台形とは?定義や、台形の面積の公式をわかりやすく解説!

この記事では、「台形」の定義や面積の公式、性質などをできるだけわかりやすく解説していきます。

また、台形の角度や高さを求める計算問題も紹介していきますので、この記事を通してぜひマスターしてくださいね!

 

台形とは?【定義】

台形とは、少なくとも \(1\) 組の向かい合う辺がお互いに平行であるような四角形のことです。

平行な \(2\) 本の向かい合う辺を台形の底辺といい、そのうち一方を上底、もう一方を下底と呼びます。

 

台形とほかの四角形の関係

台形と、そのほかの有名な四角形の間には、次のような関係があります。

台形の中でも、\(2\) 組の辺が共に平行となっている四角形は「平行四辺形」です。

さらに、平行四辺形のうち、すべての角が \(90^\circ\) ならば「長方形」、すべての辺が等しければ「ひし形」、そのどちらも満たすならば「正方形」です。

平行四辺形・長方形・ひし形・正方形は、実はどれも台形の一種と言えますね。

 

台形の面積の公式

台形の面積を求める公式は次のとおりです。

台形の面積の公式

台形の面積を \(S\)、高さを \(h\)、上底を \(a\)、下底を \(b\) とすると、

\begin{align}\color{red}{S = \displaystyle \frac{1}{2} (a + b) h}\end{align}

(台形の面積) \(= \displaystyle \frac{1}{2}\) (上底 + 下底) \(\times\) (高さ)

 

 

この公式は、図形的に理解すると簡単です。

同じ台形 \(2\) つを向かい合わせにつなげると、平行四辺形ができます。

平行四辺形の面積は \((\text{底辺}) \times (\text{高さ})\) で求められるので、それを \(\displaystyle \frac{1}{2}\) 倍すれば台形が求められるわけです。

 

台形の面積の求め方

簡単な例題で、台形の面積の求め方を確認しましょう。

例題

上底が \(1\)、下底が \(3\)、高さが \(2\) の台形の面積を求めよ。

 

台形の面積は、公式に当てはめるだけで求められます。

解答

 

台形の面積 \(S = \displaystyle \frac{1}{2} (a + b) h\) において、

\(a = 1\), \(b = 3\), \(h = 2\) であるから

\(S = \displaystyle \frac{1}{2} \cdot (1 + 3) \cdot 2 = 4\)

 

答え: \(\color{red}{4}\)

簡単ですね!

 

台形の性質

台形には、次の \(4\) つの性質があります。

性質① 同側内角の和が 180°

台形の上底と下底は平行なので、それぞれを延長したとき、同じ側の

  • 上の内角と、下の内角の補角
  • 下の内角と、上の内角の補角

はそれぞれ錯角で等しくなります。

よって、同じ側の上下の角(同側内角)の和は \(180^\circ\) です。

 

性質② 1 本の対角線がなす三角形の面積比は (上底) : (下底)

上底と下底が平行なので、対角線を \(1\) 本引いてできる \(2\) つの三角形の高さは等しいですよね。

そのため、\(2\) つの三角形の面積比は \((\text{上底}) : (\text{下底})\) となります。

 

性質③ 2 本の対角線がなす上下の三角形は相似

対角線を \(2\) 本引くと、台形が \(4\) 分割されて三角形が \(4\) つできます。

このうち上下の三角形は、以下の理由から相似の関係にあります。

  • 対頂角が等しい
  • 上底と下底が平行であるから、\(2\) つの錯角が等しい

このとき、相似比は \((\text{上底}) : (\text{下底})\)、面積比は \((\text{上底})^2 : (\text{下底})^2\) となります。

なぜ面積比が上底と下底の \(2\) 乗になるかというと、\(2\) つの三角形が相似であるから、高さの比も \((\text{上底}) : (\text{下底})\) であるためです。

 

性質④ 2 本の対角線がなす左右の三角形は面積が等しい

\(4\) つの三角形のうち、左右の \(2\) つはなんと面積が等しくなります。

これは、上下の三角形の対応する辺の比が \((\text{上底}) : (\text{下底})\) になっていることから、左右の三角形の面積比がどちらも \((\text{上底}) \times (\text{下底})\) となるためです。

また、下の図に示すように、三角形 \(\mathrm{T_1}\), \(\mathrm{T_2}\) の面積が等しいことからも、(ア)と(イ)の面積が等しくなることがわかります。

 

性質③、④をまとめると、\(4\) つの三角形の面積比は次のようになります。

 

台形の性質は丸暗記する必要はありませんが、どうして性質が成り立つのかを理解しておくと、問題を解いているときに「そういえば…」と思い出しやすくなりますよ!

 

台形の計算問題

最後に、台形の計算問題に挑戦してみましょう。

計算問題①「台形の面積と角度を求める」

計算問題①

\(\mathrm{AD} = 5\)、\(\mathrm{BC} = 9\)、高さ \(3\)、\(\angle \mathrm{A} = 132^\circ\)、\(\angle \mathrm{C} = 76^\circ\) の台形 \(\mathrm{ABCD}\) について、次の問いに答えなさい。

(1) 台形 \(\mathrm{ABCD}\) の面積

(2) \(\angle \mathrm{D}\)

 

面積の問題は、公式に当てはめるだけで解けるのでシンプルです。

角度についても、台形の性質を利用すれば簡単に求められますね。

解答

 

(1)

台形の面積 \(\displaystyle S = \frac{1}{2} (a + b)h\) より、

\(\begin{align} S &= \frac{1}{2} \cdot (5 + 9) \cdot 3 \\ &= \frac{1}{2} \cdot 14 \cdot 3 \\ &= 21 \end{align}\)

 

答え: \(21\)

 

 

(2)

\(\mathrm{AD} \ // \ \mathrm{BC}\) より、錯角から

\(\begin{align} \angle \mathrm{D} &= 180^\circ − \angle \mathrm{C} \\ &= 180^\circ − 76^\circ \\ &= 104^\circ \end{align}\)

 

答え: \(104^\circ\)

 

計算問題②「台形の高さを求める」

計算問題②

以下のような \(\mathrm{AD} \ // \ \mathrm{BC}\) の台形 \(\mathrm{ABCD}\) について、\(\triangle \mathrm{OAD}\)の面積が \(3\) のとき、台形の高さを求めよ。

 

対角線で分けられた上下の三角形が相似の関係にあることを利用します。

その後、面積の計算から台形の高さを割り出してみましょう!

解答

 

\(\triangle \mathrm{AOD} ∽ \triangle \mathrm{COB}\)より、

相似比は

\(\begin{align} \mathrm{AD} : \mathrm{CB} &= 3 : 9 \\ &= 1 : 3 \end{align}\)

 

よって、面積比は

\(\begin{align} \triangle \mathrm{AOD} : \triangle \mathrm{COB} &= 1^2 : 3^2 \\ &= 1 : 9 \end{align}\)

 

\(\triangle \mathrm{AOD}\) の面積は \(3\) なので、

\(3 : \triangle \mathrm{COB} = 1 : 9\) であるから、

\(1 \times \triangle \mathrm{COB} = 3 \times 9\)

よって、\(\triangle \mathrm{COB} = 27\)

 

\(\mathrm{AD}\)、\(\mathrm{BC}\) を底辺としたときの \(\triangle \mathrm{AOD}\) と \(\triangle \mathrm{COB}\) の高さをそれぞれ \(\mathrm{OE}\)、\(\mathrm{OF}\) とおく。

求めたい台形の高さは \(\mathrm{OE} + \mathrm{OF}\) である。

 

三角形の面積を利用して、

\(\displaystyle \triangle \mathrm{AOD} = \frac{1}{2} \cdot 3 \cdot \mathrm{OE}\)

\(\displaystyle 3 = \frac{1}{2} \cdot 3 \cdot \mathrm{OE}\)

よって、\(\mathrm{OE} = 2\)

 

\(\displaystyle \triangle \mathrm{COB} = \frac{1}{2} \cdot 9 \cdot \mathrm{OF}\)

\(\displaystyle 27 = \frac{1}{2} \cdot 9 \cdot \mathrm{OF}\)

よって、\(\mathrm{OF} = 6\)

 

したがって、台形の高さは

\(\begin{align} \mathrm{OE} + \mathrm{OF} &= 2 + 6 \\ &= 8 \end{align}\)

 

答え: \(8\)

 

計算問題③「台形の面積比から辺の比を求める」

計算問題③

以下の台形において(ア)の部分と(イ)の部分の面積比が \(2 : 1\) のとき、\(\mathrm{DE} : \mathrm{EC}\) の比を求めなさい。

 

(ア)の部分が四角形だと面積比と辺の比を対応させづらいですね。

こんなときは、補助線を引いて求めたい辺を含む三角形を作り出しましょう。

解答

 

補助線 \(\mathrm{BD}\) を引く。

 

\(\triangle \mathrm{ABD}\) と \(\triangle \mathrm{BDC}\) は高さが同じなので、面積の比は底辺の比となる。

よって面積比は

\(\begin{align} \triangle \mathrm{ABD} : \triangle \mathrm{BDC} &= \mathrm{AD} : \mathrm{BC} \\ &= 2 : 4 \\ &= 1 : 2 \end{align}\)

 

台形の面積を \(1\) とすると、

\(\displaystyle \triangle \mathrm{ABD} = 1 \times \frac{1}{1 + 2} = \frac{1}{3}\)

\(\displaystyle \triangle \mathrm{BDC} = 1 \times \frac{2}{1 + 2} = \frac{2}{3}\)

となる。

 

(ア):(イ)\(= 2 : 1\) なので、

台形の面積を \(1\) とすると、

(ア) \(\displaystyle = 1 \times \frac{2}{2 + 1} = \frac{2}{3}\)

(イ)\(\displaystyle = 1 \times \frac{1}{2 + 1} = \frac{1}{3}\)

 

よって、重なり合う \(\triangle \mathrm{DBE}\) の面積は \(\displaystyle \frac{1}{3}\) となる。

 

ゆえに、 \(\triangle \mathrm{DBE}\) と(イ)の面積比は等しいので

\(\mathrm{DE} : \mathrm{EC} = 1 : 1\)

 

答え: \(1 : 1\)

以上で計算問題も終わりです!

 

台形への理解を深めて、さまざまな問題に対応できるようにしてくださいね!

合わせて読みたい

なお、台形の作図方法については以下の記事で説明しています。

四角形(ひし形・平行四辺形・台形)の書き方(作図)まとめ!

6 COMMENTS

Komaya

台形の性質1「錯角の和が180度になる」とあるが、角aと角dのような関係を錯角とは言わない。角aと「角dの補角」が錯角の関係になる。
正しくは「同側内角の和が180度になる」であるので早急に訂正すべきでは?

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管理人

この度はコメントいただきありがとうございます。
ご指摘を受け、該当部分を修正いたしました。

今後ともどうぞ当サイトをよろしくお願いいたします。

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daikei

質問なんですが
性質④の
“左右の三角形の面積比が (上底)×(下底):(下底)×(上底) となるためです。”
がよくわからないのですが教えてください

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管理人

このたびはコメントをいただきありがとうございます。

図で示したとおり、面積比が上・下・左・右の順にそれぞれ \(a \times a\), \(b \times b\), \(a \times b\), \(a \times b\) となっていることを文章にしていました。
((上底)×(下底) = \(a \times b\))
元の文章の書き方がよくなかったかもしれないですね。
もう少しわかりやすくなるように文章を修正し、また別の説明も加えておきましたので参考にしてください。

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daikei

もう一つ質問です
“面積比が上・下・左・右の順にそれぞれ a×a, b×b, a×b, a×b “とありますがなぜこのようになるのでしょうか?

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管理人

図を書いた方がわかりやすいとは思いますが、時間の関係上文章で回答させてください。

【中学までの知識での回答】
上・下の三角形の面積比が \(a \times a : b \times b\) になるのは性質③のとおり、底辺の上・下比が \(a : b\)、高さの上・下比も \(a : b\) になるためです。
そして、上と左の三角形だけに注目すると、対角線部分を底辺と見たとき、高さが等しい三角形なので、面積比は底辺の比 \(a : b\) になるので
(左の面積) = (上の面積) \(\times \displaystyle \frac{b}{a}\) \(= (a \times a) \times \displaystyle \frac{b}{a} = ab\)
となります。
上と右の三角形だけに注目しても同じことが言えます。
(右の面積) = (上の面積) \(\times \displaystyle \frac{b}{a}\) \(= (a \times a) \times \displaystyle \frac{b}{a} = ab\)
台形の内側で隣り合う三角形同士なら同じことが言えるので、左と下、右と下を比較しても同じ結果にたどりつけます。

【高校の知識での回答】
高校で習う三角形の公式 \(S = \displaystyle \frac{1}{2}ab\sin\theta\) (三角形の面積は2辺の長さとその間の角度によって決まる)から説明できます。
上と下、左と右の三角形は対頂角が等しいので、その角をはさむ2辺の長さの積だけが面積の違いをもたらします。
対角線の長さをそれぞれ \(l, m\)(どちらがどちらでもOK)、左・右の三角形の対頂角を \(\theta\) とおくと
(左の面積)\(= \displaystyle \frac{1}{2} \cdot \color{limegreen}{\displaystyle \frac{a}{a + b}}l \cdot \color{skyblue}{\displaystyle \frac{b}{a + b}}m \cdot \sin\theta\)
(右の面積)\(= \displaystyle \frac{1}{2} \cdot \color{skyblue}{\displaystyle \frac{b}{a + b}}l \cdot \color{limegreen}{\displaystyle \frac{a}{a + b}}m \cdot \sin\theta\)
となり、それぞれの対角線にかける比の部分が入れ替わっただけで、答えは同じ、つまり面積は等しいです。

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