この記事では、弧度法における角度の単位、「ラジアン」についてわかりやすく解説していきます。
角度(度数法)との変換方法や対応表についても説明していきますので、この記事を通してぜひマスターしてくださいね!
目次
ラジアンとは?【定義】
ラジアン (\(\mathrm{rad}\)) とは、角の大きさを表す単位の \(1\) つです。
円の半径と同じ長さの弧を切り取るときの角の大きさが「\(\color{red}{1 \ \mathrm{rad}}\)」と規定されます。
孤の長さを基準に考えることから、ラジアンは「孤度」とも呼ばれ、ラジアンによって角の大きさを測ることを「弧度法」と呼びます。
一方で、「度 \(( ^\circ)\)」という単位で角の大きさを表すことを「度数法」といいます。
\(30^\circ\), \(60^\circ\), \(90^\circ\) … といった表記法ですね。
度数法と弧度法の違い
ここでは、度数法と弧度法の違いを説明します。
度数法では、円周を \(360\) 等分したときの角の大きさを「\(\color{red}{1^\circ}\)」と規定します。
一方、弧度法では、円の半径と同じ長さの孤を切り取るときの角の大きさを「\(\color{red}{1 \ \mathrm{rad}}\)」と規定します。
したがって、弧度法における円 \(1\) 周分の角の大きさは、半径を \(r\)、円周率を \(\pi\) とおくと、次のように計算されます。
(円周の長さ)\(\div\)(\(1 \ \mathrm{rad}\) 分の孤の長さ)
\(=\)(円周の長さ)\(\div\)(半径)
\(= 2 \pi r \div r\)
\(= \color{red}{2\pi \ \mathrm{rad}}\)
よって、\(\color{red}{360^\circ = 2\pi \ \mathrm{rad}}\) と覚えておきましょう。
ちなみに、\(1 \ \mathrm{rad} ≒ 57.3^\circ\) です。
度数⇄弧度の変換方法
角度の表記を度数法から弧度法に、弧度法から度数法に変換するには、次の式を使います。
それぞれの公式の成り立ちと例題を見ながら、変換方法を学んでいきましょう。
度数 (°) → 弧度 (rad) の変換
度数を孤度に直すには、\(1^\circ\) 当たりの孤度、すなわち \(\displaystyle \frac{\pi}{180} \ (\mathrm{rad}/^\circ)\) を元の角度にかけます。
\begin{align}\color{red}{\theta \ (^\circ) \ } &\color{red}{→ \theta \ (^\circ) \times \displaystyle \frac{\pi}{180} \ (\mathrm{rad}/^\circ)} \\&\color{red}{= \theta \cdot \displaystyle \frac{\pi}{180}\ (\mathrm{rad})}\end{align}
なお、弧度法の単位 \(\mathrm{rad}\) は省略しても構いません。
ちなみに、\(1^\circ\) 当たりの孤度は次のように求められます。
\(360 \ (^\circ) = 2\pi \ (\mathrm{rad})\)より、
両辺を \(360 \ (^\circ)\) で割って、
\(1 = \displaystyle \frac{\pi}{180} \ (\mathrm{rad}/^\circ)\)
それでは、例題を解いてみましょう。
\(60^\circ\) を弧度法で表せ。
角度に \(\displaystyle \frac{\pi}{180°}\) をかけます。
\(60° \times \displaystyle \frac{\pi}{180°} = \color{red}{\displaystyle \frac{\pi}{3}}\)
\(20°\) を弧度法で表せ。
角度に \(\displaystyle \frac{\pi}{180°}\) をかけます。
\(20 \times \displaystyle \frac{\pi}{180} = \color{red}{\displaystyle \frac{\pi}{9}}\)
簡単ですね!
弧度 (rad) → 度数 (°) の変換
孤度を角度に直すには、\(1 \ \mathrm{rad}\) 当たりの角度、すなわち \(\displaystyle \frac{180}{\pi} \ (^\circ / \mathrm{rad})\) を元の弧度にかけてあげます。
\begin{align}\color{red}{\theta \ (\mathrm{rad}) \ } & \color{red}{→ \theta\ (\mathrm{rad}) \times \displaystyle \frac{180}{\pi} \ (^\circ/ \mathrm{rad})} \\& \color{red}{= \theta \cdot \displaystyle \frac{180}{\pi} \ (^\circ)} \end{align}
ちなみに、\(1 \ \mathrm{rad}\) 当たりの角度は次の計算で求められます。
\(2\pi \ (\mathrm{rad}) = 360 \ (^\circ)\) より、
両辺を \(2\pi\ (\mathrm{rad})\) で割って
\(1 = \displaystyle \frac{180}{\pi} \ (^\circ / \mathrm{rad})\)
さっそく、例題で試してみましょう。
\(\displaystyle \frac{\pi}{12}\) を度数法で表せ。
孤度に \(\displaystyle \frac{180°}{\pi}\) をかけます。
\(\begin{align}\displaystyle \frac{\pi}{12} &= \displaystyle \frac{\pi}{12} \times \displaystyle \frac{180^\circ}{\pi}\\\\&= \displaystyle \frac{180^\circ}{12}\\\\&= \color{red}{15^\circ}\end{align}\)
\(\displaystyle \frac{\pi}{2}\) を度数法で表せ。
孤度に \(\displaystyle \frac{180°}{\pi}\) をかけます。
\(\begin{align}\displaystyle \frac{\pi}{2} &= \displaystyle \frac{\pi}{2} \times \displaystyle \frac{180^\circ}{\pi}\\\\&= \displaystyle \frac{180^\circ}{2}\\\\&= \color{red}{90^\circ}\end{align}\)
こちらも、慣れてしまえばなんてことないですね!
度数と弧度の対応表
\(360 \ (^\circ) = 2\pi \ (\mathrm{rad})\) を覚えておけばどんな角の大きさも変換できますが、よく出てくるものは度数と孤度の対応を丸暗記しておくことをおすすめします。
\(0^\circ\) ~ \(90^\circ\)° までの基本的な度数と孤度の対応表は次のとおりです。
\(90\)° 以上の角度は、これらの値を足し合わせれば求められます。
\(360\)° までの度数と弧度の対応は以下のようになります。
特に、\(0\)° ~ \(90\)° までの値は三角関数でもよく出てくるため、しっかりと覚えておきましょう。
弧度法(ラジアン)のメリット
角の大きさを弧度法のラジアンで表すメリットは主に次の \(2\) つです。
メリット① 扇形の公式がスッキリする
扇形の面積や弧の長さに関する公式は、度数法よりも弧度法の方がスッキリ簡潔に表現できます。
※ 半径 \(r\)、中心角 \(\theta\) とする | 扇形の面積の公式 | 弧の長さの公式 |
---|---|---|
弧度法 | \(\color{red}{S = \displaystyle \frac{1}{2} r^2 \theta}\) | \(\color{red}{l = r\theta}\) |
度数法 | \(S = \pi r^2 \cdot \displaystyle \frac{\theta}{360}\) | \(\displaystyle l = 2\pi r \cdot \frac{\theta}{360^\circ}\) |
メリット② 三角関数の微分や極限が表現しやすい
弧度法だと、度数法に比べて三角関数の微分や極限を表現しやすくなります。
\(\sin x\) を例に見てみましょう。
sin x の微分 | sin x の極限 | |
---|---|---|
弧度法 | \(\color{red}{(\sin x)’ = \cos x}\) | \(\color{red}{\displaystyle \lim_{x \to 0} \frac{\sin x}{x} = 1}\) |
度数法 | \((\sin x)’ = \displaystyle \frac{\pi}{180}\cos x\) | \(\displaystyle \lim_{x \to 0} \frac{\sin x}{x} = \displaystyle \frac{\pi}{180}\) |
計算後の値に定数 \(\displaystyle \frac{\pi}{180}\) がつきまとう度数法と比べて、弧度法の式のほうがスッキリしていますね。
このようなメリットから、三角関数では角度を弧度法で表すことが多くなるのですね。
ラジアンの計算問題
それでは、計算問題を解いていきましょう。
計算問題①「角度を弧度法で表す」
次の角度を弧度法で示せ。
(1) \(30^\circ\) (2) \(5^\circ\) (3) \(300^\circ\) (4) \(54^\circ\)
弧度(ラジアン)に変換させる問題ですね。
先ほどの変換公式に当てはめましょう。
(1) \(30^\circ \times \displaystyle \frac{\pi}{180^\circ} = \displaystyle \frac{\pi}{6}\)
(2) \(5^\circ \times \displaystyle \frac{\pi}{180^\circ} = \displaystyle \frac{\pi}{36}\)
(3) \(300^\circ \times \displaystyle \frac{\pi}{180^\circ} = \displaystyle \frac{5}{3}\pi\)
(4) \(54^\circ \times \displaystyle \frac{\pi}{180^\circ} = \displaystyle \frac{3}{10}\pi\)
答え:
(1) \(\displaystyle \frac{\pi}{6}\) (2) \(\displaystyle \frac{\pi}{36}\) (3) \(\displaystyle \frac{5}{3}\pi\) (4) \(\displaystyle \frac{3}{10}\pi\)
計算問題②「弧度を度数法に変換する」
次の孤度を度数法で示せ。
ただし、\(\pi = 3.14\) として計算し、小数点以下は切り捨てること。
(1) \(\displaystyle \frac{\pi}{4} \ (\mathrm{rad})\) (2) \(\displaystyle \frac{3}{2}\pi \ (\mathrm{rad})\)
(3) \(\displaystyle \frac{\pi}{3} \ (\mathrm{rad})\) (4) \(3 \ (\mathrm{rad})\)
度数法に変換させる問題ですね。
公式を使えばあっという間に変換できます。
(4) のように、孤度に \(\pi\) が含まれていなくても変換方法は同じです。
(1)
\(\displaystyle \frac{\pi}{4} \times \displaystyle \frac{180^\circ}{\pi} = \displaystyle \frac{180^\circ}{4} = 45^\circ\)
(2)
\(\displaystyle \frac{3}{2}\pi \times \displaystyle \frac{180^\circ}{\pi} = 3 \times 90^\circ = 270^\circ\)
(3)
\(\displaystyle \frac{\pi}{3} \times \displaystyle \frac{180^\circ}{\pi} = \displaystyle \frac{180^\circ}{3} = 60^\circ\)
(4)
\(3 \times \displaystyle \frac{180^\circ}{\pi} = \displaystyle \frac{540^\circ}{3.14} = 171.9…^\circ ≒ 172^\circ\)
答え:
(1) \(45^\circ\) (2) \(270^\circ\) (3) \(60^\circ\) (4) \(172^\circ\)
以上で問題も終わりです!
弧度法を習ったばかりだと使いづらいと感じるかもしれませんが、徐々に慣れていくので、練習を重ねて使いこなせるようにしていきましょう!