この記事では、「媒介変数表示」についてわかりやすく解説していきます。
曲線のグラフや微分・積分、ベクトルにおける媒介変数表示の使い方を説明していきますので、ぜひこの記事を通してマスターしてくださいね。
目次
媒介変数表示とは?
媒介変数表示とは、ある変数同士(\(x\), \(y\) など)の関係を別の変数を用いて表すことです。
このときに用いる別の変数を「媒介変数」と呼び、文字 \(t\), \(\theta\) などで表すことが多いです。
\(x\), \(y\) が変数 \(t\) の関数として
\begin{align}\color{red}{\left\{\begin{array}{l} x = f(t)\\ y = g(t)\end{array}\right.}\end{align}
と表せるとき、これを媒介変数表示といい、\(t\) を「媒介変数(パラメータ)」という。
変数 \(t\) を仲介させて、\(x\) と \(y\) の関係を示せるのですね。
なお、媒介変数の設定のしかたによって、媒介変数表示は何通りでも作ることができます。
(例)\(y = 2x\) の媒介変数表示
- \(x = 3t\), \(y = 6t\)
- \(\displaystyle x = t − \frac{1}{2}\), \(y = 2t − 1\)
…
媒介変数表示は、次のような場面で役に立ちます。
- 複雑な曲線(方程式)を簡潔に表現したい
- 直接微分・積分しにくい方程式を微分・積分したい
- ベクトル方程式 ⇆ 方程式の変換をしたい
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
媒介変数表示と曲線のグラフ
\(x\), \(y\) の \(2\) 乗、\(3\) 乗などが入り混じった複雑な方程式で表される曲線でも、媒介変数表示ならシンプルに表せることがあります。
例えば、円の方程式 \(x^2 + y^2 = r^2\) は \(x\), \(y\) がともに二次の式ですが、媒介変数表示すると \(x = r\cos\theta\), \(y = r\sin\theta\) と簡潔に表せます。
二次曲線の媒介変数表示
数IIIで習う二次曲線(放物線、円、楕円、双曲線)はどれも媒介変数表示できます。
そのうち、代表的なものを以下に示します(ほかの表し方もあります)。
放物線 \(y^2 = 4px\)
- \(\color{red}{\left\{\begin{array}{l} x = pt^2\\ y = 2pt\end{array}\right.}\)
円 \(x^2 + y^2 = r^2\)
- \(\color{red}{\left\{\begin{array}{l} x = r\cos\theta\\ y = r\sin\theta\end{array}\right.}\)
- \(\color{red}{\left\{\begin{array}{l} \displaystyle x = r \cdot \frac{1 − t^2}{1 + t^2}\\ \displaystyle y = r \cdot \frac{2t}{1 + t^2}\end{array}\right.}\)
楕円 \(\displaystyle \frac{x^2}{a^2} + \frac{y^2}{b^2} = 1\) (標準形)
- \(\color{red}{\left\{\begin{array}{l} x = a\cos\theta\\ y = b\sin\theta\end{array}\right.}\)
- \(\color{red}{\left\{\begin{array}{l} \displaystyle x = a \cdot \frac{1 − t^2}{1 + t^2}\\ \displaystyle y = b \cdot \frac{2t}{1 + t^2}\end{array}\right.}\)
双曲線 \(\displaystyle \frac{x^2}{a^2} − \frac{y^2}{b^2} = 1\)(標準形)
- \(\color{red}{\left\{\begin{array}{l} \displaystyle x = \frac{a}{\cos\theta}\\ y = b\tan\theta\end{array}\right.}\)
- \(\color{red}{\left\{\begin{array}{l} \displaystyle x = a \cdot \frac{1 + t^2}{1 − t^2}\\ \displaystyle y = b \cdot \frac{2t}{1 − t^2}\end{array}\right.}\)
媒介変数表示の仕方として、角 \(\theta\) を媒介変数として三角関数で表すことが多くあります。
単位円の考え方と同じで、曲線上の \(x\), \(y\) 座標を始線 \(\mathrm{OX}\) からの角 \(\theta\) を用いて表現しているのですね。
「円」「楕円」「双曲線」については、個別記事でも説明しています。
円の方程式の公式や求め方をわかりやすく解説!円の接線も 楕円とは?方程式やグラフ、焦点・接線・面積の求め方 双曲線とは?方程式やグラフ、焦点・漸近線・接線の求め方
三角関数の媒介変数表示
\(\displaystyle t = \tan\frac{\theta}{2}\) とおくと、三角関数も媒介変数表示できます。
\(\displaystyle t = \tan\frac{\theta}{2}\) とおくと、
- \(\color{red}{\displaystyle \sin\theta = \frac{2t}{1 + t^2}}\)
- \(\color{red}{\displaystyle \cos\theta = \frac{1 − t^2}{1 + t^2}}\)
- \(\color{red}{\displaystyle \tan\theta = \frac{2t}{1 − t^2}}\)
円、楕円、双曲線の媒介変数表示 1 と 2 は、この関係に対応していますね。
ちなみに、この関係は二倍角の公式や三角比の相互関係から導けます。
\(\displaystyle t = \tan\frac{\theta}{2}\) \((t \neq \pm 1)\) とおくと、
\(\begin{align} \tan\theta &= \tan \left( 2 \cdot \frac{\theta}{2} \right) \\ &= \frac{2\tan \frac{\theta}{2}}{1 − \tan^2 \frac{\theta}{2}} \\ &= \frac{2t}{1 − t^2} \end{align}\)
\(\begin{align} \cos\theta &= \cos \left( 2 \cdot \frac{\theta}{2} \right) \\ &= 2 \cos^2 \frac{\theta}{2} − 1 \\ &= 2 \cdot \frac{1}{1 + \tan^2 \frac{\theta}{2}} − 1 \\ &= \frac{2}{1 + t^2} − 1 \\ &= \frac{1 − t^2}{1 + t^2} \end{align}\)
三角比の相互関係 \(\displaystyle \tan \theta = \frac{\sin\theta}{\cos\theta}\) より
\(\begin{align} \sin\theta &= \tan\theta\cos\theta \\ &= \frac{2t}{1 − t^2} \cdot \frac{1 − t^2}{1 + t^2} \\ &= \frac{2t}{1 + t^2} \end{align}\)
さまざまな曲線の媒介変数表示
また、曲線の中には \(x\), \(y\) の関係式では直接表すのは難しいけれど、媒介変数表示なら表せるものもあります。
媒介変数表示で表せる代表的な曲線については、以下の記事で紹介しています。
有名曲線のグラフ・式一覧(カージオイド・サイクロイドなど)
練習問題①「どんな曲線か(媒介変数 t)」
「媒介変数表示された式がどのような曲線を表すか?」という問題がよくあります。
このような問題では、与えられた式から媒介変数を消去して \(x\) と \(y\) の関係式を求めます。
少しだけ練習してみましょう!
次の式で表される点 \(\mathrm{P}(x, y)\) は、どのような曲線を描くか。
\(\left\{\begin{array}{l} x = \sqrt{t}\\ y = t + 1\end{array}\right.\)
どちらかを「\(t = \, \sim\)」の形に直して、もう一方に代入すれば \(t\) を消去できますね。
媒介変数 \(t\) がとりうる値の範囲によって \(x\), \(y\) の変域が決まるので、必ず確認しましょう。
\(x = \sqrt{t} \geq 0\) より \(x\) の変域は \(x \geq 0\)
\(x = \sqrt{t}\) より \(t = x^2\)
\(y = t + 1\) に代入して
\(y = x^2 + 1\)
よって、放物線 \(y = x^2 + 1\) の \(x \geq 0\) の部分である。
答え: 放物線 \(\color{red}{y = x^2 + 1}\) \(\color{red}{(x \geq 0)}\)
練習問題②「どんな曲線か(媒介変数 θ)」
次の式で表される点 \(\mathrm{P}(x, y)\) は、どのような曲線を描くか。
\(\left\{\begin{array}{l} x = 3\cos\theta + 2\\ y = 4\sin\theta + 1\end{array}\right.\)
三角関数で媒介変数表示されたものは、三角比の相互関係を利用すると媒介変数を消去できることが多いです。
\(x = 3\cos\theta + 2 \) より \(\displaystyle \cos\theta = \frac{x − 2}{3}\)
\(y = 4\sin\theta + 1 \) より \(\displaystyle \sin\theta = \frac{y − 1}{4}\)
三角比の相互関係 \(\sin^2\theta + \cos^2\theta = 1\) より、
楕円 \(\displaystyle \frac{(x − 2)^2}{9} + \frac{(y − 1)^2}{16} = 1 \) である。
答え: 楕円 \(\color{red}{\displaystyle \frac{(x − 2)^2}{9} + \frac{(y − 1)^2}{16} = 1}\)
練習問題③「どんな曲線か(媒介変数 t)」
次の式で表される点 \(\mathrm{P}(x, y)\) は、どのような曲線を描くか。
\(\displaystyle x = \frac{2^t − 2^{−t}}{2}\), \(\displaystyle y = \frac{2^t + 2^{−t}}{2}\)
\(2^t\), \(2^{−t}\) のように逆数の関係にある \(2\) 数は、足し引きしたり \(2\) 乗したりするとうまく媒介変数を消去できることが多いです。
また、このような場合は相加平均と相乗平均の大小関係などのかくれた条件を見逃さないようにしましょう!
\(\displaystyle x = \frac{1}{2} (2^t − 2^{−t})\) …①
\(\displaystyle y = \frac{1}{2} (2^t + 2^{−t})\) …②
① + ②より \(x + y = 2^t\)
① − ②より \(x − y = −2^{−t}\)
\((x + y)(x − y) = 2^t \cdot (−2^{−t}) \) より
\(x^2 − y^2 = −1\)
また、\(2^t > 0\), \(2^{−t} > 0 \) であるから、
\(\text{(相加平均)} \geq \text{(相乗平均)} \) より
\(\begin{align} y &= \frac{1}{2} (2^t + 2^{−t}) \\ &\geq \frac{1}{2} \cdot 2 \sqrt{2^t \cdot 2^{−t}} \\ &= 1 \end{align}\)
よって、
双曲線 \(x^2 − y^2 = −1\) の \(y \geq 1\) の部分である。
答え: 双曲線 \(\color{red}{x^2 − y^2 = −1}\) \(\color{red}{(y \geq 1)}\)
「相加・相乗平均」の関係については、以下の記事で説明しています。
相加平均と相乗平均の大小関係の使い方をわかりやすく解説
媒介変数表示の微分・積分
ある曲線の接線や増減を調べるには微分を、面積を求めるには積分を行います。
実は、媒介変数表示の状態でも微分・積分できます。
媒介変数表示の微分
媒介変数表示の微分公式は次の通りです。
\(x = f(t)\), \(y = g(t)\) のとき、
\begin{align}\color{red}{\displaystyle \frac{dy}{dx} = \frac{\frac{dy}{dt}}{\frac{dx}{dt}} = \frac{g’(t)}{f’(t)}}\end{align}
この公式は、合成関数の微分法と逆関数の微分法から簡単に導かれます。
\(\displaystyle \frac{dy}{dx} = \frac{dy}{dt} \cdot \frac{dt}{dx} = \frac{\frac{dy}{dt}}{\frac{dx}{dt}}\)
また、第 \(2\) 次導関数 \(\displaystyle \frac{d^2y}{dx^2}\) も、分数のように計算して求めることができます。
\(\begin{align} \frac{d^2y}{dx^2} &= \frac{d}{dx} \left( \frac{dy}{dx} \right) \\ &= \frac{d}{dt} \left( \frac{dy}{dx} \right) \cdot \frac{dt}{dx} \end{align}\)
(\(\displaystyle \frac{d^2y}{dx^2} \neq \frac{\frac{d^2y}{dt^2}}{\frac{d^2x}{dt^2}}\) であることに注意)
例えば円の方程式 \(x^2 + y^2 = r^2\) を \(x\) について微分するとき、次の \(3\) 通りのどれでも行うことができます。
- 陽関数表示 \(\bf{y = f(x)}\) にして微分
\(x^2 + y^2 = r^2\) は
\(y = \sqrt{r^2 − x^2}\) \( (y \geq 0)\) …①
\(y = −\sqrt{r^2 − x^2}\) \( (y < 0)\) …②
であるから
①のとき
\(\begin{align} \frac{dy}{dx} &= \frac{1}{2\sqrt{r^2 − x^2}} \cdot (−2x) \\ &= −\frac{x}{\sqrt{r^2 − x^2}} \\ &= −\frac{x}{y} \end{align}\)
②のとき
\(\begin{align} \frac{dy}{dx} &= −\frac{1}{2 \sqrt{r^2 − x^2}} \cdot (−2x) \\ &= \frac{x}{\sqrt{r^2 − x^2}} \\ &= −\frac{x}{y} \end{align}\)
よって \(\displaystyle \frac{dy}{dx} = \color{red}{−\frac{x}{y}}\) - 陰関数表示 \(\bf{f(x, y)}\) のまま微分
\(x^2 + y^2 = r^2\) の両辺を \(x\) について微分すると
\(2x + 2yy’ = 0\)
\(\displaystyle y’ = −\frac{2x}{2y} = −\frac{x}{y}\)
よって \(\displaystyle \frac{dy}{dx} = \color{red}{−\frac{x}{y}}\) - 媒介変数表示 \(\bf{x = f(t)}\), \(\bf{y = g(t)}\) にして微分
\(x^2 + y^2 = r^2\) を媒介変数表示すると
\(\left\{\begin{array}{l} x = r\cos\theta\\ y = r\sin\theta\end{array}\right.\)
ここで、それぞれを \(\theta\) について微分すると
\(\displaystyle \frac{dx}{d\theta} = −r\sin\theta = −y\)
\(\displaystyle \frac{dy}{d\theta} = r\cos\theta = x\)
よって
\(\displaystyle \frac{dy}{dx} = \frac{\frac{dy}{d\theta}}{\frac{dx}{d\theta}} = \frac{x}{−y} = \color{red}{−\frac{x}{y}}\)
\(y = f(x)\) や \(f(x, y)\) の形にするのがそもそも困難な曲線では、媒介変数表示で微分できるとうれしいですよね。
「陰関数の微分」については以下の記事を参考にしてください。
陰関数とは?陽関数との違い、微分公式やグラフの書き方
媒介変数表示の積分
媒介変数表示された関数の面積を求める公式は次の通りです。
\(x = f(t)\), \(y = g(t)\) で表される曲線と \(x\) 軸、\(a \leq x \leq b\) の範囲で囲まれた部分の面積 \(S\) は
\begin{align} S &= \int_a^b y \,dx \\ &= \int_\alpha^\beta y \frac{dx}{dt} \,dt \\ &= \int_\alpha^\beta g(t)f’(t) \,dt \end{align}
(ただし、\(a = f(\alpha)\), \(b = g(\beta)\))
定積分において、置換積分しているのですね。
実際に問題を解くときは、積分区間の変え忘れに注意しましょう!
練習問題「グラフの概形・面積を求める」
それでは、媒介変数表示の微分・積分でグラフの概形や面積を求めてみましょう!
媒介変数 \(t\) によって、\(x = 4\cos t\), \(y = \sin 2t\) \(\displaystyle \left(0 \leq t \leq \frac{\pi}{2}\right)\) と表される曲線と \(x\) 軸で囲まれた部分の面積 \(S\) を求めよ。
\(x\), \(y\) をそれぞれ \(t\) について微分し、\(t\) の変化に伴う \(x\), \(y\) の変化・増減を調べれば、グラフの概形が求められます。
また、グラフの概形がわかれば、定積分によって面積も求められます。
\(\displaystyle 0 \leq t \leq \frac{\pi}{2}\) …① の範囲で \(y = 0\) となる \(t\) の値は、
\(\sin 2t = 0\) より \(\displaystyle t = 0, \frac{\pi}{2}\)
また、①において常に \(y \geq 0\)
\(x = 4\cos t\) より \(\displaystyle \frac{dx}{dt} = −4\sin t\)
よって \(dx = −4\sin t \ dt\) …②
\(y = \sin 2t\) より \(\displaystyle \frac{dy}{dt} = 2\cos 2t\)
①において \(\displaystyle \frac{dy}{dt} = 0\) のとき \(\displaystyle t = \frac{\pi}{4}\)
よって、\(t\) の変化に伴う \(x\), \(y\) の増減は次のようになる。
したがって、求める面積は
\(S\)
\(\displaystyle = \int_0^4 y \,dx\)
(\(y = \sin 2t \)、② \(dx = −4\sin t \ dt \) より)
\(\displaystyle = \int_{\frac{\pi}{2}}^0 \sin 2t \cdot (−4\sin t) \,dt\)
\(\displaystyle = 4\int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin 2t \cdot \sin t \,dt\)
\(\displaystyle = 4\int_0^{\frac{\pi}{2}} 2\sin t \cos t \cdot \sin t \,dt\)
\(\displaystyle = 8\int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin^2 t \cos t \,dt\)
\(\displaystyle = 8\int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin^2 t (\sin t)’ \,dt\)
\(\displaystyle = 8 \left[ \frac{1}{3} \sin^3 t \right]_0^{\frac{\pi}{2}}\)
\(\displaystyle = \frac{8}{3} (1^3 − 0^3)\)
\(\displaystyle = \frac{8}{3}\)
答え: \(\color{red}{\displaystyle S = \frac{8}{3}}\)
ベクトルと媒介変数表示
ベクトル方程式に含まれている \(t\), \(s\) などの変数は媒介変数です。
ある図形のベクトル方程式は媒介変数表示に変換でき、さらに図形の方程式に変換することができます。
例として、直線(平面上)のベクトル方程式、媒介変数表示、方程式の関係を見てみましょう。
点 \(\mathrm{A}(\vec{a})\) を通り、\(\vec{d}\, (\neq \vec{0})\) に平行な直線 \(\ell\) のベクトル方程式 \(\color{red}{\vec{p} = \vec{a} + t\vec{d} \ \text{…①}}\) において、
\(\vec{p} = (x, y)\), \(\vec{a} = (x_1, y_1)\), \(\vec{d} = (m, n)\) として成分で表すと
\((x, y) = (x_1, y_1) + t(m, n)\)
すなわち
\begin{align}\color{red}{\left\{\begin{array}{l} x = x_1 + mt\\ y = y_1 + nt\end{array}\right. \ \text{…②}}\end{align}
となる。これを \(t\) を媒介変数とする直線 \(\ell\) の媒介変数表示という。
さらに、\(m \neq 0\) のとき②から \(t\) を消去すると
直線の方程式
\begin{align}\color{red}{\displaystyle y − y_1 = \frac{n}{m} (x − x_1) \ \text{…③}}\end{align}
が得られる。
このように、ある図形はベクトルでも表現できるし、媒介変数を介して方程式でも表現することができるのですね。
この関係は、\((x, y)\) 平面でも \((x, y, z)\) 空間でも成り立ちます。
「ベクトル方程式」を忘れている人は、以下の記事で復習しましょう!
ベクトル方程式とは?図形別の公式(直線・円)や問題の解き方
試しに \(2\) 問、ベクトル方程式から方程式を得る問題を解いてみましょう!
練習問題①「あるベクトルに平行な直線を求める」
点 \(\mathrm{A}(−4, 2)\) を通り、ベクトル \(\vec{d} = (3, −1)\) に平行な直線の方程式を求めよ。
求めたい直線上の点を \(\mathrm{P}(x, y)\) とおき、ベクトル方程式を立てましょう。
与えられた成分を代入すると、媒介変数表示ができあがります。
あとは媒介変数 \(t\) を消去するだけですね。
(1)
直線上の任意の点を \(\mathrm{P}(\vec{p})\) とし、\(t\) を媒介変数とすると
\(\vec{p} = \vec{a} + t\vec{d}\)
\(\vec{p} = (x, y)\), \(\vec{a} = (−4, 2)\), \(\vec{d} = (3, −1)\) より
\(\begin{align} (x, y) &= (−4, 2) + t(3, −1) \\ &= (−4 + 3t, 2 − t) \end{align}\)
よって
\(x = −4 + 3t\) …①
\(y = 2 − t\) …②
② より \(t = 2 − y\) を①に代入して
\(x = −4 + 3(2 − y)\)
\(x = 2 − 3y\)
よって、求める直線の方程式は
\(x + 3y − 2 = 0\)
答え:
\(\color{red}{x + 3y − 2 = 0}\) (または \(\color{red}{\displaystyle y = −\frac{1}{3} x + \frac{2}{3}}\))
練習問題②「2 点を通る直線を求める」
\(2\) 点 \(\mathrm{A}(2, −1, 1)\), \(\mathrm{B}(−1, 3, 5)\) を通る直線の方程式を求めよ。
\(x\), \(y\), \(z\) 方向があるので、まずは空間における直線のベクトル方程式を表しましょう。
媒介変数表示し、媒介変数を消去する流れは平面の場合とまったく同じです。
\(\mathrm{O}\) を原点、直線上の点を \(\mathrm{P}(x, y, z)\) とし、\(t\) を媒介変数とすると
\(\overrightarrow{\mathrm{OP}} = \overrightarrow{\mathrm{OA}} + t\overrightarrow{\mathrm{AB}}\) …①
\(\begin{align} \overrightarrow{\mathrm{AB}} &= \overrightarrow{\mathrm{OB}} − \overrightarrow{\mathrm{OA}} \\ &= (−1, 3, 5) − (2, −1, 1) \\ &= (−3, 4, 4) \end{align}\)
より、①は
\((x, y, z) = (2, −1, 1) + t(−3, 4, 4)\)
よって
\(\left\{\begin{array}{l} x = 2 − 3t\\ y = −1 + 4t\\ z = 1 + 4t\end{array}\right.\)
すなわち
\(\left\{\begin{array}{l} \displaystyle t = \frac{x − 2}{−3}\\ \displaystyle t = \frac{y + 1}{4}\\ \displaystyle t = \frac{z − 1}{4}\end{array}\right.\)
よって求める直線の方程式は
\(\displaystyle \frac{x − 2}{−3} = \frac{y + 1}{4} = \frac{z − 1}{4}\)
答え: \(\color{red}{\displaystyle \frac{x − 2}{−3} = \frac{y + 1}{4} = \frac{z − 1}{4}}\)
以上で解説は終わりです。
方程式とその媒介変数表示の関係を知っていると、さまざまな分野で役立ちます。
媒介変数表示の意味やコツをつかんで、ぜひマスターしてくださいね!