この記事では、三角形の面積を求める公式をまとめて紹介していきます。
問題に応じた公式の使い分け方もわかりやすく説明しますので、ぜひ参考にしてくださいね!
目次
三角形の面積の公式一覧
代表的な三角形の面積の公式は次のとおりです。
- 基本公式
\(\displaystyle S = \frac{1}{2} ah\) - 三角比を用いた面積公式
\(\displaystyle S = \frac{1}{2} ab \sin \theta\) - ヘロンの公式
\(S = \sqrt{s(s − a)(s − b)(s − c)} \)
ただし、\(\displaystyle s = \frac{a + b + c}{2}\) - 内接円の半径との関係式
\(\displaystyle S = \frac{1}{2}r(a + b + c)\) - 外接円の半径との関係式
\(\displaystyle S = \frac{abc}{4R}\) - ベクトルを用いた面積公式
\(\displaystyle S = \frac{1}{2} \sqrt{|\vec{a}|^2 |\vec{b}|^2 − (\vec{a} \cdot \vec{b})^2}\) (ベクトル表示)
\(\displaystyle S = \frac{1}{2} |a_1 b_2 − a_2 b_1|\) (成分表示) - 正三角形の面積公式
\(\displaystyle S = \frac{\sqrt{3}}{4} a^2\)
それぞれについて詳しく解説していきます。
1. 基本公式(底辺 × 高さ ÷ 2)
底辺と高さを使った最もオーソドックスな公式です。小学校で習ったやつですね!
三角形の底辺を \(a\)、高さを \(h\) とおくと、三角形の面積 \(S\) は
\begin{align}\color{red}{\displaystyle S = \frac{1}{2} ah}\end{align}
2. 三角比を用いた面積公式
三角比 \(\sin\) を用いた公式です。
三角形の \(2\) 辺の長さを \(a\), \(b\)、その間の角を \(\theta\) とおくと、三角形の面積 \(S\) は
\begin{align}\color{red}{\displaystyle S = \frac{1}{2} ab \sin \theta}\end{align}
\(b \sin \theta\) が高さを表しているので、公式の意味としては公式①と同じです。
3. ヘロンの公式
\(3\) 辺の長さを使って求めるヘロンの公式です。発展的な内容なので、学校では詳しく習わないかもしれませんね。
三角形の \(3\) 辺の長さを \(a\), \(b\), \(c\) とおくと、三角形の面積 \(S\) は
\begin{align}\color{red}{S = \sqrt{s(s − a)(s − b)(s − c)}}\end{align}
ただし、 \(\color{red}{\displaystyle s = \frac{a + b + c}{2}}\)
4. 内接円の半径との関係式
三角形の面積と、その内接円の半径との間に成り立つ関係を示した公式です。
三角形の \(3\) 辺の長さを \(a\), \(b\), \(c\)、その内接円の半径を \(r\) とすると、三角形の面積 \(S\) は
\begin{align}\color{red}{\displaystyle S = \frac{1}{2}r(a + b + c)}\end{align}
どちらかというと、三角形の \(3\) 辺の長さと面積から内接円の半径を求めるときに使うほうが多い公式です。
内接円とは?半径の公式や求め方、性質をわかりやすく解説!
5. 外接円の半径との関係式
三角形の面積と、その外接円の半径との間に成り立つ関係を示した公式です。
三角形の \(3\) 辺の長さを \(a\), \(b\), \(c\)、その外接円の半径を \(R\) とすると、三角形の面積 \(S\) と \(R\) の間には次の関係がある。
\begin{align}\color{red}{\displaystyle S = \frac{abc}{4R}}\end{align}
どちらかというと、三角形の \(3\) 辺の長さと面積から外接円の半径を求めるときに使うほうが多い公式です。
外接円とは?半径の公式や求め方、性質をわかりやすく解説!
6. ベクトルを用いた面積公式
三角形の辺をベクトルで表現した問題では、こちらの公式をよく使います。
ベクトル \(\overrightarrow{\mathrm{OA}} = \vec{a} = (a_1, a_2)\)、\(\overrightarrow{\mathrm{OB}} = \vec{b} = (b_1, b_2)\) からなる \(\triangle \mathrm{OAB}\) の面積 \(S\) は
- ベクトル表示
\begin{align}\color{red}{\displaystyle S = \frac{1}{2} \sqrt{|\vec{a}|^2 |\vec{b}|^2 − (\vec{a} \cdot \vec{b})^2}}\end{align} - 成分表示
\begin{align}\color{red}{\displaystyle S = \frac{1}{2} |a_1 b_2 − a_2 b_1|}\end{align}
表示の仕方は \(2\) 通りありますが、本質的には同じ公式です。
ベクトルによる三角形の面積の求め方!公式や証明、計算問題
7. 正三角形の面積公式
正三角形はその規則的なかたちから、辺の長ささえわかれば面積が求められます。
\(1\) 辺の長さが \(a\) の正三角形の面積 \(S\) は
\begin{align}\color{red}{\displaystyle S = \frac{\sqrt{3}}{4} a^2}\end{align}
三角形の面積の求め方
三角形の面積の求め方について、公式の使い分け早見表や例題を通して説明します。
面積公式の使い分け早見表
三角形の面積の公式は、問題文からわかることに応じて次のように使い分けます。
わかっている値 | 使う公式 | 例題 |
---|---|---|
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公式① \(\displaystyle S = \frac{1}{2} ah\) | 例題① |
|
公式② \(\displaystyle S = \frac{1}{2} ab \sin \theta\) | 例題② |
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例題③ |
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公式④ \(\displaystyle S = \frac{1}{2}r(a + b + c)\) | ー |
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公式⑤ \(\displaystyle S = \frac{abc}{4R}\) | ー |
三角形をなす \(2\) つのベクトルの
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公式⑥ ベクトル表示 \(\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \displaystyle S = \frac{1}{2} \sqrt{|\vec{a}|^2 |\vec{b}|^2 − (\vec{a} \cdot \vec{b})^2}\) |
別記事 |
三角形をなす \(2\) つのベクトルの
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公式⑥ 成分表示 \(\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \displaystyle S = \frac{1}{2} |a_1 b_2 − a_2 b_1|\) |
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正三角形の
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公式⑦ \(\displaystyle S = \frac{\sqrt{3}}{4} a^2\) | 別記事 |
例題①「底辺 10、高さ 6 の三角形」
次の \(\triangle \mathrm{ABC}\) の面積を求めなさい。
公式① 底辺 × 高さ ÷ 2
\begin{align} S = \frac{1}{2} ah\end{align}
\(\triangle \mathrm{ABC}\) の面積を \(S\) とおくと、
\(\begin{align} S &= \frac{1}{2} ah \\ &= \frac{1}{2} \cdot 10 \cdot 6 \\ &= 30 \end{align}\)
答え: \(\color{red}{30}\)
例題②「AB = 8、CA = 4、A = 60°の三角形」
次の \(\triangle \mathrm{ABC}\) の面積を求めなさい。
公式② 三角比を用いた面積公式
\begin{align} S = \frac{1}{2} ab \sin \theta\end{align}
\(\triangle \mathrm{ABC}\) の面積を \(S\) とおくと、
\(\begin{align} S &= \frac{1}{2} \cdot \mathrm{AB} \cdot \mathrm{AC} \sin 60^\circ \\ &= \frac{1}{2} \cdot 8 \cdot 4 \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} \\ &= 8\sqrt{3} \end{align}\)
答え: \(\color{red}{8\sqrt{3}}\)
例題③「a = 8、b = 6、c = 4 の三角形」
次の \(\triangle \mathrm{ABC}\) の面積を求めなさい。
- 余弦定理(変形バージョン)
\begin{align}\cos \mathrm{A} = \frac{b^2 + c^2 − a^2}{2bc}\end{align} - 三角比の相互関係
\begin{align}\sin^2 \theta + \cos^2 \theta = 1\end{align} - 公式② 三角比を用いた面積公式
\begin{align} S = \frac{1}{2} ab \sin \theta\end{align}
【手順 1】余弦定理である角の余弦(\(\cos\))を求める
\(\triangle \mathrm{ABC}\) において、余弦定理より
\(\begin{align}\cos \mathrm{A} &= \frac{b^2 + c^2 − a^2}{2bc} \\&= \frac{4^2 + 6^2 − 8^2}{2 \cdot 4 \cdot 6} \\&= \frac{16 + 36 − 64}{2 \cdot 4 \cdot 6} \\&= \frac{−12}{2 \cdot 4 \cdot 6} \\&= −\frac{1}{4}\end{align}\)
【手順 2】三角比の相互関係から余弦(\(\cos\))を正弦(\(\sin\))に変換する
\(\sin^2 \mathrm{A} + \cos^2 \mathrm{A} = 1\) より
\(\begin{align} \sin^2 \mathrm{A} &= 1 − \cos^2 \mathrm{A}\\ &= 1 − \left(−\frac{1}{4} \right)^2\\ &= 1 − \frac{1}{16} \\ &= \frac{15}{16} \end{align}\)
\(0^\circ < \angle \mathrm{A} < 180^\circ\) より、\(\sin \mathrm{A} > 0\) であるから
\(\displaystyle \sin \mathrm{A} = +\sqrt{\frac{15}{16}} = \frac{\sqrt{15}}{4}\)
【手順 3】三角比を用いた面積公式で三角形の面積を求める
\(\triangle \mathrm{ABC}\) の面積を \(S\) とおくと、
\(\begin{align}S &= \displaystyle \frac{1}{2} bc \sin \mathrm{A} \\&= \displaystyle \frac{1}{2} \cdot 4 \cdot 6 \cdot \frac{\sqrt{15}}{4} \\&= 3\sqrt{15}\end{align}\)
答え: \(\color{red}{3\sqrt{15}}\)
公式③ ヘロンの公式
\begin{align}S = &\sqrt{s(s − a)(s − b)(s − c)} \\ \displaystyle &s = \frac{a + b + c}{2}\end{align}
三角形の面積を \(S\) とおくと、ヘロンの公式より
\(S = \sqrt{s(s − a)(s − b)(s − c)}\)
ここで、\(a = 8\), \(b = 4\), \(c = 6\) より
\(\begin{align} s &= \frac{a + b + c}{2} \\ &= \frac{8 + 4 + 6}{2} \\ &= 9 \end{align}\)
よって、
\(\begin{align} S &= \sqrt{9(9 − 8)(9 − 4)(9 − 6)} \\ &= \sqrt{9 \cdot 1 \cdot 5 \cdot 3} \\ &= 3\sqrt{15} \end{align}\)
答え: \(\color{red}{3\sqrt{15}}\)
いかがでしたか?
例題で示したもの以外にも、三角形の面積を求める問題にはさまざまなタイプがあります。
「三角形の面積は絶対にこの解き方!」と決め打ちするのではなく、問題に合わせた解き方を選択できるようになりましょう!