この記事では、「ひし形(菱形)」についてできるだけわかりやすく解説していきます。
ひし形の定義や面積の公式と求め方だけでなく、証明問題なども紹介していきますので、この記事を通してぜひマスターしてくださいね。
目次
ひし形(菱形)の定義
ひし形(菱形)とは、\(4\) つの辺の長さがすべて等しい四角形のことをいいます。
この定義に従うと、正方形もひし形の一種ですね。
まずはこの定義をしっかり覚えておきましょう。
ひし形の面積の公式
ひし形の面積は、次の公式で求められます。
ひし形の \(2\) 本の対角線を \(l\), \(m\) とおくと、ひし形の面積 \(S\) は
\begin{align}\color{red}{\displaystyle S = \frac{1}{2} lm}\end{align}
\begin{align}\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \color{red}{\displaystyle (\text{ひし形の面積}) = \frac{1}{2} \times (\text{対角線}) \times (\text{対角線})}\end{align}
では、どうしてこの公式は成り立つのでしょうか。
その理由は、ひし形の面積が \(\bf{4}\) つの頂点を通る長方形のちょうど半分の面積になっているからです。
なお、ひし形は平行四辺形の一種でもあります。
そのため、もちろん平行四辺形の面積の求め方(\(\text{底辺} \times \text{高さ}\))でもひし形の面積を求められますよ。
平行四辺形の定義や性質を解説!面積の公式、証明問題も
ひし形の面積の求め方
例題を通して、公式を使ったひし形の面積の求め方を説明します。
(1) 次のひし形の面積を求めよ。
(2) 対角線の長さが \(6 \ \mathrm{cm}\) と \(4 \ \mathrm{cm}\) のひし形の面積を求めなさい。
どちらの問題でも対角線の長さがわかっているので、公式にそのまま当てはめます。
(1)
ひし形の面積の公式より、
\(\begin{align} S &= \frac{1}{2} lm \\ &= \frac{1}{2} \cdot 3 \cdot 5 \\ &= \frac{15}{2}\end{align}\)
答え: \(\color{red}{\displaystyle \frac{15}{2}}\)
(2)
ひし形の面積の公式より、
\(\begin{align} S &= \frac{1}{2} lm \\&= \displaystyle \frac{1}{2} \cdot 6 \cdot 4 \\&= 12 \ (\mathrm{cm}^2)\end{align}\)
答え: \(12 \ \mathrm{cm}^2\)
ひし形の性質
ひし形には、次の \(4\) つの性質があります。
性質① 2 本の対角線は垂直に交わる
性質② 2 本の対角線は、互いにほかを 2 等分する
性質③ 1 本の対角線は、ひし形を合同な 2 つの二等辺三角形に分ける
性質④ 2 本の対角線は、ひし形を合同な 4 つの直角三角形に分ける
どれも、対角線に関する性質ですね。
言葉だけで覚えるのは大変なので、図とともに理解しておきましょう。
ひし形の証明問題
ひし形であることを証明する問題の解き方を説明します。
証明問題「ひし形であることの証明」
\(\triangle \mathrm{ABC}\) の \(\angle \mathrm{A}\) の二等分線と辺 \(\mathrm{BC}\) との交点を \(\mathrm{P}\) とし、点 \(\mathrm{P}\) から辺 \(\mathrm{AB}\)、\(\mathrm{AC}\) と平行な線を引き、交点をそれぞれ点 \(\mathrm{Q}\)、\(\mathrm{R}\) とする。
このとき、四角形 \(\mathrm{AQPR}\) がひし形であることを証明しなさい。
ひし形であることを証明するには、ひし形の定義「\(4\) つの辺がすべて等しい」を示します。
ひし形の中の二等辺三角形 \(2\) つが合同であることを示し、\(4\) 辺が等しいことにつなげる流れを作ると導けます。
\(\triangle \mathrm{QAP}\) と \(\triangle \mathrm{RAP}\) において、
\(\mathrm{AQ} \ // \ \mathrm{RP}\)、\(\mathrm{AR} \ // \ \mathrm{QP}\) で錯角は等しいので、
\(\angle \mathrm{QAP} = \angle \mathrm{RPA}\) … ①
\(\angle \mathrm{QPA} = \angle \mathrm{RAP}\) … ②
\(\mathrm{AP}\) は共通なので、
\(\mathrm{AP} = \mathrm{AP}\) … ③
①、②、③より、\(1\) 組の辺とその両端の角がそれぞれ等しいので、
\(\triangle \mathrm{QAP} \equiv \triangle \mathrm{RAP}\)
ここで、\(\mathrm{AP}\) は \(\triangle \mathrm{ABC}\) の \(\angle \mathrm{A}\) の二等分線、すなわち
\(\angle \mathrm{QAP} = \angle \mathrm{RAP}\) より、
\(\begin{align} \angle \mathrm{QAP} &= \angle \mathrm{RPA} \\ &= \angle \mathrm{QPA} \\ &= \angle \mathrm{RAP} \end{align}\)
したがって、\(\triangle \mathrm{QAP}\) と \(\triangle \mathrm{RAP}\) は \(\mathrm{AP}\) を底辺とする合同な二等辺三角形である。
よって
\(\mathrm{QA} = \mathrm{QP} = \mathrm{RA} = \mathrm{RP}\)
よって、\(4\) つの辺がすべて等しいので、
四角形 \(\mathrm{AQPR}\) はひし形である。
(証明終わり)
以上で問題も終わりです!
ひし形の面積の求め方は、簡単なようで忘れがちです。
問題自体は簡単なものばかりなので、必ず公式を覚えておくようにしましょう!
なお、ひし形の作図方法については以下の記事で説明しています。
四角形(ひし形・平行四辺形・台形)の書き方(作図)まとめ!