この記事では、コンパスと定規を使った「三角形の外接円・内接円の書き方」をわかりやすく解説していきます。
小中学校で習う作図方法ですが、高校でもあらためて習う外接円・内接円の性質を利用した方法です。ぜひマスターしてくださいね!
三角形の外接円の書き方
三角形の外接円を書くポイントと、書き方(作図手順)を説明します。
外接円を書くポイント
三角形の外接円を書くときには、外接円の性質①「外接円の中心は各辺の垂直二等分線上にある」を利用します。
つまり、各辺の垂直二等分線を引けば、その交点が外接円の中心である、ということですね。
円の中心さえわかれば、外接円の性質②「外接円の中心は、各頂点からの距離が等しい」より、中心から頂点までの距離を半径とする円を書けば、外接円のできあがりです。
外接円の作図手順
次の例題で、三角形の外接円を書く手順を説明します。
次の三角形の外接円を作図しなさい。
まず、三角形の任意の \(1\) 辺を選んで、次の流れで垂直二等分線を引きます。
① 辺の両端それぞれから同じ半径の弧を描き、弧が交わる \(2\) 点を得ます。
② \(2\) 交点を直線で結びます。
三角形のもう \(1\) 辺を選んで、STEP.1 と同様の手順で垂直二等分線を引きます。
\(2\) 本の垂直二等分線の交点が外接円の中心(外心)です。外心に点を打っておきましょう。
なぜ \(2\) 辺分の垂直二等分線だけでいいかというと、\(3\) 辺の垂直二等分線が必ず \(1\) 点(外心)で交わるからです。
つまり、\(2\) 辺の垂直二等分線の交点さえ得られれば、\(3\) 辺目の垂直二等分線も必ずその点を通ります。
外心にコンパスの針をおき、三角形の任意の頂点までの距離をコンパスの幅にとり、円を書きます。
これで外接円の完成です!
外心から各頂点への距離は等しいので、外接円はすべての頂点を通っているはずです。
【応用】3 点を通る円の作図手順
任意の \(3\) 点を通る円を作図する問題も、外接円の考え方で解くことができます。
\(3\) 点 \(\mathrm{A}\), \(\mathrm{B}\), \(\mathrm{C}\) をすべて通る円を作図しなさい。
\(3\) 点を線分で結んでしまえば、三角形 \(\mathrm{ABC}\) となります。
つまりこの問題は、「三角形 \(\mathrm{ABC}\) の外接円(すべての頂点を通る円)」を作図する問題と読み替えることができます。
まず、\(3\) 点のうち任意の \(2\) 点を選びます。ここでは点 \(\mathrm{A}\), \(\mathrm{B}\) としましょう。
その \(2\) 点を中心に、コンパスを同じ幅にとって弧を描き、\(2\) つの交点を得ます。
STEP.1 の \(2\) 交点を直線で結びます。
これが、三角形 \(\mathrm{ABC}\) で言えば辺 \(\mathrm{AB}\) の垂直二等分線ですね。
\(3\) 点のうち、さきほどとは別の \(2\) 点を選び、STEP.1、STEP.2 を同様に行います。
ここでは点 \(\mathrm{B}\), \(\mathrm{C}\) としましょう。
これで、辺 \(\mathrm{BC}\) の垂直二等分線が得られました。
\(2\) 本の垂直二等分線の交点が求める円の中心となります。点を打っておきましょう。
円の中心にコンパスの針をおき、\(3\) 点のどれかまでの距離をコンパスの幅にとり、円を書きます。
ここまでの手順がきちんとできていたら、円は \(3\) 点すべてを通っているはずです。
これで \(3\) 点 \(\mathrm{A}\), \(\mathrm{B}\), \(\mathrm{C}\) をすべて通る円の完成です!
【応用】円の中心の作図手順
円の中心を作図する問題でも、外接円の考え方が利用できます。
次に示す円の中心を作図しなさい。
このような問題では、「自分で円周上に \(3\) 点をとって、その \(3\) 点を通る円の中心を求める」と考えを転換します。
まず、与えられた円周上に適当な \(3\) 点を打ちます。
\(3\) 点から任意の \(2\) 点を選びます。
その \(2\) 点を中心に、コンパスを同じ幅にとって弧を描き、\(2\) つの交点を得ます。
STEP.2 の \(2\) 交点を直線で結びます。
これが、\(2\) 点を結ぶ線分の垂直二等分線です。
\(3\) 点のうち、さきほどとは別の \(2\) 点を選び、STEP.2、STEP.3 を同様に行います。
これで、別の \(2\) 点を結ぶ線分の垂直二等分線が得られました。
\(2\) 本の垂直二等分線の交点が、求める円の中心です。
これで円の中心が作図できました!
三角形の内接円の書き方
三角形の内接円を書くポイントと、書き方(作図手順)を説明します。
内接円を書くポイント
三角形の内接円を書くときには、内接円の性質①「内接円の中心は、各頂点の内角の二等分線上にある」を利用します。
つまり、各頂点から内角の二等分線を引けば、その交点が内接円の中心である、ということですね。
円の中心さえわかれば、内接円の性質②「内接円の中心は、各辺からの距離が等しい」より、中心から辺までの距離を半径とする円を書けば、内接円のできあがりです。
内接円の作図手順
次の例題を用いて、三角形の内接円を書く手順を説明します。
次の三角形の内接円を作図しなさい。
まず、三角形の任意の頂点を選んで、次の流れで角の二等分線を引きます。
① 選んだ頂点にコンパスの針を合わせて小さな弧を描きます。
② 弧と \(2\) 辺が交わる \(2\) 点にコンパスの針を合わせて同じ半径の弧を描きます。
③ その交点と頂点を直線で結びます。
さきほどと別の頂点を選んで、STEP.1 と同様の手順で角の二等分線を引きます。
\(2\) 本の角の二等分線の交点が内接円の中心(内心)となります。内心に点を打っておきましょう。
各頂点から引いた角の二等分線はすべて \(1\) 点で交わるので、\(3\) 頂点すべての角の二等分線を引く必要はありません。
次の流れで、内接円と三角形のある辺との接点を求めます。
① 先ほど求めた内心にコンパスの針をおき、三角形の任意の辺と \(2\) 点で交わるような弧を描きます。
② その \(2\) 点から同じコンパスの幅で弧を描き、交点を得ます。
③ 内心とその交点を直線で結んだとき、辺と交わる点が内接円との接点です。接点に点を打っておきましょう。
この際も、\(3\) 辺すべての接点ではなく \(1\) 辺の接点がわかれば十分です。
内心にコンパスの針をおき、接点までの距離を幅にとって円を書きます。
これで内接円の完成です!
内心から各辺への距離は等しいので、内接円はすべての辺と接しているはずです。
いかがでしたか?
外接円や内接円の性質を理解しておけば、作図は難しくありません。
ぜひマスターしてくださいね!