この記事では、「合同」についてわかりやすく解説していきます。
三角形の合同条件や証明問題の解き方も説明していくので、ぜひマスターしてくださいね!
目次
合同とは?
合同とは、形および大きさがまったく同じ図形同士の関係です。
合同な図形同士は、ぴったりと重ね合わせることができます。また、裏返した図形においても合同は成り立ちます。
形も大きさも同じ「合同」に対して、形は同じで大きさが異なることを「相似」といいます。
相似とは?記号や性質、三角形の相似条件、証明問題も解説!
合同の記号
合同は、「\(\equiv\)」という記号を使って次のように表します。
\(\triangle \mathrm{ABC}\) と \(\triangle \mathrm{DEF}\) が合同なとき、
\begin{align}\color{red}{\triangle \mathrm{ABC} \equiv \triangle \mathrm{DEF}}\end{align}
このとき、対応する頂点の順番を合わせるのがルールです。
合同の性質
合同な図形には、次の \(2\) つの性質があります。
① 対応する辺の長さがそれぞれ等しい
② 対応する角の大きさがそれぞれ等しい
まったく同じ形、大きさの図形なわけですから、当然ですね。
三角形の合同条件
一般的な三角形の合同条件は次の \(3\) つです。
① \(3\) 組の辺がそれぞれ等しい
② \(2\) 組の辺とその間の角がそれぞれ等しい
③ \(1\) 組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい
これらの \(3\) つの条件のうち \(1\) つでもあてはまれば、三角形は合同であるといえます。
証明問題では合同条件を明確に書く必要があるので、\(3\) つとも一言一句しっかり覚えておきましょう!
それぞれの合同条件を詳しく説明していきます。
① 3 組の辺がそれぞれ等しい
\(3\) 辺の長さが決まれば、三角形の形・大きさが定まります。
よって、\(3\) 組の辺が等しい三角形同士は合同です。
② 2 組の辺とその間の角がそれぞれ等しい
\(2\) 辺の長さとその間の角の大きさが決まれば、三角形の形・大きさは自ずと定まります。
よって、\(2\) 組の辺のその間の角が等しい三角形同士は合同です。
③ 1 組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい
\(1\) 辺の長さとその両端の角の大きさが決まれば、三角形の形・大きさは自ずと定まります。
よって、\(1\) 組の辺とその両端の角が等しい三角形同士は合同です。
特別な三角形の合同条件
二等辺三角形の合同条件、直角三角形の合同条件について説明します。
二等辺三角形の合同条件
二等辺三角形の場合も、先ほど示した一般的な三角形の合同条件を使います。
ただし、等しい \(2\) つの底角をもつ頂点は、どちらとどちらを対応させても構いません。
基本的には「\(\triangle \mathrm{ABC} \equiv \triangle \mathrm{DEF}\) を示せ」など対応させる頂点がはっきりしている問題が多いので、その対応通りに解答を書きましょう。
直角三角形の合同条件
直角三角形の合同条件は次の \(2\) つです。
① 斜辺と \(1\) つの鋭角がそれぞれ等しい
② 斜辺と他の \(1\) 辺がそれぞれ等しい
直角三角形ならば、より少ない条件で合同を示すことができますね。
一般的な三角形の合同条件とは別にしっかりと覚えておきましょう。
直角三角形の合同条件については、以下の記事でより詳しく説明しています。
直角三角形とは?定義や定理、辺の長さの比、合同条件
合同の証明問題
それでは、三角形の合同条件を使った証明問題を解いてみましょう。
証明問題①「合同な三角形のペアを見つける」
次の図において、合同な三角形を記号を使って表しなさい。
また、そのときに使った合同条件も答えなさい。
どの合同条件を用いるかや、対応する頂点を合わせることに気をつけてくださいね。
- \(\color{red}{\triangle \mathrm{ABC} \equiv \triangle \mathrm{RPQ}}\)
\(3\) 組の辺がそれぞれ等しい
\((\mathrm{AB} = \mathrm{RP} = 4、\mathrm{BC} = \mathrm{PQ} = 5、\)\(\mathrm{CA} = \mathrm{QR} = 3)\) - \(\color{red}{\triangle \mathrm{DEF} \equiv \triangle \mathrm{JLK}}\)
\(2\) 組の辺とその間の角が等しい
\((\mathrm{DE} = \mathrm{JL} = 4、\mathrm{EF} = \mathrm{LK} = 3、\)\(\angle \mathrm{E} = \angle \mathrm{L} = 60^\circ)\) - \(\color{red}{\triangle \mathrm{GHI} \equiv \triangle \mathrm{MNO}}\)
\(1\) 組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい
\((\mathrm{HI} = \mathrm{NO} = 4、\angle \mathrm{H} = \angle \mathrm{N} = 45^\circ、\)\(\angle \mathrm{I} = \angle \mathrm{O} = 50^\circ)\)
証明問題②「三角形の合同を示す」
正三角形 \(\mathrm{ABC}\) において辺 \(\mathrm{AC}\) 上に点 \(\mathrm{D}\) をとり、\(\mathrm{AE} \ // \ \mathrm{BC}\)、\(\mathrm{AD} = \mathrm{AE}\) となるように点 \(\mathrm{E}\) をとる。
このとき、\(\triangle \mathrm{ABD} \equiv \triangle \mathrm{ACE}\) であることを証明しなさい。
まずは、図にわかっていることを書き込んでいきましょう。
問題文からわかることは、次の通りです。
・ \(\mathrm{AB} = \mathrm{BC} = \mathrm{CA}\)
・ \(\angle \mathrm{A} = \angle \mathrm{B} = \angle \mathrm{C} = 60^\circ\)
・ \(\mathrm{AE} \ // \ \mathrm{BC}\)
・ \(\mathrm{AD} = \mathrm{AE}\)
仮定 \(\mathrm{AE} \ // \ \mathrm{BC}\) から、錯角は等しくなるので
・ \(\angle \mathrm{BCA} = \angle \mathrm{EAC} = 60^\circ\)
ここまで書けたら、合同を示したい \(\triangle \mathrm{ABD}\) と \(\triangle \mathrm{ACE}\) を取り出します。
すると、使えそうな合同条件が見えてきましたね!
証明では、わかっていることをただ書き連ねるのではなく、関係する辺や角度だけを取り出して解答を作るとスマートに見えますよ!
\(\triangle \mathrm{ABD}\) と \(\triangle \mathrm{ACE}\) において
仮定より、
\(\mathrm{AD} = \mathrm{AE}\) …①
\(\triangle \mathrm{ABC}\) は正三角形なので、
\(\mathrm{AB} = \mathrm{AC}\) …②
\(\angle \mathrm{BAD} = \angle \mathrm{BCA} = 60^\circ\) …③
\(\mathrm{AE} \ // \ \mathrm{BC}\) より、錯角は等しくなるので、
\(\angle \mathrm{BCA} = \angle \mathrm{CAE}\) となり、
\(\angle \mathrm{CAE} = 60^\circ\) …④
③、④より
\(\angle \mathrm{BAD} = \angle \mathrm{CAE}\) …⑤
①、②、⑤より
\(2\) 組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので、
\(\triangle \mathrm{ABD} \equiv \triangle \mathrm{ACE}\)
(証明終わり)
以上で証明問題も終わりです!
証明をモノにするには、第一に合同条件をしっかり暗記しておくこと、第二にわかっている情報を整理することが大切です。
解説した問題に限らず、いろいろなタイプの証明問題に挑戦してくださいね!