き算)

任意の数 \(a, b, c\) に対して、以下が成り立つ。

  • \(a \times (b \color{red}{−} c) = a \times b \color{red}{−} a \times c\)
  • \((a \color{red}{−} b) \times c = a \times c \color{red}{−}b \times c\)

なぜなら、足し算(\(+\))と引き算(\(−\))は単なる表し方の違いにすぎないからです。

例えば、「\(+ 1\)」は「\(− (− 1)\)」とも表現できますね。

ただし、正式に「分配法則」と呼ばれるのは最初に示したかけ算と足し算の式だけなので注意しましょう。

 

割り算の分配法則

また、割り算(\(\div\))も「分数のかけ算」で表現できるため、以下の式において分配法則が成り立ちます。

分配法則(割り算)

任意の数 \(a, b, c\) に対して、以下が成り立つ。

\begin{align}(a + b) \color{red}{\div c} = a \color{red}{\div c} + b \color{red}{\div c}\end{align}

(\((a + b) \color{red}{\times \displaystyle \frac{1}{c}} = a \color{red}{\times \displaystyle \frac{1}{c}} + b \color{red}{\times \displaystyle \frac{1}{c}}\) と同じ)

 

ただし、以下の式は成り立たないので注意しましょう。

\(a \div (b + c) = a \div b + a \div c\) (誤り)

 

(正しくは、\(a \color{red}{\div (b + c)} = a \color{red}{\times \displaystyle \frac{1}{b + c}}\))

 

分配法則の証明

なぜ分配法則は成り立つのでしょうか?

ここでは、\(2\) 通りの方法で示していきます。

【証明①】図形を利用する

分配法則は、長方形の面積の公式を利用して図形的に証明できます。

横の長さがともに \(a\) で、縦の長さがそれぞれ \(b\)、\(c\) の \(2\) つの長方形 \(\mathrm{ABCD}\) と \(\mathrm{BEFC}\) を考えます。

それぞれの面積は、以下のとおりです。

\((\mathrm{ABCD} \ \text{の面積}) = a \times b\)

\((\mathrm{BEFC} \ \text{の面積}) = a \times c\)

一方、この \(2\) つの長方形を合わせた長方形 \(\mathrm{AEFD}\) は、横の長さが \(a\)、縦の長さが \((b + c)\) の長方形です。

\((\mathrm{AEFD} \ \text{の面積}) = a \times (b + c)\)

長方形 \(\mathrm{AEFD}\) の面積は、長方形 \(\mathrm{ABCD}\) と \(\mathrm{BEFC}\) の面積の合計なので、

\((\mathrm{AEFD} \ \text{の面積})\) \( = (\mathrm{ABCD} \ \text{の面積}) + (\mathrm{BEFC} \ \text{の面積})\) より、

\(a \times (b + c) = a \times b + a \times c\)

が成り立ちます。

 

【証明②】計算で導く

分配法則は、交換法則を利用して計算で導くこともできます。

交換法則

与えられた式において、演算の順番を入れ替えても計算結果が変わらないという法則。

足し算やかけ算では成り立つが、引き算と割り算では成り立たない。

  • \(\color{red}{A + B = B + A}\)
  • \(\color{red}{A × B = B × A}\)
  • \(A − B ≠ B − A\)
  • \(A \div B ≠ B \div A\)

 

それでは、証明していきます。

証明

 

任意の実数 \(a, b, c\) について、

\(a \times (b + c)\) を考える。

 

\(a \times (b + c)\) は、\((b + c)\) を \(a\) 回かけたもの、つまり、\((b + c)\) を \(a\) 個足したものである。

 

\(a \times (b + c)\)

\(= \underline{(b + c) + (b + c) + … + (b + c)}\)
        \(a\) 個

 

交換法則より、足し算の順番は入れ替えられるので、右辺は \(b\) を \(a\) 個足したものと \(c\) を \(a\) 個足したものの合計と考えることができる。

 

\(a \times (b + c)\)

\(= (\underline{b + b + … + b}) + (\underline{c + c + … + c})\)
\(\color{white}{・・・} a\) 個        \(a\) 個

 

\(b\) を \(a\) 個足したもの、および \(c\) を \(a\) 個足したものは、\(b\) を \(a\) 回かけたもの\(c\) を \(a\) 回かけたものととらえることもできるので、

 

\(a \times (b + c) = \color{salmon}{a \times b} + \color{salmon}{a \times c}\)

 

と表すことができる。

 

したがって、分配法則

\(a \times (b + c) = a \times b + a \times c\)

は成り立つ。

 

(証明終わり)

分配法則「\(a \times (b + c) = a \times b + a \times c\)」を図形的な方法、計算による方法の両方で証明できましたね。

「\((a + b) \times c = a \times c + b \times c\)」も同様に証明できますので、気が向いたら試してみてください!

 

分配法則のやり方

ここでは、分配法則のやり方や便利な使い方を、例題を用いて説明していきます。

分数や割り算を含む計算も紹介していきますね。

【やり方①】展開

まずは、分配法則の典型的な計算、展開のやり方です。

例題①
\((6 + x) \times (− 4)\) を展開せよ。

 

分配法則の式「\((a + b) \times c = a \times c + b \times c\)」に数値を当てはめていきます。

数字についている符号ごと分配するのを忘れないようにしましょう。

\((6 + x) \times (− 4)\\= 6 \times (− 4) + x \times (− 4)\\= \color{red}{− 24 − 4x}\)

分配法則に慣れてくれば、途中計算は頭の中でもできるようになります!

 

このように式の展開に使える分配法則ですが、実は大きな数同士の計算を簡単にするためにも利用することができます。

例えば次のような計算です。

例題②

\(63 \times 8\) を計算せよ。

 

通常ならば筆算するところですが、大きい数を切りの良い数字の足し算で表して分配法則を使うことで、九九の範囲で暗算できます。

\(\begin{align}63 \times 8 &=  (\color{salmon}{60 + 3}) \times 8\\&= 60 \times 8 + 3 \times 8\\&= 480 + 24\\&= \color{red}{504}\end{align}\)

 

【やり方②】くくり出し

続いては、分配法則の逆「\(a \times b + a \times c = a \times (b + c)\)」を用いたくくり出しのやり方です。

例題③
\(34 \times 7 + 34 \times 3\) を計算せよ。

 

式を前から素直に計算すると \(2\) 回筆算が必要です。

「\(7\)」と「\(3\)」に同じ「\(34\)」がかかっていることに注目し、分配法則の逆を使ってくくり出してみましょう。

\(\begin{align}\color{salmon}{34} \color{salmon}{\times} 7 + \color{salmon}{34} \color{salmon}{\times} 3 &= \color{salmon}{34} \color{salmon}{\times} (7 + 3)\\&= 34 \times 10\\&= \color{red}{340}\end{align}\)

これなら、暗算でも計算できますね。

各項にかかっている同じ数をくくり出すのは、因数分解においても重要な考え方です!

補足

「因数分解」については以下の記事で詳しく説明しています。

因数分解とは?公式や計算のやり方、問題の解き方

 

【やり方③】分数を含むとき

続いては、式の中に分数が含まれるときの分配法則のやり方です。

例題④
\(12 \times \left(\displaystyle \frac{2}{3} + \displaystyle \frac{3}{4}\right)\) を計算せよ。

 

この式を素直に解こうとすると、まずかっこ内の分数を通分して足したあと、\(12\) をかけることになります。

一般的に、分母が異なる分数は通分するよりも何かをかけて約分する方が楽です。

このようなときに、分配法則「\(a \times (b + c) = a \times b + a \times c\)」を使って、先に \(12\) をそれぞれの分数にかけてしまいましょう。

\(\begin{align}12 \times \left(\displaystyle \frac{2}{3} + \displaystyle \frac{3}{4}\right) &= \color{salmon}{12} \color{salmon}{\times} \displaystyle \frac{2}{3} + \color{salmon}{12} \color{salmon}{\times} \displaystyle \frac{3}{4}\\&= 4 \times 2 + 3 \times 3\\&= 8 + 9\\&= \color{red}{17}\end{align}\)

こうすることによって、分数同士の通分を計算しなくて済みます。

 

【やり方④】割り算を含むとき

式の中に割り算(\(\div \ ◯\))が登場するときは、分数のかけ算(\(\times \ \displaystyle \frac{1}{◯}\))に変形しましょう。

そうすれば、問題なく分配法則を適用できます。

例題⑤
\((108 + 81) \div 9\) を計算せよ。

 

「\(\div \ 9\)」という割り算は、逆数を用いて「\(\times \ \displaystyle \frac{1}{9}\)」という分数のかけ算に直せますね。

\(\begin{align}(108 + 81) \div 9 &= (108 + 81) \color{salmon}{\times \displaystyle \frac{1}{9}}\\&= 108 \color{salmon}{\times \displaystyle \frac{1}{9}} + 81 \color{salmon}{\times \displaystyle \frac{1}{9}}\\&= 12 + 9\\&= \color{red}{21}\end{align}\)

以上が、分配法則のやり方でした。

 

分配法則の計算問題

さまざまな計算問題を通して、分配法則をマスターしていきましょう。

分配法則を使って、計算をより楽にできないかな?という視点で考えてみてください。

計算問題①「小数 × 整数の足し算」

計算問題①

\(1.9 \times 8 + 0.6 \times 8\) を計算せよ。

 

前から順番に計算すると、「小数 × 整数」のかけ算を \(2\) 回もしないといけません。

分配法則の逆を使って、\(8\) を先にくくり出してみましょう。

解答

 

\(\begin{align}1.9 \times 8 + 0.6 \times 8 &= (1.9 + 0.6) \times 8\\&= 2.5 \times 8\\&= 20\end{align}\)

 

答え: \(20\)

 

計算問題②「分数 + 小数のかけ算」

計算問題②
\(35 \times \left(\displaystyle \frac{6}{7} + 0.8\right)\) を計算せよ。

 

まずは、小数を分数に直しましょう。

そのあと、\(35\) と分数の分母が約分できそうであれば、分配法則で展開する方が楽に計算できます。

解答

 

\(\begin{align}35 \times \left(\displaystyle \frac{6}{7} + 0.8\right) &= 35 \times \left(\displaystyle \frac{6}{7} + \displaystyle \frac{8}{10}\right)\\&= 35 \times \left(\displaystyle \frac{6}{7} + \displaystyle \frac{4}{5}\right)\\&= 35 \times \displaystyle \frac{6}{7} + 35 \times \displaystyle \frac{4}{5}\\&= 5 \times 6 + 7 \times 4\\&= 30 + 28\\&= 58\end{align}\)

 

答え: \(58\)

 

計算問題③「3 桁の数 × 2 桁の数」

計算問題③
\(407 \times 23\) を計算せよ。

 

素直に計算すれば、\(3\) 桁 × \(2\) 桁の筆算になります。

一方で、分配法則を \(2\) 回利用すれば筆算なしで計算できますよ。

解答

 

\(407 \times 23\)

\(= (400 + 7) \times 23\)

\(= 400 \times 23 + 7 \times 23\)

\(= 400 \times (20 + 3) + 7 \times (20 + 3)\)

\(= 400 \times 20 + 400 \times 3 + 7 \times 20 + 7 \times 3\)

\(= 8000 + 1200 + 140 + 21\)

\(= 9361\)

 

答え: \(9361\)

以上が、分配法則の計算問題でした。

 

分配法則は、式の展開や因数分解(くくり出し)に利用できるのはもちろん、大きな数や分数を含む計算を楽にするためにも活用できます。

しっかりと理解しておきましょう!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です