二重根号の外し方を徹底解説!公式や証明、計算問題

この記事では、「二重根号の外し方」をわかりやすく、徹底的に解説していきます。

二重根号を外す公式やその証明、計算問題を解くためのポイントなども紹介していきます。この記事を通してぜひマスターしてくださいね。

 

二重根号とは?

二重根号とは、根号 ( \(\sqrt{ }\) :ルート) の中に根号が現れる値のことです。

(例)\(\sqrt{8 + 2\sqrt{15}}\)

 

\(\sqrt{2}\) のようなシンプルな根号であれば、小数で表せばだいたいどのくらいの大きさかわかります(\(\sqrt{2} = 1.41421\cdots\))。

ですが、\(\sqrt{8 + 2\sqrt{15}}\) のような二重根号は、どのくらいの大きさなのかわかりにくく、またほかの数と四則計算しようと思っても扱いにくいですよね。

そのため、二重根号があれば外す、つまり、二重根号の外側のルートを取り払うのが一般的です。

 

二重根号を外す公式

二重根号を外す公式は次のとおりです。

二重根号の外し方
  • \(a > 0\), \(b > 0\) のとき
    \begin{align}\color{red}{\sqrt{(a + b) + 2\sqrt{ab}} = \sqrt{a} + \sqrt{b}}\end{align}
  • \(a > b > 0\) のとき
    \begin{align}\color{red}{\sqrt{(a + b) − 2\sqrt{ab}} = \sqrt{a} − \sqrt{b}}\end{align}

後ほど証明で示すように、二重根号の公式は「ルートの中身の因数分解」です。

基本的に \(a + b\), \(ab\) は \(1\) つの数字で表されているので、これを同時に満たす自然数 \(a\) と \(b\) のペアを見つけるのがポイントです。

 

公式の証明

二重根号を外す公式を証明します。

二重根号の公式の証明

以下の等式が成り立つことを証明せよ。

① \(\sqrt{(a + b) + 2\sqrt{ab}} = \sqrt{a} + \sqrt{b}\)
 (ただし、\(a > 0\), \(b > 0\))

② \(\sqrt{(a + b) − 2\sqrt{ab}} = \sqrt{a} − \sqrt{b}\)
 (ただし、\(a > b > 0\))

 

普通に根号を外すには、ルートの中がある正の数の \(2\) 乗になっていればよかったですね。

\(\sqrt{A^2} = A\) \((A > 0)\)

二重根号の場合も、ルートの中身を因数分解して、正の数の \(2\) 乗で表せばルートを外すことができます。

証明

 

① において、

\(\begin{align} \text{(左辺)} &= \sqrt{a + b + 2\sqrt{ab}} \\ &= \sqrt{a + 2\sqrt{ab} + b} \\ &= \sqrt{(\sqrt{a})^2 + 2\sqrt{a}\sqrt{b} + (\sqrt{b})^2} \\ &= \sqrt{(\sqrt{a} + \sqrt{b})^2} \end{align}\)

 

ここで、\(a > 0\)、\(b > 0\) より

\(\sqrt{a} + \sqrt{b} > 0\) であるから

\(\begin{align} \sqrt{(\sqrt{a} + \sqrt{b})^2} &= \sqrt{a} + \sqrt{b} \\ &= \text{(右辺)} \end{align}\)

 

 

② において、

\(\begin{align} \text{(左辺)} &= \sqrt{a + b − 2\sqrt{ab}} \\ &= \sqrt{a − 2\sqrt{ab} + b} \\ &= \sqrt{(\sqrt{a})^2 − 2\sqrt{a}\sqrt{b} + (\sqrt{b})^2} \\ &= \sqrt{(\sqrt{a} − \sqrt{b})^2} \end{align}\)

 

ここで、\(a > b > 0\) より

\(\sqrt{a} − \sqrt{b} > 0\) であるから

\(\begin{align} \sqrt{(\sqrt{a} − \sqrt{b})^2} &= \sqrt{a} − \sqrt{b} \\ &= \text{(右辺)} \end{align}\)

 

したがって、等式①、②は成り立つ。

 

(証明終わり)

補足

②に関して、\(\sqrt{a}\) と \(\sqrt{b}\) の順序を入れ替えた \(\sqrt{b} − \sqrt{a}\) でも

\((\sqrt{b} − \sqrt{a})^2 = a + b − 2\sqrt{ab}\)

となりますが、\(\sqrt{b} − \sqrt{a} < 0\) なので根号の中に入れることができません。

二重根号の項の間がマイナスの場合は、中身の符号について特に気を付けてください。

 

二重根号の外し方

例題を通して、二重根号の外す手順を説明します。

例題① 公式どおり当てはめる

まずは、そのまま公式どおり解けるパターンです。

例題①

次の二重根号を外しなさい。

\(\sqrt{8 + 2\sqrt{15}}\)

 

STEP.1
2√ab の形か確認する

問題の形が、公式の左辺の形 \(\sqrt{(a + b) + \color{red}{2}\sqrt{ab}}\) になっていることを確認します。

\(\sqrt{8 + \color{red}{2}\sqrt{15}}\) ではそうなっているので、そのまま公式を使えます。

 

STEP.2
かけて ab になる 2 数の組み合わせを考える

公式の左辺 \(\sqrt{(a + b) + 2\sqrt{ab}}\) にしたがって、\(a + b = 8\), \(ab = 15\) となる自然数 \(a\), \(b\) のペアを探します。

ポイントは、さきに積 \(ab\) に注目することです。

かけて \(15\) になる正の \(2\) 数の組み合わせは、\((a, b) = (15, 1)\), \((5, 3)\) の \(2\) 通りです。

 

STEP.3
足して a + b になる a, b を特定する

STEP.2 を満たす数の組み合わせのうち、足して \(8\) になる \(2\) つの自然数は \((a, b) = (5, 3)\) ですね。

 

STEP.4
公式に当てはめる

これで \(a = 5\), \(b = 3\) とわかりました。

公式 \(\sqrt{(a + b) + 2\sqrt{ab}} = \sqrt{a} + \sqrt{b}\) に当てはめると、答えは

\(\sqrt{8 + 2\sqrt{15}} = \color{red}{\sqrt{5} + \sqrt{3}}\)

と求められます。

 

完了

検算するには、答えを \(2\) 乗してみます。

\(\begin{align} \color{salmon}{(\sqrt{5} + \sqrt{3})^2} &= \sqrt{5}^2 + 2\sqrt{5}\sqrt{3} + \sqrt{3}^2 \\ &= 5 + 2\sqrt{15} + 3 \\ &= \color{salmon}{8 + 2 \sqrt{15}} \end{align}\)

このように、二重根号の中身と同じになりましたね。

補足

この問題のように二重根号の中身が \(2\) 項の和である場合は、答えの項の順序はどちらでも構いません( \(\sqrt{5} + \sqrt{3}\) でも \(\sqrt{3} + \sqrt{5}\) でもOK)。

ただし、中身が \(2\) 項の差である場合は \(a > b > 0\) という条件があるので、大きい項を前にもってくる必要があります。

そのため、常に \(a\) の方が大きい項と考えておいたほうがシンプルでやりやすいかもしれません。

 

例題② 式を工夫して公式に当てはめる

今度は、そのまま公式に当てはめられないパターンです。

例題②

次の二重根号を外しなさい。

\(\sqrt{9 − 6\sqrt{2}}\)

 

後ろの項が \(2\sqrt{ab}\) のかたちでないと、公式を使うことができません。

なので、まずは公式が使えるように後ろの項を無理やり変形します

STEP.1
2√ab の形を作る

問題の形が、公式の左辺の形 \(\sqrt{(a + b) − \color{red}{2}\sqrt{ab}}\) になるように式変形します。

\(6 = 2 \times 3\) なので、\(3\) を \(2\) 乗して無理やり \(\sqrt{ }\) の中に入れます。

\(\begin{align} \sqrt{9 − 6\sqrt{2}} &= \sqrt{9 − 2 \cdot 3\sqrt{2}} \\ &= \sqrt{9 − 2\sqrt{2 \cdot 3^2}} \\ &= \sqrt{9 − \color{salmon}{2\sqrt{18}}} \end{align}\)

 

STEP.2
かけて ab になる 2 数の組み合わせを考える

変形できたら、公式の左辺 \(\sqrt{(a + b) − 2\sqrt{ab}}\) にしたがって、\(a + b = 9\), \(ab = 18\) となる自然数 \(a\), \(b\) のペアを探します。ただし今回はルートの中身が \(2\) 項の差なので、\(a > b\) に注意です。

まずは \(ab = 18\) に注目します。

かけて \(18\) になる \(2\) つの自然数の組み合わせは、\((a, b) = (18, 1)\), \((9, 2)\), \((6, 3)\) の \(3\) 通りです。

 

STEP.3
足して a + b になる a, b を特定する

STEP.2 を満たす数の組み合わせのうち、足して \(9\) になる \(2\) つの自然数は \((a, b) = (6, 3)\) ですね。

STEP.4
公式に当てはめる

これで \(a = 6\), \(b = 3\) とわかりました。

公式 \(\sqrt{(a + b) − 2\sqrt{ab}} = \sqrt{a} − \sqrt{b}\) に当てはめると、答えは

\(\sqrt{9 − 6\sqrt{2}} = \sqrt{9 − 2\sqrt{18}} = \color{red}{\sqrt{6} − \sqrt{3}}\)

と求められます。

 

完了

実際に答えを \(2\) 乗してみると、

\(\begin{align} \color{salmon}{(\sqrt{6} − \sqrt{3})^2} &= \sqrt{6}^2 − 2\sqrt{6}\sqrt{3} + \sqrt{3}^2 \\ &= 6 − 2\sqrt{18} + 3 \\ &= \color{salmon}{9 − 6\sqrt{2}} \end{align}\)

となり、二重根号の中身と同じになりますね。

 

補足

ただし、すべての二重根号が外せるわけではないことを覚えておきましょう。

あくまでも、\(a + b\), \(ab\) を満たす \(2\) つの自然数のペア \(a, b\) が存在する場合にのみ、二重根号を外すことができます。

 

二重根号が外せる・外せないの見分け方

二重根号が外せるかどうかは、次の方法で見分けられます。

二重根号が外せる条件

\(\sqrt{p \pm \sqrt{q}}\) \((p > 0, q > 0)\) について、

\(p^2 − 4q\) が平方数のとき、二重根号は外せる

これは、足して \(p\)、かけて \(q\) となる自然数 \(a, b\) が存在する条件を考えるとわかります。

\(a + b = p\)、\(ab = q\) とおくと、

\((x − a)(x − b) = 0\) \(\iff x^2 − (a + b)x + ab = 0\) \(\iff x^2 − px + q = 0 \cdots ①\)

が成り立ち、この二次方程式の \(2\) 解 \(a, b\) がともに自然数であればよい。

 

①の判別式を \(D\) とおくと、解の公式より①の解は

\(x = \displaystyle \frac{−(−p) \pm \sqrt{D}}{2 \cdot 1} = \frac{p \pm \sqrt{D}}{2} \)

であるから、\(D\) が平方数であれば \(2\) 解は自然数となる。

 

よって、

\(D = p^2 − 4 \cdot 1 \cdot q = p^2 − 4q\) が平方数であれば、\(\sqrt{p \pm \sqrt{q}}\) の二重根号を外すことができる。

「二重根号を外せ」という問題では外せることが前提なので特に考えなくてもよいですが、普通の問題の答えとしてふと二重根号が出てきたときに良い判断基準となります。

 

二重根号の練習問題

それでは、実際に問題を解いてみましょう。

練習問題「式変形、場合分けありの 3 問」

練習問題

次の二重根号を外しなさい。

(1) \(\sqrt{2 + \sqrt{3}}\)

(2) \(\sqrt{7 − \sqrt{48}}\)

(3) \(\sqrt{2a + 3 − \sqrt{24a}}\)(ただし、\(a > 0\))

 

どの問題も、\(2\sqrt{ab}\) の形がありません。公式を使えるように式を変形しましょう。

解答

 

(1)

\(\begin{align} \sqrt{2 + \sqrt{3}} &= \sqrt{\frac{4 + 2\sqrt{3}}{2}} \\ &= \frac{\sqrt{(3 + 1) + 2\sqrt{3 \cdot 1}}}{\sqrt{2}} \\ &= \frac{\sqrt{3} + 1}{\sqrt{2}} \\ &= \frac{\sqrt{6} + \sqrt{2}}{2} \end{align}\)

 

答え: \(\sqrt{2 + \sqrt{3}} = \displaystyle \frac{\sqrt{6} + \sqrt{2}}{2}\)

 

 

(2)

\(\begin{align} \sqrt{7 − \sqrt{48}} &= \sqrt{7 − \sqrt{2 \cdot 2 \cdot 12}} \\ &= \sqrt{7 − 2\sqrt{12}} \\ &= \sqrt{(4 + 3) − 2\sqrt{4 \cdot 3}} \\ &= \sqrt{4} − \sqrt{3} \\ &= 2 − \sqrt{3} \end{align}\)

 

答え: \(\sqrt{7 − \sqrt{48}} = 2 − \sqrt{3}\)

 

 

(3)(見切れる場合は横へスクロール)

\(\sqrt{2a + 3 − \sqrt{24a}}\)

\(= \sqrt{2a + 3 − \sqrt{2 \cdot 2 \cdot 6a}}\)

\(= \sqrt{(2a + 3) − 2\sqrt{6a}}\)

 

(i) \(2a > 3\) すなわち \(\displaystyle \frac{3}{2} < a\) のとき

\(\begin{align}\sqrt{(2a + 3) − 2\sqrt{6a}} &= \sqrt{(2a + 3) − 2\sqrt{2a \cdot 3}}\\&= \sqrt{2a} − \sqrt{3}\end{align}\)

 

(ii) \(2a = 3\) すなわち \(\displaystyle a = \frac{3}{2}\) のとき

\(\begin{align} \sqrt{(2a + 3) − 2\sqrt{6a}} &= \sqrt{6 − 2\sqrt{9}} \\ &= \sqrt{6 − 2 \cdot 3} \\ &= \sqrt{6 − 6} \\ &= 0 \end{align}\)

 

(iii) \(3 > 2a\) すなわち \(\displaystyle 0 < a < \frac{3}{2}\) のとき

\(\begin{align}\sqrt{(2a + 3) − 2\sqrt{6a}} &= \sqrt{(3 + 2a) − 2\sqrt{3 \cdot 2a}}\\&= \sqrt{3} − \sqrt{2a}\end{align}\)

 

答え:

\(\sqrt{2a + 3 − \sqrt{24a}} = \left\{\begin{array}{l} \sqrt{2a} − \sqrt{3} \ \ \left(\displaystyle \frac{3}{2} < a \right)\\ 0 \ \ \left(\displaystyle a = \frac{3}{2}\right) \\ \sqrt{3} − \sqrt{2a} \ \ \left(\displaystyle 0 < a < \frac{3}{2}\right)\end{array}\right.\)

以上で問題も終わりです!

 

二重根号の問題では、「公式が使えるように式を変形する」こと、「条件を満たす \(2\) つの正の数を見つける」ことがポイントです。

練習を重ねることで、必ずマスターできるようになりますよ!

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