この記事では、「正三角形」の定義や面積の公式を解説していきます。
また、高さや重心の求め方についても紹介していくので、ぜひマスターしてくださいね!
目次
正三角形とは?
正三角形の定義や定理(性質)について説明します。
定義「3 辺がすべて等しい」
正三角形の定義は、「\(3\) 辺の長さがすべて等しい三角形」です。
また、\(2\) つ以上の辺の長さがすべて等しいので、正三角形は二等辺三角形の一種ともいえます。
このことは証明の問題でも利用されるので覚えておきましょう。
定理「3 角がすべて等しい(角度は 60°)」
正三角形には、「\(3\) つの角がすべて等しい」という定理(性質)があります。
三角形の内角の和は \(180^\circ\) なので、正三角形の \(3\) つの内角は必ず \(180^\circ \div 3 = \color{red}{60^\circ}\) となります。
こちらも当たり前の知識として頭に入れておきましょう!
正三角形の面積の公式
正三角形の面積は、\(1\) 辺の長ささえわかれば求められます。
正三角形の \(1\) 辺の長さを \(a\)、面積を \(S\) とすると、
\begin{align}\color{red}{\displaystyle S = \frac{\sqrt{3}}{4} a^2}\end{align}
この公式を覚えておけば、いちいち高さを求めたり三角比を計算したりしなくても簡単に面積を求められます。
\(1\) 辺の長さが \(4\) の正三角形の面積を求めなさい。
\(\begin{align} S &= \frac{\sqrt{3}}{4} \cdot 4^2 \\ &= 4\sqrt{3} \end{align}\)
答え: \(\color{red}{4\sqrt{3}}\)
正三角形の面積の求め方
正三角形の面積は、次の \(2\) 通りの方法で求められます。
正三角形の高さを求めて、三角形の面積の基本公式から導きます。
正三角形の \(1\) 辺の長さを \(a\)、高さを \(h\) とおくと、
\(a : h = 2 : \sqrt{3}\) より \(h = \displaystyle \frac{\sqrt{3}}{2}a\)
正三角形の面積を \(S\) とおくと、
\(\begin{align}S &= (\text{底辺}) \times (\text{高さ}) \div 2 \\&= a \times h \div 2 \\&= a \times \displaystyle \frac{\sqrt{3}}{2}a \div 2 \\&= \displaystyle \frac{\sqrt{3}}{4}a^2\end{align}\)
よって \(\color{red}{\displaystyle S = \frac{\sqrt{3}}{4} a^2}\)
三角比を用いた三角形の面積公式 \(\displaystyle S = \frac{1}{2} ab \sin \theta\) から導けます。
正三角形の \(1\) 辺の長さを \(a\)、面積を \(S\) とおくと、
\(\begin{align} S &= \frac{1}{2} \cdot a \cdot a \cdot \sin 60^\circ \\ &= \frac{1}{2} \cdot a^2 \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} \\ &= \frac{\sqrt{3}}{4} a^2 \end{align}\)
よって \(\color{red}{\displaystyle S = \frac{\sqrt{3}}{4} a^2}\)
公式を忘れてしまったときは、どちらかの方法で導いてみましょう!
正三角形の高さの公式
正三角形の高さは次のとおりです。
正三角形の \(1\) 辺の長さを \(a\)、高さを \(h\) とすると、
\begin{align}\color{red}{\displaystyle h = \frac{\sqrt{3}}{2} a}\end{align}
\(1\) 辺の長さが \(4\) の正三角形 \(\mathrm{ABC}\) があります。
頂点 \(\mathrm{A}\) から辺 \(\mathrm{BC}\) に垂線を下ろし、その交点を点 \(\mathrm{D}\) とします。
このとき、\(\mathrm{AD}\) の長さを求めなさい。
垂線 \(\mathrm{AD}\) は正三角形 \(\mathrm{ABC}\) の高さですね。
\(\begin{align}\mathrm{AD} &= \displaystyle \frac{\sqrt{3}}{2}\mathrm{AB} \\&= \displaystyle \frac{\sqrt{3}}{2} \cdot 4 \\&= 2\sqrt{3}\end{align}\)
答え: \(\color{red}{\mathrm{AD} = 2\sqrt{3}}\)
正三角形の高さの求め方
正三角形の高さは、直角三角形の辺の比から求められます。
正三角形のある頂点から角の二等分線を下ろすと、合同な \(2\) つの直角三角形ができます。
角度が \(30^\circ, 60^\circ, 90^\circ\) であるこの直角三角形は、辺の比が \(\color{red}{1: \sqrt{3} : 2}\) となります。
よって、正三角形の \(1\) 辺の長さを \(a\)、高さを \(h\) とおくと、\(a : h = 2 : \sqrt{3}\) より、\(\displaystyle h = \frac{\sqrt{3}}{2} a\) となります。
正三角形の重心の性質
正三角形の重心には、次の特別な性質があります。
- 重心と各頂点を結ぶ線分の長さが等しい
- 重心と各辺を結ぶ線分の長さがそれぞれ等しい
- 重心と各辺を結ぶ線分は、各辺と垂直に交わる
したがって、正三角形の重心、内心(内接円の中心)、外心(外接円の中心)、垂心は一致する。
反対に、ある三角形の重心・内心・外心・垂心のうち \(2\) 点以上が一致すれば、その三角形は正三角形であるといえます。
【参考】三角形の重心の性質と公式
ちなみに、一般的な三角形の重心の性質と、重心を求める公式は次のとおりです。
- 中線の交点が重心であり、重心はその中線を \(2 : 1\) に分ける。
- 重心と頂点を結んでできる \(3\) つの三角形の面積の大きさは等しくなる。
点 \(\mathrm{A}(x_\mathrm{A}, y_\mathrm{A})\)、\(\mathrm{A}(x_\mathrm{A}, y_\mathrm{A})\)、\(\mathrm{A}(x_\mathrm{A}, y_\mathrm{A})\) について、\(\triangle \mathrm{ABC}\) の重心 \(\mathrm{G}\) は
\begin{align}\displaystyle \mathrm{G}(x_\mathrm{G}, y_\mathrm{G}) = \left( \frac{x_\mathrm{A} + x_\mathrm{B} + x_\mathrm{C}}{3}, \frac{y_\mathrm{A} + y_\mathrm{B} + y_\mathrm{C}}{3} \right)\end{align}
(見切れる場合は横へスクロール)
例題「内接円、外接円の半径を求める」
正三角形の重心の性質を利用する例題を見てみましょう。
\(\triangle \mathrm{ABC}\) の重心 \(\mathrm{O}\) が中線を \(2 : 1\) に内分することを利用して、\(1\) 辺が \(6\) の正三角形の内接円の半径と外接円の半径をそれぞれ求めなさい。
正三角形の重心である点 \(\mathrm{O}\) は、内心でもあり、外心でもあります。
これらを利用すると、
- 内接円の半径 \(\displaystyle \mathrm{OM} = \frac{1}{3} \mathrm{AM}\)
- 外接円の半径 \(\displaystyle \mathrm{OG} = \frac{2}{3} \mathrm{AM}\)
なので、中線 \(\mathrm{AM}\) の長さがわかればそれぞれの半径の長さも求められます。
\(\triangle \mathrm{ABM}\) において、
\(\mathrm{AB} : \mathrm{AM} = 2 : \sqrt{3}\) より
\(6 : \mathrm{AM} = 2 : \sqrt{3}\)
\(\mathrm{AM} = 3\sqrt{3}\)
重心 \(\mathrm{O}\) は中線 \(\mathrm{AM}\) を \(2 : 1\) に内分するから、
内接円の半径 \(\mathrm{OM}\) は
\(\begin{align} \mathrm{OM} &= \frac{1}{3} \mathrm{AM} \\ &= \frac{1}{3} \cdot 3\sqrt{3} \\ &= \sqrt{3} \end{align}\)
外接円の半径 \(\mathrm{OG}\) は
\(\begin{align} \mathrm{OG} &= \frac{2}{3} \mathrm{AM} \\ &= \frac{2}{3} \cdot 3\sqrt{3} \\ &= 2\sqrt{3} \end{align}\)
答え: 内接円の半径 \(\color{red}{\sqrt{3}}\)、外接円の半径 \(\color{red}{2\sqrt{3}}\)
正三角形の計算問題
正三角形を含む図形の角度や面積を求める計算問題を解いてみましょう。
計算問題①「\(\angle x\)、\(\angle y\) の大きさ」
図の正三角形 \(\mathrm{ABC}\) の \(\angle x\), \(\angle y\) の大きさを求めなさい。
正三角形の \(1\) つの角は \(60^\circ\) でしたね。
また、外角の和の性質を利用すると \(\angle y\) の大きさも求められます。
\(\triangle \mathrm{ABC}\) は正三角形であるから、
\(\angle \mathrm{A} = \angle \mathrm{B} = \angle \mathrm{C} = 60^\circ\)
\(\begin{align} \angle x &= 60^\circ − 35^\circ \\ &= 25^\circ\end{align}\)
三角形の外角の性質より
\(\begin{align} \angle y &= 35^\circ + 60^\circ \\ &= 95^\circ\end{align}\)
答え: \(\color{red}{\angle x = 25^\circ}\)、\(\color{red}{\angle y = 95^\circ}\)
計算問題②「正方形と正三角形」
次の四角形 \(\mathrm{ABCD}\) が正方形、\(\triangle \mathrm{BCE}\) が正三角形のとき、以下の問いに答えなさい。
(1) \(\angle x\)、\(\angle y\) の大きさを求めよ。
(2) \(\triangle \mathrm{BCE}\) の高さを求めよ。
(3) \(\triangle \mathrm{BCE}\) の面積を求めよ。
正方形と正三角形が合わさった図形ですね。
どの部分が同じ長さになっているかを考えてみましょう。
(1) \(\triangle \mathrm{BCE}\) は正三角形なので、
\(\mathrm{BC} = \mathrm{CE} = \mathrm{EB}\) …①
四角形 \(\mathrm{ABCD}\) は正方形なので、
\(\mathrm{AB} = \mathrm{BC} = \mathrm{CD} = \mathrm{DA}\) …②
①、②より、
\(\mathrm{AB} = \mathrm{BC} = \mathrm{CD} = \mathrm{DA} = \mathrm{CE} = \mathrm{EB}\)
\(\begin{align} \angle \mathrm{ABE} &= 90^\circ − \angle \mathrm{EBC} \\ &= 90^\circ − 60^\circ \\ &= 30^\circ \end{align}\)
\(\triangle \mathrm{ABE}\) は二等辺三角形なので、
\(\begin{align} \angle x &= \frac{180^\circ − \angle \mathrm{ABE}}{2}\\&= \frac{180^\circ − 30^\circ}{2} \\ &= 75^\circ \end{align}\)
また、
\(\begin{align} \angle \mathrm{DAE} &= 90^\circ − 75^\circ \\ &= 15^\circ \end{align}\)
\(\triangle \mathrm{AED}\) も二等辺三角形なので、
\(\begin{align} \angle y &= 180^\circ − 2\angle \mathrm{DAE}\\ &= 180^\circ − 2 \cdot 15^\circ\\ &= 150^\circ \end{align}\)
答え: \(\angle x = 75^\circ\)、\(\angle y = 150^\circ\)
(2) 点 \(\mathrm{E}\) から下ろした垂線が、辺 \(\mathrm{BC}\) と交わる点を \(\mathrm{F}\) とすると、\(\triangle \mathrm{BCE}\) の高さは \(\mathrm{EF}\) となる。
\(\triangle \mathrm{BEF}\) は、 \(1 : \sqrt{3} : 2\) の直角三角形なので、
\(\mathrm{BF} : \mathrm{EF} = 1 : \sqrt{3}\)
\(3 : \mathrm{EF} = 1 : \sqrt{3}\)
\(\mathrm{EF} = 3\sqrt{3}\)
答え: \(3\sqrt{3}\)
(3)
\(\begin{align} \triangle \mathrm{BCE} &= \frac{\sqrt{3}}{4} \mathrm{BC^2} \\ &= \frac{\sqrt{3}}{4} \cdot 6^2 \\ &= 9\sqrt{3} \end{align}\)
(別解)
\(\triangle \mathrm{BCE}\) は底辺が \(6\)、高さが \(3\sqrt{3}\) なので、
\(\begin{align} \triangle \mathrm{BCE} &= \frac{1}{2} \cdot 6 \cdot 3\sqrt{3} \\ &= 9\sqrt{3} \end{align}\)
答え: \(9\sqrt{3}\)
正三角形の証明問題
ある三角形が正三角形であることを証明するには、次のどれかを示せればよいです。
- \(3\) つの辺の長さが等しい
- \(3\) つの角の大きさが等しい(すべて \(60^\circ\) である)
- 頂角が \(60^\circ\) の二等辺三角形である
実際に証明問題に挑戦しましょう。
証明問題①「正三角形の中の三角形」
正三角形 \(\mathrm{ABC}\) の \(3\) 辺 \(\mathrm{AB}\)、\(\mathrm{BC}\)、\(\mathrm{CA}\) 上に、それぞれ \(\mathrm{D}\)、\(\mathrm{E}\)、\(\mathrm{F}\) をとる。\(\mathrm{AD} = \mathrm{BE} = \mathrm{CF}\) のとき、\(\triangle \mathrm{DEF}\) が正三角形になることを証明しなさい。
外側にできた小さい \(3\) つの三角形が合同であることを示せれば、\(\triangle \mathrm{DEF}\) の \(3\) 辺の長さが等しいことが証明できます。
問題文にある条件 \(\mathrm{AD} = \mathrm{BE} = \mathrm{CF}\) と、正三角形である \(\triangle \mathrm{ABC}\) の性質に注目しましょう。
\(\triangle \mathrm{ADF}\) と \(\triangle \mathrm{BED}\) と \(\triangle \mathrm{CFE}\) において、
仮定より \(\mathrm{AD} = \mathrm{BE} = \mathrm{CF}\) …①
\(\triangle \mathrm{ABC}\) は正三角形であるから、
\(\angle \mathrm{DAF} = \angle \mathrm{EBD} = \angle \mathrm{FCE}\) …②
\(\mathrm{AB} = \mathrm{BC} = \mathrm{CA}\) …③
ここで、
\(\mathrm{AF} = \mathrm{CA} − \mathrm{CF}\)
\(\mathrm{BD} = \mathrm{AB} − \mathrm{AD}\)
\(\mathrm{CE} = \mathrm{BC} − \mathrm{BE}\)
であり、①、③から
\(\mathrm{AF} = \mathrm{BD} = \mathrm{CE}\) …④
①、②、④より、\(2\) 辺とその間の角がそれぞれ等しいから、
\(\triangle \mathrm{ADF} \equiv \triangle \mathrm{BED} \equiv \triangle \mathrm{CFE}\)
よって、
\(\mathrm{DF} = \mathrm{ED} = \mathrm{FE}\)
\(\triangle \mathrm{DEF}\) は \(3\) 辺がすべて等しいから、正三角形である。
(証明終わり)
証明問題②「重心と内心が一致する三角形」
\(\triangle \mathrm{ABC}\) において、重心と内心が一致するとき、\(\triangle \mathrm{ABC}\) は正三角形であることを証明しなさい。
三角形の重心、内心の性質、および角の二等分線の性質を利用して、\(\triangle \mathrm{ABC}\) の \(2\) 辺ずつが等しいことを示します。
重要な点に記号を振って頭の中を整理しましょう。
\(\triangle \mathrm{ABC}\) において、仮定より重心と内心は点 \(\mathrm{O}\) で一致する。
直線 \(\mathrm{AO}\) と辺 \(\mathrm{BC}\) の交点を点 \(\mathrm{D}\) とおくと、点 \(\mathrm{O}\) は重心なので、点 \(\mathrm{D}\) は \(\mathrm{BC}\) の中点であり、
\(\mathrm{BD} = \mathrm{CD}\) …①
また、点 \(\mathrm{O}\) は内心でもあるので、\(\mathrm{AD}\) は \(\angle \mathrm{BAC}\) の二等分線である。
三角形の内角の二等分線の性質から、
\(\mathrm{AB} : \mathrm{AC} = \mathrm{BD} : \mathrm{CD}\) …②
①、②より、
\(\mathrm{AB} : \mathrm{AC} = 1 : 1\)
すなわち
\(\mathrm{AB} = \mathrm{AC}\) …③
直線 \(\mathrm{BO}\) と辺 \(\mathrm{AC}\) の交点を点 \(\mathrm{E}\) とおくと、先ほどと同様、
点 \(\mathrm{E}\) は \(\mathrm{CA}\) の中点であるから
\(\mathrm{CE} = \mathrm{EA}\)
\(\mathrm{BE}\) は \(\angle \mathrm{ABC}\) の二等分線であるから
\(\mathrm{BC} : \mathrm{AB} = \mathrm{CE} : \mathrm{EA} = 1 : 1\)
すなわち
\(\mathrm{BA} = \mathrm{BC}\) …④
③、④より \(\mathrm{AB} = \mathrm{BC} = \mathrm{CA}\)
よって、\(\triangle \mathrm{ABC}\) は \(3\) 辺がすべて等しい三角形である。
以上より、\(\triangle \mathrm{ABC}\) の重心と内心が一致するとき、\(\triangle \mathrm{ABC}\) は正三角形である。
(証明終わり)
以上で問題も終わりです!
正三角形について理解が深まりましたか?
知っていて当たり前の知識ばかりなので、しっかりと定着させましょう!
なお、正三角形の書き方(作図方法)については以下の記事で説明しています。
正三角形・二等辺三角形・直角三角形の書き方(作図)まとめ!
いいと思います 教え方がすごくわかりやすいです これからも頑張ってください!
コメントありがとうございます。
わかりやすいとのこと、なによりです!
今後ともどうぞ当サイトをよろしくお願いいたします。