円の方程式の公式や求め方をわかりやすく解説!円の接線も

この記事では、「円の方程式」についてわかりやすく解説していきます。

円の方程式の問題パターン別の求め方や、円の接線の方程式についても説明していくので、ぜひこの記事を通してマスターしてくださいね!

 

円の方程式

円の方程式とは、\((x, y)\) 座標平面上において円を表すための方程式で、表し方には「基本形」と「一般形」の \(2\) 通りがあります。

円の方程式
  • 基本形
    中心 \(\mathrm{A}(a, b)\)、半径 \(r\) の円の方程式は
    \begin{align}\color{red}{(x − a)^2 + (y − b)^2 = r^2}\end{align}
  • 一般形
    \(l^2 + m^2 − 4n > 0\) を満たすとき、円の方程式は
    \begin{align}\color{red}{x^2 + y^2 + lx + my + n = 0}\end{align}

円の方程式は、問題のパターンによって基本形・一般形を使い分けるので、どちらも理解しておきましょう。

 

円の方程式(基本形)の公式

円の方程式を基本形で表現すると、円の中心半径が一目でわかります。

円の方程式(基本形)

円の中心が点 \(\mathrm{A}(a, b)\)、半径が \(r\) の円の方程式は

\begin{align}\color{red}{(x − a)^2 + (y − b)^2 = r^2}\end{align}

 

特に、原点が中心 \((0, 0)\) で、半径が \(r\) の場合は

\begin{align}\color{red}{x^2 + y^2 = r^2}\end{align}

 

円の方程式の基本形は、「円の中心への距離が常に \(r\) である」という条件を満たす点の集合、つまり軌跡といえます。

点 \((a, b)\) から距離が \(r\) の位置にある点 \(\mathrm{P}(x, y)\) について、三平方の定理より

\((x − a)^2 + (y − b)^2 = r^2\)

が常に成り立ちますね。

 

円の方程式(一般形)の公式

一方、円の方程式を一般形で表すと次のようになります。

円の方程式(一般形)

円の方程式の一般形は

\begin{align}\color{red}{x^2 + y^2 + lx + my + n = 0}\end{align}

ただし、\(l^2 + m^2 − 4n > 0\)

\(x\), \(y\) がともに二次である方程式で、\(xy\) の項を含まないというのが、円の方程式の特徴です。

 

一般形を平方完成すれば、基本形が得られます。

(見切れる場合は横へスクロール)

 

一般形の方程式を平方完成すると、

\(x^2 + y^2 + lx + my + n = 0\)

\(x^2 + lx + y^2 + my + n = 0\)

\(\displaystyle \left( x + \frac{l}{2} \right)^2 − \frac{l^2}{4} + \left( y + \frac{m}{2} \right)^2 − \frac{m^2}{4} + n = 0\)

\(\displaystyle \left( x + \frac{l}{2} \right)^2 + \left( y + \frac{m}{2} \right)^2 − \frac{l^2 + m^2 − 4n}{4} = 0\)

\(\displaystyle \left( x + \frac{l}{2} \right)^2 + \left( y + \frac{m}{2} \right)^2 = \frac{l^2 + m^2 − 4n}{4}\)

 

よってこの方程式は

中心が点 \(\left(−\displaystyle \frac{l}{2}, −\frac{m}{2}\right)\)、半径が \(\sqrt{\displaystyle \frac{l^2 + m^2 − 4n}{4}}\) の円

を表す。

なお、円の半径は常に正の数であるから \(l\), \(m\), \(n\) は \(l^2 + m^2 − 4n > 0\) を満たす必要があるのですね。

 

円の方程式の求め方

円の方程式の求め方を、問題パターン別に解説していきます。

基本的な方針は次のとおりです。

Tips
  • 中心または半径に関するヒントがある場合
    基本形 \((x − a)^2 + (y − b)^2 = r^2\) を使う
  • \(3\) 点の座標のみがわかっている場合
    一般形 \(x^2 + y^2 + lx + my + n = 0\) を使う

 

例題①「中心の座標と半径が与えられている」

例題①

中心 \((3, 5)\) で、半径が \(4\) の円の方程式を求めなさい。

 

中心の座標と半径が与えられている問題では、円の方程式の基本形を使います。

\((x − a)^2 + (y − b)^2 = r^2\) の \(a\), \(b\), \(r\) に数値を代入するだけです。

解答

 

中心 \((3, 5)\) で、半径が \(4\) の円の方程式は

\((x − 3)^2 + (y − 5)^2 = 4^2\)

よって、

\((x − 3)^2 + (y − 5)^2 = 16\)

 

答え: \(\color{red}{(x − 3)^2 + (y − 5)^2 = 16}\)

簡単ですね!

 

例題②「中心の座標とどこか 1 点を通る」

例題②

中心 \((2, 3)\) で、点 \((4, −5)\) を通る円の方程式を求めなさい。

 

中心の座標がわかっていれば、とにかく基本形を使います。

中心の座標 \((a, b)\) を当てはめた基本形の方程式 \((x − a)^2 + (y − b)^2 = r^2\) に、通る点の座標を代入します。

解答

 

中心が \((2, 3)\) の円の方程式は

\((x − 2)^2 + (y − 3)^2 = r^2\) …①

 

①が点 \((4, −5)\) を通るので、\(x = 4\), \(y = −5\) を代入して

\((4 − 2)^2 + (−5 − 3)^2 = r^2\)

\(2^2 + (−8)^2 = r^2\)

\(\begin{align} r^2 &= 4 + 64 \\ &= 68 \end{align}\)

 

これを①に代入すると、

\((x − 2)^2 + (y − 3)^2 = 68\)

 

答え: \(\color{red}{(x − 2)^2 + (y − 3)^2 = 68}\)

 

例題③「3 点の座標が与えられている」

例題③

\(3\) 点 \((2, 3)\)、\((2, 1)\)、\((4, 1)\) を通る円の方程式を求めなさい。

 

円が通る \(3\) 点の座標が与えられている場合は、一般形 \(x^2 + y^2 + lx + my + n = 0\) を使います。

この式に \(3\) 点の座標を代入してできた \(3\) 式を連立して解くと、答えが求められます。

解答

 

求める円を

\(x^2 + y^2 + lx + my + n = 0\)

とおく。

 

\((2, 3)\) を通るので、

\(2^2 + 3^2 + 2l + 3m + n = 0\)

\(2l + 3m + n + 13 = 0\) …①

 

\((2, 1)\) を通るので、

\(2^2 + 1^2 + 2l + m + n = 0\)

\(2l + m + n + 5 = 0\) …②

 

\((4, 1)\) を通るので、

\(4^2 + 1^2 + 4l + m + n = 0\)

\(4l + m + n + 17 = 0\) …③

 

①、②より

\(2l + 3m + n + 13 = 2l + m + n + 5\)

\(2m = −8\)

\(m = −4\)

 

また、②、③より

\(2l + m + n + 5 = 4l + m + n + 17\)

\(2l = −12\)

\(l = −6\)

 

\(m = −4\)、\(l = −6\) を②に代入すると、

\(2(−6) +(−4) + n + 5 = 0\)

\(−12 − 4 + n + 5 = 0\)

\(n = 11\)

 

\(m = −4\)、\(l = −6\)、\(n = 11\) より、求める円の方程式は

\(x^2 + y^2 − 6x − 4y + 11 = 0\)

 

答え: \(\color{red}{x^2 + y^2 − 6x − 4y + 11 = 0}\)

このタイプの問題は一般形のかたちを覚えていないと厳しいので、しっかり覚えておきましょう!

 

円の接線の方程式

円の方程式と接点の座標から、円の接線の方程式を求めることができます。

円の接線の方程式

円 \((x − a)^2 + (y − b)^2 = r^2\) 上の点 \((x_1, y_1)\) における接線の方程式は

\begin{align}\color{red}{(x_1 − a)(x − a) + (y_1 − b)(y − b) = r^2}\end{align}

 

特に、原点が中心 \((0, 0)\) の円の接線の方程式は

\begin{align}\color{red}{x_1 x + y_1 y = r^2}\end{align}

 

ほかの関数と同じように、円の接線の方程式も円の方程式の微分によって求められます。

ただし、円の方程式は \(F(x, y) = 0\) の形で表される「陰関数」なので、陰関数の微分の知識が必要です。

 

例題「円周上のある点を通る接線の方程式」

例題を通して、円の接線の方程式の求め方を説明します。

例題

\((x − 2)^2 + (y − 3)^2 = 25\) 上の点 \((5, 7)\) における接線の方程式を求めなさい。

 

円の接線の方程式 \((x_1 − a)(x − a) + (y_1 − b)(y − b) = r^2\) に接点の座標 \((5, 7)\) を当てはめます。

解答

 

円周上の点 \((x_1, y_1)\) における接線の方程式は

\((x_1 − 2)(x − 2) + (y_1 − 3)(y − 3) = 25\)

 

\(x_1 = 5\)、\(y_1 = 7\) を代入すると、

\((5 − 2)(x − 2) + (7 − 3)(y − 3) = 25\)

\(3(x − 2) + 4(y − 3) = 25\)

\(3x − 6 + 4y − 12 = 25\)

よって

\(3x + 4y = 43\)

 

答え: \(\color{red}{3x + 4y = 43}\)

接線の方程式の公式を覚えていないと手が出ないので、しっかり覚えておきましょう。

 

円の方程式の計算問題

円の方程式の計算問題に挑戦してみましょう。

計算問題①「どのような図形を表す方程式か」

計算問題①

次の方程式は、どのような図形を表すか答えなさい。

(1) \(\displaystyle (x − 1)^2 + y^2 = \frac{25}{16}\)

 

(2) \(x^2 + y^2 − 10x + 6y + 30 = 0\)

 

\(x\) と \(y\) の最高次数が \(2\) で、数が合っている場合はを疑います。

基本形の円の方程式に当てはめてみて、中心と半径を求めます。

一般形は、平方完成して基本形を確認しましょう。

解答

 

(1) 円の方程式(基本形)

\((x − a)^2 + (y − b)^2 = r^2\) に照らし合わせると、

\(a = 1\)、\(b = 0\)、\(\displaystyle r = \frac{5}{4}\)

 

答え:

点 \((1, 0)\) を中心とする半径 \(\displaystyle \frac{5}{4}\) の円

 

 

(2) 与式を平方完成すると、

\(x^2 + y^2 − 10x + 6y + 30 = 0\)

\(x^2 − 10x + 25 + y^2 + 6y + 9 − 4 = 0\)

\((x − 5)^2 + (y + 3)^2 = 2^2\)

 

円の方程式(基本形)

\((x − a)^2 + (y − b)^2 = r^2\) に照らし合わせると、

\(a = 5\)、\(b = −3\)、\(r = 2\)

 

答え:

点 \((5, −3)\) を中心とする半径 \(2\) の円

 

計算問題②「2 点を直径の両端とする円の方程式」

計算問題②

\((−2, 0)\) と \((1, 0)\) を直径の両端とする円の方程式を基本形で求めなさい。

 

中心も円の半径も与えられていませんが、図を書いてみるとヒントが見えてきますよ!

解答

 

求める円の中心は、\((−2, 0)\) と \((1, 0)\) の中点なので、

\(\displaystyle \left( \frac{−2 + 1}{2}, \frac{0 + 0}{2} \right) = \left( −\frac{1}{2}, 0 \right)\)

 

直径が \(3\) なので、半径は \(\displaystyle \frac{3}{2}\)

 

ゆえに、円の方程式は

\((x − a)^2 + (y − b)^2 = r^2\)

\(\displaystyle \left( x + \frac{1}{2} \right)^2 + y^2 = \frac{9}{4}\)

 

答え: \(\displaystyle \left( x + \frac{1}{2} \right)^2 + y^2 = \frac{9}{4}\)

 

計算問題③「ある点から引いた接線の方程式」

計算問題③

点 \((−7, −1)\) から円 \(x^2 + y^2 = 25\) に引いた接線の方程式を求めなさい。

 

「点 \((−7, −1)\) における」ではなく、「点 \((−7, −1)\) から引いた」接線であることに注意しましょう。

接点の座標がわからないので、文字でおいて式を作ります。

ちなみに、円の外の点から引ける円の接線は必ず \(2\) 本存在します。

解答

 

 

求める接線の方程式の接点を \((s, t)\) とおくと、

接線の方程式は

\(sx + ty = 25\)

 

この接線が点 \((−7, −1)\) を通るので、

\(−7s − t = 25\)

\(t = −7s − 25\) …①

 

また接点\((s, t)\) は、円 \(x^2 + y^2 = 25\) 上の点なので、

\(s^2 + t^2 = 25\) …②

 

①、②より

\(s^2 + (−7s − 25)^2 = 25\)

\(s^2 + 49s^2 + 350s + 625 − 25= 0\)

\(50s^2 + 350s + 600 = 0\)

\(s^2 + 7s + 12 = 0\)

\((s + 3)(s + 4) = 0\)

\(s = − 3, −4\)

 

これを①に代入すると、

\(s = −3\) のとき

\(\begin{align} t &= −7(− 3) − 25 \\ &= −4 \end{align}\)

 

\(s = −4\) のとき、

\(\begin{align} t &= −7(−4) − 25 \\ &= 3 \end{align}\)

 

よって、

接点 \((s, t) = (−3, −4)、(−4, 3)\)

 

したがって、求める接線の方程式は

\(−3x − 4y = 25\)

\(−4x + 3y = 25\)

 

答え: 

\(−3x − 4y = 25\)、\(−4x + 3y = 25\)

以上で問題も終わりです!

 

円の方程式について理解が深まりましたか?

どの公式もとても重要なので、すべて関連付けて覚えておきましょう!

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