空間ベクトルとは?内積・面積などの公式や問題を解くコツ

この記事では、「空間ベクトル」についてできるだけわかりやすく解説していきます。

内積、面積、垂直条件・平行条件などの公式や問題の解き方も説明していきますので、この記事を通してぜひマスターしてくださいね。

 

空間ベクトルとは?

空間ベクトルとは、文字通り「空間内にあるベクトル」のことです。

平面ベクトルでは「\(x\), \(y\) 方向の二次元」を考えるのに対し、空間ベクトルでは 「\(x\), \(y\), \(z\) 方向の三次元」を考えます。

「空間」というと難しい印象があるかもしれませんが、平面のときと同じ考え方でいいのです。

 

次の章から、空間ベクトルに関する公式を紹介していきます。

数が多いですが、基本的には平面上のベクトルの公式を空間に広げただけです。

新たに丸暗記するというよりは、「平面の公式をどのように拡張しているのかな?」と意識するとよいでしょう。

 

空間ベクトルの内積

まずは、空間ベクトルの内積です。

【公式①】ベクトル表示

ベクトル表示の内積は、平面ベクトルとまったく同じ式です。

空間ベクトルの内積(ベクトル表示)

\(\vec{0}\) でない \(2\) つの空間ベクトル \(\vec{a}\), \(\vec{b}\) がなす角を \(\theta\) \((0^\circ \leq \theta \leq 180^\circ)\) とすると、

\begin{align}\color{red}{\vec{a} \cdot \vec{b} = |\vec{a}| |\vec{b}| \cos \theta}\end{align}

を \(\vec{a}\), \(\vec{b}\) の内積という。

 

なお、\(\vec{a} = \vec{0}\) または \(\vec{b} = \vec{0}\) のときは

\begin{align}\vec{a} \cdot \vec{b} = 0\end{align}

と定める。

補足

「内積」については以下の記事で詳しく説明しています。

ベクトルの内積とは?意味・公式や求め方、計算問題

 

【公式②】成分表示

また、空間ベクトルの内積を成分で表すと次のようになります。

空間ベクトルの内積(成分表示)

\(\vec{a} = (a_1, a_2, a_3)\), \(\vec{b} = (b_1, b_2, b_3)\) のとき

\begin{align}\color{red}{\vec{a} \cdot \vec{b} = a_1 b_1 + a_2 b_2 + a_3 b_3}\end{align}

\(\bf{2}\) つのベクトルの成分を、成分ごとにかけて足す」という演算は、平面ベクトルとまったく同じですね!

 

空間ベクトルの大きさ

空間ベクトルの大きさは次のように計算できます。

空間ベクトルの大きさ

\(\vec{a} = (x, y, z)\) のとき

\begin{align}\color{red}{|\vec{a}| = \sqrt{x^2 + y^2 + z^2}}\end{align}

考え方は平面ベクトルと同じで、「三平方の定理」で大きさを表しています。

 

空間ベクトルと三角形の面積

空間内にある三角形の面積の公式も、ベクトル表示なら平面のときとまったく同じです。

【公式①】ベクトル表示

空間ベクトルがなす三角形の面積(ベクトル表示)

\(\triangle \mathrm{OAB}\) において、 \(\overrightarrow{\mathrm{OA}} = \vec{a}\), \(\overrightarrow{\mathrm{OB}} = \vec{b}\) とすると、 \(\triangle \mathrm{OAB}\) の面積 \(S\) は

\begin{align}\color{red}{\displaystyle S = \frac{1}{2} \sqrt{ |\vec{a}|^2 |\vec{b}|^2 − (\vec{a} \cdot \vec{b})^2 }}\end{align}

補足

上記公式の成り立ち(証明)や使い方については、以下の記事で詳しく説明しています。

ベクトルによる三角形の面積の求め方!公式や証明、計算問題

 

【公式②】成分表示

ちなみに、成分表示による三角形の面積は次のようになります。

空間ベクトルがなす三角形の面積(成分表示)

\(\triangle \mathrm{OAB}\) において、\(\vec{a} = (a_1, a_2, a_3)\), \(\vec{b} = (b_1, b_2, b_3)\) のとき、\(\triangle \mathrm{OAB}\) の面積 \(S\) は

\begin{align}\color{red}{S = \frac{1}{2} \sqrt{(a_1 b_2 − a_2 b_1)^2 + (a_2 b_3 − a_3 b_2)^2 + (a_3 b_1 − a_1 b_3)^2}}\end{align}

(見切れる場合は横へスクロール)

考え方は同じなものの、平面ベクトルよりも少し複雑になりますね。

こちらは無理に暗記せず、ベクトル表示の公式で考えるようにしましょう!

 

空間ベクトルの平行条件、垂直条件

空間ベクトルの平行条件、垂直条件も、平面の場合とまったく同じです。

ベクトルの平行条件、垂直条件とは?内積公式や証明・計算問題

ベクトルの平行条件

ベクトルの平行条件

\(\vec{0}\) でない \(2\) つのベクトル \(\vec{a}\), \(\vec{b}\) に対して、

\(\color{red}{\vec{a} \ // \ \vec{b}}\) \(\color{red}{\iff}\) \(\color{red}{\vec{a} = k \vec{b}}\) となる実数 \(\color{red}{k}\) がある

 

ベクトルの垂直条件

ベクトルの垂直条件

\(\vec{0}\) でない \(2\) つのベクトル \(\vec{a}\), \(\vec{b}\) に対して、

\begin{align}\color{red}{\vec{a} \perp \vec{b} \iff \vec{a} \cdot \vec{b} = 0}\end{align}

 

空間ベクトルのベクトル方程式

ベクトル方程式においても、公式のほとんどは平面ベクトルと共通です(直線、円、平面の方程式など)。

ベクトル方程式とは?図形別の公式(直線・円)や問題の解き方

成分座標を計算するときだけは、\(x, y, z\) 方向すべてを考えるようにしましょう。

 

ここでは、「空間ベクトルの分解」と「球面のベクトル方程式」を示します。

空間ベクトルの分解

平面ベクトルが平行でない \(2\) つのベクトルに分解できたように、空間ベクトルは同じ平面上にない \(\bf{3}\) つのベクトルに分解できます。

空間ベクトルの分解

同じ平面上にない \(4\) 点 \(\mathrm{O}\), \(\mathrm{A}\), \(\mathrm{B}\), \(\mathrm{C}\) に対して、\(\overrightarrow{\mathrm{OA}} = \vec{a}\), \(\overrightarrow{\mathrm{OB}} = \vec{b}\), \(\overrightarrow{\mathrm{OC}} = \vec{c}\) とする。

このとき、空間内のどんなベクトル \(\vec{p}\) も、実数 \(s\), \(t\), \(u\) を用いてただ \(1\) 通りに

\begin{align}\color{red}{\vec{p} = s\vec{a} + t\vec{b} + u\vec{c}}\end{align}

と表すことができる。

 

これは空間ベクトルの計算でよく使う考え方なので、しっかり把握しておきましょう。

 

球面のベクトル方程式

最後に、空間ならではの図形、球面のベクトル方程式を紹介しておきます。

球面のベクトル方程式

中心が \(\mathrm{C}(\vec{c})\)、半径が \(r\) の球について、球面上の位置ベクトルを \(\mathrm{P}(\vec{p})\) とすると、球面のベクトル方程式は

\begin{align}\color{red}{|\vec{p} − \vec{c}| = r}\end{align}

公式をよく見ると、球面上の点から中心への距離が半径に等しいことをベクトルで表現しただけなのがわかりますね。

 

この公式は、一般的な球面の方程式の座標をベクトルで書き直せば導けます。

球面の方程式

点 \((a, b, c)\) を中心とする半径 \(r\) の球面の方程式(標準形)は

\begin{align}\color{red}{(x − a)^2 + (y − b)^2 + (z − c)^2 = r^2}\end{align}

 

なお、一般形は

\begin{align}\color{red}{x^2 + y^2 + z^2 + h + k + l + d = 0}\end{align}

ただし、\(h\), \(k\), \(l\), \(d\) は

\begin{align}h^2 + k^2 + k^2 − 4d > 0\end{align}

を満たす。

 

空間ベクトルの練習問題

それでは、空間ベクトルの問題を解いてみましょう!

練習問題①「空間ベクトルがなす角」

練習問題①

\(2\) つのベクトル \(\vec{a} = (1, x, 0)\), \(\vec{b} = (x + 1, 0, x − 1)\) のなす角が \(45^\circ\) となるように \(x\) の値を定めよ。

 

なす角を求めるには、ベクトルの内積の公式を利用します。

まずは、\(|\vec{a}|\)、\(|\vec{b}|\)、\(\vec{a} \cdot \vec{b}\) を成分から求めておきましょう。

解答

 

\(\begin{align} |\vec{a}| &= \sqrt{1^2 + x^2 + 0^2} \\ &= \sqrt{x^2 + 1} \end{align}\)

 

\(\begin{align} |\vec{b}| &= \sqrt{(x + 1)^2 + 0^2 + (x − 1)^2} \\ &= \sqrt{2x^2 + 2} \\ &= \sqrt{2} \sqrt{x^2 + 1} \end{align}\)

 

\(\begin{align} \vec{a} \cdot \vec{b} &= 1 \cdot (x + 1) + x \cdot 0 + 0 \cdot (x − 1) \\ &= x + 1 \end{align}\)

 

 

\(\vec{a}\) と \(\vec{b}\) のなす角が \(45^\circ\) になればよいので、

\(\vec{a} \cdot \vec{b} = |\vec{a}| |\vec{b}| \cos 45^\circ\)

よって

\(\displaystyle x + 1 = \sqrt{x^2 + 1} \cdot \sqrt{2} \sqrt{x^2 + 1} \cdot \frac{1}{\sqrt{2}}\)

\(x + 1 = x^2 + 1\)

\(x^2 + 1 = x + 1\)

\(x^2 − x = 0\)

\(x(x − 1) = 0\)

\(x = 0, 1\)

 

答え: \(\color{red}{x = 0, 1}\)

 

練習問題②「空間ベクトルがなす三角形の面積」

練習問題②

\(3\) 点 \(\mathrm{A}(1, 1, 4)\), \(\mathrm{B}(2, 1, 5)\), \(\mathrm{C}(3, −1, 8)\) を頂点とする \(\triangle \mathrm{ABC}\) の面積を求めよ。

 

三角形の面積を求める公式 \(\displaystyle S = \frac{1}{2} \sqrt{|\overrightarrow{\mathrm{AB}}|^2 |\overrightarrow{\mathrm{AC}}|^2 − (\overrightarrow{\mathrm{AB}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{AC}})^2}\) に代入します。

そのために、まずは \(\overrightarrow{\mathrm{AB}}\) と \(\overrightarrow{\mathrm{AC}}\) の大きさおよび内積を計算しておきましょう。

解答

 

\(\overrightarrow{\mathrm{AB}} = \overrightarrow{\mathrm{OB}} − \overrightarrow{\mathrm{OA}} = (1, 0, 1)\)

\(\overrightarrow{\mathrm{AC}} = \overrightarrow{\mathrm{OC}} − \overrightarrow{\mathrm{OA}} = (2, −2, 4)\)

であるから、

\(|\overrightarrow{\mathrm{AB}}| = \sqrt{1^2 + 0^2 + 1^2} = \sqrt{2}\)

\(|\overrightarrow{\mathrm{AC}}| = \sqrt{2^2 + (−2)^2 + 4^2} = \sqrt{24}\)

 

\(\begin{align} \overrightarrow{\mathrm{AB}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{AC}} &= 1 \cdot 2 + 0 \cdot (−2) + 1 \cdot 4 \\ &= 6 \end{align}\)

 

\(\triangle \mathrm{ABC}\) の面積を \(S\) とすると

\(\begin{align} S &= \frac{1}{2} \sqrt{|\overrightarrow{\mathrm{AB}}|^2 |\overrightarrow{\mathrm{AC}}|^2 − (\overrightarrow{\mathrm{AB}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{AC}})^2} \\ &= \frac{1}{2} \sqrt{2 \cdot 24 − 6^2} \\ &= \frac{1}{2} \sqrt{12} \\ &= \frac{1}{2} \cdot 2\sqrt{3} \\ &= \sqrt{3} \end{align}\)

 

答え: \(\color{red}{\sqrt{3}}\)

 

練習問題③「空間ベクトルと二次関数」

練習問題③

\(\vec{a} = (1, 1, −1)\), \(\vec{b} = (2, −1, −1)\) のとき、次の問いに答えよ。

(1) \(f(t) = |\vec{a} + t\vec{b}|^2\) とおく。 \(f(t)\) を \(t\) を用いて表せ。

(2) \(f(t)\) の値を最小にする \(t\) の値を求めよ。

(3) (2)で求めた \(t\) の値を \(t_0\) とすると、\(\vec{a} + t_0 \vec{b}\) は \(\vec{b}\) に垂直であることを示せ。

 

\(f(t)\) は \(t\) の二次関数になります。

二次関数の最小値を求めるときは、おなじみの平方完成を行います。

また、(3) で「垂直である」ことを示すには、「内積が \(0\)」を示せばいいですね。

解答

 

(1)

\(\vec{a} + t\vec{b} = (2t + 1, −t + 1, −t − 1)\)

であるから

\(\begin{align} f(t) &= |\vec{a} + t\vec{b}|^2 \\& = (2t + 1)^2 + (−t + 1)^2 + (−t − 1)^2 \\ &= 6t^2 + 4t + 3 \end{align}\)

 

答え: \(\color{red}{f(t) = 6t^2 + 4t + 3}\)

 

 

(2) \(f(t)\) は \(t\) の二次関数である。

\(f(t)\) を平方完成すると、

\(\begin{align} f(t) &= 6t^2 + 4t + 3 \\ &= 6 \left( t^2 + \frac{2}{3} t \right) + 3 \\ &= 6\left\{ \left(t + \frac{1}{3} \right)^2 − \frac{1}{9} \right\} + 3 \\ &= 6 \left( t + \frac{1}{3} \right)^2 − \frac{2}{3} + 3 \\ &= 6 \left( t + \frac{1}{3} \right)^2 + \frac{7}{3} \end{align}\)

となるので、 \(f(t)\) は \(\displaystyle t = −\frac{1}{3}\) のときに最小値 \(\displaystyle \frac{7}{3}\) をとる。

 

答え: \(\color{red}{\displaystyle t = −\frac{1}{3}}\)

 

 

(3) 証明

 

(2)より \(\displaystyle t_0 = −\frac{1}{3}\)

\(\vec{a} + t_0 \vec{b}\) と \(\vec{b}\) が垂直であることを示すためには、

\((\vec{a} + t_0 \vec{b}) \cdot \vec{b} = 0\)

を示せばよい。

 

\(\vec{a} + t_0 \vec{b}\)

\(\displaystyle = \vec{a} − \frac{1}{3} \vec{b}\)

\(\displaystyle = (1, 1, −1) + \left( −\frac{2}{3}, \frac{1}{3}, \frac{1}{3} \right)\)

\(\displaystyle = \left( \frac{1}{3}, \frac{4}{3}, −\frac{2}{3} \right)\)

より

 

\(\displaystyle \left( \vec{a} − \frac{1}{3} \vec{b} \right) \cdot \vec{b}\)

\(\displaystyle = \left( \frac{1}{3}, \frac{4}{3}, −\frac{2}{3} \right) \cdot (2, −1, −1)\)

\(\displaystyle = \frac{2}{3} − \frac{4}{3} + \frac{2}{3}\)

\(= 0\)

 

よって、 \(\displaystyle \vec{a} + t_0 \vec{b}\) は \(\vec{b}\) に垂直である。

 

(証明終わり)

補足

「平方完成」を忘れている人は、復習しておきましょう!

平方完成とは?公式ややり方を実際の問題でわかりやすく解説!

以上で空間ベクトルの練習問題は終わりです!

 

空間とはいえ、基本的にやっていることは平面上のベクトルと同じです。

「空間だから難しい、、、」と弱気にならず、問題演習を通して空間ベクトルに慣れていきましょう!

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