この記事では、「三角錐」の公式(体積・表面積)や求め方をできるだけわかりやすく解説していきます。
この記事を通してぜひマスターしてくださいね!
目次
三角錐とは?
三角錐とは、底面が三角形で錐状の立体図形です。
錐状(すいじょう)
底面からある一点に向かって線分が伸びるようなかたち。
まずは三角錐のかたちとルールを確認してみましょう。
底面の三角形 \(1\) 枚、側面の三角形 \(3\) 枚を組み立ててできた立体図形ですね。
錐状で、すべての面が三角形でできているのが三角錐の特徴です。
ちなみに、立体をなす平面の数に注目すると、三角錐は「四面体」と呼ぶこともできます(計 \(4\) 面で構成されているため)。
特殊な三角錐:「正三角錐」と「正四面体」
底面が正三角形で、側面がすべて合同な二等辺三角形で作られた三角錐を「正三角錐」といいます。
また、すべての面が合同な正三角形で作られた三角錐を「正四面体」といいます。\(4\) つの面すべてが同じかたちなので、「正四面体」と呼ぶのですね。
これらも立派な三角錐なのでよく覚えておきましょう。
三角錐の体積の公式
三角錐の体積を求める公式は次のとおりです。
底面の三角形の面積が \(S\)、高さが \(h\) の三角錐の体積 \(V\) は、次の式で求められる。
\begin{align}\color{red}{V = \displaystyle \frac{1}{3}Sh}\end{align}
(体積) = \(\displaystyle \frac{1}{3}\) × (底面積) × (高さ)
三角錐に限らず、錐体の体積は「\(\displaystyle \frac{1}{3}\) × (底面積) × (高さ)」で求められます。
三角錐の体積の求め方
次の例題で、三角錐の体積を求める手順を説明します。
次の三角錐の体積を求めよ。
まずは三角錐の底面積 \(S\) を求めます。
底面積を \(S\) とおくと、直角をはさむ辺の長さが \(4\) , \(5\) の直角三角形であるから
\(S = \displaystyle \frac{1}{2} \cdot 4 \cdot 5 = 10\)
高さが \(6\) とわかっているので、あとは三角錐の体積の公式に当てはめるだけです。
三角錐の高さは \(h = 6\) なので、体積 \(V\) は
\(\begin{align}V &= \displaystyle \frac{1}{3}Sh\\&= \displaystyle \frac{1}{3} \cdot 10 \cdot 6\\&= \color{red}{20}\end{align}\)
くれぐれも、\(\displaystyle \frac{1}{3}\) をかけ忘れないように気をつけましょう!
三角錐の表面積の公式
次に、三角錐の表面積を求める公式を確認しましょう。
底面の三角形の面積が \(S_1\)、三角錐の側面積が \(S_2, S_3, S_4\) であるとき、三角錐の表面積 \(S_S\) は、次の式で求められる。
\begin{align}\color{red}{S_S = S_1 + S_2 + S_3 + S_4}\end{align}
(表面積) = (底面積) + (側面積)
側面積が合同な三角形の場合には \(S_2 = S_3 = S_4\) とまとめられて、
\(\color{red}{S_S = S_1 + 3S_2}\) となります。
三角錐の表面積の求め方
次の例題を通して、三角錐の表面積を求める手順を説明します。
次の三角錐の表面積を求めよ。
三角錐をなす \(4\) つの平面の面積を計算します。
\(4\) つの面を取り出して、それぞれの情報を整理するとわかりやすいです。
(1) の三角形から順に計算していくと、
(1) \(S_1 = \displaystyle \frac{1}{2} \cdot 3 \cdot 4 = 6\)
(2) \(S_2 = \displaystyle \frac{1}{2} \cdot 3 \cdot 5 = \displaystyle \frac{15}{2}\)
(3) \(S_3 = \displaystyle \frac{1}{2} \cdot 4 \cdot 6 = 12\)
(4) \(S_4 = \displaystyle \frac{1}{2} \cdot 5 \cdot 7 = \displaystyle \frac{35}{2}\)
\(S_1\) 〜 \(S_4\) をすべてを足せば、表面積 \(S_S\) が求まります。
求める三角錐の表面積 \(S_S\) は、
\(\begin{align}S_S &= S_1 + S_2 + S_3 + S_4\\&= 6 + \displaystyle \frac{15}{2} + 12 + \displaystyle \frac{35}{2}\\&= \color{red}{43}\end{align}\)
よって答えは \(\color{red}{43}\) になります。
三角錐の計算問題
最後に、三角錐の計算問題に挑戦してみましょう。
計算問題①「三角錐の体積と表面積を求める」
図のように \(1\) 辺の長さが \(10 \ \mathrm{cm}\) の正方形 \(\mathrm{ABCD}\) の辺 \(\mathrm{BC}\)、辺 \(\mathrm{CD}\) の中点をそれぞれ \(\mathrm{E}\)、\(\mathrm{F}\) とし、線分 \(\mathrm{AE}\)、線分 \(\mathrm{AF}\)、線分 \(\mathrm{EF}\) を折り目として三角錐 \(\mathrm{A−ECF}\) を作るとき、次の問いに答えなさい。
(1) 三角錐 \(\mathrm{A−ECF}\) の体積を求めなさい。
(2) 三角錐 \(\mathrm{A−ECF}\) の表面積を求めなさい。
自分で展開図を組み立てて体積、表面積を求める問題ですね。
体積を求める問題では、高さがどこになるかを見つけられるかがカギになります。
表面積を求める問題は、展開図のまま計算した方が簡単に解けますね。
(1) 三角錐 \(\mathrm{A−ECF}\) の立体図形は次のようになる。
\(\mathrm{∠ACD} = \mathrm{∠ACF} = \mathrm{∠ ECF} = 90^\circ\) であるから、三角錐 \(\mathrm{A−ECF}\) の高さは \(\mathrm{AB} = 10\) である。
底面 \(\mathrm{ECF}\) の面積は
\(△\mathrm{ECF} = \displaystyle \frac{1}{2} \cdot 5 \cdot 5 = \displaystyle \frac{25}{2}\)
であるから、
三角錐 \(\mathrm{A−ECF}\) の体積 \(V\) は
\(\begin{align}V &= \displaystyle \frac{1}{3} \cdot △\mathrm{ECF} \cdot \mathrm{AB}\\&= \displaystyle \frac{1}{3} \cdot \displaystyle \frac{25}{2} \cdot 10\\&= \displaystyle \frac{125}{3}\end{align}\)
答え: \(\displaystyle \frac{125}{3} \ \mathrm{cm^3}\)
(2) 三角錐 \(\mathrm{A−ECF}\) の展開図は \(1\) 辺の長さが \(10 \ \mathrm{cm}\) の正方形であるから、
求める表面積 \(S_S\) は
\(S_S = 10 \cdot 10 = 100\)
答え: \(100 \ \mathrm{cm^2}\)
計算問題②「ひもが最短になる長さを求める」
各辺の長さが \(4 \ \mathrm{cm}\) の正四面体 \(\mathrm{A−BCD}\) がある。
点 \(\mathrm{B}\) から辺 \(\mathrm{AD}\) を通り、点 \(\mathrm{C}\) まで通るひもがあるとき、このひもが最短になる長さを求めよ。
このような問題では、展開図を書けばひもの最短を簡単に考えることができます。
ただし、ひもは辺 \(\mathrm{AD}\) を通るため、辺 \(\mathrm{AD}\) が展開図の中央にくる必要があります。
必要な部分だけを取り出した展開図を書くのもアリですね。
三角錐の展開図の書き方については、次の記事で説明しています。
三角錐の展開図の作り方(書き方)!手順をわかりやすく解説
展開図において点 \(\mathrm{B}\) と \(\mathrm{C}\) を直線で結び、点 \(\mathrm{P}\) が辺 \(\mathrm{AD}\) の中点になるとき、ひもの長さは最短になる。
したがって、ひもの長さは正三角形 \(\mathrm{ACD}\) の高さの \(2\) 倍となる。
正三角形 \(\mathrm{ACD}\) において、高さを \(x\) と置くと
三平方の定理より
\(x^2 + 2^2 = 4^2\)
\(x^2 + 4 = 16\)
\(x^2 = 12\)
\(x > 0\) より \(x = 2\sqrt{3}\)
したがって、ひもの長さは \(4\sqrt{3} \ \mathrm{cm}\)
答え: \(4\sqrt{3}\ \mathrm{cm}\)
以上で問題も終わりです!
立体図形はできるだけシンプルに考えることが大切です。
三角錐への理解を深めて、さまざまな問題に対応できるようにしてくださいね。