この記事では、「三角柱」の公式(体積・表面積)や実際の求め方をできるだけわかりやすく解説していきます。
この記事を通してぜひマスターしてくださいね。
三角柱とは?
三角柱とは、底面が三角形で柱状の立体図形です。
まずは三角柱のかたちとルールを確認してみましょう。
上下底面の三角形 \(2\) 枚、側面の四角形 \(3\) 枚を組み立ててできた立体ですね。
このとき、上下の三角形の各辺の長さや位置、そして立体の高さは一定です。
そのため、底面と側面は必ず \(90^\circ\) で交わっています。
高さがまちまちだったり、上下の三角形が別のかたちだったりする図形は三角柱ではないので注意しましょう。
底面が正三角形の三角柱は「正三角柱」と呼ばれます。
三角柱の体積の公式
三角柱の体積を求める公式は次のとおりです。
底面の三角形の面積が \(S\)、高さが \(h\) の三角柱の体積 \(V\) は、次の式で求められる。
\begin{align}\color{red}{V = Sh}\end{align}
(体積) \(=\) (底面積) \(\times\) (高さ)
三角柱に限らず、柱体の体積は「(底面積) \(\times\) (高さ)」で求められます。
三角柱の体積の求め方
次の例題で、三角柱の体積を求める手順を説明します。
次の三角柱の体積を求めよ。
まず、底面の三角形の面積 \(S\) を求めます。
底面は、長さが \(4\) と \(7\) の辺が \(90^\circ\) で接する直角三角形なので、底面積 \(S\) は
\(S = \displaystyle \frac{1}{2} \cdot 4 \cdot 7 = 14\)
あとは、三角柱の体積の公式に当てはめればOKです。
高さは \(h = 10\) なので、三角柱の体積 \(V\) は
\(\begin{align}V &= Sh \\&= 14 \cdot10 \\&= \color{red}{140}\end{align}\)
とてもシンプルですね!
三角柱の表面積の公式
次に、三角柱の表面積を求める公式を確認しましょう。
底面の三角形の面積が \(S_1\)、三角柱の側面積が \(S_2\) のとき、三角柱の表面積 \(S_S\) は、次の式で求められる。
\begin{align}\color{red}{S_S = 2S_1 + S_2}\end{align}
(表面積) \(=\) \(2\) (底面積) \(+\) (側面積)
底面の三角形の \(3\) 辺の長さがわかれば、側面積は \(3\) 枚の四角形を \(1\) 枚の四角形と見て計算できます。
三角柱の表面積の求め方
次の例題を通して、三角柱の表面積を求める手順を説明します。
次の三角柱の表面積を求めよ。
まずは、底面の三角形の面積 \(S_1\) を求めます。
底面は、長さが \(5\) と \(12\) の辺が \(90^\circ\) で接する直角三角形なので、底面積 \(S_1\) は
\(S_1 = \displaystyle \frac{1}{2} \cdot 5 \cdot 12 = 30\)
側面積 \(S_2\) を求めるには、底面の三角形のすべての辺の長さを知る必要があります。
底面の三角形の斜辺の長さがわかっていないので、三平方の定理で求めましょう。
三平方の定理より、三角形の斜辺の長さは
\(\begin{align}\sqrt{5^2 + 12^2} &= \sqrt{25 + 144} \\&= \sqrt{169} \\&= 13\end{align}\)
これで、底面のすべての辺の長さがわかりました。

ここで、三角柱を展開してみると、\(3\) 枚の四角形をつなげて \(1\) つの四角形と見ることができますね。
したがって、側面積 \(S_2\) は「(底面の三角形の \(3\) 辺の長さの合計) \(\times\) (高さ)」で求められます。
側面積 \(S_2\) は
\(\begin{align}S_2 &= (5 + 12 + 13) \times 12 \\&= 30 \cdot 12 \\&= 360\end{align}\)
あとは、底面積 \(2\) 枚と側面積を足せば、表面積が求められます。
三角柱の表面積 \(S_S\) は
\(\begin{align}S_S &= 2S_1 + S_2 \\&= 2 \cdot 30 + 360 \\&= 60 + 360 \\&= 420\end{align}\)
よって、答えは \(420\) です。
三角柱の計算問題
最後に、三角柱の計算問題に挑戦してみましょう。
計算問題「体積、表面積、辺の長さを求める」
下の図のような三角柱がある。
辺 \(\mathrm{AB}\) 上に点 \(\mathrm{P}\) を線分 \(\mathrm{DP}, \mathrm{PC}\) の長さの和が最小となるようにとる。
このとき、次の問いに答えなさい。
(1) 三角柱の体積を求めなさい。
(2) 辺 \(\mathrm{AC}\) の長さを求めなさい。
(3) 線分 \(\mathrm{AP}\) の長さを求めなさい。
(4) 三角柱の表面積は、三角形 \(\mathrm{ADP}\) の面積の何倍か。
立体図形の問題では、注目する部分だけを取り出して考えると楽に解くことができます。
また、必要に応じて展開図を書いてみると問題への理解が深まりますよ!
(1) 底面積 \(S\)(\(\triangle{\mathrm{ABC}}\) の面積)は、
\(\begin{align}S &= \displaystyle \frac{1}{2} \cdot 4 \cdot 2 \\&= 4\end{align}\)
高さ \(h = 6\) \((\mathrm{cm})\) より、三角柱の体積 \(V\) は、
\(\begin{align}V &= Sh \\&= 4 \cdot 6 \\&= 24\end{align}\)
答え: \(24 \, \mathrm{cm^3}\)
(2) \(\triangle{\mathrm{ABC}}\) において、三平方の定理より、
\(\begin{align}\mathrm{AC} &= \sqrt{\mathrm{AB}^2 + \mathrm{BC}^2} \\&= \sqrt{4^2 + 2^2} \\&= \sqrt{16 + 4} \\&= \sqrt{20} \\&= 2\sqrt{5}\end{align}\)
答え: \(2\sqrt{5} \ \mathrm{cm}\)
(3) 展開図上で点 \(\mathrm{C}, \mathrm{D}\) を直線で結んだとき、線分 \(\mathrm{DP}, \mathrm{PC}\) の長さの和が最小になる。
\(\triangle{\mathrm{APD}}\) と \(\triangle{\mathrm{BPC}}\) において、
- \(\angle{\mathrm{DAP}} = \angle{\mathrm{CBP}} = 90^\circ\)
- 対頂角より \(\angle{\mathrm{APD}} = \angle{\mathrm{BPC}}\)
\(2\) 組の角がそれぞれ等しいことから
\(\triangle{\mathrm{APD}}\) ∽ \(\triangle{\mathrm{BPC}}\)
\(\mathrm{AP} : \mathrm{PB} = \mathrm{AD} : \mathrm{BC}\) より、
\(\mathrm{AP} : \mathrm{PB} = 6 : 2 = 3 : 1\) であるから
\(\begin{align}\mathrm{AP} &= \displaystyle \frac{3}{4} \mathrm{AB} \\&= \displaystyle \frac{3}{4} \cdot 4 \\&= 3\end{align}\)
答え: \(\mathrm{AP} = 3 \ \mathrm{cm}\)
(4)
三角柱の表面積を \(S_S\)、三角形 \(\mathrm{ADP}\) の面積を \(S_{\mathrm{ADP}}\) とおくと、
\(\begin{align}S_S &= 2 \cdot \displaystyle \frac{1}{2} \cdot 2 \cdot 4 + 6(2\sqrt{5} + 4 + 2) \\&= 8 + 12\sqrt{5} + 36 \\&= 40 + 12\sqrt{5} \\&= 4(10 + 3\sqrt{5})\end{align}\)
\(\begin{align}S_{\mathrm{ADP}} &= \displaystyle \frac{1}{2} \mathrm{AD} \cdot \mathrm{AP} \\&= \frac{1}{2} \cdot 6 \cdot 3 \\&= 9\end{align}\)
したがって
\(\displaystyle \frac{S_S}{S_{\mathrm{ADP}}} = \displaystyle \frac{4(10 + 3\sqrt{5})}{9}\)
答え: \(\displaystyle \frac{4(10 + 3\sqrt{5})}{9}\) 倍
以上で問題も終わりです!
立体図形はできるだけシンプルに考えることが大切です。
三角柱への理解を深めて、さまざまな問題に対応できるようにしてくださいね。