中線定理とは?定理の証明や計算問題をわかりやすく解説!

この記事では、「中線定理」の意味や証明方法などを紹介していきます。

また問題の解き方もわかりやすく解説するので、ぜひマスターしてくださいね!

 

中線定理とは?

中線定理とは、三角形の中線の長さと辺の長さの関係を表す定理です。

別名「パップスの定理」とも呼ばれています。

中線定理

\(\triangle \mathrm{ABC}\) において辺 \(\mathrm{BC}\) の中点を \(\mathrm{M}\) とすると、

\begin{align}\color{red}{\mathrm{AB}^2 + \mathrm{AC}^2 = 2(\mathrm{AM}^2 + \mathrm{BM}^2)}\end{align}

頂点の記号は問題によって異なるので、記号ではなく位置関係で覚えておきましょう!

中線

三角形の頂点と向かい合う辺の中点を結んだ直線。

 

例題「3 辺の長さから中線の長さを求める」

中線定理を使うと、例えば \(3\) 辺の長さがわかっている三角形のある頂点から下ろした中線の長さを求められます。

例題

\(\triangle \mathrm{ABC}\) において、\(\mathrm{AB} = 4\)、\(\mathrm{BC} = 10\)、\(\mathrm{CA} = 7\) のとき、\(\mathrm{AM}\) の長さを求めよ。

ただし、点 \(\mathrm{M}\) は \(\mathrm{BC}\) の中点とする。

 

点 \(\mathrm{M}\) は \(\mathrm{BC}\) の中点なので、\(\mathrm{AM}\) は中線ですね。中線定理に当てはめます。

解答

 

中線定理より、

\(\mathrm{AB}^2 + \mathrm{AC}^2 = 2(\mathrm{AM}^2 + \mathrm{BM}^2)\)

 

\(\mathrm{AB} = 4\)、\(\mathrm{AC} = 7\)、\(\mathrm{BM} = \displaystyle \frac{1}{2}\mathrm{BC} = 5\) であるから

\(4^2 + 7^2 = 2(\mathrm{AM}^2 + 5^2)\)

\(16 + 49 = 2(\mathrm{AM}^2 + 25)\)

\(65 = 2\mathrm{AM}^2 + 50\)

\(2\mathrm{AM}^2 = 15\)

\(\displaystyle \mathrm{AM}^2 = \frac{15}{2}\)

 

\(\mathrm{AM} > 0\) より

\(\displaystyle \mathrm{AM} = \frac{\sqrt{15}}{\sqrt{2}} = \frac{\sqrt{30}}{2}\)

 

答え: \(\color{red}{\displaystyle \mathrm{AM} = \frac{\sqrt{30}}{2}}\)

 

中線定理の証明

中線定理は、さまざまな方法で証明できます。

ここでは、\(4\) 通りの証明方法(①三平方の定理の利用、②座標平面の利用、③余弦定理の利用、④ベクトルの利用)を紹介していきます。

中線定理の証明

\(\mathrm{AB} > \mathrm{AC}\) の \(\triangle \mathrm{ABC}\) において、辺 \(\mathrm{BC}\) の中点を \(\mathrm{M}\) とするとき、以下の式が成り立つことを示せ。

\begin{align}\mathrm{AB}^2 + \mathrm{AC}^2 = 2(\mathrm{AM}^2 + \mathrm{BM}^2)\end{align}

 

証明① 三平方の定理の利用

\(1\) つ目は、三平方の定理による証明です。

三平方の定理

直角三角形の直角を挟む \(2\) 辺の長さを \(a\), \(b\) とし、斜辺を \(c\) とすると、

\begin{align}a^2 + b^2 = c^2\end{align}

中線を出す頂点から垂線を下ろして直角三角形をつくります。

直角三角形の斜辺を三平方の定理で表し、中線定理に含まれる辺の長さ \(\mathrm{AB}\), \(\mathrm{AC}\), \(\mathrm{AM}\), \(\mathrm{BM}\) が残るように式変形していきます。

証明

 

点 \(\mathrm{A}\) から辺 \(\mathrm{BC}\) に下ろした垂線を \(\mathrm{AH}\) とする。

 

\(\triangle \mathrm{ABH}\) において、三平方の定理より

\(\mathrm{AB}^2\)

\(= \mathrm{BH}^2 + \mathrm{AH}^2\)

\(= (\mathrm{BM} + \mathrm{MH})^2 + \mathrm{AH}^2\)

\(= \mathrm{BM}^2 + 2 \mathrm{BM} \cdot \mathrm{MH} + \mathrm{MH}^2 + \mathrm{AH}^2\) ⋯①

 

\(\triangle \mathrm{ACH}\) において、三平方の定理より

\(\mathrm{AC}^2\)

\(= \mathrm{CH}^2 + \mathrm{AH}^2\)

\(= (\mathrm{MC} − \mathrm{MH})^2 + \mathrm{AH}^2\)

\(= \mathrm{MC}^2 − 2 \mathrm{MC} \cdot \mathrm{MH} + \mathrm{MH}^2 + \mathrm{AH}^2\) ⋯②

 

① + ②より、

\(\mathrm{AB}^2 + \mathrm{AC}^2\)

\(= (\mathrm{BM}^2 + 2 \mathrm{BM} \cdot \mathrm{MH} + \mathrm{MH}^2 + \mathrm{AH}^2) \) \(+ \ (\mathrm{MC}^2 − 2 \mathrm{MC} \cdot \mathrm{MH} + \mathrm{MH}^2 + \mathrm{AH}^2)\)

 

点 \(\mathrm{M}\) は \(\mathrm{BC}\) の中点であるから、

\(\mathrm{BM} = \mathrm{MC}\) より

\(\mathrm{AB}^2 + \mathrm{AC}^2\)

\(= (\mathrm{BM}^2 + 2 \mathrm{BM} \cdot \mathrm{MH} + \mathrm{MH}^2 + \mathrm{AH}^2) \) \(+ \ (\mathrm{BM}^2 − 2 \mathrm{BM} \cdot \mathrm{MH} + \mathrm{MH}^2 + \mathrm{AH}^2)\)

\(= 2\mathrm{BM}^2 + 2\mathrm{MH}^2 + 2\mathrm{AH}^2\)

\(= 2(\mathrm{BM}^2 + \mathrm{MH}^2 + \mathrm{AH}^2)\) …③

 

ここで、\(\triangle \mathrm{AMH}\) において三平方の定理より

\(\mathrm{MH}^2 + \mathrm{AH}^2 = \mathrm{AM}^2\) …④

 

③、④より、

\(\mathrm{AB}^2 + \mathrm{AC}^2 = 2(\mathrm{AM}^2 + \mathrm{BM}^2)\)

となり、中線定理が成立する。

 

(証明終わり)

 

証明② 座標平面の利用

\(2\) つ目は、座標平面を用いた証明です。

\(\mathrm{M}\) を原点にとり、証明したい式の左辺と右辺を座標を用いて計算し、両者が等しいことを示します。

証明

 

\(\mathrm{AB}^2 + \mathrm{AC}^2 = 2(\mathrm{AM}^2 + \mathrm{BM}^2)\) … (*)

\(\mathrm{A}(a, b)\)、\(\mathrm{B}(− c, 0)\)、\(\mathrm{C}(c, 0)\) とおく。

\(\mathrm{AB}^2 = (a + c)^2 + b^2\)

\(\mathrm{AC}^2 = (a − c)^2 + b^2\)

\(\mathrm{AM}^2 = a^2 + b^2\)

\(\mathrm{BM}^2 = c^2\)

 

(*) の左辺について、

\(\mathrm{AB}^2 + \mathrm{AC}^2\)

\(= (a + c)^2 + b^2 +(a − c)^2 + b^2\)

\(= 2a^2 + 2b^2 + 2c^2\)

\(= 2(a^2 + b^2 + c^2)\) …①

 

また、(*) の右辺について、

\(2(\mathrm{AM}^2 + \mathrm{BM}^2) = 2(a^2 + b^2 + c^2)\) …②

 

① = ②より、

\(\mathrm{AB}^2 + \mathrm{AC}^2 = 2(\mathrm{AM}^2 + \mathrm{BM}^2)\)

となり、中線定理が成立する。

 

(証明終わり)

 

証明③ 余弦定理の利用

\(3\) つ目は、余弦定理を用いた証明です。

余弦定理(変形バージョン)

\(\triangle \mathrm{ABC}\) において、

\begin{align}\cos \mathrm{C} = \displaystyle \frac{a^2 + b^2 – c^2}{2ab}\end{align}

\(\angle \mathrm{AMB}\), \(\angle \mathrm{AMC}\) の余弦を求め、\(\angle \mathrm{AMB} + \angle \mathrm{AMC} = 180^\circ\)、\(\cos \theta = −\cos (180^\circ − \theta)\) であることを利用して、中線定理を導きます。

証明

 

\(\triangle \mathrm{AMB}\) において、余弦定理より

\(\displaystyle \cos \angle \mathrm{AMB} = \frac{\mathrm{AM}^2 + \mathrm{BM}^2 − \mathrm{AB}^2}{2 \mathrm{AM} \cdot \mathrm{BM}}\)

 

\(\triangle \mathrm{AMC}\) において、余弦定理より

\(\displaystyle \cos \angle \mathrm{AMC} = \frac{\mathrm{AM}^2 + \mathrm{CM}^2 − \mathrm{AC}^2}{2 \mathrm{AM} \cdot \mathrm{CM}}\)

 

ここで、\(\angle \mathrm{AMC} = 180^\circ − \angle \mathrm{AMB}\) より

\(\cos \angle \mathrm{AMB} = − \cos \angle \mathrm{AMC}\)

 

\(\mathrm{BM} = \mathrm{CM}\) より、

\(\displaystyle \frac{\mathrm{AM}^2 + \mathrm{BM}^2 − \mathrm{AB}^2}{2 \mathrm{AM} \cdot \mathrm{BM}} \) \(= − \displaystyle \frac{\mathrm{AM}^2 + \mathrm{BM}^2 − \mathrm{AC}^2}{2 \mathrm{AM} \cdot \mathrm{BM}}\)

 

\(\mathrm{AM}^2 + \mathrm{BM}^2 − \mathrm{AB}^2 \) \(= −\mathrm{AM}^2 − \mathrm{BM}^2 + \mathrm{AC}^2\)

 

これを整理すると

\(\mathrm{AB}^2 + \mathrm{AC}^2 = 2(\mathrm{AM}^2 + \mathrm{BM}^2)\)

となり、中線定理が成立する。

 

(証明終わり)

 

証明④ ベクトルの利用

最後は、ベクトルによる証明です。

\(\mathrm{M}\) を始点にとって各辺をベクトルで表し、中線定理を導きます。

証明

 

\(\overrightarrow{\mathrm{MA}} = \vec{a}\)、\(\overrightarrow{\mathrm{MB}} = \vec{b}\) とおくと、

\(\overrightarrow{\mathrm{MC}} = −\vec{b}\)

\(\overrightarrow{\mathrm{AB}} = \overrightarrow{\mathrm{MB}} − \overrightarrow{\mathrm{MA}} = \vec{b} − \vec{a}\)

\(\overrightarrow{\mathrm{AC}} = \overrightarrow{\mathrm{MC}} − \overrightarrow{\mathrm{MA}} = −\vec{b} − \vec{a}\)

 

\(\mathrm{AB}^2 + \mathrm{AC}^2\)

\(= |\vec{b} − \vec{a}|^2 + |−\vec{b} − \vec{a}|^2\)

\(= |\vec{b}|^2 − 2 \vec{a} \cdot \vec{b} + |\vec{a}|^2 + |\vec{b}|^2 + 2 \vec{a} \cdot \vec{b} + |\vec{a}|^2\)

\(= 2|\vec{b}|^2 + 2|\vec{a}|^2\)

\(= 2\mathrm{AM}^2 + 2\mathrm{BM}^2\)

(見切れる場合は横へスクロール)

 

よって、

\(\mathrm{AB}^2 + \mathrm{AC}^2 = 2(\mathrm{AM}^2 + \mathrm{BM}^2)\)

となり、中線定理が成立する。

 

(証明終わり)

 

いかがでしたか?

証明問題もたまに出てくるので、中線定理にはいろいろな証明方法があることを把握しておきましょう!

 

中線定理の計算問題

それでは最後に、中線定理を使う計算問題に挑戦してみましょう。

計算問題①「2 辺と 1 角から中線の長さを求める」

計算問題①

\(\triangle \mathrm{ABC}\) において、\(\mathrm{AB} = 5\)、\(\mathrm{AC} = 3\)、\(\angle \mathrm{A} = 60^\circ\) で、辺 \(\mathrm{BC}\) の中点が \(\mathrm{M}\) のとき、\(\mathrm{AM}\) の長さを求めなさい。

 

中線定理を利用するために、まずは余弦定理を用いて \(\mathrm{BM}\) を求めましょう。

解答

(見切れる場合は横へスクロール)

 

\(\triangle \mathrm{ABC}\) において、余弦定理より

\(\begin{align} \mathrm{BC}^2 &= \mathrm{AB}^2 + \mathrm{AC}^2 − 2 \mathrm{AB} \cdot \mathrm{AC} \cdot \cos \angle \mathrm{A} \\ &= 5^2 + 3^2 − 2 \cdot 5 \cdot 3 \cdot \cos 60^\circ \\&= 25 + 9 − 2 \cdot 5 \cdot 3 \cdot \frac{1}{2} \\ &= 34 − 15 \\ &= 19 \end{align}\)

 

\(\mathrm{BC} > 0\) より、

\(\mathrm{BC} = \sqrt{19}\)

 

\(\displaystyle \mathrm{BM} = \frac{1}{2} \mathrm{BC}\) より、

\(\displaystyle \mathrm{BM} = \frac{\sqrt{19}}{2}\)

 

中線定理より、

\(\mathrm{AB}^2 + \mathrm{AC}^2 = 2(\mathrm{AM}^2 + \mathrm{BM}^2)\)

\(\displaystyle 5^2 + 3^2 = 2\left\{ \mathrm{AM}^2 + \left( \frac{\sqrt{19}}{2} \right)^2 \right\}\)

\(\displaystyle 25 + 9 = 2\left( \mathrm{AM}^2 + \frac{19}{4} \right)\)

\(\displaystyle 34 = 2\mathrm{AM}^2 + \frac{19}{2}\)

\(\displaystyle 2\mathrm{AM}^2 = \frac{49}{2}\)

\(\displaystyle \mathrm{AM}^2 = \frac{49}{4}\)

 

\(\mathrm{AM} > 0\) より、

\(\displaystyle \mathrm{AM} = \frac{7}{2}\)

 

答え: \(\displaystyle \frac{7}{2}\)

 

計算問題②「中線定理を証明する」

計算問題②

\(\triangle \mathrm{ABC}\) において、辺 \(\mathrm{BC}\) の中点を \(\mathrm{M}\)、\(\angle \mathrm{AMB} = \theta\) とするとき、中線定理 \(\mathrm{AB}^2 + \mathrm{AC}^2 = 2(\mathrm{AM}^2 + \mathrm{BM}^2)\) が成り立つことを証明しなさい。

 

証明の方法は \(4\) つ紹介しましたね。

今回は、\(\angle \mathrm{AMB} = \theta\) と角度が与えられているので、これを利用する余弦定理で証明してみましょう。ここでは、先ほどとは違う式変形を示しますね。

解答

(見切れる場合は横へスクロール)

 

\(\triangle \mathrm{AMB}\) において、余弦定理より

\(\mathrm{AB}^2 = \mathrm{AM}^2 + \mathrm{BM}^2 − 2 \mathrm{AM} \cdot \mathrm{BM} \cdot \cos \theta\) …①

 

\(\triangle \mathrm{AMC}\) において、余弦定理より

\(\mathrm{AC}^2 = \mathrm{AM}^2 + \mathrm{CM}^2 − 2 \mathrm{AM} \cdot \mathrm{CM} \cdot \cos (180^\circ − \theta)\) …②

 

ここで、

\(\mathrm{BM} = \mathrm{CM}\)、\(\cos (180^\circ − \theta) = −\cos \theta\)

より、②は

\(\mathrm{AC}^2 = \mathrm{AM}^2 + \mathrm{BM}^2 + 2 \mathrm{AM} \cdot \mathrm{BM} \cdot \cos \theta\) …③

と表せる。

 

① + ③ より、

\(\begin{array}{rr}\mathrm{AB}^2 =& \mathrm{AM}^2 + \mathrm{BM}^2 − 2 \mathrm{AM} \cdot \mathrm{BM} \cdot \cos \theta \\ +) \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \mathrm{AC}^2 =& \mathrm{AM}^2 + \mathrm{BM}^2 + 2 \mathrm{AM} \cdot \mathrm{BM} \cdot \cos \theta \\ \hline \mathrm{AB}^2 + \mathrm{AC}^2 =& 2(\mathrm{AM}^2 + \mathrm{BM}^2) \end{array}\)

 

よって、中線定理は成り立つ。

 

(証明終わり)

以上で問題も終わりです!

 

中線定理はそれほど使用頻度が高くないのでつい忘れがちです。証明方法とあわせて覚えるとより一層定着しますよ!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です