必要条件・十分条件とは?意味や違い、覚え方と見分け方

この記事では、「必要条件」「十分条件」の意味や違いをできるだけわかりやすく解説していきます。

また、例題を通して条件を見分ける方法を見ていきます。この記事を通してぜひマスターしてくださいね!

 

必要条件・十分条件とは?

必要条件・十分条件とは、ある命題をなす \(2\) つの条件(仮定と結論)が、お互いにとってどのような関係にあるのかを示す概念です。

必要条件と十分条件

命題「\(p \Rightarrow q\)」がであるとき、

  • \(\color{red}{p}\) は \(q\) であるための十分条件である
  • \(\color{red}{q}\) は \(p\) であるための必要条件である

という。

 

また、命題「\(p \Rightarrow q\)」「\(q \Rightarrow p\)」がともにであるとき、

  • \(\color{red}{p}\) は \(q\) であるための必要十分条件である
  • \(\color{red}{q}\) は \(p\) であるための必要十分条件である
  • \(p\) と \(q\) は同値である

という。

 

命題

正しいか正しくないかが明確に決まる文章や数式のこと。

命題とは?数学用語(対偶、逆、裏、真偽)の意味や証明問題

 

命題「\(p \Rightarrow q\)」が真である、つまり「条件 \(p\) を満たすものであれば、必ず条件 \(q\) も満たす」わけですから、集合 \(P\) は集合 \(Q\) の中の一部分であると言えます。

このような包含関係があるので、

  • \(p\) であれば \(q\) であることが十分に言える
    ( \(p\) は \(q\) の十分条件である)
  • \(q\) であることは \(p\) であるために必要である
    (\(q\) は \(p\) の必要条件である)

といえます。

 

また、命題「\(p \Rightarrow q\)」およびその逆「\(q \Rightarrow p\)」が真である場合、「条件 \(p\) と条件 \(q\) がまったく同じ条件である」=「集合 \(P\) と \(Q\) が完全に一致する」ということです。

このような場合には、

  • \(p\) と \(q\) は同値である
    (\(p\) は \(q\) の必要十分条件である、かつ \(q\) は \(p\) の必要十分条件である)

といえます。

 

必要条件・十分条件の例①

具体的な例を見ながら、さらに理解を深めましょう。

例①

日本人は人間である

(日本人 ⇒ 人間)

この命題は明らかにです(日本人って人間ですよね??)。

 

それでは、この命題の逆の真偽はどうでしょうか。

「人間であれば、日本人である(人間 ⇒ 日本人)」

この命題はです。

人間には、日本人だけではなく、アメリカ人、中国人などさまざまな人がいます。

 

以上から、条件「人間」が条件「日本人」を包み込む関係であることがわかりました。

この場合、

  • 日本人は人間であるための十分条件
  • 人間は日本人であるための必要条件

といえます。

ある人が日本人であれば、その人は人間であると十分に言えますよね。

反対に、ある人が人間であることは、その人が日本人であるために絶対に必要なことですね。

このように、\(2\) つの条件の関係性を整理することで、必要条件か十分条件かが見えてきます。

 

必要条件・十分条件の例②

それでは、次の命題はどうでしょうか。

例②

\(A\):干支(十二支)に対応する動物は、\(B\):鼠・牛・虎・兎・龍・蛇・馬・羊・猿・鶏・犬・猪である

(\(A \Rightarrow B\))

干支の十二支に対応する動物は、ね(鼠)・うし(牛)・とら(虎)・う(兎)・たつ(龍)・み(蛇)・うま(馬)・ひつじ(羊)・さる(猿)・とり(鶏)・いぬ(犬)・い(猪)でしたね。

上記 \(12\) 種類以外の動物は干支に含まれないので、命題は確かにです。

 

命題を逆向きに考えてみても、

「\(B\):鼠・牛・虎・兎・龍・蛇・馬・羊・猿・鶏・犬・猪は、\(A\):干支(十二支)に対応する動物である(\(B \Rightarrow A\))」

となり、これもです。

 

どちらの命題も真なので、条件 \(\bf{A}\) と条件 \(\bf{B}\) は等しい(同値である)ことがわかりました。

この場合、

  • \(\color{red}{A}\) は \(B\) の必要十分条件である
  • \(\color{red}{B}\) は \(A\) の必要十分条件である

と言えます。

このように、\(2\) つの条件が完全に一致することもあります。

したがって、ある命題「\(p \Rightarrow q\)」が真だからといって「\(p\) は十分条件で \(q\) は必要条件だ!」と安易に決めつけないように注意しましょう。

 

必要条件・十分条件の覚え方

結局どっちがどっちだっけ…」と混乱してしまう人のために、必要・十分条件の関係性を覚えるテクニックを \(1\) つ紹介します。

 

 ズバリ、「じゅうよう」という語呂を覚えておきましょう。

命題「\(p \Rightarrow q\)」が真であるとき、「十分条件 ⇒ 必要条件」という関係性になります。

ただし、逆の命題「\(q \Rightarrow p\)」の真偽をチェックすることも忘れずに!

どうしても迷ってしまったときに思い出してくださいね。

 

必要条件・十分条件の見分け方

実際の問題の中で必要条件と十分条件を見分けるには、問題で与えられた \(2\) つの条件 \(p\), \(q\) について命題「\(p \Rightarrow q\)」と、その逆 「\(q \Rightarrow p\)」の真偽を調べます。

そして、\(p\) を主語にとると、次のように判断できます。

Tips

①「\(p \Rightarrow q\)」がで「\(q \Rightarrow p\)」がであれば、\(p\) は \(q\) であるための十分条件

②「\(p \Rightarrow q\)」がで「\(q \Rightarrow p\)」がであれば、\(p\) は \(q\) であるための必要条件

③「\(p \Rightarrow q\)」がで「\(q \Rightarrow p\)」もであれば、\(p\) は \(q\) であるための必要十分条件

④「\(p \Rightarrow q\)」がで「\(q \Rightarrow p\)」もであれば、\(p\) は \(q\) であるための必要条件でも十分条件でもない

 

 

例題「必要・十分・必要十分のどれか?」

次の例題を通して、見分け方をマスターしましょう。

例題

次の条件 \(p\) は、結論 \(q\) であるための必要条件、十分条件、あるいは必要十分条件のどれであるかを答えなさい。

(1) \(p\):\(3\)、\(q\):奇数

(2) \(p\):\(x = 0\)、\(q\):\(x^2 = 0\)

(3) \(p\):直角三角形、\(q\):\(2\) つの角度が \(20^\circ, 70^\circ\) の三角形

 

命題「\(p \Rightarrow q\)」とその逆 「\(q \Rightarrow p\)」の真偽を調べましょう。

まずは、「具体的な反例がないかな?」と疑ってみると判断しやすいですよ。

解答

 

(1) \(p\):\(3\)、\(q\):奇数

 

命題「\(3 \Rightarrow\) 奇数」は明らかに真である。

また、命題の逆「奇数 \(\Rightarrow 3\)」は偽である(反例:\(5\))。

 

つまり、「\(p \Rightarrow q\)」が、「\(q \Rightarrow p\)」がであるから、\(p\) は \(q\) の十分条件である

 

 

(2) \(p\):\(x = 0\)、\(q\):\(x^2 = 0\)

 

命題「\(x = 0 \Rightarrow x^2 = 0\)」について、

\(x = 0\) の両辺を \(2\) 乗すると確かに \(x^2 = 0\) となるので、真である。

 

また、命題の逆「\(x^2 = 0 \Rightarrow x = 0\)」について、

\(2\) 乗して \(0\) になる数は \(0\) しかないので、これも真である。

 

つまり、「\(p \Rightarrow q\)」が、「\(q \Rightarrow p\)」もであるから、\(p\) は \(q\) の必要十分条件である

 

 

(3) \(p\):直角三角形、\(q\):\(2\) つの角度が \(20^\circ, 70^\circ\) の三角形

 

元の命題「直角三角形 ⇒ \(2\) つの角度が \(20^\circ, 70^\circ\) の三角形」は偽である(反例:\(2\) つの角度が \(45^\circ, 45^\circ\) の直角三角形)。

 

また、命題の逆「\(2\) つの角度が \(20^\circ, 70^\circ\) の三角形 ⇒ 直角三角形」について、

\(2\) つの角度が \(20^\circ, 70^\circ\) のとき、残りの角度は \(90^\circ\) であるから、この三角形は直角三角形である。よってこの命題は真である。

 

つまり、「\(p \Rightarrow q\)」が、「\(q \Rightarrow p\)」がであるから、\(p\) は \(q\) の必要条件である

 

必要条件・十分条件の練習問題

さらに練習を重ねて、必要条件・十分条件への理解を深めましょう。

練習問題「2 つの命題の関係性を答える」

練習問題

次の『』に最も適する語句を(ア)〜(エ)から選びなさい。

ただし、\(x, y\) は実数とします。

 

(1) \(x = y\) は \(x^2 = y^2\) であるための『』。

(2) \(xy > 0\) は \(x > 0\) であるための『』。

(3) \(x(y^2 + 1) = 0\) は \(x = 0\) であるための『』。

(4) \(x + y > 4\) は \(x > 2\) かつ \(y > 2\) であるための『』。

 

(ア) 必要十分条件である

(イ) 必要条件であるが十分条件ではない

(ウ) 十分条件であるが必要条件ではない

(エ) 必要条件でも十分条件でもない

 

与えられた命題とその逆の命題の真偽を確認し、条件同士の関係性を明らかにしましょう。

解答

 

(1) \(x = y\) は \(x^2 = y^2\) であるための『』。

 

「\(x = y \Rightarrow x^2 = y^2\)」は明らかに真。

 

「\(x^2 = y^2 \Rightarrow x = y\)」 は偽。(反例:\(x = 1, y = −1\))

 

よって、\(x = y\) は \(x^2 = y^2\) であるための『十分条件であるが、必要条件ではない』。

 

答え: (ウ)

 

 

(2) \(xy > 0\) は \(x > 0\) であるための『』。

 

「\(xy > 0 \Rightarrow x > 0\)」は偽。(反例:\(x = − 1, y = − 1\))

 

「\(x > 0 \Rightarrow xy > 0\)」 は偽。(反例:\(x = 1, y = − 1\))

 

よって、\(xy > 0\) は \(x > 0\) であるための『必要条件でも十分条件でもない』。

 

答え: (エ)

 

 

(3) \(x(y^2 + 1) = 0\) は \(x = 0\) であるための『』。

 

「\(x(y^2 + 1) = 0 \Rightarrow x = 0\)」について、

\(y^2 + 1\) は常に正なので、\(x(y^2 + 1) = 0\) が成り立つとき \(x = 0\) であり、真。

 

「\(x = 0 \Rightarrow x(y^2 + 1) = 0\)」について、

\(x = 0\) ならば \(x(y^2 + 1)\) は必ず \(0\) になるので、真。

 

よって、\(x(y^2 + 1) = 0\) は \(x = 0\) であるための『必要十分条件である』。

 

答え: (ア)

 

 

(4) \(x + y > 4\) は \(x > 2\) かつ \(y > 2\) であるための『』。

 

「\(x + y > 4 \Rightarrow x > 2\) かつ \(y > 2\)」は偽。(反例:\(x = 1, y = 4\))

 

「\(x > 2\) かつ \(y > 2 \Rightarrow x + y > 4\)」は真。

 

よって、\(x + y > 4\) は \(x > 2\) かつ \(y > 2\) であるための『必要条件であるが十分条件ではない』。

 

答え: (イ)

以上で練習問題も終わりです!

 

必要条件と十分条件は、どっちがどっちかゴチャゴチャになりやすい概念ですよね。

そんなときは、\(2\) つの条件の包含関係を図示してみたり、「じゅう ⇒ よう」の語呂を思い出したりしましょう。

何回も練習問題などを解いていけば、必ずマスターできるようになりますよ!

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