この記事では、「位置ベクトル」の公式(内分点・外分点・重心など)や求め方をできるだけわかりやすく解説していきます。
位置ベクトルならではの問題の解き方も説明していきますので、この記事を通してぜひマスターしてくださいね。
目次
位置ベクトルとは?
位置ベクトルとは、その名の通り「位置を表すベクトル」のことです。
「ベクトル」が矢印の向きと大きさを示すのに対し、「位置ベクトル」は点の位置(場所)を表します。
平面上で基準となる「始点(起点)」をとると(ここでは \(\mathrm{O}\) とする)、点 \(\mathrm{A}\) の位置はベクトル \(\overrightarrow{\mathrm{OA}}\) によって表せます。
このとき、\(\overrightarrow{\mathrm{OA}}\) を「点 \(\mathrm{O}\) を始点とする点 \(\mathrm{A}\) の位置ベクトル」といいます。
一般的に、「\(\color{red}{\overrightarrow{\mathrm{OA}} = \vec{a}}\)」と小文字のベクトルで表記し、位置ベクトルが \(\vec{a}\) である点 \(\mathrm{A}\) を「\(\color{red}{\mathrm{A}(\vec{a})}\)」と表します。
ある点を、基準となる点(始点)に対する位置で表すことから「位置ベクトル」と呼ぶのですね。
位置ベクトルの公式と求め方
ここでは、位置ベクトルの重要な公式をまとめていきます。
どれもよく使うので、覚えるだけでなく使いこなせるようにしていきましょう。
公式① 始点以外の 2 点を結ぶ位置ベクトル
始点以外の \(2\) 点を結ぶベクトルは、位置ベクトルを使って次のように表されます。
平面上の \(2\) 点 \(\mathrm{A}(\vec{a})\), \(\mathrm{B}(\vec{b})\) に対して、始点を点 \(\mathrm{O}\) とすると、
\begin{align}\color{red}{\overrightarrow{\mathrm{AB}} = \vec{b} − \vec{a}}\end{align}
始点 \(\mathrm{O}\) を通らないベクトル \(\overrightarrow{\mathrm{AB}}\) は、「(後ろ)–(前)」で計算できると覚えておきましょう!
この公式は、次のような式変形で導かれます。
\(\begin{align} \overrightarrow{\mathrm{AB}} &= \overrightarrow{\mathrm{AO}} + \overrightarrow{\mathrm{OB}} \\ &= \overrightarrow{\mathrm{OB}} − \overrightarrow{\mathrm{OA}} \\ &= \color{red}{\vec{b} − \vec{a}} \end{align}\)
(証明終わり)
\(\overrightarrow{\mathrm{AB}} = \vec{b}\), \(\overrightarrow{\mathrm{AC}} = \vec{c}\) のとき、線分 \(\mathrm{CB}\) を \(\vec{b}\), \(\vec{c}\) を使って表せ。
始点を \(\mathrm{A}\) とする位置ベクトルで線分 \(\mathrm{CB}\) を表します。
アルファベットの順番に注意しましょう。
\(\overrightarrow{\mathrm{CB}} = \vec{b} − \vec{c}\)
答え: \(\color{red}{\overrightarrow{\mathrm{CB}} = \vec{b} − \vec{c}}\)
公式② 内分点の位置ベクトル
次は、内分点の位置ベクトルです。
平面上の \(2\) 点 \(\mathrm{A}(\vec{a})\), \(\mathrm{B}(\vec{b})\) に対して、線分 \(\mathrm{AB}\) を \(m : n\) に内分する点 \(\mathrm{P}\) の位置ベクトル \(\vec{p}\) は
\begin{align}\color{red}{\vec{p} = \frac{n \vec{a} + m \vec{b}}{m + n}}\end{align}
この公式は、次のような式変形で導かれます。
線分 \(\mathrm{AB}\) を \(m : n\) に内分する点を \(\mathrm{P}\) とすると
\(\displaystyle \overrightarrow{\mathrm{AP}} = \frac{m}{m + n} \overrightarrow{\mathrm{AB}}\)
\(\mathrm{A}(\vec{a})\), \(\mathrm{B}(\vec{b})\), \(\mathrm{P}(\vec{p})\) より、
\(\displaystyle \vec{p} − \vec{a} = \frac{m}{m + n} (\vec{b} − \vec{a})\)
\(\displaystyle \vec{p} = \frac{m}{m + n} \vec{b} − \frac{m}{m + n} \vec{a} + \vec{a}\)
\(\displaystyle \vec{p} = \frac{n}{m + n} \vec{a} + \frac{m}{m + n} \vec{b}\)
よって
\(\color{red}{\displaystyle \vec{p} = \frac{n \vec{a} + m \vec{b}}{m + n}}\)
(証明終わり)
\(2\) 点 \(\mathrm{A}(\vec{a})\), \(\mathrm{B}(\vec{b})\) を結ぶ線分 \(\mathrm{AB}\) について、線分 \(\mathrm{AB}\) を \(3 : 1\) に内分する点 \(\mathrm{P}\) の位置ベクトルを \(\vec{a}\), \(\vec{b}\) を使って表せ。
内分点の公式に内分比を当てはめます。
点 \(\mathrm{P}\) の位置ベクトルを \(\vec{p}\) とおくと、
\(\vec{p} = \displaystyle \frac{1\vec{a} + 3\vec{b}}{3 + 1} = \frac{\vec{a} + 3\vec{b}}{4}\)
答え: \(\color{red}{\vec{p} = \displaystyle \frac{\vec{a} + 3\vec{b}}{4}}\)
公式③ 外分点の位置ベクトル
続いて、外分点の位置ベクトルです。
平面上の \(2\) 点 \(\mathrm{A}(\vec{a})\), \(\mathrm{B}(\vec{b})\) に対して、線分 \(\mathrm{AB}\) を \(m : n\) に外分する点 \(\mathrm{Q}\) の位置ベクトル \(\vec{q}\) は
\begin{align}\color{red}{\displaystyle \vec{q} = \frac{− n \vec{a} + m \vec{b}}{m − n}}\end{align}
ちなみに、外分点の公式も位置ベクトルを使って簡単に求められます。
線分 \(\mathrm{AB}\) を \(m : n\) に外分する点を \(\mathrm{Q}\) とする。
(i) \(m > n\) のとき
\(\displaystyle \overrightarrow{\mathrm{AQ}} = \frac{m}{m − n} \overrightarrow{\mathrm{AB}}\)
\(\mathrm{A}(\vec{a})\), \(\mathrm{B}(\vec{b})\), \(\mathrm{Q}(\vec{q})\) より、
\(\displaystyle \vec{q} − \vec{a} = \frac{m}{m − n} (\vec{b} − \vec{a})\)
\(\displaystyle \vec{q} = \frac{m}{m − n} \vec{b} − \frac{m}{m − n} \vec{a} + \vec{a}\)
\(\displaystyle \vec{q} = −\frac{n}{m − n} \vec{a} + \frac{m}{m − n} \vec{b}\)
よって
\(\displaystyle \vec{q} = \frac{−n \vec{a} + m \vec{b}}{m − n}\)
(ii) \(m < n\) のとき
\(\overrightarrow{\mathrm{AQ}} = \displaystyle \frac{m}{n − m} \vec{\mathrm{BA}} = \frac{m}{m − n} \overrightarrow{\mathrm{AB}}\)
よって (i) 同様、
\(\displaystyle \vec{q} = \frac{−n \vec{a} + m \vec{b}}{m − n}\)
と求められる。
したがって、線分 \(\mathrm{AB}\) を \(m : n\) に外分する点 \(\mathrm{Q}\) は
\(\color{red}{\displaystyle \vec{q} = \frac{−n \vec{a} + m \vec{b}}{m − n}}\)
(証明終わり)
\(m > n\) の場合も \(m < n\) の場合も、外分点の求め方は共通ということですね。
\(2\) 点 \(\mathrm{A}(\vec{a})\), \(\mathrm{B}(\vec{b})\) を結ぶ線分 \(\mathrm{AB}\) について、線分 \(\mathrm{AB}\) を \(1 : 2\) に外分する点 \(\mathrm{Q}\) の位置ベクトルを \(\vec{a}\), \(\vec{b}\) を使って表せ。
外分点の場合は、「比をなす \(m\) と \(n\) のうち、小さい方の符号をマイナスにして内分点の公式を使う」と考えると楽です。
つまり、「\(1 : 2\) に外分」を頭の中で「\((−1) : 2\) に内分」に変換して、内分点の公式に代入します。
点 \(\mathrm{Q}\) の位置ベクトルを \(\vec{q}\) とおくと、
\(\vec{q} = \displaystyle \frac{2\vec{a} + (−1)\vec{b}}{(−1) + 2} = 2\vec{a} − \vec{b}\)
答え: \(\color{red}{\vec{q} = 2\vec{a} − \vec{b}}\)
ちなみに、大きい方の数字をマイナスにして内分点の公式に代入しても問題なく外分点が求められます。
ただし、そうすると分母がマイナスになり、符号を入れ替える手間が増えてしまうので、「小さい方をマイナス!」と覚えておきましょう。
公式④ 三角形の重心の位置ベクトル
最後は、重心の位置ベクトルです。
\(3\) 点 \(\mathrm{A}(\vec{a})\), \(\mathrm{B}(\vec{b})\), \(\mathrm{C}(\vec{c})\) を頂点とする \(\triangle \mathrm{ABC}\) の重心 \(\mathrm{G}\) の位置ベクトル \(\vec{g}\) は
\begin{align}\color{red}{\displaystyle \vec{g} = \frac{\vec{a} + \vec{b} + \vec{c}}{3}}\end{align}
\(3\) 点の位置ベクトルの真ん中だから \(3\) 等分!と考えると、覚えやすい公式ですね。
この公式は、重心が中線を \(\bf{2 : 1}\) に内分する性質を利用すると導けます。
線分 \(\mathrm{BC}\) の中点を \(\mathrm{M}\) とすると、
\(\displaystyle \overrightarrow{\mathrm{OM}} = \frac{\overrightarrow{\mathrm{OB}} + \overrightarrow{\mathrm{OC}}}{2}\) …①
\(\triangle \mathrm{ABC}\) の重心 \(\mathrm{G}\) は中線 \(\mathrm{AM}\) を \(2 : 1\) に内分する点であるから
\(\displaystyle \overrightarrow{\mathrm{OG}} = \frac{\overrightarrow{\mathrm{OA}} + 2\overrightarrow{\mathrm{OM}}}{2 + 1}\)
①を代入して
\(\displaystyle \overrightarrow{\mathrm{OG}} = \frac{\overrightarrow{\mathrm{OA}} + (\overrightarrow{\mathrm{OB}} + \overrightarrow{\mathrm{OC}})}{3}\)
\(\mathrm{A}(\vec{a})\), \(\mathrm{B}(\vec{b})\), \(\mathrm{C}(\vec{c})\), \(\mathrm{G}(\vec{g})\) より、
\(\color{red}{\displaystyle \vec{g} = \frac{\vec{a} + \vec{b} + \vec{c}}{3}}\)
(証明終わり)
\(\mathrm{A}(\vec{a}) = (1, 2)\)、\(\mathrm{B}(\vec{b}) = (−3, 4)\)、\(\mathrm{C}(\vec{c}) = (5, −6)\) のとき、\(\triangle \mathrm{ABC}\) の重心の位置ベクトル \(\mathrm{G}(\vec{g})\) を求めよ。
始点を原点 \(\mathrm{O}\) と考えると、位置ベクトルも成分で表すことができます。
\(x\) 成分、\(y\) 成分のそれぞれに重心の位置ベクトルの公式を適用しましょう。
\(\displaystyle \vec{g} = \frac{\vec{a} + \vec{b} + \vec{c}}{3}\) より、
\(\begin{align}\displaystyle \mathrm{G}(\vec{g}) &= \left(\frac{1 + (−3) + 5}{3}, \frac{2 + 4 + (−6)}{3}\right) \\&= \left(\frac{3}{3}, \frac{0}{3}\right) \\&= (1, 0)\end{align}\)
答え: \(\color{red}{\mathrm{G}(\vec{g}) = (1, 0)}\)
位置ベクトルの計算問題
それでは、もう少し実践的な位置ベクトルの問題に挑戦しましょう!
計算問題①「重心を含む等式を示す」
\(\triangle \mathrm{ABC}\) の重心を \(\mathrm{G}\) とするとき、等式 \(\overrightarrow{\mathrm{GA}} + \overrightarrow{\mathrm{GB}} + \overrightarrow{\mathrm{GC}} = \vec{0}\) を示せ。
各頂点を位置ベクトルでおいて、重心の位置ベクトルの公式を利用します。
等式の左辺を位置ベクトルで表すと \(\vec{0}\) となることを示しましょう。
\(3\) 点 \(\mathrm{A}\), \(\mathrm{B}\), \(\mathrm{C}\) の位置ベクトルを \(\vec{a}\), \(\vec{b}\), \(\vec{c}\) とおくと、重心 \(\mathrm{G}\) の位置ベクトル \(\vec{g}\) は
\(\displaystyle \vec{g} = \frac{\vec{a} + \vec{b} + \vec{c}}{3}\)
このとき、
- \(\overrightarrow{\mathrm{GA}} = \vec{a} − \vec{g} = \displaystyle \frac{2\vec{a} − \vec{b} − \vec{c}}{3}\)
- \(\overrightarrow{\mathrm{GB}} = \vec{b} − \vec{g} = \displaystyle \frac{−\vec{a} + 2\vec{b} − \vec{c}}{3}\)
- \(\overrightarrow{\mathrm{GC}} = \vec{c} − \vec{g} = \displaystyle \frac{−\vec{a} − \vec{b} + 2\vec{c}}{3}\)
であるから、
等式の左辺は
\(\overrightarrow{\mathrm{GA}} + \overrightarrow{\mathrm{GB}} + \overrightarrow{\mathrm{GC}}\)
\(\displaystyle = \frac{2\vec{a} − \vec{b} − \vec{c}}{3} + \frac{−\vec{a} + 2\vec{b} − \vec{c}}{3} + \frac{−\vec{a} − \vec{b} + 2\vec{c}}{3}\)
\(= \vec{0}\)
(見切れる場合は横へスクロール)
となり、示すべき等式の右辺が導かれた。
よって、 \(\overrightarrow{\mathrm{GA}} + \overrightarrow{\mathrm{GB}} + \overrightarrow{\mathrm{GC}} = \vec{0}\) が成り立つ。
(証明終わり)
始点は \(\mathrm{O}\) とすることが多いものの、別の点を始点に選んでもよいです。
この問題では、始点を \(\mathrm{G}\) とするとより簡単に証明できます。
重心 \(\mathrm{G}\) を始点とする。
重心の位置ベクトルの公式より
\(\displaystyle \overrightarrow{\mathrm{GG}} = \frac{\overrightarrow{\mathrm{GA}} + \overrightarrow{\mathrm{GB}} + \overrightarrow{\mathrm{GC}}}{3}\)
左辺は \(\vec{0}\) であるから、両辺を \(3\) 倍して
\(\overrightarrow{\mathrm{GA}} + \overrightarrow{\mathrm{GB}} + \overrightarrow{\mathrm{GC}} = \vec{0}\)
が得られる。
(証明終わり)
計算問題②「内分点と外分点を結ぶベクトル」
\(\triangle \mathrm{ABC}\) において、辺 \(\mathrm{AB}\) を \(1 : 2\) に内分する点を \(\mathrm{P}\)、辺 \(\mathrm{BC}\) を \(2 : 1\) に外分する点を \(\mathrm{Q}\) とする。
このとき、\(\overrightarrow{\mathrm{PQ}}\) を \(\overrightarrow{\mathrm{AB}} = \vec{b}\), \(\overrightarrow{\mathrm{AC}} = \vec{c}\) を使って表せ。
図形に関するベクトルの問題を解くときは、「始点」と「\(\bf{2}\) 本のベクトル」を意識しましょう。
この問題では「\(\overrightarrow{\mathrm{AB}} = \vec{b}\), \(\overrightarrow{\mathrm{AC}} = \vec{c}\) で表せ」とあることから、始点は点 \(\mathrm{A}\) で、注目する \(2\) 本のベクトルは \(\vec{b}\), \(\vec{c}\) です。
\(\overrightarrow{\mathrm{PQ}} = \overrightarrow{\mathrm{AQ}} − \overrightarrow{\mathrm{AP}}\)
点 \(\mathrm{Q}\) は辺 \(\mathrm{BC}\) を \(2 : 1\) に外分する点なので、
\(\overrightarrow{\mathrm{AQ}} = \displaystyle \frac{(−1)\overrightarrow{\mathrm{AB}} + 2\overrightarrow{\mathrm{AC}}}{2 + (−1)} = −\vec{b} + 2\vec{c}\)
点 \(\mathrm{P}\) は辺 \(\mathrm{AB}\) を \(1 : 2\) に内分する点なので、
\(\overrightarrow{\mathrm{AP}} = \displaystyle \frac{2\overrightarrow{\mathrm{AA}} + \overrightarrow{\mathrm{AB}}}{1 + 2} = \frac{\vec{b}}{3}\)
したがって、
\(\begin{align} \overrightarrow{\mathrm{PQ}} &= \overrightarrow{\mathrm{AQ}} − \overrightarrow{\mathrm{AP}} \\ &= −\vec{b} + 2\vec{c} − \frac{\vec{b}}{3} \\ &= −\frac{4\vec{b}}{3} + 2\vec{c} \end{align}\)
答え: \(\color{red}{\displaystyle \overrightarrow{\mathrm{PQ}} = −\frac{4\vec{b}}{3} + 2\vec{c}}\)
計算問題③「等式を満たす点 P の位置」
\(\triangle \mathrm{ABC}\) と点 \(\mathrm{P}\) が \(\overrightarrow{\mathrm{PA}} + 2\overrightarrow{\mathrm{PB}} + 3\overrightarrow{\mathrm{PC}} = \vec{0}\) を満たしている。
このとき、点 \(\mathrm{P}\) はどのような位置にあるか説明せよ。
「始点」と「\(2\) 本のベクトル」を自分で決めます。三角形の場合は頂点のどれかを始点とすると楽です。
ここでは始点を \(\mathrm{A}\) とし、\(2\) 本のベクトルを \(\overrightarrow{\mathrm{AB}}\), \(\overrightarrow{\mathrm{AC}}\) として計算していきます。
点 \(\mathrm{A}\) を始点とする。
与式の左辺を変形すると、
\(\overrightarrow{\mathrm{PA}} + 2\overrightarrow{\mathrm{PB}} + 3\overrightarrow{\mathrm{PC}}\)
\(= −\overrightarrow{\mathrm{AP}} + 2(\overrightarrow{\mathrm{AB}} − \overrightarrow{\mathrm{AP}}) + 3(\overrightarrow{\mathrm{AC}} − \overrightarrow{\mathrm{AP}})\)
\(= −6\overrightarrow{\mathrm{AP}} + 2\overrightarrow{\mathrm{AB}} + 3\overrightarrow{\mathrm{AC}}\)
これが \(\vec{0}\) であるから
\(−6\overrightarrow{\mathrm{AP}} + 2\overrightarrow{\mathrm{AB}} + 3\overrightarrow{\mathrm{AC}} = \vec{0}\)
\(6\overrightarrow{\mathrm{AP}} = 2\overrightarrow{\mathrm{AB}} + 3\overrightarrow{\mathrm{AC}}\)
\(\displaystyle \overrightarrow{\mathrm{AP}} = \frac{2\overrightarrow{\mathrm{AB}} + 3\overrightarrow{\mathrm{AC}}}{6}\)
よって
\(\displaystyle \overrightarrow{\mathrm{AP}} = \frac{5}{6} \cdot \frac{2\overrightarrow{\mathrm{AB}} + 3\overrightarrow{\mathrm{AC}}}{5}\)
と表せる。
ここで、\(\displaystyle \overrightarrow{\mathrm{AD}} = \frac{2\overrightarrow{\mathrm{AB}} + 3\overrightarrow{\mathrm{AC}}}{5}\) とおくと、点 \(\mathrm{D}\) は辺 \(\mathrm{BC}\) を \(3 : 2\) に内分する点である。
また、\(\displaystyle \overrightarrow{\mathrm{AP}} = \frac{5}{6} \overrightarrow{\mathrm{AD}}\) なので、点 \(\mathrm{P}\) は線分 \(\mathrm{AD}\) を \(5 : 1\) に内分する点である。
答え:
辺 \(\mathrm{BC}\) を \(3 : 2\) に内分する点を \(\mathrm{D}\) とするとき、点 \(\mathrm{P}\) は線分 \(\mathrm{AD}\) を \(5 : 1\) に内分する点
計算問題④「交点の位置ベクトルを求める」
\(\triangle \mathrm{OAB}\) において、辺 \(\mathrm{OA}\) を \(1 : 3\) に内分する点を \(\mathrm{C}\)、辺 \(\mathrm{OB}\) を \(2 : 3\) に内分する点を \(\mathrm{D}\)、線分 \(\mathrm{AD}\) と \(\mathrm{BC}\) の交点を \(\mathrm{P}\) とする。
このとき、\(\overrightarrow{\mathrm{OP}}\) を \(\overrightarrow{\mathrm{OA}} = \vec{a}\), \(\overrightarrow{\mathrm{OB}} = \vec{b}\) を使って表せ。
交点の位置ベクトルの求め方はいくつかあります。
ここでは、次の \(3\) つの方法による解答を示します。
交点の位置ベクトルの解法
- 交点の位置ベクトルを \(2\) 通りで表し、係数を比較
- 直線のベクトル方程式を利用
- メネラウスの定理を利用
\(\mathrm{AP} : \mathrm{PD} = s : (1 − s)\)、\(\mathrm{BP} : \mathrm{PC} = t : (1 − t)\) とおくと
\(\begin{align}\overrightarrow{\mathrm{OP}} &= (1 − s)\overrightarrow{\mathrm{OA}} + s\overrightarrow{\mathrm{OD}} \\&= (1 − s)\overrightarrow{\mathrm{OA}} + \displaystyle \frac{2}{5}s\overrightarrow{\mathrm{OB}} \\&= (1 − s)\vec{a} + \displaystyle \frac{2}{5}s\vec{b} \ \cdots ①\end{align}\)
\(\begin{align}\overrightarrow{\mathrm{OP}} &= t\overrightarrow{\mathrm{OC}} + (1 − t)\overrightarrow{\mathrm{OB}} \\&= \displaystyle \frac{1}{4}t\overrightarrow{\mathrm{OA}} + (1 − t)\overrightarrow{\mathrm{OB}} \\&= \frac{1}{4}t\vec{a} + (1 − t)\vec{b} \ \cdots ②\end{align}\)
\(\vec{a} \neq 0\), \(\vec{b} \neq 0\), \(\vec{a} \neq \vec{b}\) より
①、②の係数を比較して
\(\left\{\begin{array}{l} 1 − s = \displaystyle \frac{1}{4}t\\ \displaystyle \frac{2}{5}s = 1 − t\end{array}\right.\)
これを解くと
\(s = \displaystyle \frac{5}{6}\), \(t = \displaystyle \frac{2}{3}\)
よって
\(\displaystyle \overrightarrow{\mathrm{OP}} = \frac{1}{6}\vec{a} + \frac{1}{3}\vec{b} \ \left(= \displaystyle \frac{\vec{a} + 2\vec{b}}{6}\right)\)
答え: \(\displaystyle \overrightarrow{\mathrm{OP}} = \frac{1}{6}\vec{a} + \frac{1}{3}\vec{b} \ \left(= \displaystyle \frac{\vec{a} + 2\vec{b}}{6}\right)\)
\(\displaystyle \overrightarrow{\mathrm{OP}} = x\vec{\mathrm{OA}} + y\vec{\mathrm{OB}}\)
とおく。
\(\displaystyle \overrightarrow{\mathrm{OD}} = \frac{2}{5}\vec{\mathrm{OB}}\) より
\(\displaystyle \overrightarrow{\mathrm{OP}} = x\vec{\mathrm{OA}} + \frac{5}{2}y\vec{\mathrm{OD}}\)
\(\mathrm{P}\) は直線 \(\mathrm{AD}\) 上の点であるから
\(\displaystyle x + \frac{5}{2}y = 1 \ \cdots ①\)
\(\displaystyle \overrightarrow{\mathrm{OC}} = \frac{1}{4}\vec{\mathrm{OA}}\) より
\(\overrightarrow{\mathrm{OP}} = 4x\vec{\mathrm{OC}} + y\vec{\mathrm{OB}}\)
\(\mathrm{P}\) は直線 \(\mathrm{BC}\) 上の点であるから
\(4x + y = 1 \ \cdots ②\)
①、②より
\(x = \displaystyle \frac{1}{6}\), \(y = \displaystyle \frac{1}{3}\)
よって
\(\displaystyle \overrightarrow{\mathrm{OP}} = \frac{1}{6}\vec{a} + \frac{1}{3}\vec{b} \ \left(= \displaystyle \frac{\vec{a} + 2\vec{b}}{6}\right)\)
答え: \(\displaystyle \overrightarrow{\mathrm{OP}} = \frac{1}{6}\vec{a} + \frac{1}{3}\vec{b} \ \left(= \displaystyle \frac{\vec{a} + 2\vec{b}}{6}\right)\)
メネラウスの定理より
\(\displaystyle \frac{\mathrm{OC}}{\mathrm{CA}} \cdot \frac{\mathrm{AP}}{\mathrm{PD}} \cdot \frac{\mathrm{DB}}{\mathrm{BO}} = 1\)
\(\displaystyle \frac{1}{3} \cdot \frac{\mathrm{AP}}{\mathrm{PD}} \cdot \frac{3}{5} = 1\)
\(\displaystyle \frac{\mathrm{AP}}{\mathrm{PD}} = 3 \cdot \frac{5}{3} = \frac{5}{1}\) より
\(\mathrm{AP} : \mathrm{PD} = 5 : 1\)
よって
\(\begin{align}\displaystyle \overrightarrow{\mathrm{OP}} &= \frac{1}{6}\overrightarrow{\mathrm{OA}} + \frac{5}{6}\overrightarrow{\mathrm{OD}} \\&= \frac{1}{6}\vec{a} + \frac{5}{6} \cdot \frac{2}{5} \vec{b}\\&= \frac{1}{6}\vec{a} + \frac{1}{3}\vec{b} \ \left(= \frac{\vec{a} + 2\vec{b}}{6}\right)\end{align}\)
答え: \(\displaystyle \overrightarrow{\mathrm{OP}} = \frac{1}{6}\vec{a} + \frac{1}{3}\vec{b} \ \left(= \displaystyle \frac{\vec{a} + 2\vec{b}}{6}\right)\)
以上で問題も終わりです!
位置ベクトルのコツは「始点」と「\(2\) 本のベクトル」を意識することです。
位置ベクトルの考え方をマスターし、幅広い問題に対処できるようにしましょう!
ベクトルに関するほかの公式や問題について調べたい方は、以下のまとめ記事から探してみてくださいね!
ベクトルを総まとめ!高校で習う公式一覧