指数・対数に関するさまざまな計算法則・公式をまとめてました。
気になる公式や問題の解き方があれば、ぜひ詳細記事を参考にしてくださいね!
目次
指数とは?
指数(しすう)とは、同じ数を繰り返しかける計算「累乗(るいじょう)」でかける回数のことです。
\(a\) を \(n\) 回かける計算を累乗といい、
\(a^n\)(\(a\) の \(n\) 乗)
と表す。
右上の \(n\) を「指数」、繰り返しかける数 \(a\) を「底(てい)」と呼ぶ。
指数法則(数I)
累乗において成り立つ計算規則です。
\(a \neq 0\)、\(b \neq 0\)、\(m\), \(n\) が正の整数のとき、以下が成り立つ。
① \(a^m \times a^n = a^{m + n}\)
② \(a^m \div a^n = \displaystyle \frac{a^m}{a^n} = a^{m − n}\)
③ \((a^m)^n = a^{mn}\)
④ \((ab)^m = a^m b^m\)
⑤ \(\displaystyle \left( \frac{b}{a} \right)^m = \frac{b^m}{a^m}\)
累乗 → べき乗
数学 I までは、指数部分が正の整数である「累乗」を扱いますが、指数部分を実数全体まで拡張することができ、これを「べき乗」といいます。
- 累乗:\(a^n\)(\(n\) は任意の正の整数)
- べき乗:\(a^x\)(\(x\) は任意の実数)
当初、指数 \(n\) は底 \(a\) をかける回数(つまり正の整数)だと習うけれど、「実は指数はすべての実数をとれる」と解釈を拡張できるのですね。
指数の定義の拡張
指数がとる値を正の整数だけでなく、\(0\)・負の整数・有理数(分数)まで拡張すると、次のように定義できます。
\(a \neq 0\)、\(n\) が正の整数のとき、
- \(a^0 = 1\)(ゼロ乗の定義)
- \(\displaystyle a^{−n} = \frac{1}{a^n}\)(マイナス乗の定義)
\(a > 0\)、\(n\), \(m\) が正の整数のとき、
- \(a^{\frac{m}{n}} = \sqrt[n]{a^m}\)(有理数乗、つまり分数乗の定義)
※ 右辺は累乗根
さらに、\(a^x\) の指数 \(x\) が無理数であっても、\(a^x\) の値はある \(1\) つの実数値に近づくことから、その値を \(a^x\) と定義できます。
すなわち、指数は無理数まで含む実数全体をとることができるのです。
実数の指数法則(数II)
指数を実数全体まで拡張すると、指数法則は次のように表せます。
\(a > 0\)、\(b > 0\)、\(r\), \(s\) が実数のとき、以下が成り立つ。
① \(a^r \times a^s = a^{r + s}\)
② \(a^r \div a^s = \displaystyle \frac{a^r}{a^s} = a^{r − s}\)
③ \((a^r)^s = a^{rs}\)
④ \((ab)^r = a^r b^r\)
⑤ \(\displaystyle \left( \frac{b}{a} \right)^r = \frac{b^r}{a^r}\)
累乗根
指数の定義を拡張する過程で、累乗根という新しい数の概念を定義します。
\(n\) を正の整数とするとき、「\(n\) 乗すると \(a\) になる数」、すなわち \(x^n = a\) を満たす数 \(x\) を「\(a\) の \(n\) 乗根」という。
\(a\) の \(2\) 乗根、\(3\) 乗根、\(4\) 乗根…をまとめて「\(a\) の累乗根」という。
また、\(\sqrt[n]{a}\) を「\(n\) 乗根 \(a\)」という。
累乗根の性質
累乗根においては、次の計算規則が成り立ちます。
\(a > 0\), \(b > 0\) で、\(m\), \(n\), \(p\) が正の整数のとき \((\sqrt[n]{a})^n = a\), \(\sqrt[n]{a} > 0\) であることから、次の性質が成り立つ。
① \(\sqrt[n]{a}\sqrt[n]{b} = \sqrt[n]{ab}\)
② \(\displaystyle \frac{\sqrt[n]{a}}{\sqrt[n]{b}} = \sqrt[n]{\displaystyle \frac{a}{b}}\)
③ \((\sqrt[n]{a})^m = \sqrt[n]{a^m}\)
④ \(\sqrt[m]{\sqrt[n]{a}} = \sqrt[mn]{a}\)
⑤ \(\sqrt[n]{a^m} = \sqrt[np]{a^{mp}}\)
対数とは?
対数 \(\log\) とは、指数の値を求めるための道具です。
\(a^x = M\) を満たす \(x\) の値 \(p\) を「\(a\) を底とする \(M\) の対数」といい、
\begin{align}p = \log_a M\end{align}
と表す。
指数と対数の関係
対数は、指数との対応から定義されます。
\(a > 0\), \(a \neq 1\), \(M > 0\) のとき
\begin{align}a^p = M \iff p = \log_a M\end{align}
真数条件・底の条件
\(a^x = M \iff x = \log_a M\) において、\(a\) を底、\(M\) を真数といいます。
指数・対数の問題を解く際は、真数や底のとりうる範囲に注意する必要があります。
以下の条件のもと、対数 \(\log_a x\) が定義される。
- 底の条件:\(a > 0, a \neq 1\)
- 真数条件:\(x > 0\)
対数の性質
対数には、次の計算規則が成り立ちます。
\(a > 0\), \(a \neq 1\), \(M > 0\), \(N > 0\)、\(k\) は実数、\(n\) は \(2\) 以上の自然数のとき、
- \(\log_a MN = \log_a M + \log_a N\)
- \(\displaystyle \log_a \frac{M}{N} = \log_a M − \log_a N\)
特に、\(\displaystyle \log_a \frac{1}{N} = −\log_a N\) - \(\log_a M^k = k\log_a M\)
特に、\(\displaystyle \log_a \sqrt[n]{M} = \frac{1}{n} \log_a M\)
底の変換公式
対数の底は、自在に変換することができます。
\(a, b, c\) は正の数で \(a \neq 1\), \(b \neq 1\), \(c \neq 1\) のとき、
\begin{align}\displaystyle \log_a b = \frac{\log_c b}{\log_c a}\end{align}
特に、\(\displaystyle \log_a b = \frac{1}{\log_b a}\)
常用対数
\(10\) を底とする対数 \(\log_{10} N\) を「常用対数」といいます。
正の数 \(N\) は \(a \times 10^n\)(\(1 \leq a < 10\), \(n\) は整数)で表され
\begin{align}\log_{10} N = n + \log_{10} a, \ 0 \leq \log_{10} a < 1\end{align}
自然対数
ネイピア数 \(e\) を底とした対数 \(\log_e x\) を「自然対数」といいます。
\(\log x\) または \(\ln x\) と表すことも多いです。
\(x > 0\) のとき
\begin{align}y = \log x \iff e^y = x\end{align}
特に、
\begin{align}\log e = 1 \iff e^1 = e\end{align}
\begin{align}\log 1 = 0 \iff e^0 = 1\end{align}
指数関数と対数関数
指数部分に変数を含む関数を指数関数、対数の真数部分に変数を含む関数を対数関数といいます。
- 指数関数
\(a > 0, a \neq 1\) のとき、\(a\) を底とする \(x\) の指数関数は
\begin{align}y = a^x\end{align} - 対数関数
\(a > 0, a \neq 1\) のとき、\(a\) を底とする \(x\) の対数関数は
\begin{align}y = \log_a x\end{align}
指数関数・対数関数の微分公式
暗記しておくべき指数関数・対数関数の微分公式です。
\(a > 0\), \(a \neq 1\) のとき、
- 指数関数の微分
\((e^x)’ = e^x\)
\((a^x)’ = a^x \log a\) - 対数関数の微分
\(\displaystyle (\log x)’ = \frac{1}{x}\)
\(\displaystyle (\log_a x)’ = \frac{1}{x \log a}\)
\(\displaystyle (\log |x|)’ = \frac{1}{x}\)
\(\displaystyle(\log_a |x|)’ = \frac{1}{x \log a}\)
指数関数・対数関数の積分公式
暗記しておくべき指数関数・対数関数の積分公式です。
積分定数を \(C\) とおく。\(a > 0\), \(a \neq 1\) のとき、
- 指数関数の積分
\(\displaystyle \int e^x \, dx = e^x + C\)
\(\displaystyle \int a^x \, dx = \frac{a^x}{\log a} + C\) - 対数関数の積分
\(\displaystyle \int \log x \, dx = x \log x − x + C\)
指数関数・対数関数の極限公式
指数関数・対数関数の極限において、暗記しておくべき公式です。
- 指数関数の極限
\(\displaystyle \lim_{x \to \infty} a^x = \left\{\begin{array}{l} \infty \ (1 < a)\\ 0 \ (0 < a < 1)\end{array}\right.\)
\(\displaystyle \lim_{x \to −\infty} a^x = \left\{\begin{array}{l} 0 \ (1 < a)\\ \infty \ (0 < a < 1)\end{array}\right.\) - 対数関数の極限
\(\displaystyle \lim_{x \to \infty} \log_a x = \left\{\begin{array}{l} \infty \ (1 < a)\\ −\infty \ (0 < a < 1)\end{array}\right.\)
\(\displaystyle \lim_{x \to +0} \log_a x = \left\{\begin{array}{l} −\infty \ (1 < a)\\ \infty \ (0 < a < 1)\end{array}\right.\) - e の定義
\(\begin{align}e &= \lim_{h \to 0} (1 + h)^{\frac{1}{h}} \\ &= \lim_{n \to \pm\infty} \left( 1 + \frac{1}{n} \right)^n \\ &= 2.71828\cdots\end{align}\) - 指数関数・対数関数を含む極限
\(\displaystyle \lim_{x \to 0} \frac{e^x − 1}{x} = 1\)
\(\displaystyle \lim_{x \to 0} \frac{x}{\log(1 + x)} = 1\)
以上が指数・対数の記事一覧でした!
指数と対数の対応を理解して、さまざまな問題に対応できるようにしましょう!