この記事では、「三次関数」についてできるだけわかりやすく解説していきます。
三次関数のグラフの書き方や、微分で求める極値・接線の方程式についても詳しく説明していくので、ぜひマスターしてくださいね!
目次
三次関数とは?
三次関数とは、\(y\) が \(x\) の三次式で表せる関数のことです。
一般的に、任意の定数 \(a, b, c, d\) を使って「\(\color{red}{y = ax^3 + bx^2 + cx + d}\)」と表せます。(ただし、\(a \neq 0\))
三次関数の向きとかたち
三次関数のグラフは、最大 \(1\) 個ずつの山と谷をもち、両端が正負逆方向に伸びる曲線です(山・谷をもたない場合もあり)。
グラフの向きは、\(x^3\) の係数 \(a\) の正負によって決まります。
\(a > 0\) なら右肩上がりのグラフ、\(a < 0\) なら右肩下がりのグラフになります。
三次関数と軸の交点
三次関数と \(x\) 軸、\(y\) 軸との交点は次のように求められます。
- \(y\) 軸との交点(切片)
\(x = 0\) のときの \(y\) の値、すなわち定数項 \(d\) の値 - \(x\) 軸との交点
\(y = 0\) のときの \(x\) の値、すなわち \(\text{(左辺)} = 0\) の解
\(x\) 軸との交点を求めるときは、左辺が因数分解できるとわかりやすいですね。
三次関数と微分
三次関数 \(y = f(x)\) を微分して得られる導関数 \(y = f'(x)\) は、三次関数の各点における接線の傾きを表す関数です。
したがって、三次関数の導関数の大きさや符号を調べることは、三次関数のグラフの概形を知るのに役立ちます(→ 三次関数の極値と変曲点、三次関数のグラフの書き方)。
また、三次関数の接線の方程式を求める際にも、もちろん導関数が必要です(→ 三次関数の接線の方程式)。
三次関数の極値と変曲点
極値や変曲点の意味、三次関数における極値と変曲点について説明します。
極値(極大値・極小値)とは?
グラフの山の点を「極大」、谷の点を「極小」と呼び、その点における関数の値を「極値」といいます。
正確には、次の条件を満たす点が極大・極小です。
関数 \(f(x)\) において、\(f'(x)\) の符号が
- \(x = p\) の前後で正から負に変わるとき
\(f(x)\) は \(x = p\) で極大になるといい、\(f(p)\) を「極大値」という。 - \(x = p\) の前後で負から正に変わるとき
\(f(x)\) は \(x = p\) で極小になるといい、\(f(p)\) を「極小値」という。
極大値と極小値をまとめて「極値」という。
\(f'(p)\) は、\(x = p\) における曲線 \(y = f(x)\) の接線の傾きを意味します。
接線の傾きの符号が \(+\) から \(−\) に転じる点が「極大」、\(−\) から \(+\) に転じる点が「極小」ということですね。
三次関数が極大・極小をもつ条件
三次関数が極大・極小をもつ条件は次のとおりです。
三次関数 \(y = f(x)\) において、\(f'(x) = 0\) の判別式を \(D\) とおくと
- \(\color{red}{D > 0}\) のとき
すなわち、\(f'(x) = 0\) が異なる \(2\) つの実数解をもつとき
極値(極大・極小)をもつ - \(\color{red}{D \leq 0}\) のとき
すなわち、\(f'(x) = 0\) が重解をもつか、実数解をもたないとき
極値をもたない
\(D = 0\) のときは極値(山)にはならないものの、曲線の接線の傾きが \(0\) になる点が存在します。
一方、\(D < 0\) のときは曲線の接線の傾きが \(0\) になることはなく、傾きは単調に増加または単調に減少します。
変曲点とは?
変曲点とは、曲線上において、接線の傾き \(f'(x)\) が単調に増加するところから単調に減少するのに切り替わる点のことです。
数学的には、関数 \(f(x)\) を \(2\) 回微分した \(f’’(x)\) の符号が切り替わる点が変曲点です。
関数 \(y = f(x)\) において、\(f’’(x)\) の符号によってグラフの傾きは次のように変化する。
- \(\color{red}{f’’(x) < 0}\) のとき
接線の傾きが単調に減少する - \(\color{red}{f’’(x) = 0}\) のとき
接線の傾きの増減が切り替わる(変曲点) - \(\color{red}{f’’(x) > 0}\) のとき
接線の傾きが単調に増加する
三次関数の変曲点の性質
三次関数の変曲点には、以下の性質が成り立ちます。
- 三次関数における変曲点はただ \(1\) つ
- 三次関数のグラフは変曲点に関して点対称
- 点 \(\mathrm{A}\), \(\mathrm{B}\), \(\mathrm{C}\), \(\mathrm{D}\), \(\mathrm{E}\) が等間隔に並ぶ(\(4\) 等分の法則)
三次関数のグラフの書き方
例題を通して、三次関数のグラフの書き方を説明します。
次の関数のグラフを書け。
\(y = 2x^3 − 3x^2 + 1\)
ただ「グラフを書け」と言われた場合には、関数 \(y = f(x)\) の一階導関数 \(f'(x)\) を求めて極値と関数の増減を調べれば十分です。
これらを効率的に求めるには、増減表を書くのがオススメです。
\(f'(x) = 0\) を満たす \(x\) を求めることで、極値をもつかを調べます。
\(y’ = 6x^2 − 6x = 6x(x − 1)\)
\(y’ = 0\) のとき、\(x = 0, 1\)
\(y’ = 0\) が \(2\) つの異なる実数解をもつので、この三次関数は極値をもつことがわかりました。
極値がある場合は、極値における \(x\), \(y\) 座標を求めておきます。
\(x = 0\) のとき \(y = 1\)
\(x = 1\) のとき \(y = 2 − 3 + 1 = 0\)
次のような増減表を用意します。
先ほど求めた極値の \(x\), \(y’\), \(y\) は埋めておきましょう。
増減表の空欄の範囲における \(f'(x)\) の符号を調べます。
符号を調べるときは、その範囲内で適当な \(x\) の値を代入してみます。
\(x = −1\) のとき \(y’ = 6(−1)(−1 − 1) = 12 > 0\)
\(\displaystyle x = \frac{1}{2}\) のとき \(\displaystyle y’ = 6 \left( \frac{1}{2} \right) \left( \frac{1}{2} − 1 \right) = −\frac{3}{2} < 0\)
\(x = 2\) のとき \(y’ = 6 \cdot 2(2 − 1) = 12 > 0\)
\(f’(x)\) が正なら \(2\) 行目に「\(\bf{+}\)」、\(3\) 行目に「\(\bf{\nearrow}\)」を書きます。
\(f’(x)\) が負なら \(2\) 行目に「\(\bf{−}\)」、\(3\) 行目に「\(\bf{\searrow}\)」を書きます。
山の矢印にはさまれたのが「極大」、谷の矢印にはさまれたのが「極小」です。
\(x\) 軸との交点は \(f(x) = 0\) の解から求められます。
\(f(x)\) が因数分解できるとスムーズですね。
今回の関数は極小で点 \((1, 0)\) を通ることがわかっているので、\((x − 1)\) を因数にもつことを利用して求めましょう。
\(\begin{align} y &= 2x^3 − 3x^2 + 1 \\ &= (x − 1)(2x^2 − x − 1) \\ &= (x − 1)^2(2x + 1) \end{align}\)
より、
\(y = 0\) のとき \(\displaystyle x = −\frac{1}{2}, 1\)
よって \(x\) 軸との交点は \(\displaystyle \left( −\frac{1}{2}, 0 \right)\), \((1, 0)\) とわかります。
一方、切片の \(y\) 座標は定数項 \(1\) なので、\(y\) 軸との交点は \((0, 1)\) ですね。
準備が整ったので、いよいよグラフを書きます。
軸を用意したら、わかっている点を打っていきます。
- 極大 \((0, 1)\)
- 極小 \((1, 0)\)
- \(x\) 軸の交点 \(\displaystyle \left( −\frac{1}{2}, 0 \right)\), \((1, 0)\)
- \(y\) 軸との交点 \((0, 1)\)
あとは、増減表の矢印の向きを守りながらすべての点を通る曲線を引きます。
これでグラフの完成です!関数名も忘れずに入れておいてくださいね。
「変曲点を調べて」「凹凸も調べて」などと指定された場合には、二階導関数 \(f’’(x)\) まで調べます。
ちなみに、\(f’’(x)\) まで調べると次のような増減表になります。
三次関数の接線の方程式
ここでは、三次関数の接線の方程式の求め方を説明します。
\(f'(x)\) が接線の傾きを示すので、一般的に、接線の方程式は次のように与えられます。
曲線 \(y = f(x)\) 上の点 \((a, f(a))\) における接線の方程式は
\begin{align}\color{red}{y − f(a) = f’(a)(x − a)}\end{align}
(傾き \(f’(a)\) で、点 \((a, f(a))\) を通る直線)
「接線」については、以下の記事でより詳しく説明しています。
接線、接線の方程式とは?公式や微分による傾きの求め方
例題「三次関数の接線の方程式を求める」
以下の例題を通して、三次関数の接線を求める手順を説明します。
関数 \(y = −x^3 + x + 2\) の点 \((2, −4)\) における接線の方程式を求めよ。
まずは、接点 \((2, −4)\) における接線の傾きを求めます。
求めた傾きと通る点の座標を公式に代入すると、接線の方程式を求められます。
\(y = f(x)\) とおく。
\(f’(x) = −3x^2 + 1\) より、
点 \((2, −4)\) における接線の傾きは
\(f’(2) = −3 \cdot 2^2 + 1 = −11\)
傾き \(−11\) で点 \((2, −4)\) を通る直線であるから、接線の方程式は
\(y − (−4) = −11(x − 2)\)
\(\begin{align} y &= −11x +22 − 4 \\ &= −11x + 18 \end{align}\)
答え: \(\color{red}{y = −11x + 18}\)
三次関数の練習問題
最後に、三次関数の練習問題を解いてみましょう。
練習問題①「極値を求め、グラフを書く」
関数 \(y = −x^3 + 6x^2 − 12x + 7\) について、次の問いに答えよ。
(1) 極値を求め、グラフを書け。
(2) \(x = 3\) における接線の方程式を求めよ。
増減表を利用してグラフを書きましょう。極値が必ずあるとは限りませんよ。
(1)
\(y = f(x)\) とおくと、
\(\begin{align} f’(x) &= −3x^2 + 12x − 12 \\ &= −3(x^2 − 4x + 4) \\ &= −3(x − 2)^2 \end{align}\)
\(f’(x) = 0\) のとき \(x = 2\), \(y = −1\)
また、\(x < 2\) および \(x > 2\) で常に \(f’(x) < 0\)
よって、\(y = f(x)\) の増減表は次のようになる。
また、\(−x^3 + 6x^2 − 12x + 7 = 0\) を解くと
\(x^3 − 6x^2 + 12x − 7 = 0\)
\((x − 1)(x^2 − 5x + 7) = 0\)
\(x^2 − 5x − 7 = 0\) の判別式を \(D\) とすると
\(D = (−5)^2 − 4 \cdot 1 \cdot 7 = −3 < 0\) より、解なし。
よって \(y = f(x)\) と \(x\) 軸との交点は \((1, 0)\) のみ
したがって、\(y = −x^3 + 6x^2 − 12x + 7\) のグラフは次のようになる。
答え: 極値なし
(2)
\(\begin{align} f’(3) &= −3(3 − 2)^2 \\&= −3 \cdot 1^2 = −3\end{align}\)
\(\begin{align} f(3) &= −3^3 + 6 \cdot 3^2 − 12 \cdot 3 + 7\\&= −27 + 54 − 36 + 7\\&= −2\end{align}\)
より、\(x = 3\) における接線の方程式は
\(y − f(3) = f'(3)(x − 3)\) より
\(y − (−2) = −3(x − 3)\)
すなわち
\(y = −3x + 7\)
答え: \(\color{red}{y = −3x + 7}\)
練習問題②「最大値・最小値を求める」
関数 \(y = x^3 − 4x^2 + 4x + 1\) \((0 \leq x \leq 3)\) の最大値と最小値を求めよ。
増減表を利用して、グラフの概形を確認しましょう。
極大値・極小値が最大値・最小値となるとは限らないことに注意です。
\(\begin{align} y’ &= 3x^2 − 8x + 4 \\ &= (3x − 2)(x − 2) \end{align}\)
\(y’ = 0\) のとき \(\displaystyle x = \frac{2}{3}, 2\)
\(\displaystyle x = \frac{2}{3}\) のとき
\(\begin{align} y &= \frac{8}{27} − \frac{16}{9} + \frac{8}{3} + 1 \\ &= \frac{8 − 48 + 72 + 27}{27} \\ &= \frac{59}{27} \end{align}\)
\(x = 2\) のとき
\(\begin{align} y &= 8 − 16 + 8 + 1 \\ &= 1 \end{align}\)
また、
\(x = 0\) のとき \(y = 1\)
\(x = 3\) のとき \(y = 27 − 36 + 12 + 1 = 4\)
よって、\(0 \leq x \leq 3\) における \(y\) の増減は次のようになる。
したがって、
\(x = 3\) で最大値 \(4\)、\(x = 0, 2\) で最小値 \(1\) をとる。
答え:
最大値 \(\color{red}{4 \,\,(x = 3)}\)、最小値 \(\color{red}{1 \,\,(x = 0, 2)}\)
以上で三次関数の解説は終わりです。
三次関数の問題では、因数分解、因数定理、微分などさまざまな知識が必要になります。
苦手な部分があったら、その単元まで戻って復習しておきましょう!