この記事では、「極座標」についてわかりやすく解説していきます。
面積や距離の公式、直交座標(\(x, y\) 平面)との変換なども説明していきますので、ぜひこの記事を通してマスターしてくださいね。
目次
極座標とは?
極座標とは、原点からの距離 \(r\) と角度 \(\theta\) で平面上の点の位置を表したものです。
極 \(\mathrm{O}\)、始線 \(\mathrm{OX}\) に対し、動径 \(\mathrm{OP} = r\)、\(\mathrm{OX}\) と \(\mathrm{OP}\) がなす角を \(\theta\) とすると、
点 \(\mathrm{P}\) の極座標は \(\color{red}{(r, \theta)}\) と表される。
また、極座標を用いて曲線を表す場合、それを「極方程式」と呼びます。
極座標の用語
極座標では、次の用語を用います。
- 極:原点 \(\mathrm{O}\)
- 始線:半直線 \(\mathrm{OX}\)
- 偏角:ある点 \(\mathrm{P}\) と極 \(\mathrm{O}\) のなす角 \(\theta\)
極座標のメリット
極座標は距離と角度で表せることから、次のような場面でとても便利です。
- 物理の計算
回転運動や中心力(クーロン力・万有引力など)を扱うときに記述が楽になります。 - 図形の描写
定点からの距離で定義されるような図形(円、二次曲線など)は、直交座標の方程式で表すよりも極方程式で表す方が簡潔です。
極座標と直交座標
極座標に対して、これまで習ってきた \((x, y)\) という表し方を「直交座標」といいます。
平面上の点の位置は、極座標でも直交座標でも表すことができます。
点 \(\mathrm{P}\) の直交座標を \((x, y)\)、極座標を \((r, \theta)\) とすると、
- \(\color{red}{x = r\cos\theta, }\) \(\color{red}{y = r\sin\theta}\)
- \(\color{red}{r = \sqrt{x^2 + y^2}}\)
\(\color{red}{\displaystyle \cos\theta = \frac{x}{r}, }\) \(\color{red}{\displaystyle \sin\theta = \frac{y}{r}}\) \(\color{red}{(r \neq 0)}\)
実は、極座標と直交座標の対応は三角関数の単位円でも目にしています。
これを思い出すと、意外にすんなりと極座標を理解できるはずです。
極座標 ⇆ 直交座標の変換
極座標と直交座標を変換するときは、次の考え方を利用します。
- 原点との距離 \(r\)
→ 「三平方の定理」で求める
\begin{align}\color{red}{r = \sqrt{x^2 + y^2}}\end{align} - 偏角 \(\theta\)
→ 「三角比(単位円)」をイメージ
\begin{align}\color{red}{\displaystyle \cos\theta = \frac{x}{r}, \displaystyle \sin\theta = \frac{y}{r}}\end{align}
それぞれ例を見てみましょう。
例題①「直交座標 → 極座標」
次の直交座標で表される点の極座標 \((r, \theta) \) \((0 \leq \theta \leq 2\pi)\) を求めよ。
(1) \((1, \sqrt{3})\)
(2) \((−3, \sqrt{3})\)
実際に座標を図示してみると簡単にわかります。
ここでは計算式も示しますが、慣れてくるとグラフを書くだけでわかるようになりますよ。
(1) \((1, \sqrt{3})\)
\(r = \sqrt{1^2 + (\sqrt{3})^2} = 2\) より、
\(\displaystyle \cos\theta = \frac{1}{2}\)
\(\displaystyle \sin\theta = \frac{\sqrt{3}}{2}\)
\(0 \leq \theta \leq 2\pi\) より \(\displaystyle \theta = \frac{\pi}{3}\)
よって極座標は \(\displaystyle \left( 2, \frac{\pi}{3} \right)\)
答え: \(\color{red}{\displaystyle \left( 2, \frac{\pi}{3} \right)}\)
(2) \((−3, \sqrt{3})\)
\(r = \sqrt{(−3)^2 + (\sqrt{3})^2} = 2\sqrt{3}\) より、
\(\displaystyle \cos\theta = −\frac{3}{2\sqrt{3}} = −\frac{\sqrt{3}}{2}\)
\(\displaystyle \sin\theta = \frac{\sqrt{3}}{2\sqrt{3}} = \frac{1}{2}\)
\(0 \leq \theta \leq 2\pi\) より \(\displaystyle \theta = \frac{5}{6}\pi\)
よって極座標は \(\displaystyle \left( 2\sqrt{3}, \frac{5}{6}\pi \right)\)
答え: \(\color{red}{\displaystyle \left( 2\sqrt{3}, \frac{5}{6}\pi \right)}\)
例題②「極座標 → 直交座標」
次の極座標で表される点の直交座標 \((x, y)\) を求めよ。
(1) \(\displaystyle \left( 2, \frac{3}{4} \pi \right)\)
(2) \(\displaystyle \left( 4, −\frac{10}{3} \pi \right)\)
偏角が正の場合は時計回り、負の場合は反時計回りであることに注意して、グラフを書いてみましょう。
(1) \(\displaystyle \left( 2, \frac{3}{4} \pi \right)\)
\(\begin{align} x &= 2\cos \frac{3}{4}\pi \\ &= 2 \cdot \left( −\frac{1}{\sqrt{2}} \right) \\ &= −\sqrt{2} \end{align}\)
\(\begin{align} y &= 2\sin \frac{3}{4}\pi \\ &= 2 \cdot \frac{1}{\sqrt{2}} \\ &= \sqrt{2} \end{align}\)
よって直交座標は \((−\sqrt{2}, \sqrt{2})\)
答え: \(\color{red}{(−\sqrt{2}, \sqrt{2})}\)
(2) \(\displaystyle \left( 4, −\frac{10}{3} \pi \right)\)
\(\begin{align} x &= 4\cos \left( −\frac{10}{3} \pi \right) \\ &= 4 \cdot \left( −\frac{1}{2} \right) \\ &= −2 \end{align}\)
\(\begin{align} y &= 4\sin \left( −\frac{10}{3} \pi \right) \\ &= 4 \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} \\ &= 2\sqrt{3} \end{align}\)
よって直交座標は \((−2, 2\sqrt{3})\)
答え: \(\color{red}{(−2, 2\sqrt{3})}\)
極座標と直交座標の変換は、「複素数平面」でもとてもよく出てくるので慣れておきましょう!
複素数平面を総まとめ!数IIIで習う性質・公式一覧
極座標の 2 点間の距離の公式
極座標で表された \(2\) 点間の距離は、余弦定理の考え方で求められます。
\(\mathrm{O}\) を極とする \(2\) 点 \(\mathrm{A}(r_1, \theta_1)\), \(\mathrm{B}(r_2, \theta_2)\) があるとき、
\begin{align}\color{red}{\mathrm{AB} = \sqrt{r_1^2 + r_2^2 − 2r_1r_2\cos(\theta_2 − \theta_1)}}\end{align}
\(\theta_2\), \(\theta_1\) の大小関係がわからないため、正確には \(\angle \mathrm{AOB} = |\theta_2 − \theta_1|\) ですが
\(\cos(\theta_2 − \theta_1) = \cos(\theta_1 − \theta_2)\)
の関係から、絶対値は必要ありません。
極座標の三角形の面積の公式
極座標で表された \(2\) 点と極 \(\mathrm{O}\) がなす三角形の面積は、\(\bf{2}\) 辺とその間の角から求められます。
\(\mathrm{O}\) を極とする \(2\) 点 \(\mathrm{A}(r_1, \theta_1)\), \(\mathrm{B}(r_2, \theta_2)\) があるとき、\(\triangle \mathrm{OAB}\) の面積 \(S\) は
\begin{align}\color{red}{\displaystyle S = \frac{1}{2} r_1 r_2 |\sin(\theta_2 − \theta_1)|}\end{align}
\(\sin(\theta_2 − \theta_1) = −\sin(\theta_1 − \theta_2)\) より、絶対値を忘れないようにしましょう。
三角形の面積公式
\(2\) 辺の長さ \(a\), \(b\) とその間の角 \(\theta\) の三角形の面積 \(S\) は
\begin{align}\displaystyle S = \frac{1}{2} ab \sin\theta\end{align}
三角形の面積公式まとめ!求め方をわかりやすく解説以上で解説は終わりです。
図形の方程式には、直交座標で表した方が簡潔なものもあれば、極座標で表した方が簡潔なものもあります。
極座標を用いた「極方程式」については、以下の記事で説明しているのでぜひ確認してみてくださいね。
極方程式とは?グラフの書き方や面積・曲線の長さの公式
極座標と直交座標の対応は三角関数の単位円でもすでに習っています。
・・とありますが、cosθとsinθが2階微分方程式で現れる解と同じであることを示す
ことが難しいのです。つまり弧度法でθ[rad]を使った時の極座標系と直交座標系との間にある変換公式を証明しきっていないのです。x=rcosθ y=rsinθ の代わりに
x=rcatθ y=rdogθ としてはいけない理由を示さなければなりません。
この度はコメントいただきありがとうございます。
「すでに習っています」という文言が誤解を招くようでしたので、表現を見直しました。
今後ともどうぞ当サイトをよろしくお願いいたします。