多角形とは?外角・内角の和、面積、対角線の公式と求め方

この記事では、「多角形」についてわかりやすく解説していきます。

多角形に関するさまざまな公式(外角の和・内角の和、面積、対角線の本数など)や求め方を説明していくので、この記事を通してぜひマスターしてくださいね!

 

多角形の定義

多角形とは、\(3\) つ以上の線分で囲まれた平面図形のことです。

数学ではなじみ深い三角形、四角形…はもちろん多角形ですね。

多角形には、共通する性質・公式もあれば、それぞれ固有の特徴もあります。

詳しく見ていきましょう。

 

多角形の内角の和の公式

多角形の内角の和は、次の公式で表されます。

多角形の内角の和

\(n\) 角形の内角の和は、

\begin{align}\color{red}{180^\circ (n − 2)}\end{align}

内角

隣り合う \(2\) 辺が多角形の内側に作る角。

 

内角の和の証明

内角の和の公式が成り立つことを証明します。

証明

 

どのような多角形も対角線を引くことにより、いくつかの三角形に分けられる。

四角形は \(2\) つの三角形、

五角形は \(3\) つの三角形、

六角形は \(4\) つの三角形、

つまり、\(n\) 角形は \((n − 2)\) 個の三角形に分けられる。

 

 

\(n\) 角形 を \((n − 2)\) 個の三角形に分けたとき、すべての三角形の内角の和は、もとの \(n\) 角形の内角の和に等しい。

 

三角形の内角の和は \(180^\circ\) であるから、 \(n\) 角形の内角の和は

\(\color{red}{180^\circ (n − 2)}\)

 

(証明終わり)

このように、簡単に証明できました。

あまり使用頻度の高い公式ではないので、うっかり忘れてしまうこともあると思います。

そんなときは、「三角形に分ける!」と思い出すようにしましょう。

 

多角形の外角の和の公式

多角形の外角の和にも公式があります。

多角形の外角の和

多角形の外角の和は、

常に \(\color{red}{360^\circ}\)

なんと何角形であっても外角の和は \(360^\circ\) で一定なのですね。

外角

多角形の \(1\) つの辺とその隣の辺の延長がつくる角。

(下の図における \(\angle \mathrm{ACD}\) や \(\angle \mathrm{BCE}\) のような角)

 

外角の和の証明

この公式も証明してみましょう。

証明

 

四角形を考える。

 

図の四角形において、外角をそれぞれ \(\angle a_1\)、\(\angle a_2\)、\(\angle a_3\)、\(\angle a_4\)、内角をそれぞれ \(\angle b_1\)、\(\angle b_2\)、\(\angle b_3\)、\(\angle b_4\) とすると、

\(\angle a_1 + \angle b_1 = 180^\circ\) …①

\(\angle a_2 + \angle b_2 = 180^\circ\) …②

\(\angle a_3 + \angle b_3 = 180^\circ\) …③

\(\angle a_4 + \angle b_4 = 180^\circ\) …④

 

よって、すべて外角と内角の和は

①~④より、

\(180^\circ \times 4 = 720^\circ\)

 

そのうち、\(\angle b_1\)、\(\angle b_2\)、\(\angle b_3\)、\(\angle b_4\) は内角であるから、その和は

\(180^\circ \times (4 − 2) = 360^\circ\)

 

よって、四角形の外角の和は

\(720^\circ − 360^\circ = 360^\circ\)

 

 

同様に、\(n\) 角形(\(n\) は \(3\) 以上の自然数)について考える。

\(n\) 角形において、外角を \(\angle a_1\)、\(\angle a_2\)、\(\cdots\)、\(\angle a_n\)、内角を \(\angle b_1\)、\(\angle b_2\)、\(\cdots\)、\(\angle b_n\) とすると、

\(\angle a_1 + \angle b_1 = 180^\circ\)

\(\angle a_2 + \angle b_2 = 180^\circ\)

\(\cdots\)

\(\angle a_n + \angle b_n = 180^\circ\)

 

よって、すべての外角と内角の和は

\(n \times 180^\circ = 180^\circ n\)

 

そのうち、内角 \(\angle b_1 \sim \angle b_n\) の和は

\(180^\circ (n − 2)\)

 

よって、\(n\) 角形の外角の和は

\(180^\circ n − 180^\circ (n − 2) = 360^\circ\)

 

したがって、多角形の外角の和は常に \(360^\circ\) となる。

 

(証明終わり)

このような理由から、多角形の角数が増えるほど内角の和も大きくなるのに対し、外角の和は一定です。

とても興味深いですね!

 

多角形の面積公式

主要な多角形の面積の公式について解説していきます。

三角形の面積

まず、三角形の面積の公式を紹介します。

三角形の面積の公式
  1. 底辺 × 高さ ÷ 2
    底辺を \(a\)、高さを \(h\) とおくと、三角形の面積 \(S\) は
    \begin{align}\color{red}{\displaystyle S = \frac{1}{2} ah}\end{align}
  2. 三角比の利用
    三角形の \(2\) 辺の長さを \(a\), \(b\)、その間の角を \(\theta\) とおくと、三角形の面積 \(S\) は
    \begin{align}\color{red}{\displaystyle S = \frac{1}{2} ab \sin \theta}\end{align}
合わせて読みたい

三角形の面積には他にもさまざまな求め方があります。

三角形の面積公式まとめ!求め方をわかりやすく解説

 

四角形の面積

四角形の面積については、残念ながらどんなかたちにも当てはまる共通の公式はないのですが、二組、または一組の辺が平行な四角形に限って面積の公式があります。

正方形長方形平行四辺形ひし形といった、二組の辺が平行な四角形の面積は次のとおりです。

二組の辺が平行な四角形の面積の公式

二組の辺が平行な四角形において、底辺が \(a\)、高さが \(h\) であるとき、四角形の面積 \(S\) は

\begin{align}\color{red}{S = ah}\end{align}

 

一組の辺が平行な四角形、すなわち台形の面積は次のとおりです。

一組の辺が平行な四角形の面積の公式

一組の辺が平行な四角形において、上底が \(a\)、下底が \(b\)、高さが \(h\) であるとき、四角形の面積 \(S\) は

\begin{align}\color{red}{\displaystyle S = \frac{1}{2} (a + b)h}\end{align}

 

 

五角形以上の面積

五角形以上の多角形の面積を求める場合には、問題に合わせて対処します。

例えば、多角形の中に補助線を引くと、いくつかの三角形に分割できますね。

あとは、分割された三角形の面積をそれぞれ計算すると多角形の面積が求まります。

 

正多角形の面積

多角形のうち、すべての辺の長さが等しいものは「正多角形」と呼ばれ、正多角形の面積は公式化することができます。

正 n 角形の面積の公式

\(1\) 辺の長さが \(a\) である正 \(n\) 角形の面積 \(S\) は

\begin{align}\color{red}{\displaystyle S = \frac{na^2}{4 \tan \left( \frac{180^\circ}{n} \right)}}\end{align}

こんな公式見たことない!という人が多いかもしれませんね。

正多角形をすべての対角線で分けた二等辺三角形の面積を求めて、その和を求める方法計算問題①で解説)もあるので、上記の公式を無理して覚える必要はありません。

 

ちなみに、正三角形〜正六角形までの面積の公式は以下のようになります。

正 n 角形の面積の公式(n = 3, 4, 5, 6)
  • 正三角形の面積 \((n = 3)\)
    \begin{align}\color{red}{\displaystyle S = \frac{\sqrt{3}}{4} a^2}\end{align}
  • 正方形の面積 \((n = 4)\)
    \begin{align}\color{red}{S = a^2}\end{align}
  • 正五角形の面積 \((n = 5)\)
    \begin{align}\color{red}{\displaystyle S = \frac{\sqrt{25 + 10\sqrt{5}}}{4} a^2}\end{align}
  • 正六角形の面積 \((n = 6)\)
    \begin{align}\color{red}{\displaystyle S = \frac{3\sqrt{3}}{2} a^2}\end{align}

 

多角形の対角線の本数の公式

対角線の本数についても、どの多角形でも成り立つ公式が存在します。

多角形の対角線の本数の公式

\(n\) 角形の対角線の本数は、

\begin{align}\color{red}{\displaystyle \frac{n(n − 3)}{2}}\end{align}

例題

五角形の対角線の本数を求めなさい。

 

公式に当てはめると、

\(\displaystyle \frac{5(5 − 3)}{2} = \color{red}{5}\)

実際に対角線を引いてみると、確かに \(5\) 本になりますね。

 

対角線の本数の証明

この公式が成り立つ理由は簡単で、\(1\) つの頂点から引ける対角線の本数を考えるとわかります。

証明

 

\(n\) 角形の任意の点 \(\mathrm{A}\) について、

点 \(\mathrm{A}\) 自身と点 \(\mathrm{A}\) の隣り合う頂点には対角線が引けない。

\(n\) 角形には \(n\) 個の頂点があるので、頂点 \(\mathrm{A}\) から引ける対角線の本数は

\((n − 3)\) 本

よって、\(n\) 角形のすべての頂点から引ける対角線の本数は

\(\displaystyle n \times (n − 3) = n(n − 3)\) 本

しかし、この数は \(1\) 本の対角線を \(2\) つの頂点で重複して数えているため、合計本数を \(2\) で割ると

\(\color{red}{\displaystyle \frac{n(n − 3)}{2}}\)

 

(証明終わり)

これで、多角形の対角線の本数を導くことができました。

 

多角形の計算問題

それでは最後に、多角形の計算問題に挑戦してみましょう。

計算問題①「正十二角形の角度、対角線、面積」

計算問題①

一辺の長さが \(3\) の正十二角形において、以下の問いに答えなさい。

(1) 内角の和を求めよ。

(2) 対角線の総数を求めよ。

(3) 面積を求めよ。

 

(1)、(2) は公式を利用して簡単に解けそうですね。

(3) の面積は、中心で \(12\) 個の合同な二等辺三角形に分ける方法で解いてみましょう。

解答

 

(1) 多角形の内角の和の公式より、

\(180^\circ (n − 2)\)

 

正十二角形なので、 \(n = 12\) を代入すると、

\(\begin{align} 180^\circ (12 − 2) &= 180^\circ \cdot 10 \\ &= 1800^\circ \end{align}\)

 

答え: \(1800^\circ\)

 

 

(2) 多角形の対角線の本数の公式より、

\(\displaystyle \frac{n(n − 3)}{2}\)

 

正十二角形なので、 \(n = 12\) を代入すると、

\(\begin{align} \frac{12(12 − 3)}{2} &= 12 \cdot \frac{9}{2} \\ &= 54 \end{align}\)

 

答え: \(54\)

 

 

(3) 正十二角形のすべての頂点から対角線を引くと、\(12\) 個の合同な二等辺三角形ができる。

 

この三角形の頂角は

\(360^\circ \div 12 = 30^\circ\)

底辺は \(3\) である。

 

残りの \(2\) 辺を \(r\) とおくと、

余弦定理より

\(3^2 = r^2 + r^2 − 2 \cdot r \cdot r \cdot \cos 30^\circ\)

\(\displaystyle 9 = 2r^2 − 2r^2 \cdot \frac{\sqrt{3}}{2}\)

\(9 = 2 r^2 − \sqrt{3} r^2\)

\((2 − \sqrt{3}) r^2 = 9\)

\(\begin{align} r^2 &= \frac{9}{2 − \sqrt{3}} \\ &= \frac{9(2 + \sqrt{3})}{(2 − \sqrt{3})(2 + \sqrt{3})} \\ &= 9(2 + \sqrt{3}) \text{ …①}\end{align}\)

 

三角形の面積の公式より、

\(\begin{align} S &= \frac{1}{2} \cdot r \cdot r \cdot \sin 30^\circ \\ &= \frac{1}{2} \cdot r \cdot r \cdot \frac{1}{2} \\ &= \frac{1}{4} r^2 \text{ …②} \end{align}\)

 

①、②より、

\(\begin{align} S &= \frac{1}{4} \cdot 9(2 + \sqrt{3}) \\ &= \frac{9(2 + \sqrt{3})}{4} \end{align}\)

 

よって、 正十二角形の面積は、

\(\displaystyle \frac{9(2 + \sqrt{3})}{4} \times 12 = 27(2 + \sqrt{3})\)

 

答え: \(27(2 + \sqrt{3})\)

(3) 別解

 

一辺の長さが \(3\) の正十二角形の面積 \(S\) は

\(\begin{align}\displaystyle S &= \frac{12 \cdot 3^2}{4 \tan \left( \frac{180^\circ}{12} \right)} \\&= \frac{12 \cdot 9}{4 \tan 15^\circ}\end{align}\)

 

三角関数の加法定理より

\(\begin{align}\tan 15^\circ &= \displaystyle \tan (60^\circ − 45^\circ) \\&= \frac{\tan 60^\circ − \tan 45^\circ}{1 + \tan 60^\circ \tan 45^\circ} \\&= \frac{\sqrt{3} − 1}{1 + \sqrt{3} \cdot 1} \\&= \frac{\sqrt{3} − 1}{\sqrt{3} + 1} \\&= \frac{(\sqrt{3} − 1)^2}{(\sqrt{3} + 1)(\sqrt{3} − 1)} \\&= \frac{3 − 2\sqrt{3} + 1}{3 − 1} \\&= \frac{4 − 2\sqrt{3}}{2} \\&= 2 − \sqrt{3}\end{align}\)

であるから、

\(\begin{align}\displaystyle S &= \frac{12 \cdot 9}{4 \tan 15^\circ} \\&= \frac{12 \cdot 9}{4(2 − \sqrt{3})} \\&= \frac{3 \cdot 9}{2 − \sqrt{3}} \\&= \frac{27(2 + \sqrt{3})}{(2 − \sqrt{3})(2 + \sqrt{3})} \\&= \frac{27(2 + \sqrt{3})}{4 − 3} \\&= 27(2 + \sqrt{3})\end{align}\)

 

答え: \(27(2 + \sqrt{3})\)

 

計算問題②「内角の和が 1260° の n 角形」

計算問題②

内角の和が \(1260^\circ\) である \(n\) 角形において、以下の問いに答えなさい。

(1) \(n\) の値を求めよ。

(2) 正多角形であるとき、\(1\) つの外角の大きさを求めよ。

(3) 対角線の総数を求めよ。

 

問われ方が違うだけで、公式をうまく利用すると簡単に解ける問題ですよ。

解答

 

(1) 

\(n\) 角形の内角の和は \(180^\circ (n − 2)\) であるから、内角の和 \(1260^\circ\) を代入すると

\(180^\circ (n − 2) = 1260^\circ\)

\(n − 2 = 7\)

\(n = 9\)

 

答え: \(n = 9\)

 

 

(2) 

多角形の外角の和は常に \(360^\circ\) なので、正九角形の \(1\) つの外角の大きさは

\(360^\circ \div 9 = 40^\circ\)

 

答え: \(40^\circ\)

 

 

(3) 

\(n\) 角形の対角線の本数は

\(\displaystyle \frac{n(n − 3)}{2}\)

 

九角形なので、\(n = 9\) を代入すると、

\(\begin{align} \frac{12(9 − 3)}{2} &= 12 \cdot \frac{6}{2} \\ &= 36 \end{align}\)

 

答え: \(36\)

 

計算問題③「複雑な多角形の内角」

計算問題③

次の図において、印をつけた角の和を求めなさい。

 

小学校や中学校でこのような問題を見たかもしれませんね。

外角の定理を利用したり、補助線を引いたりと工夫してみましょう。

解答

 

(1) 頂角をそれぞれ \(a\)、\(b\)、\(c\)、\(d\)、\(e\) とすると、その和は

\(a + b + c + d + e\)

 

また、三角形の外角の定理を利用すると、図に示すとおり

\(a + c = g\) …①

\(b + d = f\) …②

 

①、②より、

\(\begin{align} a + b + c + d + e &= g + f + e \\ &= 180^\circ \end{align}\)

 

答え: \(180^\circ\)

 

 

(2) 示された角をそれぞれ \(a\)、\(b\)、\(c\)、\(d\)、\(e\) とすると、その和は

\(a + b + c + d + e\)

 

また、図のように補助線を引き、残りの角を \(f\)、\(g\)、\(h\)、\(i\) とする。

 

\(\triangle deh\) と \(\triangle fgi\) において、

対頂角は等しいので、

\(h = i\) …①

 

三角形の内角の和は \(180^\circ\) より、

\(h = 180^\circ − (d + e)\) …②

\(i = 180^\circ − (f + g)\) …③

 

①、②、③より、

\(180^\circ − (d + e) = 180^\circ − (f + g)\)

\(d + e = f + g\) …④

となる。

 

よって、④より、

\(a + b + c + d + e = a + b + c + f + g\)

となり、三角形の内角の和と等しくなるので、

\(a + b + c + d + e = 180^\circ\)

 

答え: \(180^\circ\)

以上で問題も終わりです!

 

多角形について理解が深まりましたか?

どうしてその公式が導かれるのか、図とともに理解しておくと定着しますよ!

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