この記事では、「双曲線」の定義や方程式、グラフについてわかりやすく解説していきます。
また、双曲線の焦点・漸近線・接線の方程式の求め方、媒介変数表示の問題の解き方なども説明していくので、ぜひこの記事を通してマスターしてくださいね!
目次
双曲線とは?
双曲線とは、互いに向かい合い、U字に折れ曲がった対称な \(2\) つの曲線です。頂点(U字の突端)から離れるにつれ、「漸近線」と呼ばれる直線に限りなく近づいていきます。
中学校で習う反比例のグラフも、実は双曲線の一種です。
双曲線の定義
双曲線は、\(2\) 定点からの距離の差によって定義されます。
\(2\) 定点 \(\mathrm{F}\), \(\mathrm{F’}\) からの距離の差が一定である点 \(\mathrm{P}\) の軌跡を「双曲線」という。
このとき、\(2\) 定点 \(\mathrm{F}\), \(\mathrm{F’}\) を「焦点」という。
距離の差 \(|\mathrm{PF} − \mathrm{PF’}|\) は、双曲線の頂点間の距離に等しく、一定です。
- 横向きの場合(焦点が \(x\) 軸上):\(|\mathrm{PF} − \mathrm{PF’}| = 2a\)
- 縦向きの場合(焦点が \(y\) 軸上):\(|\mathrm{PF} − \mathrm{PF’}| = 2b\)
上記の定義から、双曲線の方程式を導くことができます(→ ① 定義から双曲線の方程式を求める)。
定義の非常に似ている楕円と間違えないようにしましょう。
楕円とは?方程式やグラフ、焦点・接線・面積の求め方
双曲線の方程式
双曲線の方程式は \((x \ \text{の項})^2 − (y \ \text{の項})^2 = \pm1\) のかたちで表すことができ、この表し方を「標準形」といいます。
原点を中心にもつ双曲線の方程式(標準形)は次のとおりです。
横向き双曲線(焦点が \(\bf{x}\) 軸上)
\begin{align}\color{red}{\displaystyle \frac{x^2}{a^2} − \frac{y^2}{b^2} = 1} \ \ (a > 0, b > 0)\end{align}
- 中心:原点 \((0, 0)\)
- 頂点:\((\pm a, 0)\)
- 焦点:\((\pm c, 0) = (\pm \sqrt{a^2 + b^2}, 0)\)
- 焦点からの距離の差:\(2a\)
縦向き双曲線(焦点が \(\bf{y}\) 軸上)
\begin{align}\color{red}{\displaystyle \frac{x^2}{a^2} − \frac{y^2}{b^2} = −1} \ \ (a > 0, b > 0)\end{align}
- 中心:原点 \((0, 0)\)
- 頂点 \((0, \pm b)\)
- 焦点:\((0, \pm c) = (0, \pm \sqrt{a^2 + b^2})\)
- 焦点からの距離の差:\(2b\)
どちらの向きであっても、原点を中心にもつ双曲線は \(x\) 軸、\(y\) 軸、原点について対称です。
標準形に対し、かっこがすべて展開されたかたち(\(x, y\) の二次式)を「一般形」といいます。
双曲線の漸近線の方程式
原点を中心にもつ双曲線の漸近線の方程式は次のとおりです。
双曲線 \(\displaystyle \frac{x^2}{a^2} − \frac{y^2}{b^2} = \pm1\) の漸近線は
\begin{align}\color{red}{\displaystyle \frac{x}{a} + \frac{y}{b} = 0, \, \frac{x}{a} − \frac{y}{b} = 0}\end{align}
\begin{align}\color{red}{\left(\displaystyle y = \frac{b}{a} x, \, y = −\frac{b}{a} x\right)}\end{align}
漸近線は、横向きでも縦向きでも同じように求められます。
双曲線の方程式に似たかたちの \(\displaystyle \frac{x}{a} \pm \frac{y}{b} = 0\) で覚えておいてもいいですし、傾きが \(\displaystyle \frac{y \ \text{の変化量}}{x \ \text{の変化量}} \ \ \ \ = \pm\frac{b}{a}\) の直線だから \(\displaystyle y = \pm\frac{b}{a} x\) と覚えておいてもいいですね。
中心が原点でない双曲線の方程式(平行移動)
双曲線はほかの曲線と同様、平行移動することができます。
例えば、横向きの双曲線を平行移動した、中心が原点でない双曲線の方程式は次のとおりです。
双曲線 \(\displaystyle \frac{x^2}{a^2} − \frac{y^2}{b^2} = 1\) \((a > 0, b > 0)\) を \(x\) 軸方向に \(p\)、\(y\) 軸方向に \(q\) だけ平行移動した双曲線の方程式は
\begin{align}\color{red}{\displaystyle \frac{(x − p)^2}{a^2} − \frac{(y − q)^2}{b^2} = 1}\end{align}
- 中心:\((p, q)\)
- 頂点:\((\pm a + p, q)\)
- 焦点:\((\pm c + p, q) = (\pm \sqrt{a^2 + b^2} + p, q)\)
- 焦点からの距離の差:\(2a\)
このとき、漸近線の方程式も、元の双曲線の漸近線を平行移動させて得られます。
双曲線 \(\displaystyle \frac{x^2}{a^2} − \frac{y^2}{b^2} = 1\) \((a > 0, b > 0)\) を \(x\) 軸方向に \(p\)、\(y\) 軸方向に \(q\) だけ平行移動した双曲線 \(\displaystyle \frac{(x − p)^2}{a^2} − \frac{(y − q)^2}{b^2} = 1\) の漸近線は
\begin{align}\color{red}{\displaystyle \frac{x − p}{a} + \frac{y − q}{b} = 0, \, \frac{x − p}{a} − \frac{y − q}{b} = 0}\end{align}
\begin{align}\color{red}{\left(\displaystyle y − q = \frac{b}{a} (x − p), \, y − q = −\frac{b}{a} (x − p)\right)}\end{align}
縦向きの双曲線でも、同じように考えることができます。
双曲線の基本問題の解き方
ここまでの知識を使って解ける、双曲線の基本問題の解き方を解説します。
① 定義から双曲線の方程式を求める
(1) \(2\) 定点 \(\mathrm{F}(c, 0)\), \(\mathrm{F’}(−c, 0)\) からの距離の差が \(2a\) となる点の軌跡を求めよ。ただし、定数 \(a\), \(c\) は \(c > a > 0\) を満たす。
(2) \(2\) 定点 \(\mathrm{F}(0, c)\), \(\mathrm{F’}(0, −c)\) からの距離の差が \(2b\) となる点の軌跡を求めよ。ただし、定数 \(b\), \(c\) は \(c > b > 0\) を満たす。
双曲線の定義式(距離の差に関する条件式)を変形していくと、双曲線の方程式を導くことができます。
(見切れる場合は横へスクロール)
求める軌跡上の動点を \(\mathrm{P}(x, y)\) とおく。
点 \(\mathrm{P}(x, y)\), \(\mathrm{F}(c, 0)\), \(\mathrm{F’}(−c, 0)\) において、
\(2\) 点間の距離 \(\mathrm{PF}\) および \(\mathrm{PF’}\) は
\(\begin{align}\mathrm{PF} &= \sqrt{(x − c)^2 + (y − 0)^2} \\&= \sqrt{(x − c)^2 + y^2}\end{align}\)
\(\begin{align}\mathrm{PF’} &= \sqrt{\{x − (−c)\}^2 + (y − 0)^2} \\&= \sqrt{(x + c)^2 + y^2}\end{align}\)
条件 \(|\mathrm{PF} − \mathrm{PF’}| = 2a\) より、
\(|\sqrt{(x − c)^2 + y^2} − \sqrt{(x + c)^2 + y^2}| = 2a\)
絶対値を外して
\(\sqrt{(x − c)^2 + y^2} − \sqrt{(x + c)^2 + y^2} = \pm2a\)
移項して
\(\sqrt{(x − c)^2 + y^2} = \pm2a + \sqrt{(x + c)^2 + y^2} \)
両辺を \(2\) 乗して
\((x − c)^2 + y^2 = 4a^2 \pm 4a\sqrt{(x + c)^2 + y^2} + (x + c)^2 + y^2\)
展開して
\(x^2 − 2cx + c^2 + y^2 = 4a^2 \pm 4a\sqrt{(x + c)^2 + y^2} + x^2 + 2cx + c^2 + y^2\)
両辺から \(x^2\), \(c^2\), \(y^2\) を消去して
\(− 2cx = 4a^2 \pm 4a\sqrt{(x + c)^2 + y^2} + 2cx\)
移項して
\(−4a^2 − 4cx = \pm 4a\sqrt{(x + c)^2 + y^2}\)
両辺を \(−4\) で割って
\(a^2 + cx = \pm a\sqrt{(x + c)^2 + y^2}\)
両辺を \(2\) 乗して
\(a^4 + 2a^2cx + c^2x^2 = a^2\{(x + c)^2 + y^2\}\)
展開して
\(a^4 + 2a^2cx + c^2x^2 = a^2(x^2 + 2cx + c^2 + y^2)\)
\(a^4 + 2a^2cx + c^2x^2 = a^2x^2 + 2a^2cx + a^2c^2 + a^2y^2\)
両辺から \(2a^2cx\) を消去して
\(a^4 + c^2x^2 = a^2x^2 + a^2c^2 + a^2y^2\)
移項、整理して
\(c^2x^2 − a^2x^2 − a^2y^2 = a^2c^2 − a^4\)
\((c^2 − a^2)x^2 − a^2y^2 = a^2(c^2 − a^2)\)
ここで、両辺を \(a^2(c^2 − a^2)\) \((> 0)\) で割ると
\(\color{red}{\displaystyle \frac{x^2}{a^2} − \frac{y^2}{c^2 − a^2} = 1}\)
この曲線上のすべての点は \(|\mathrm{PF} − \mathrm{PF’}| = 2a\) を満たす。
なお、\(c^2 − a^2 = b^2\) とおくと、
双曲線の方程式の標準形 \(\displaystyle \frac{x^2}{a^2} − \frac{y^2}{b^2} = 1\) が得られ、
\(c = \pm\sqrt{a^2 + b^2}\) より、焦点 \(\mathrm{F}\), \(\mathrm{F’}\) の座標は
- \(\mathrm{F}(c, 0) = (\sqrt{a^2 + b^2}, 0)\)
- \(\mathrm{F’}(−c, 0) = (−\sqrt{a^2 + b^2}, 0)\)
と表すことができます。
(見切れる場合は横へスクロール)
求める軌跡上の動点を \(\mathrm{P}(x, y)\) とおく。
点 \(\mathrm{P}(x, y)\), \(\mathrm{F}(0, c)\), \(\mathrm{F’}(0, −c)\) において、
\(2\) 点間の距離 \(\mathrm{PF}\) および \(\mathrm{PF’}\) は
\(\begin{align}\mathrm{PF} &= \sqrt{(x − 0)^2 + (y − c)^2} \\&= \sqrt{x^2 + (y − c)^2}\end{align}\)
\(\begin{align}\mathrm{PF’} &= \sqrt{(x − 0)^2 + \{y − (− c)\}^2} \\&= \sqrt{x^2 + (y + c)^2}\end{align}\)
条件 \(|\mathrm{PF} − \mathrm{PF’}| = 2b\) より、
\(|\sqrt{x^2 + (y − c)^2} − \sqrt{x^2 + (y + c)^2}| = 2b\)
絶対値を外して
\(\sqrt{x^2 + (y − c)^2} − \sqrt{x^2 + (y + c)^2} = \pm2b\)
移項して
\(\sqrt{x^2 + (y − c)^2} = \pm2b + \sqrt{x^2 + (y + c)^2} \)
両辺を \(2\) 乗して
\(x^2 + (y − c)^2 = 4b^2 \pm 4b\sqrt{x^2 + (y + c)^2} + x^2 + (y + c)^2\)
展開して
\(x^2 + y^2 − 2cy + c^2 = 4b^2 \pm 4b\sqrt{x^2 + (y + c)^2} + x^2 + y^2 + 2cy + c^2\)
両辺から \(x^2\), \(y^2\), \(c^2\) を消去して
\(− 2cy = 4b^2 \pm 4b\sqrt{x^2 + (y + c)^2} + 2cy\)
移項して
\(\pm 4b\sqrt{x^2 + (y + c)^2} = 4b^2 + 4cy\)
両辺を \(4\) で割って
\(\pm b\sqrt{x^2 + (y + c)^2} = b^2 + cy\)
両辺を \(2\) 乗して
\(b^2\{x^2 + (y + c)^2\} = b^4 + 2b^2cy + c^2y^2\)
展開して
\(b^2(x^2 + y^2 + 2cy + c^2) = b^4 + 2b^2cy + c^2y^2\)
\(b^2x^2 + b^2y^2 + 2b^2cy + b^2c^2 = b^4 + 2b^2cy + c^2y^2\)
両辺から \(2b^2cy\) を消去して
\(b^2x^2 + b^2y^2 + b^2c^2 = b^4 + c^2y^2\)
移項、整理して
\(b^2x^2 − c^2y^2 + b^2y^2 = −b^2c^2 + b^4\)
\(b^2x^2 − (c^2 − b^2)y^2 = −b^2(c^2 − b^2)\)
ここで、両辺を \(b^2(c^2 − b^2)\) \((> 0)\) で割ると
\(\color{red}{\displaystyle \frac{x^2}{c^2 − b^2} − \frac{y^2}{b^2} = −1}\)
この曲線上のすべての点は \(|\mathrm{PF} − \mathrm{PF’}| = 2b\) を満たす。
こちらも \(c^2 − b^2 = a^2\) とおくと、標準形 \(\displaystyle \frac{x^2}{a^2} − \frac{y^2}{b^2} = −1\) が得られ、
\(c = \pm\sqrt{a^2 + b^2}\) より、焦点 \(\mathrm{F}\), \(\mathrm{F’}\) の座標は
- \(\mathrm{F}(0, c) = (0, \sqrt{a^2 + b^2})\)
- \(\mathrm{F’}(0, −c) = (0, −\sqrt{a^2 + b^2})\)
と表すことができます。
② 頂点・焦点・漸近線の求め方(標準形)
標準形で表された双曲線の頂点・焦点の座標、および漸近線の求め方を説明します。
双曲線 \(\displaystyle \frac{x^2}{4} − \frac{y^2}{5} = −1\) の頂点の座標、焦点の座標、漸近線の方程式を求めよ。
問題の方程式 \(\displaystyle \frac{x^2}{4} − \frac{y^2}{5} = −1\) から、横向きか縦向きかを特定します。
右辺が \(−1\) の場合は縦向き(焦点が \(y\) 軸上)でしたね。
よって、「頂点も焦点も \(y\) 軸上にある」と意識しておきます。
\(\displaystyle \frac{x^2}{a^2} − \frac{y^2}{b^2} = −1\) における頂点の座標は \((0, \pm b)\) です。
つまり、\(y\) の項の分母の平方根が頂点の \(y\) 座標ですね。
\(\displaystyle \frac{x^2}{2^2} − \frac{y^2}{(\sqrt{5})^2} = −1\) より
頂点の座標は \(\color{red}{(0, \sqrt{5}), (0, −\sqrt{5})}\)
\(\displaystyle \frac{x^2}{a^2} − \frac{y^2}{b^2} = −1\) における焦点の座標は \((0, \pm \sqrt{a^2 + b^2})\) です。
つまり、\(x\) の項と \(y\) の項の分母の和の平方根が、焦点の \(y\) 座標ですね。
\(\pm \sqrt{4 + 5} = \pm 3\) より
焦点の座標は \(\color{red}{(0, 3), (0, −3)}\)
\(\displaystyle \frac{x^2}{a^2} − \frac{y^2}{b^2} = −1\) における漸近線の方程式は \(\displaystyle \frac{x}{a} \pm \frac{y}{b} = 0\) (すなわち \(y = \pm \displaystyle \frac{b}{a} x\))です。
\(\displaystyle \frac{x^2}{2^2} − \frac{y^2}{(\sqrt{5})^2} = −1\) の漸近線の方程式は
\(\displaystyle \frac{x}{2} − \frac{y}{\sqrt{5}} = 0\)、\(\displaystyle \frac{x}{2} + \frac{y}{\sqrt{5}} = 0\)
すなわち
\(\displaystyle y = \frac{\sqrt{5}}{2} x\)、\(\displaystyle y = −\frac{\sqrt{5}}{2} x\)
どちらのかたちで答えてもOKです。
\(\displaystyle \frac{x^2}{2^2} − \frac{y^2}{(\sqrt{5})^2} = −1\) より
頂点の座標は \((0, \sqrt{5})\), \((0, −\sqrt{5})\)
また、\(\pm \sqrt{4 + 5} = \pm 3\) より
焦点の座標は \((0, 3)\), \((0, −3)\)
漸近線の方程式は
\(\displaystyle \frac{x}{2} − \frac{y}{\sqrt{5}} = 0\)、\(\displaystyle \frac{x}{2} + \frac{y}{\sqrt{5}} = 0\)
すなわち
\(\displaystyle y = \frac{\sqrt{5}}{2} x\)、\(\displaystyle y = −\frac{\sqrt{5}}{2} x\)
答え:
頂点 \(\color{red}{(0, \sqrt{5})}\)、\(\color{red}{(0, −\sqrt{5})}\)
焦点 \(\color{red}{(0, 3)}\)、\(\color{red}{(0, −3)}\)
漸近線
\(\color{red}{\displaystyle \frac{x}{2} − \frac{y}{\sqrt{5}} = 0}\)、\(\color{red}{\displaystyle \frac{x}{2} + \frac{y}{\sqrt{5}} = 0}\)
(\(\color{red}{\displaystyle y = \frac{\sqrt{5}}{2} x}\)、\(\color{red}{\displaystyle y = −\frac{\sqrt{5}}{2} x}\))
③ 頂点・焦点・漸近線の求め方(一般形)
一般形で表された双曲線の頂点・焦点の座標、および漸近線の求め方を説明します。
双曲線 \(4x^2 − 25y^2 + 24x − 100y − 164 = 0\) の頂点の座標、焦点の座標、漸近線の方程式を求めよ。
一般形で双曲線の方程式が与えられた場合は、まず標準形に変形します。
\((x \ \text{の項})^2 − (y \ \text{の項})^2 = ◯\) のかたちになるよう、\(x\), \(y\) それぞれについて平方完成します。
平方完成の外に出た定数部分は右辺にもっていきます。
(見切れる場合は横へスクロール)
\(4x^2 − 25y^2 + 24x − 100y − 164 = 0\)
\(4x^2 + 24x − 25y^2 − 100y − 164 = 0\)
\(4(x^2 + 6x) − 25(y^2 + 4y) − 164 = 0\)
\(4(x^2 + 6x + 9) − 36 − 25(y^2 + 4y + 4) \ \text{+} \ 100 − 164 = 0\)
\(4(x + 3)^2 − 25(y + 2)^2 = 100\)
右辺が \(1\) または \(−1\) になるよう、両辺を同じ数で割ります。
そうすると、双曲線の方程式の標準形 \(\displaystyle \frac{(x − p)^2}{a^2} − \frac{(y − q)^2}{b^2} = \pm1\) が得られます。
\(4(x + 3)^2 − 25(y + 2)^2 = 100\)
両辺を \(100\) で割って
\(\displaystyle \frac{(x + 3)^2}{25} − \frac{(y + 2)^2}{4} = 1\)
また、このとき右辺の値から横向きか縦向きかを意識しておきましょう。
右辺が \(1\) なので横向き、つまり「頂点も焦点も \(x\) 軸上にある」双曲線ですね。
原点を中心にもつ双曲線をどれだけ平行移動したものかを求めます。
双曲線 \(\displaystyle \frac{(x − p)^2}{a^2} − \frac{(y − q)^2}{b^2} = 1\) は、双曲線 \(\displaystyle \frac{x^2}{a^2} − \frac{y^2}{b^2} = 1\) を \(x\) 軸方向に \(p\)、\(y\) 軸方向に \(q\) だけ平行移動したものでしたね。
\(\displaystyle \frac{(x + 3)^2}{25} − \frac{(y + 2)^2}{4} = 1\) は
双曲線 \(\displaystyle \frac{x^2}{25} − \frac{y^2}{4} = 1\) を \(x\) 軸方向に \(−3\)、\(y\) 軸方向に \(−2\) だけ平行移動したものである。
\(\displaystyle \frac{(x − p)^2}{a^2} − \frac{(y − q)^2}{b^2} = 1\) における頂点の座標は \((\pm a + p, q)\) です。
\(x\) の項の分母の平方根 \(\pm a\) と、平行移動量 \((p, q)\) に注目しましょう。
\(\displaystyle \frac{(x + 3)^2}{25} − \frac{(y + 2)^2}{4} = 1\)
(双曲線 \(\displaystyle \frac{x^2}{25} − \frac{y^2}{4} = 1\) を \(x\) 軸方向に \(−3\)、\(y\) 軸方向に \(−2\) だけ平行移動したもの)
頂点の座標は
- \((5 − 3, −2) = \color{red}{(2, −2)}\)
- \((−5 − 3, −2) = \color{red}{(−8, −2)}\)
\(\displaystyle \frac{(x − p)^2}{a^2} − \frac{(y − q)^2}{b^2} = 1\) における焦点の座標は \((\pm \sqrt{a^2 + b^2} + p, q)\) です。
\(x\) の項と \(y\) の項の分母の和の平方根 \(\pm \sqrt{a^2 + b^2}\) と、平行移動量 \((p, q)\) に注目しましょう。
\(\displaystyle \frac{(x + 3)^2}{25} − \frac{(y + 2)^2}{4} = 1\)
(双曲線 \(\displaystyle \frac{x^2}{25} − \frac{y^2}{4} = 1\) を \(x\) 軸方向に \(−3\)、\(y\) 軸方向に \(−2\) だけ平行移動したもの)
\(\pm \sqrt{25 + 4} = \pm \sqrt{29}\) より、焦点の座標は
- \(\color{red}{(\sqrt{29} − 3, −2)}\)
- \(\color{red}{(−\sqrt{29} − 3, −2)}\)
\(\displaystyle \frac{(x − p)^2}{a^2} − \frac{(y − q)^2}{b^2} = 1\) における漸近線の方程式は \(\displaystyle \frac{x − p}{a} \pm \frac{y − q}{b} = 0\) (すなわち \(y − q = \pm\displaystyle \frac{b}{a}(x − p)\))です。
漸近線の方程式は
\(\displaystyle \frac{x + 3}{5} − \frac{y + 2}{2} = 0\)、\(\displaystyle \frac{x + 3}{5} + \frac{y + 2}{2} = 0\)
すなわち
\(y + 2 = \displaystyle \frac{2}{5}(x + 3)\)、\(y + 2 = −\displaystyle \frac{2}{5}(x + 3)\)
\(\displaystyle y = \frac{2}{5} x − \frac{4}{5}\)、\(\displaystyle y = −\frac{2}{5} x − \frac{16}{5}\)
どちらのかたちで答えてもOKです。
(見切れる場合は横へスクロール)
\(4x^2 − 25y^2 + 24x − 100y − 164 = 0\)
\(4x^2 + 24x − 25y^2 − 100y − 164 = 0\)
\(4(x^2 + 6x) − 25(y^2 + 4y) − 164 = 0\)
\(4(x^2 + 6x + 9) − 36 − 25(y^2 + 4y + 4) \ \text{+} \ 100 − 164 = 0\)
\(4(x + 3)^2 − 25(y + 2)^2 = 100\)
\(\displaystyle \frac{(x + 3)^2}{25} − \frac{(y + 2)^2}{4} = 1\)
よって、この双曲線は
\(\displaystyle \frac{x^2}{25} − \frac{y^2}{4} = 1\) を \(x\) 軸方向に \(−3\)、\(y\) 軸方向に \(−2\) だけ平行移動したものである。
頂点の座標は
\((5 − 3, −2) = (2, −2)\)、\((−5 − 3, −2) = (−8, −2)\)
\(\sqrt{25 + 4} = \sqrt{29}\) より、焦点の座標は
\((\sqrt{29} − 3, −2)\)、\((−\sqrt{29} − 3, −2)\)
漸近線の方程式は
\(\displaystyle \frac{x + 3}{5} − \frac{y + 2}{2} = 0\)、\(\displaystyle \frac{x + 3}{5} + \frac{y + 2}{2} = 0\)
すなわち
\(y + 2 = \displaystyle \frac{2}{5}(x + 3)\)、\(y + 2 = −\displaystyle \frac{2}{5}(x + 3)\)
\(\displaystyle y = \frac{2}{5} x − \frac{4}{5}\)、\(\displaystyle y = −\frac{2}{5} x − \frac{16}{5}\)
答え:
頂点 \(\color{red}{(2, −2)}\)、\(\color{red}{(−8, −2)}\)
焦点 \(\color{red}{(\sqrt{29} − 3, −2)}\)、\(\color{red}{(−\sqrt{29} − 3, −2)}\)
漸近線
\(\color{red}{\displaystyle \frac{x + 3}{5} − \frac{y + 2}{2} = 0}\)、\(\color{red}{\displaystyle \frac{x + 3}{5} + \frac{y + 2}{2} = 0}\)
(\(\color{red}{\displaystyle y = \frac{2}{5} x − \frac{4}{5}}\)、\(\color{red}{\displaystyle y = −\frac{2}{5} x − \frac{16}{5}}\))
④ 頂点・焦点から双曲線の方程式を求める
頂点 \((0, \pm2)\)、焦点 \((0, \pm2\sqrt{5})\) である双曲線の方程式を求めよ。
焦点が \(x\) 軸上、\(y\) 軸上のどちらにあるかを考えて、定数 \(a, b\) を使って双曲線の方程式を自分で設定します。
頂点、焦点の座標から定数 \(a, b\) を求めます。
焦点が \(y\) 軸上にあるから、求める双曲線は \(\displaystyle \frac{x^2}{a^2} − \frac{y^2}{b^2} = −1\) \((a > 0, b > 0)\) とおける。
頂点 \((0, \pm2)\) より \(b = 2\)
焦点について、\(\sqrt{a^2 + b^2} = 2\sqrt{5}\) より
\(a^2 + 4 = 20\)
\(a^2 = 16\)
よって、\(\displaystyle \frac{x^2}{16} − \frac{y^2}{4} = −1\)
答え: \(\color{red}{\displaystyle \frac{x^2}{16} − \frac{y^2}{4} = −1}\)
⑤ 焦点・漸近線から双曲線の方程式を求める
焦点 \((\pm5, 0)\)、漸近線 \(y = \displaystyle \pm \frac{3}{4}x\) である双曲線の方程式を求めよ。
焦点が \(x\) 軸上、\(y\) 軸上のどちらにあるかを考えて、定数 \(a, b\) を使って双曲線の方程式を自分で設定します。
漸近線の方程式から \(a, b\) の比を得たあと、焦点の座標から定数 \(a, b\) を求めます。
焦点が \(x\) 軸上にあるから、求める双曲線は \(\displaystyle \frac{x^2}{a^2} − \frac{y^2}{b^2} = 1\) \((a > 0, b > 0)\) とおける。
漸近線 \(y = \displaystyle \pm \frac{3}{4}x\) より、
\(\displaystyle \frac{b}{a} = \frac{3}{4}\) すなわち \(b = \displaystyle \frac{3}{4}a\)
焦点について、\(\sqrt{a^2 + b^2} = 5\) より
\(a^2 + b^2 = 25\)
\(b = \displaystyle \frac{3}{4}a\) を代入して
\(a^2 + \displaystyle \frac{9}{16}a^2 = 25\)
\(\displaystyle \frac{25}{16}a^2 = 25\)
\(a^2 = 16\)
\(b^2 = 25 − a^2 = 9\)
よって、\(\displaystyle \frac{x^2}{16} − \frac{y^2}{9} = 1\)
答え: \(\color{red}{\displaystyle \frac{x^2}{16} − \frac{y^2}{9} = 1}\)
双曲線のグラフの書き方
次の例題を通して、双曲線のグラフを書く手順を解説します。
双曲線 \(\displaystyle \frac{x^2}{4} − \frac{y^2}{5} = −1\) のグラフを書け。
まずは、双曲線が横向きか縦向きかを特定します。
双曲線の方程式 \(\displaystyle \frac{x^2}{a^2} − \frac{y^2}{b^2} = \pm1\) において、右辺が \(1\) のときは横向き(焦点・頂点が \(x\) 軸上)、右辺が \(−1\) のときは縦向き(焦点・頂点が \(y\) 軸上)のグラフとなります。
「\(1\) と \(x\)、\(−1\) と \(y\)」をセットで覚えておきましょう。
例題 \(\displaystyle \frac{x^2}{4} − \frac{y^2}{5} = −1\) では、右辺が \(−1\) なので縦向きの双曲線、つまり、「頂点も焦点も \(y\) 軸上にある」と意識しておきます。
頂点の座標、焦点の座標、漸近線の方程式を求めておきます。
なお、漸近線の方程式は傾きがわかりやすい \(y = \pm\displaystyle \frac{b}{a}x\) のかたちがオススメです。
\(\displaystyle \frac{x^2}{2^2} − \frac{y^2}{(\sqrt{5})^2} = −1\) より
頂点の座標は \((0, \sqrt{5})\), \((0, −\sqrt{5})\)
\(\pm \sqrt{4 + 5} = \pm 3\) より
焦点の座標は \((0, 3)\), \((0, −3)\)
漸近線の方程式は
\(\displaystyle y = \pm\frac{\sqrt{5}}{2} x\)
座標平面を用意し、求めておいた頂点と焦点を打ちます。
焦点はなくてもグラフは書けますが、示しておく方が無難です。
漸近線を点線で引きます。傾きに注目すると簡単に引けますね。
最後に、双曲線を描けばグラフの完成です。
頂点を通り、漸近線に限りなく近づいていく線対称な曲線を描きましょう。
双曲線の接線の方程式
双曲線の接線の方程式には、任意の点 \((x_1, y_1)\) が与えられた場合と、傾き \(m\) が与えられた場合の \(2\) 通りの表し方があります。
- 横向き双曲線 \(\left(\displaystyle \frac{x^2}{a^2} − \frac{y^2}{b^2} = 1\right)\)
- 点 \((x_1, y_1)\) における接線の方程式
\begin{align}\color{red}{\displaystyle \frac{x_1x}{a^2} − \frac{y_1y}{b^2} = 1}\end{align} - 傾き \(m\) の接線の方程式
\begin{align}y = mx \pm \sqrt{a^2m^2 − b^2}\end{align}
- 点 \((x_1, y_1)\) における接線の方程式
- 縦向き双曲線 \(\left(\displaystyle \frac{x^2}{a^2} − \frac{y^2}{b^2} = −1\right)\)
- 点 \((x_1, y_1)\) における接線の方程式
\begin{align}\color{red}{\displaystyle \frac{x_1x}{a^2} − \frac{y_1y}{b^2} = −1}\end{align} - 傾き \(m\) の接線の方程式
\begin{align}y = mx \pm \sqrt{b^2 − a^2m^2}\end{align}
- 点 \((x_1, y_1)\) における接線の方程式
問題でよく使うのは圧倒的に赤字の公式なので、そちらを重点的に覚えておきましょう。
「接線の方程式」については、以下の記事でより詳しく説明しています。
接線、接線の方程式とは?公式や微分による傾きの求め方
双曲線の接線の方程式の求め方
次の例題で、双曲線の接線の方程式の求め方を説明します。
双曲線 \(\displaystyle \frac{x^2}{4} − \frac{y^2}{5} = −1\) について、以下の問いに答えよ。
(1) 双曲線上の点 \((2, \sqrt{10})\) における接線の方程式を求めよ。
(2) 点 \((−4, 0)\) から引いた接線の方程式を求めよ。
\(\displaystyle \frac{x^2}{a^2} − \frac{y^2}{b^2} = −1\) の点 \((x_1, y_1)\) における接線の方程式は \(\displaystyle \frac{x_1x}{a^2} − \frac{y_1y}{b^2} = −1\) です。
つまり、\(x\), \(y\) の \(1\) つずつを接点の座標 \(x_1\), \(y_1\) で置き換えるだけですね。
(2) では、接点を \((x_1, y_1)\) とおいて接線の方程式を立ててから、通る点の座標を代入します。
双曲線 \(\displaystyle \frac{x^2}{4} − \frac{y^2}{5} = −1\) の点 \((2, \sqrt{10})\) における接線の方程式は、
\(\displaystyle \frac{2x}{4} − \frac{\sqrt{10}y}{5} = −1\)
(\(y =\) 〜 のかたちに変形する場合は以下)
\(\displaystyle \frac{\sqrt{10}y}{5} = \frac{1}{2} x + 1\)
\(\begin{align}\displaystyle y &= \frac{5}{\sqrt{10}} \left( \frac{1}{2} x + 1 \right)\\&= \frac{\sqrt{10}}{2} \left( \frac{1}{2} x + 1 \right)\\&\displaystyle = \frac{\sqrt{10}}{4} x + \frac{\sqrt{10}}{2}\end{align}\)
答え:
\(\color{red}{\displaystyle \frac{2x}{4} − \frac{\sqrt{10}y}{5} = −1}\)
(\(\color{red}{\displaystyle y = \frac{\sqrt{10}}{4} x + \frac{\sqrt{10}}{2}}\))
接点を \((x_1, y_1)\) とおくと、接線の方程式は
\(\displaystyle \frac{x_1x}{4} − \frac{y_1y}{5} = −1\) …(*)
とおける。
これが点 \((−4, 0)\) を通るから
\(\displaystyle \frac{−4x_1}{4} − 0 = −1\)
\(x_1 = 1\) …①
また、\((x_1, y_1)\) は (*) を満たすから
\(\displaystyle \frac{x_1^2}{4} − \frac{y_1^2}{5} = −1\)
①を代入して
\(\displaystyle \frac{1^2}{4} − \frac{y_1^2}{5} = −1\)
\(\displaystyle \frac{y_1^2}{5} = \frac{5}{4}\)
\(y_1^2 = \displaystyle \frac{25}{4}\)
\(y_1 = \pm \displaystyle \frac{5}{2}\)
よって、接点は
\(\left(1, \displaystyle \frac{5}{2}\right)\)、\(\left(1, −\displaystyle \frac{5}{2}\right)\)
(*) より、求める接線の方程式は
\(\displaystyle \frac{x}{4} − \frac{y}{2} = −1\)、\(\displaystyle \frac{x}{4} + \frac{y}{2} = −1\)
すなわち
\(y = \displaystyle \frac{1}{2}x + 2\)、\(y = −\displaystyle \frac{1}{2}x − 2\)
答え:
\(\displaystyle \frac{x}{4} − \frac{y}{2} = −1\)、\(\displaystyle \frac{x}{4} + \frac{y}{2} = −1\)
(\(y = \displaystyle \frac{1}{2}x + 2\)、\(y = −\displaystyle \frac{1}{2}x − 2\))
双曲線の媒介変数表示
双曲線は媒介変数表示もでき、なかでも三角関数を使った以下の媒介変数表示が有名です。
- 横向き双曲線
\(\displaystyle \frac{x^2}{a^2} − \frac{y^2}{b^2} = 1\) の媒介変数表示は、
\begin{align}\color{red}{\left\{\begin{array}{l}x = \displaystyle \frac{a}{\cos \theta}\\y = b\tan \theta \end{array}\right.}\end{align} - 縦向き双曲線
\(\displaystyle \frac{x^2}{a^2} − \frac{y^2}{b^2} = −1\) の媒介変数表示は
\begin{align}\color{red}{\left\{\begin{array}{l}x = a\tan \theta\\y = \displaystyle \frac{b}{\cos \theta} \end{array}\right.}\end{align}
横向き双曲線の方で、媒介変数表示が成り立つことを示します。
三角関数の相互関係より、
\(\displaystyle \tan^2\theta + 1 = \frac{1}{\cos^2\theta}\)
\(\displaystyle \frac{1}{\cos^2\theta} − \tan^2\theta = 1\)
\(\displaystyle \left( \frac{1}{\cos\theta} \right)^2 − (\tan\theta)^2 = 1\)
であるから、
\(\displaystyle \frac{1}{\cos\theta} = \frac{x}{a}\)、\(\displaystyle \tan\theta = \frac{y}{b}\) とおくと
\(\displaystyle \frac{x^2}{a^2} − \frac{y^2}{b^2} = 1\)
したがって、
点 \(\displaystyle \mathrm{P}(x, y) = \left( \frac{a}{\cos\theta}, b\tan\theta \right)\) は双曲線 \(\displaystyle \frac{x^2}{a^2} − \frac{y^2}{b^2} = 1\) 上を動く。
(証明終わり)
縦向きの方も同様に示せるので、気になる方は自分で導いてみてくださいね。
媒介変数表示の仕方は \(1\) 通りとは限りません。
例えば、双曲線には以下のような媒介変数表示もあります。
- \(\left\{\begin{array}{l} \displaystyle x = a \cdot \frac{e^t + e^{−t}}{2}\\ \displaystyle y = b \cdot \frac{e^t − e^{−t}}{2}\end{array}\right.\)
- \(\left\{\begin{array}{l} \displaystyle x = a \cdot \frac{1 + t^2}{1 − t^2}\\ \displaystyle y = b \cdot \frac{2t}{1 − t^2}\end{array}\right.\)
媒介変数表示された曲線の形を答える問題もあるので、柔軟に対応できるようにしておきましょう。
「媒介変数表示」については以下の記事で説明しています。
媒介変数表示とは?グラフや計算(微分積分・ベクトル)
媒介変数表示が示す曲線の求め方
次の例題で、媒介変数表示された双曲線を標準形に直す方法を説明します。
次の媒介変数表示が示す曲線を答えよ。
(1) \(x = \tan\theta + 2\), \(\displaystyle y = \frac{3}{\cos\theta}\)
(2) \(x = 3^t + 3^{−t} − 3\), \(y = 3^t − 3^{−t} + 1\)
与えられた式を変形して、媒介変数を消去します。
媒介変数が角(\(\theta\) など)のときは、三角関数の性質を利用するとうまくいきます。
\(x = \tan\theta + 2\) より \(\tan\theta = x − 2\) …①
\(\displaystyle y = \frac{3}{\cos\theta}\) より \(\displaystyle \frac{1}{\cos\theta} = \frac{y}{3}\) …②
三角関数の相互関係より、
\(\displaystyle \tan^2\theta + 1 = \frac{1}{\cos^2\theta}\)
①、②を代入して
\(\displaystyle (x − 2)^2 + 1 = \left( \frac{y}{3} \right)^2\)
\(\displaystyle (x − 2)^2 − \left( \frac{y}{3} \right)^2 = −1\)
よって、
双曲線 \(\displaystyle (x − 2)^2 − \frac{y^2}{9} = −1\)
答え: 双曲線 \(\color{red}{\displaystyle (x − 2)^2 − \frac{y^2}{9} = −1}\)
\(e^t\), \(e^{−t}\) のように逆数の関係にある \(2\) 数は、\(2\) 乗したり足し引きしたりすると媒介変数を消去できることが多いです。
この場合、相加平均と相乗平均の関係などのかくれた条件を見逃さないようにしましょう!
\(x = 3^t + 3^{−t} − 3\) より
\(x + 3 = 3^t + 3^{−t}\) …①
\(y = 3^t − 3^{−t} + 1\) より
\(y − 1 = 3^t − 3^{−t}\) …②
①、②より、
\((x + 3)^2 − (y − 1)^2\)
\(= (3^t + 3^{−t})^2 − (3^t − 3^{−t})^2\)
\(= 4 \cdot 3^t \cdot 3^{−t}\)
\(= 4\)
よって
\((x + 3)^2 − (y − 1)^2 = 4\)
\(\displaystyle \frac{(x + 3)^2}{4} − \frac{(y − 1)^2}{4} = 1\)
また、\(3^t > 0\), \(3^{−t} > 0\) であるから
相加平均と相乗平均の大小関係より、
\(\begin{align} x &= 3^t + 3^{−t} − 3 \\ &\geq 2\sqrt{3^t \cdot 3^{−t}} − 3 \\ &= 2 − 3 \\ &= −1 \end{align}\)
よって、
双曲線 \(\displaystyle \frac{(x + 3)^2}{4} − \frac{(y − 1)^2}{4} = 1\) の \(x \geq −1\) の部分
答え: 双曲線 \(\color{red}{\displaystyle \frac{(x + 3)^2}{4} − \frac{(y − 1)^2}{4} = 1}\) \(\color{red}{(x \geq −1)}\)
以上で双曲線の解説は終わりです!
方程式が複雑な双曲線ですが、定義や特徴を押さえておけば怖くありません。
他の二次曲線と合わせて、しっかりと理解してくださいね!