この記事では、「円錐」の公式(体積・表面積)や求め方をできるだけわかりやすく解説していきます。
計算問題なども紹介していきますので、この記事を通してぜひマスターしてくださいね!
円錐とは?
円錐とは、底面が円で錐状の立体図形です。
錘状(すいじょう)
底面からある一点に向かって線分が伸びるようなかたち。
まずは円錐のかたちとルールを確認してみましょう。
底面の円と側面のおうぎ形を組み立ててできた立体図形ですね。
側面のおうぎ形の半径にあたる部分を「母線」と呼びます。
先端が尖っていて、底面が楕円などではなく正円であるのが特徴です。
円錐の体積の公式
円錐の体積を求める公式は次のとおりです。
底面の円の面積が \(S\)、高さが \(h\) の円錐の体積 \(V\) は、次の式で求められる。
\begin{align} \color{red}{V = \frac{1}{3} Sh}\end{align}
(体積) \(= \displaystyle \frac{1}{3} \ \times\) (底面積) \(\times\) (高さ)
円錐に限らず、錐体の体積は「\(\displaystyle \frac{1}{3} \ \times\) (底面積) \(\times\) (高さ)」で求められます。
円錐の体積の求め方
次の問題で、円錐の体積を求める手順を説明します。
次の円錐の体積を求めよ。
まずは円錐の底面積 \(S\) を求めます。
底面積を \(S\) とおくと、半径が \(6\) の円であるから
\(S = 6^2 \pi = 36 \pi\)
高さが \(10\) とわかっているので、あとは円錐の体積の公式に当てはめるだけです。
円錐の高さは \(h = 10\) なので、体積 \(V\) は
\(\begin{align} V &= \frac{1}{3} Sh \\ &= \frac{1}{3} \cdot 36\pi \cdot 10 \\ &= \color{red}{120\pi} \end{align}\)
くれぐれも \(\displaystyle \frac{1}{3}\) をかけ忘れないように気をつけましょう!
円錐の表面積の公式
次に、円錐の表面積を求める公式を確認しましょう。
底面の円の面積が \(S_1\)、円錐の側面積が \(S_2\) のとき、円錐の表面積 \(S_S\) は、次の式で求められる。
\begin{align}\color{red}{S_S } & \color{red}{ = S_1 + S_2} \\& \color{red}{ = r^2 \pi + R^2 \pi \cdot \frac{r}{R}}\end{align}
(表面積) \(=\) (底面積) \(+\) (側面積)
底面の円と、側面のおうぎ形を足し合わせます。
なお、おうぎ形の弧の長さと底面の円周の長さが等しいことから、おうぎ形の中心角は \(\displaystyle 360^\circ \times \frac{r}{R}\) となります。
よって、おうぎ形の面積はもとの円(半径 \(R\))の面積を \(\displaystyle \frac{r}{R}\) 倍した大きさになります。
わざわざおうぎ形の中心角を求めるよりずっと簡単に計算できるので、忘れないようにしておきましょう。
円錐の表面積の求め方
次の例題を通して、円錐の表面積を求める手順を説明します。
次の円錐の表面積を求めよ。
まずは、底面積 \(S_1\) を求めます。
半径が \(3\) の円なので、
\(S_1 = 3^2 \pi = 9\pi\)
次に、側面積 \(S_2\) を求めます。
側面をなすおうぎ形の半径は \(9\)、底面の半径が \(3\) なので、側面積 \(S_2\) は
\(S_2 = 9^2 \pi \cdot \displaystyle \frac{3}{9} = 27\pi\)
最後に \(S_1\) と \(S_2\) を足せば、円錐の表面積が得られます。
求める円錐の表面積 \(S_S\) は
\(\begin{align} S_S &= S_1 + S_2 \\ &= 9\pi + 27\pi \\ &= 36\pi \end{align}\)
よって、求める表面積は \(\color{red}{36\pi}\) です。
円錐の計算問題
最後に、円錐の計算問題に挑戦してみましょう。
計算問題①「円錐の表面積と体積を求める」
図のように、半径 \(3 \ \mathrm{cm}\) の円と半径 \(4 \ \mathrm{cm}\) のおうぎ形がつながっており、この図形から円錐を作るとき、次の問いに答えなさい。
(1) 円錐の表面積を求めなさい。
(2) 円錐の体積を求めなさい。
体積を求める問題では円錐の高さが必要ですが、この問題では直接与えられていないので「三平方の定理」で求めます。
(1) 表面積は底面積とおうぎ形の面積の和である。
底面をなす円の半径は \(3 \ \mathrm{cm}\) であるため、底面積 \(S_1\) は
\(S_1 = 3^2 \pi = 9\pi \ (\mathrm{cm}^2)\)
側面をなすおうぎ形の半径が \(4 \ \mathrm{cm}\)、底面の円の半径が \(3 \ \mathrm{cm}\) であるから、おうぎ形の面積 \(S_2\) は
\(S_2 = \displaystyle 4^2 \pi \times \frac{3}{4} = 12\pi \ (\mathrm{cm}^2)\)
したがって、この円錐の表面積は
\(S_1 + S_2 = 9\pi + 12\pi = 21\pi \ (\text{cm}^2)\)
答え: \(21\pi \, \mathrm{cm^2}\)
(2) 体積を求めるには円錐の底面積と高さを求める必要がある。
この円錐を横から見ると次のようになる。
半径 \(3 \ \mathrm{cm}\)、母線が \(4 \ \mathrm{cm}\) の円錐の高さ \(h\) は、三平方の定理より、
\(\begin{align} h &= \sqrt{4^2 − 3^2} \\ &= \sqrt{16 − 9} \\ &= \sqrt{7} \ (\mathrm{cm}) \end{align}\)
また、円錐の底面積 \(S\) は
\(S = 3^2 \pi = 9\pi \ (\mathrm{cm}^2)\)
よって、求める体積は
\(\begin{align} \frac{1}{3} Sh &= \frac{1}{3} \cdot 9\pi \cdot \sqrt{7} \\ &= 3\sqrt{7}\pi \ (\mathrm{cm}^3) \end{align}\)
答え: \(3\sqrt{7}\pi \, \mathrm{cm^3}\)
計算問題②「ひもが最短になる長さを求める」
点 \(\mathrm{A}\) から辺 \(\mathrm{OB}\) 上の点 \(\mathrm{P}\) を通り、点 \(\mathrm{A}\) に戻るひもがある。
この場合、ひもの最短の長さを求めなさい。
このような問題では、展開図を書くとひもの最短距離を簡単に考えられます。
立体図形の問題では、注目する部分だけを取り出して考えると楽ですよ!
円錐の展開図の書き方については、次の記事で説明しています。
円錐の展開図の作り方(書き方)!手順をわかりやすく解説
線分 \(\mathrm{OA}\) で側面を展開しておうぎ形を得たとき、おうぎ形の両端の点を \(\mathrm{A}\), \(\mathrm{A’}\) とおく。
ひもの長さが最短となるのは、展開図上で点 \(\mathrm{A}\) から点 \(\mathrm{A’}\) を直線で結んだときとなる。
おうぎ形の半径が \(8\)、底面の円の半径が \(2\) であるから、おうぎ形の中心角は
\(360^\circ \times \displaystyle \frac{2}{8} = 90^\circ\)
よって、\(\triangle \mathrm{AOA’}\) は直角二等辺三角形である。
したがって、ひもの長さ \(\mathrm{AA’}\) は、三平方の定理より
\(\begin{align}\mathrm{AA’} &= \sqrt{\mathrm{OA} + \mathrm{OA’}} \\&= \sqrt{8^2 + 8^2} \\&= \sqrt{128} \\&= 8\sqrt{2}\end{align}\)
答え: \(8\sqrt{2}\)
以上で問題も終わりです!
立体図形はできるだけシンプルに考えることが大切です。
円錐への理解を深めて、さまざまな問題に対応できるようにしてくださいね。